「原作者と二人三脚で紡ぐストーリー」──春アニメ「八十亀ちゃんかんさつにっき 4さつめ」 脚本担当WORDS in STEREOインタビュー

2022年4月より放送中の名古屋を中心とした東海地方を舞台とするテレビアニメ「八十亀ちゃんかんさつにっき 4さつめ」(以下、「4さつめ」)。

地元・名古屋愛にあふれるヒロイン・八十亀最中が、個性的なキャラクターたちとともに繰り広げるドタバタコメディだ。
今回は、第1期から脚本を手掛け、TVアニメ「八十亀ちゃんかんさつにっき」のストーリーの根幹を担ってきたWORDSin STEREO氏に話をうかがった。



──脚本作成のうえで本作ならではのこだわり、ポリシーがありましたら教えてください。

WORDS in STEREO 「原作の雰囲気を損なうことなく、尺と予算を考えて、名古屋だけに『可能な限り大盛りにする』」、これに尽きると思っています。
 

──制作のうえで、原作者の安藤正基先生とは相談されましたか? そのうえで決まったことがあれば教えてください。

WORDS in STEREO 安藤先生とは常にご相談し、アドバイスをいただいています。そういった意味では、すべて先生と一緒につくった脚本と言えると思います。
まず、作業の流れを説明させていただきます。最初に「シリーズ構成」という、第1話から最終話まで、原作のおよそどういったエピソードをどういった形でピックアップするのか?」という作業がございます。
最初に私の方でいったん全話分の案をお出ししたのち、安藤先生と相談のうえ決定していきます。特に最終話に関しては「毎シリーズ、印象に残る内容にしましょう」と、先生といつも話しています。私が担当したシリーズだと、それが「1さつめ」(第1期)の「燃えよドラゴンズ」、「3さつめ」(第3期)の「ラップバトル」ですね。果たして「4さつめ」の最終話はどうなるのか……ぜひ、放送にてご確認ください!


次に、各話の初稿を安藤先生に監修いただきます。先生には「方言やセリフの調整」を中心に見ていただいており、そのほか原作から落としたセリフやコマがあった場合「そのセリフはすごくバズったので残しましょう」、「このコマは人気があったのでぜひ残してください」とアドバイスをいただいたりもしつつ、最終稿を目指しています。ですので、私としては先生と二人三脚で制作している気持ちです。先生にはお忙しいなか恐縮ですが……。

──毎回、名古屋在住のファン以外にはピンとこないご当地ネタが多数出てきますが、原作からピックアップする際、どういった点を意識してネタをチョイスしているのでしょうか。

WORDS in STEREO 原作の中でも地元ネタの「濃ゆい」、「薄い」があるなかで、できるだけ濃ゆいネタをと思っています。名古屋のネタなら名古屋の皆さんだけがピンとくる。岐阜、三重、静岡、大阪、京都なども、地元の人だけがわかるネタをチョイスできればと常に考えています。「視聴者の皆様にはわからない」、それを逆に楽しんでいただけると幸いです。

──アニメ化するエピソードはどのように決まったのでしょうか? 「これは必ず入れたい」というエピソードがありましたら教えてください。

WORDS in STEREO まず、アニメ化するエピソードですが「原作のどの範囲までを今シリーズの対象とするのか」を、単行本をベースに検討します。登場するキャラクターなども考慮していますね。そのなかで、基本的には名古屋・東海ネタを中心に原作をピックアップするのですが、私としてはできるだけニッチなネタを入れたいと思っています。
同時に新キャラも登場しますので、どの話数でどのような形で登場させるのか? こうしたことも考えながらエピソードをチョイスしています。
また、「これは必ずいれたい」というエピソードですが、私のなかで原作第4巻22話「バカじゃにゃあ」が映像化したら面白そうだなと思っていました。ですので「3さつめ」で映像化できてうれしかったです。

──「4さつめ」ならではの見どころはどんな点でしょうか?

WORDS in STEREO 生徒会の3名が今までのキャラクターに負けず劣らず個性的ですので、そこが注目ポイントです。彼女たちが加入することによって、地元ネタも東海、関西を飛び出して関東(※東京をのぞく)まで波及していますので、関東圏の方もぜひご期待ください!

──本作では「3さつめ」までと比べ、登場人物がさらに増えていますが、限られた尺のなかでキャラクターたちを最大限に動かすために意識していることは?

WORDS in STEREO 本当にたくさんのキャラクターが登場しますので、出番が多い、少ないはどうしても出てきます。また、毎シーズン、原作をチョイスする範囲の中で、エピソードの多いキャラクター、少ないキャラクターもあります。出番の多いキャラクターはそんなに気を使うことはないですが、初登場のキャラクターは登場時から出番を多くして印象に残るように考えています。また、セリフも特徴的なものを多めにしています。
あまり本筋に絡んでこないキャラクターには頭を使いますが、Cパート(本編終了後のパート)をフォーマット化していただいたので、そういったキャラクターもおいしいところだけ抽出して、濃ゆく登場させることができたと思います。

──視聴者、ファンの皆さんへのコメントをお願いします。

WORDS in STEREO いよいよ「4さつめ」まできました。シリーズ構成、脚本担当は工程上、最後のフィルムになるまでどのような映像になっているのかわからないことも多いです。私も視聴者の皆様と同じ気持ちで今後の放送も心待ちにしたいと思います!

©安藤正基・一迅社/愛知県立田金高校

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