【明日発売】シリーズ初心者による「スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE」先行プレイレビュー スペースオペラRPG「スターオーシャン」シリーズ25周年記念作品!

突然だが、「大作RPGでガッツリ遊びたい!」という気持ちが湧くことはないだろうか? 筆者はアクションゲームやオンライン対戦ゲームを遊んでいると、ふつふつとそんな願望が湧くことがあるのだが、今回はそんなゲーマーにぴったりな作品、「スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE」をご紹介していきたいと思う。

なお、本作はPS5版、PS4版、Xbox版、Steam版が発売されているが、今回はPS4版でレビューを行った。あらかじめご留意いただきたい。

とファンタジーの必然的融合!2人の主人公が出会うとき、物語が動き始める……。


本作「スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE」は、スクウェア・エニックスとトライエースによるRPG「スターオーシャン」シリーズの25周年記念作品だ。スターオーシャンシリーズは、1996年に第1作が発売され、現在までにナンバリング5作、外伝1作、スマートフォンタイトル1作が制作されているという、長い歴史を持った人気作。SFとファンタジーという2つの世界観が融合した物語、簡単操作で爽快な戦闘が楽しめるバトルシステムなどが特色となっている。前作「スターオーシャン5」が発売されたのは2016年ということで、実に6年ぶりのナンバリング最新作となる本作。シリーズのファンにとっては、まさに待望の作品といったところだろう。



……と、スターオーシャンシリーズについて述べたが、かく言う筆者は、実は(恥ずかしながら)スターオーシャンシリーズについてその名はもちろん知ってはいたものの、本作「スターオーシャン6」をプレイするまで、まったく触れてこなかった。言うなれば“スターオーシャン初心者”である筆者なのだが、結論から言えば、そんな筆者でも「スターオーシャン6」は非常に楽しめた。それも、「こんなに面白いなら、もっと早くシリーズに触れておけばよかった!」と思うほどである。

というわけで本記事は、そんな“スターオーシャンシリーズ初体験”の筆者の視点からのレビューとなるため、過去作との比較などができない点については、あらかじめご留意いただければと思う。


さて、さっそくそんなシリーズ初心者の聞きかじりで恐縮だが、スターオーシャンシリーズはその特徴として、大きな世界観や設定は共通でありながら一作一作が独立した内容となっている、という点があげられるという。事実、その特徴のおかげで、筆者は「スターオーシャン6」の物語にスムーズに入り込み没頭することができたわけなのだが、まずはそんな本作のストーリーを紹介していこう。



本作の主人公は、輸送艦イーダスの艦長「レイモンド・ローレンス」と、未開惑星アスター星系第4惑星にあるオーシディアス王国の王女「レティシア・オーシディアス」の2人。ゲーム開始時に2人の主人公のうちからひとりを選択するという「ダブルヒーロー」システムが採用されている。ちなみに筆者は、王女レティシアを選択してプレイを開始した。



舞台は、宇宙暦583年の銀河系。銀河連邦きっての名門である“ケニー一族”が乗る戦闘専用艦アストリアの襲撃を受けたレイモンドが、レティシアの住む未開惑星アスター星系第4惑星に不時着するところから物語が始まる。レティシアは自国の危機を救うためにレイモンドに助力を求め、レイモンドは同じ惑星に不時着しているはずの行方不明の仲間を探すことを条件として、レティシアに協力する。

宇宙からやってきたレイモンドと、惑星に住むレティシア。生活も文化もまったく異なる2人が出会うことで運命が動き始める、という壮大でドラマチックな展開は、グイグイと強く引き込まれるものがある。「SFとファンタジーの融合」を特色に掲げるスターオーシャンシリーズならではのストーリーと言えるだろう。



物語に続いて、キャラクターについても深く紹介していきたい。

まずは主人公のひとりであるレイモンド。輸送艦の艦長である彼は、人当たりがよく大らかな人柄だ。情に厚く、仲間のためなら無謀な挑戦に出ることもあり、また、よくも悪くも相手との身分差にこだわらない性格の持ち主でもある。総じて、主人公として非常に好感が持てる気持ちのいいキャラクターとなっており、ゲームを進めていくうちにどんどんレイモンドの人柄の虜(とりこ)になっていくプレイヤーも少なくないのではないかと思う。ちなみに彼は「銀河連邦に所属していないがゆえに、未開惑星保護条約にも縛られない」という設定が与えられている。このあたりは、スターオーシャンシリーズの世界観を熟知するファンならば「なるほど、そうきたか」という感想を持つかもしれない。


輸送艦イーダスの艦長、レイモンド・ローレンス

いっぽう、もうひとりの主人公であるレティシアは、オーシディアス王国の王女。王族の身でありながら、鎧をまとって勇ましく双剣を操り、次々に敵をなぎ倒していく彼女は、明るく思い切りのいい性格の持ち主。とある人物を探すために、従者のアベラルドひとりだけを連れて自国を飛び出し、お忍びの旅に出発した彼女は、その部分だけを切り取るとおてんばなお姫様のようだがそうではなく、自分の信じる道を貫く芯の強い人物である。そのまっすぐな人柄と、ビジュアルのかわいさも相まって、プレイヤーの中に数多くのファンが生まれることは間違いないだろう。


オーシディアス王国の王女、レティシア・オーシディアス

2人の主人公に負けない存在感と魅力を持った、サブキャラクターたちも本作を語るうえでは欠かせない。

レティシアの従者であるアベラルドは、レティシアに強い忠誠心を持つ騎士であり、また、彼女とともに育った幼なじみでもある青年。チャクラムを操る体術と、魔法のような力を操る理術の双方にすぐれているという文武両道の人物だ。


レティシアに仕える騎士、アベラルド・ベルグホルム

エレナは、レイモンドが艦長を務める輸送艦イーダスのクルー。
膨大な知識と冷静沈着なたたずまいから、クルーとレイモンドからの信頼が厚い。そんなエレナとレイモンドの交流は、本作の見どころのひとつであると言えるだろう。


輸送艦イーダスのクルー、エレナ

ニーナは、人を癒やす力「施療理術」を操る理術士の少女だ。
明るく天真爛漫で好奇心旺盛、ときに勢い余って失敗することもある彼女だが、その猪突猛進の行動力と患者のために尽力する強い意志は、周囲の人物たちの心を引き付ける。レティシアとはまた違ったタイプのかわいらしい容姿も手伝って、多くのファンが生まれそうな予感がするキャラクターだ。


「施療理術」を操る少女、ニーナ・デフォルジュ

総じて「スターオーシャン6」には、素直に心から好感が持てる“いいキャラクター”たちが数多く登場するといった印象を受けた。ゲーム、特にRPGは、どんなに世界観やストーリー、グラフィック表現やバトルシステムがよくとも、キャラクターにうまくハマれないと、先に進めていくための意欲が湧きにくいものだ。そういった意味では、プレイヤーのモチベーションを掻き立てるに十分な魅力を備えたキャラクターたちが「スターオーシャン6」にはそろっていると言うことができるだろうと筆者は感じた。


簡単操作の爽快バトル!「VA」を用いた空中からの突撃はクセになること間違いなし!


またしても、シリーズ初心者の聞きかじりの知識で恐縮だが、スターオーシャンの大きな特色のひとつに、「簡単操作で楽しめる爽快なバトルシステム」があるという。というわけで本項では、バトルを中心に、本作のゲーム的なシステムとその面白さについて紹介をしていこう。


本作のバトルは、いわゆるコマンド選択式のものではなく、アクションバトルが採用されている。そしてそのアクションバトルは基本的に、シームレスバトルとなっている。これは、フィールド上でモンスターとエンカウントした際に画面の切り替えが発生することなく、そのままバトルへ移行するというものだ。もちろん、バトルが終わればまたローディングを挟むことなくフィールドへとシームレスに移行する。フィールドとバトル画面が一体化したこのシステムは、強い爽快感と高い没入感が同時に得られるものとなっている。



バトルは、□△○ボタン(プレイステーション版)に設定されたスキルを駆使することで敵と戦う。どのボタンに何を割り当てるかは、「リンクコンボ」というシステムによって自分で設定することが可能だ。

リンクコンボに設定された行動はボタンを押すたびに順に実行されるため、うまくバトルスキルを設定することで効率よく連続攻撃を放つことができる。自分だけのオリジナルコンボを試行錯誤するこの感覚は、格闘アクションゲームのようなプレイ感もあり面白い。また、リンクコンボにはスキル以外に、アイテムの使用を割り当てることも可能となっている。リンクコンボに設定することで通常よりも早くアイテムの効果を発動できるため、有効活用することが攻略の鍵となりそうだ。



しかし、実はスキルは無制限に使えるわけではない。スキルの使用には「AP」というポイントが必要となっているのだ。そのため、スキルを無計画に連続使用するとAPが底をつき、攻撃などができなくなってしまう。APは時間経過で自然回復するほか、バトル中に特定の条件を満たすことで最大APが増加や減少することもある。スキルによって消費APが異なるため、リンクコンボを設定する際には各スキルの消費APにも気を配らなければならない。このAPの管理によって、アクションバトルに適度な制限を加えるとともに、プレイヤーにほどよい緊張感を与える絶妙なスパイス的役割になっているように筆者は感じた。



本作は、仲間キャラクターの中から最大4人を選んでパーティーを編成することができる。バトル中では、操作キャラクター以外のパーティーメンバーは自動で行動をしてくれるのだが、ボタンひとつで操作キャラをリアルタイムに切り替えることができる仕組みになっている。これを利用することで、たとえば回復やバフが可能なキャラに操作を切り替えてピンチのメンバーのサポートに回ったり、攻撃力の高いキャラに切り替えてトドメを刺しにいったりといったプレイが可能だ。このパーティー切り替えシステムの存在によって、バトルの戦略性に深みが増しているように思う。



ここまで紹介した要素だけでもバトルシステムは十分に完成されており、その面白さは保証されているのだが、実は本作のバトルには、さらに大幅に魅力をアップする要素が存在する。それは「DUMA(デュマ)から得られる能力、「VA」こと「Vanguard Assault(ヴァンガードアサルト)」

DUMAは、物語を進めていくと出会う謎多き機械生命体だ。
操作キャラクターは、このDUMAによって特殊な能力を付与されることとなる。まずバトル中にR1ボタンを押すと、敵の攻撃を防ぐシールドが展開されるとともに空中に浮かび上がる。この状態でボタンを離すと、前方の敵に向かって高速で突進攻撃を放つことができる。このスピード感が、正直、クセになるほど気持ちいい。しかも、先述のとおり本作はシームレスバトルとなっているため、たとえばフィールド上で敵を見かけたら空中に浮かび上がり、突進を繰り出して一気に間合いを詰めた状態でバトルを仕掛けることも可能なのだ。



さらに、VAによる突進攻撃の最中には、スティックを入力することで急旋回もできる。これを活用し、自分にヘイトを向けている敵の視界から高速で抜け出すと、敵がこちらを見失う「ブラインドサイド」が発生。ブラインドサイド中には、敵の動きが停止したり、与えられるダメージ量が増加したりといったボーナスが発生し、戦闘を有利に進めることが可能となるため、積極的に狙っていきたいところだ。しかも、ブラインドサイドを成功させた状態で敵に攻撃を与えれば、スキルの使用に必要な「AP」の上限値を上昇させることまでできてしまうと、まさによいことずくめ。まさに「VAを制する者がバトルを制す」と言えるほど、重要なアクションとなっているのだ。

文章による説明だけでは、操作方法や発生条件が難しそうに感じられてしまうかもしれないが(事実、筆者も本システムに関する説明テキストがゲーム中に初めて表示された際は、何度も繰り返し読み直してしまった)、実際にやってみると、思っているよりもはるかに簡単かつ直感的な操作で、気持ちよくVAを繰り出すことができる印象だった。空中からの突撃攻撃、そして突撃からのブラインドサイドという、この一連の爽快感あふれるアクションは、ぜひ実際にプレイして体験していただきたい。



ここまで、主にバトル中のシステムについて紹介したが、「装備」や「スキルツリー」といった、RPGとしてはおなじみの要素もしっかりと存在している。筆者は特に、何を強化するかじっくり考えることを楽しめるスキルツリーシステムが大好物なのだが、本作のスキルツリーはキャラクターごとに違う形のものが用意されており、たっぷりと育成が楽しめるため、かなり好印象だった。

バトルスキルを解放してリンクコンボを強化するか、パッシブスキルを解放してバトルを有利に進めていくか、それとも攻撃力や体力などの各ステータスの上昇を解放して堅実に強化を施すか……。レベルが上ってスキル解放のためのポイントを獲得するたびに、スキルツリー画面を開いて悩ましくも楽しい時間を過ごすことができた。RPGにおいて育成要素が好きな方ならば、きっと十分に満足できるだろうと思う。



ココがスゴい!「スターオーシャン6」の筆者的推しポイントを紹介


さて、ここからは、本作における「筆者的推しポイント」を紹介していこう。

1,シームレスバトルと「VA」による圧倒的なテンポのよさと爽快感


RPGに限らずゲームを遊ぶうえで、「テンポのよさ」は重要な要素である。どんなに物語がよくとも、バトルが面白くとも、テンポが悪ければストレスが蓄積されていき、ゲームを投げ出してしまうといったこともありえる。逆に言えば、ゲームに心から没頭できるかどうかは、テンポにかかっていると言っても過言ではないかもしれない。

結論から言えば、本作「スターオーシャン6」は、ゲーム全編に渡ってとにかくテンポがいい。フィールド探索からバトルへの移行にローディングが入らないシームレスバトルがテンポのよさにひと役買っていることは言わずもがなだが、バトルの紹介でとりあげた、空中に浮かんで突進を繰り出す「VA」も、本作のテンポのよさに拍車をかけているのだ。

というのも、実は「VA」はバトル中だけでなく、広大なマップでの移動の際にも使うことができるのである。



本作はオープンワールドではないものの、フィールドもしかり、街もしかり、とにかく広大なマップが用意されている。「広い世界を自分の足で冒険している」というワクワク感が味わえるのはよいのだが、広大なフィールドの移動は、ともすればゲームのテンポを失ってしまう恐れもあるだろう。

そこで生きてくるのが「VA」だ。フィールドではそういったことを気にすることなく、何度でもVAを使って空中移動を行うことができるのだ。しかも、各地に点在するNPCが暮らす街の中でもVAで空中移動を使うことができる。これにより、長い階段をショートカットしたり、民家の屋根の上に乗ってみたりと、さまざまなことが可能となる。



しかも街やフィールドには、「ここでVAによる空中移動をしてみてください」と言わんばかりに、通常では行くことができない場所にアイテムが置かれていることも多々ある。つまり、3Dアクションゲーム的な探索の楽しさも、本作には詰め込まれているというわけだ。バトルはもちろん、フィールドの移動や探索でも、VAは欠かせない存在となることは間違いない。むしろ、欠かせないものになりすぎて、別の3Dタイプのゲームをプレイするような際にも、ついついVAを発動しようとR1ボタンを押してしまうかもしれない。


2,2人の主人公による異なるゲームプレイを楽しめる「ダブルヒーローシステム」

キャラクター紹介の項でサラッと触れたが、本作には、レイモンドとレティシアという2人の主人公が存在する。そして、ゲーム開始時に2人の主人公のうちからひとりを選択する「ダブルヒーローシステム」が採用されている。これは、よくよく考えたら(いや、よく考えずとも)すさまじいことである。

そもそも、本作のゲームとしてのボリュームは多い分類に入る。ストーリーのボリュームはもちろん、育成要素、探索要素、やりこみ要素、さらには宇宙で大ブームとなっているゲーム内ミニゲーム「ソーア」の存在など、とにかくやれることが多い。



そんな、ただでさえボリュームたっぷりな本作が、2人の主人公を選んでプレイできるダブルヒーローシステムによって、単純に2倍のボリュームとなっているのだ。誰を主人公に選んだかによって、視点が異なるイベントシーンが見られることはもちろん、仲間となるキャラクターも変化する。さらに、選択した主人公によってバトル中の楽曲まで変わるというので驚きだ。こんなに変化する要素があるのだから、最低でも2周は遊ばないともったいない。

ひと通りクリアしたあとに別の主人公を選んで再度遊んでみるもよし、「レイモンドのデータでここまで進めたから、次はレティシアのデータで同じところまで……」というように2人の主人公のセーブデータを足並みふまえて進めていくもよし。ちなみに筆者は後者のパターンで、レティシアでゲームを始めたものの、物語を進めていくうちにレイモンドという人物についてもっと知りたくなってしまい、レイモンドでもゲームをスタートするに至った。物語と世界観をより深く理解しながら進めるために、この遊び方もオススメである。



「スターオーシャン6」は、シリーズのファンはもちろん、シリーズに初めて触れる方の「入門編」にも最適!



というわけで、「スターオーシャン6」の先行プレイレビューをお届けした。


誤解を恐れず正直に言えば、筆者はファンタジーRPGよりも現代を舞台にしたRPGを好む傾向にある。そのため、これまでファンタジーRPGはなんとなく避けがちであった。しかし、本作「スターオーシャン6」は、そんな筆者でもツボにハマる面白さにあふれていた。それは、壮大な物語や魅力的なキャラクターの存在はもちろん、ゲーム全体を包み込むテンポのよさと、爽快感バツグンでやみつきになるバトルによるところが大きい。正直、筆者はRPGで、こんなにフィールドにいるエネミーと「もっと戦いたい!」と感じたことはなかったかもしれない。

筆者と同じくスターオーシャンシリーズに触れたことがないという方はもちろん、SFやファンタジー的な世界観に「うまくハマるか不安……」という方にもぜひ、遊んでほしいタイトルである。きっと、ゲームをスタートして10分もたたないうちに、「スターオーシャン6」の世界にのめり込んでしまうことだろう。

  • タイトル情報
  • 発売日:2022年10月27日 ※Steamは10月28日
  • 対応機種:PS4/PS5/XboxOne/Xbox Series X|S/Steam
  • ジャンル:RPG
  • プレイ人数:1 人
  • CERO:B
  • 価格:パッケージ版・ダウンロード版:8,778円(税込)
  • 公式サイト:#
筆者:百壁ネロ
ゲーム買いすぎちゃう系フリーライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)、「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社)など。
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