「英雄伝説 黎の軌跡II -CRIMSON SiN-」は、やめるタイミングが見つからない! ジェットコースターな「軌跡」シリーズ最新作レビュー【体験版配信開始】
日本ファルコムが手がける人気の大長編RPG「軌跡」シリーズ最新作「英雄伝説 黎の軌跡II -CRIMSON SiN-」が発売されて、およそ1か月。多くの方が、本作を堪能しているのではないだろうか?
しかし、まだまだ本作を知らない。触れていない! という方のために、そして、体験版も配信されたことだし、今から始めてみようかな~……という皆さんに、この改めて本作の魅力をご紹介しよう!
「軌跡」シリーズは、2004年に発売された第1作の「空の軌跡FC」(Windows版)から実に18年の長きにわたって12タイトルが展開、さらにさまざまなプラットフォームに移植もされている人気シリーズである。
本作は「導力」と呼ばれる科学と神秘のテクノロジーが融合した技術によって、ファンタジーな要素と、実在の現代社会に近い科学的な要素をあわせ持つゼムリア大陸を舞台に、さまざまな登場人物の活躍を描くシリーズであり、「英雄伝説 黎の軌跡II -CRIMSON SiN-」は2021年にリリースされた第11作「英雄伝説 黎の軌跡」から連なる直接の続編となる。
前作は、アクション要素の高いフィールドバトルや、選択肢によってストーリーが分岐するなど従来の「軌跡」シリーズにはない要素が多数盛り込まれた革命的タイトルだったが、その続編たる本作は、さらに大胆な変革が導入されたタイトルだ。
そのいっぽうで、ドラマとキャラクターの魅力は変わることなく、遊びごたえ十分な仕上がりとなっている。
過去作のキャラと新たな敵が入り乱れる、謎に満ちたストーリー!
まずはストーリーの紹介から。
カルバード共和国にて「アークライド解決事務所」を営む裏解決屋(スプリガン)のヴァン・アークライドは、数か月前に首都と自身に襲いかかった厄災を解決。その後、各スタッフは一時的に首都を離れたことから、再び気ままなひとり暮らしを謳歌していた……というところから物語は始まる。
かつての恋人にして、今は遊撃士として活躍するエレイン・オークレールとはつかず離れず、プライベートはともかく仕事のうえでは良好な関係を築いていた。
そんな平穏なある日のこと、首都のアンダーグラウンドではマフィアや半グレといったアウトローたちが、何者かに惨殺されるという連続猟奇殺人事件が発生していた。その現場では、必ず「赤い妖精」と「異形の怪物」に姿を変えた謎の男がいた……ということから、かつて青い妖精・メアと魔装鬼「グレンデル」に変身していたヴァンが重要参考人としてターゲットされている、と語るエレイン。
そこで、さっそくヴァンはエレインとともに捜査を開始する。
数々の捜査を積み重ね、ついに標的を発見した2人。しかし、あまりに強大な力を持つ「異形の化物」の前に、ヴァンとエレインは命を落としてしまう。
──しかし、次の瞬間、ヴァンの意識はターゲットの潜伏先に突入する直前へとまき戻っていた。
どうやらアニエスの持つ謎の導力器(オーブメント)「ゲネシス」が何らかの力を発動したようだが……。
今度はアニエスと、悪友にしてCID(中央情報局)補佐官のルネ・キンケイドをメンバーに加え、準備を万端にして再アタックするヴァンたち。
最終局面でヴァンたちとターゲットの戦いに参戦したのは、元・新生帝国解放戦線のスウィン・アーベルとナーディア・レインだった。
強力な助っ人のサポートもあり、今度は無事生還する一同。とはいえ「異形の怪物」に変身する謎の男と赤い妖精は取り逃がしてしまう。
ひとまず殺人事件の被害拡大は食い止めたものの、今回の一連の出来事はかつてヴァンたちが壊滅させた犯罪組織「アルマータ」が関係しているのではないか……。そう推測したヴァンは、「アルマータの遺産」と呼ばれる事件の鍵を握る存在を探すべく、活動を開始するのだった。
このようにのっけから情報が盛りだくさん。かつ衝撃の展開が繰り広げられる本作。
しかし、前作までをプレイしていた方なら、すでに関係値が積み上がっているキャラクターたちのかけあいの小気味よさや、かつての強敵の遺したものが事件の裏に潜んでいるというスリリングなストーリー、そして、自分と同じ姿をした強敵の出現という変身ヒーローものの定番にして、王道の燃え展開にテンションが上がること間違いなし!
さらに本作では、前作には登場しなかった街や、新たな街区、施設も大量に追加されている。どの場所も広大かつバラエティに富んでいるので、ちょっとした旅行気分を味わえるのではないだろうか。
↑前作「黎の軌跡」では名前だけ出てきた映画祭の都市・メッセルダムも舞台に
↑首都のランドマーク・トリオンタワーにも足を運ぶこともできる
↑今回はリゾート地で休暇を楽しむこともできる。誰と過ごすかはプレイヤー次第
前々作「創の軌跡」に登場し、「その後」が気になっていたファンも多いであろうスウィンとナーディアがメインキャラクターとして復活したのも嬉しいところ。今回、彼らは首都を離れたヴァンに代わって「裏解決屋代行」として活躍する。
「黎の軌跡」の続編としても、「軌跡」シリーズの1本としても、厚みのある物語が楽しめることだろう。
バッドエンドを回避せよ! 新要素「タイムリープ」を攻略!
壮大な物語を盛り上げる仕掛けも、本作ならではのポイントだ。
今回、大きなカギを握るのが「タイムリープ」という要素だ。本作にてヴァンたちが対峙する存在は正体不明かつ強大な力を持つ者たちである。状況によっては、あえなくキャラクターたちが力尽きてしまうこともある。
しかし、そのたびにアニエスの持つ「ゲネシス」が光を放ち、プレイヤーを運命の分岐点まで引き戻してくれるのである。
どんな行動をとればバッドエンドを回避できるのか……。正解のルートを見つけ出してほしい。
↑バッドエンド回避のために、正しい選択肢や攻略ルートを見つけよう
さまざまな視点で展開するストーリーも見どころだ。
本作はヴァン視点のストーリーとは別に、さまざまなキャラクターをメインに据えたストーリーも並行して展開する。
ヴァンたちが各地で事件を追っているいっぽう、別のキャラクターはこんなストーリーを展開していた……。という具合に多角的に物語を楽しむことができる。
それにしてもどのキャラクターをメインにしても、しっかりとした物語が展開されるのには驚きである。いかに「軌跡」シリーズのキャラクターたちが「立っているか」がうかがえるというものだ。
いつでも好きなキャラと冒険できる「お伽の庭城(メルヒェン・ガルテン)」!
本作におけるもうひとつの大きな要素が「お伽の庭城(メルヒェン・ガルテン)」だ。
これはざっくり言うと、本当にその場にいるような体験ができる仮想空間である。ザイファの新機能のひとつで、庭城内での経験がそのまま現実にフィードバックされるという超技術の産物である。
この仮想空間に構築された「お伽の庭城」が何者かに乗っ取られてしまったということで、ヴァンたちはこの仮想空間の最奥まで探索することになる。空間内にはダンジョンがいくつも用意されているので、ネットワークに接続した仲間とともに攻略することになる。
「庭城」では、バトルに参加できるキャラクターを自由に組み合わせてパーティーを組むことができる。物語上はからむことのないキャラクターでも組み合わせが可能で、「創の軌跡」における「夢幻回廊」のようなものと考えていただきたい。
このモードではダンジョン探索のほかに、現実のフィールドや庭城内で入手した「シャードトークン」を消費してここでしか手に入らないアイテムを入手したり、各キャラクターのクラフトを強化したりと、やれることが多い。
↑シャードトークンをぶつけて、ミスティックキューブを解析! 画面が派手に光ると、レアアイテムGETのチャンス到来だ!
「庭城」攻略自体は、メインストーリーの合間にいつでもできる形となっている。何度も同じダンジョンに挑戦できるので、レベルが低いキャラクターをここで鍛えることも可能。うまく活用して、攻略に役立てよう。
冒険を盛り上げる新アクションの数々をチェック!
ここからは本作から追加された新アクションを紹介しよう。
フィールド上では移動やフィールドバトルを行い、状況に応じてコマンドバトルに移行する……という基本的な流れは前作を踏襲しているが、各シチュエーションで「できるアクション」「やるべきアクション」がより多彩になっている。それらをマスターすれば、より快適に、かつスリリングなプレイが楽しめるはずだ。
・裏解決屋ならではのアクションが増加!
さまざまな事件を解決する裏解決屋だが、前作では基本的に「聞き込み」「探索」「標的とのバトル」「選択肢」あたりを組み合わせて各イベントを解決していった。
しかし、本作ではそこに加えて「尾行」「シャードサーチによる探知」が加わった。
↑「尾行」時は、ターゲットに見つからないように行動すべし。警戒心が強い相手だと後ろを振り返って様子をうかがうことも
「尾行」は、その通り標的に見つからないように追跡することだ。相手とつかず離れず、そのうえ気づかれないように追いかけよう。画面下には相手の警戒心がわかる「Found」ゲージと、相手が視界から消えると上昇する「Lost」ゲージが表示されるので、両ゲージのバランスを取りつつ行動すべし。
時には物陰に隠れて様子をうかがうことも必要だ。
↑「シャードサーチ」を使うと、このようにターゲットの足跡を特定することも可能に!
「シャードサーチによる探知」は携帯端末「ザイファ」の新機能で、目には見えない情報を可視化することができるすごい技術だ。これを使うことで、特定の足跡や目には見えない証拠を浮かび上がらせてヒントを得ることができるようになる。
この探知機能を活用すれば、フィールドに隠れているアイテムなどをサーチすることができるので、歩きながらサーチし続けるのもアリだろう。
↑街の中には、「お伽の庭城」にアクセスできる「ポータル」が隠れている。これもシャードサーチで発見できる
↑フィールドのいたるところに、シャードトークンが隠れている。ゲームを有利に進めるうえで重要なアイテムなので、R3ボタンを押しまくってサーチして回ろう
・フィールドバトルのアクションが充実!
前作では「攻撃」「回避」「チャージアタック」でアクションRPG的な戦闘を楽しむことができたが、本作ではさらに「クイックアーツ」「クロスチャージ」という新アクションが追加された。
↑「クイックアーツ」で発動するアーツは、メニュー画面で選ぶことができる
「クイックアーツ」は、通常の物理攻撃に対し、フィールド上で発動させるアーツ(魔法のようなもの)である。通常のコマンドバトルと同じく「クイックアーツ」にも属性が存在するので、敵によってキャラクターを切り替えて弱点となる属性の「クイックアーツ」を発動させるべし!
「クロスチャージ」は、フィールドバトル中に敵の攻撃をジャスト回避した時に△ボタンを押すと発動。別のパーティーメンバーに操作が切り替わり、強化されたチャージアタックが発動するうえに、一定時間通常よりも攻撃力が高い状態になる。これをうまく使えば、素早く敵をスタン状態にすることができるようになる。
これは常に狙っていきたいアクションだ。
↑攻撃力が上昇しているキャラは、黄色く輝く
・実はコスパ最高なEXチェイン
コマンドバトル時に、仲間とスクラムを組んでいる状態でスタン状態の敵を通常攻撃、またはクラフト(キャラ固有の特殊攻撃)で攻撃すると発動する新アクション。
タッグ攻撃を仕掛け、ターゲットの周辺も巻き込んだ大ダメージを与えることができる。
今回も各キャラ固有の強力な必殺技「Sクラフト」が存在しているが、こちらはブーストゲージを2つ消費して発動するのに対し、EXチェインの消費ブーストゲージはひとつ。おまけに通常ダメージよりもはるかに高いダメージを出すことができるので、状況によってはSクラフトよりも効率よく敵の体力を削ることができる。
これも積極的に狙っていきたい攻撃である。
↑2人同時に攻撃を仕掛ける演出がカッコイイ!
ミニゲームも充実で、休む間もなくゲームを楽しめる!
以上、新要素を中心に本作の魅力を紹介してきたが、従来通りの「軌跡」シリーズらしさもしっかり継承している。
キャラクターの意外な素顔が覗けるショートシナリオが楽しめる「コネクト」。ステータスを自在にカスタマイズできる「オーブメント」システム。外見を自由にアレンジできる着せ替えシステム。困った人の事件を解決するクエスト「4spg」。モブキャラクター1人ひとりにも用意された膨大なテキストなどは、シリーズファンも「やっぱりこれだね!」と納得することだろう。
↑「軌跡」シリーズといえば釣り! 「シャードサーチ」を使えば、おススメの釣りスポットも見つけられる
さらに、ミニゲームも充実しており、シリーズの定番「釣り」が復活しているほか、1on1のバスケ勝負、新カードゲーム「セブンハーツ」も追加された。
また、「軌跡」シリーズでは主にレンなど導力ネットに通じているキャラクターが行っているハッキング行為だが、本作では特定の宝箱を解除する際に、メアを操作してハッキングを行うモードも存在する。
一定時間内にダンジョンを攻略する、という形でハッキングを疑似的に再現。ゴールに到達することで導力ロックを解除するという流れになっており、障害物の動きや的確なルートを見つけなければほぼクリアは不可能! 何度もチャレンジできるので、あきらめずにトライしてほしい。
↑4人対戦カードゲームの「セブンハーツ」。ちょっと癖のあるルールだが、慣れるとスピーディーな展開が楽しめる
↑サイバー空間を探索するハッキング。意外と骨のあるミニゲームとなっている
以上、読んでいただければお分かりかと思うが、とにかく本作はやることが盛りだくさんなのである。RPGによくある「次に何をしたらいいのかわからない」という状況は、本作においては全く当てはまらない。常に何かやることがあり、「次になにをすべきか」と迷子になることもない。
ストーリーを進行させていけばさまざまなイベントが待ち受けているし、フィールドに散りばめられたさまざまな要素を消化していくうちに、いつしかストーリーも進んでいく……。そんな具合に、ありとあらゆる要素がシームレスにつながり、プレイヤーをどんどん先へと引っ張っていってくれるのである。
このジェットコースター感、盛大なおもてなし感は、「軌跡」シリーズ史上最大かもしれない。
日本特有の、ストーリーを重視したRPGは、「JRPG」という独自のジャンルを形成しているが、本作はある意味その路線の最先端と言えるのではないだろうか。前作「黎の軌跡」のレビューでも同様の感想を述べた気もするが、「黎の軌跡II」は間違いなくその「最先端」を更新した感がある。
ここまでレビューを読まれて、「でも、今まで『軌跡』シリーズに触れたことがないからなあ……」という方もご安心を。そんな方のために、「黎の軌跡」のダイジェストストーリーを本編開始前に鑑賞できたり、さまざまな設定資料をチェックできる機能が用意されているので、いきなり本作から始めても十分に楽しめるはずだ。
↑前作を遊んだ人にとっても、ストーリーを復習できるダイジェストはありがたい!
また、キャラクターの外見をカスタマイズできるDLCが続々と配信されたり、「電撃ツイッターマガジン」ではアニエスを主役に据えたコミカライズが配信されたり、ラジオ番組「黎の軌跡 presents ヴァンさん、ラジオの時間ですよ!」(文化放送)が放送されていたりと、ゲーム周辺の企画も多数展開している。
このように、ゲームを中心にさまざまな楽しみ方ができる「英雄伝説 黎の軌跡II -CRIMSON SiN-」は、11月15日より序盤をそのままプレイできる体験版の配信がスタートした。体験版で育てたキャラは、そのまま製品版に引き継ぐことができるので、ぜひこの機会にチェックしていただきたい。
また、
【ゲーム情報】
■英雄伝説 黎の軌跡II -CRIMSON SiN-
対応機種:PS5/PS4
発売日:2022年9月29日
ジャンル:ストーリーRPG
価格:通常版:8,580円(税込)、Limited Edition:11,000円(税込)、ダウンロード通常版:8,250円(税込)、ダウンロードデジタルデラックス版:11,000円(税込)
メーカー:日本ファルコム
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