「かぐや様」新作は応援したくなる95分！ 「かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-」古賀葵×小原好美×富田美憂インタビュー前編

TV放送に先駆けて2022年12月17日（土）より特別上映される、アニメ「かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-」。

原作は「週刊ヤングジャンプ」で先日最終回を迎えた大人気ラブコメ漫画「かぐや様は告らせたい～天才たちの恋愛頭脳戦～」（原作：赤坂アカ／以下、「かぐや様」）。エリート校である秀知院学園を舞台に、生徒会長・白銀御行と副会長・四宮かぐやによる恋愛頭脳戦が繰り広げられる。2022年4月から放送されたTVアニメ第3期「かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-」の‟その後”を描くのが、今回の「かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-」だ。

その上映に先立ち、アキバ総研では生徒会メンバーの女性陣を演じる古賀葵さん（四宮かぐや役）、小原好美さん（藤原千花役）、富田美憂さん（伊井野ミコ役）に作品の見どころや共演者のことなど、いろいろとお話をうかがった。

第3期のウルトラロマンティックを経たからこその見どころは？

――第3期はタイトル通り本当にロマンティックでしたよね。まずはその感想からお聞かせください。

古賀　やっぱり最後のあのシーンをアニメで見られたのがすごく嬉しいです。自分としてもいろいろな思いを持って挑んだので感慨深いですね。「かぐや、本当にがんばってきてよかったね」「みんなに出会えてよかったね」って気持ちでいっぱいになりました。かぐやと会長のストーリーがちょっと進みましたし、1年生ズ（石上優、伊井野ミコ）もおや？っと先の気になるところがありましたけど、本当にみんなでここまで駆け抜けられてよかったです。

小原　役者としては純粋にここまでできる嬉しさがありましたし、役のことで言えば、かぐやと会長がやっとここまで来たのかという思いをダイレクトに感じていました。それに、原作の赤坂先生が以前、「ここをアニメとして見られたら嬉しい」とおっしゃっていたんです。お話をうかがった当時は、まさか時計塔のシーンまでできるとは思っていなかったので、私たちもそうですけど、赤坂先生の夢がかなった瞬間でもあるんです。原作ファンの皆さんから「やっとあのシーンを見られた」というご感想をたくさんいただきましたので、“みんなの夢”がかなった瞬間だったんだなと感じました。

富田　私も素直にここまで映像として見られたこと、皆さんに見ていただけたことが幸せですね。どのキャラクターも最初の頃と比べて学生なりに成長していて、第3期の最終回はその成長のひと区切りになったと思うんです。だから、いまだに家のテレビで録画した最終回は消せないんですよ。私の声優人生の中でも、ウルトラロマンティックなあの最終回は忘れられないお話になりました。

ミコ的には、第3期では文化祭の実行委員として、キャンプファイヤー実施にむけて学校の周辺の方々に頭を下げて回るとか、すごくがんばっていました。ミコの努力に見合った結果が最終回で見られてすごく嬉しかったですね。

――そんな第3期のその後を描くのが、今回の「かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-」です。それぞれのキャラクター目線での見どころや、ご自身が注目しているところはどこでしょうか？

古賀　かぐやからしたら、第3期を経て「さぁ、ここからどうするの？ 会長と向き合っていかなきゃ！」ってところがありますよね。今回の新作ではその覚悟がよく描かれていますので、ぜひかぐやの想いに注目して観てもらいたいです。かぐやとしての理想、私はこういう風にさらけ出したい、向き合いたいという気持ちと、会長が思う2人のあり方――そんな2人の思いがどうやって合わさっていくのか。かぐやもすごく葛藤しますが、会長の心情にもグッとくるところがたくさんあります。もし大切な人や向き合いたい人がいるなら、その人のことを考えながら観ていただくと、また思いがつのるんじゃないかなと思いますね。

それに、これまで見せていなかった表情とか、かぐやのいろいろな表情も見られます。自分なりにすごく挑戦した部分でもありますので、そういったところもぜひ観てもらいたいです。

小原　私は藤原としてこの作品に携わっている以上、やっぱり一番見てしまうのはかぐやさんなんです。アフレコも古賀葵ちゃんとはほぼ一緒だったこともあって、どうしても追いかけてしまうというか。演じている姿と映像のかぐやの表情が一緒だったり、動きがちょっとリンクしていたりする時もあって、自分自身の葛藤からもがいているシーンとかは彼女が演じるからこそ出てくる魅力がギュッと詰まっています。まだまだ成長しきれていないかぐやが、どう自分の心を変えていくのか、会長に変えてもらうのか。そこはやっぱり見てもらいたいですね。あと、“かぐやちゃん”がかわいいです！

富田　かわいい〜！

小原　よく知っているからこそ言うんですけど、“かぐやちゃん”も古賀葵そっくりで（笑）。

古賀　違う！ 違うよ！！（笑）

小原　癒されるな〜って思いました。本当に今回はいろいろなかぐやの表情が見られるので、一番の見どころはそこかなと思います。

古賀　（ぼそっと）ママ。

小原　本当にそっくりですね。かぐやちゃんと古賀葵（笑）。

――富田さんはいかがでしょうか？

富田　完成した映像の最初の30分を見させていただいたんですけど、ポロっと「あおさんすごい……」って言葉が出てしまいました。本当にあおさん（古賀葵さん）は素晴らしいお芝居をされるなぁと思ったので、あおさんの演じ分けはとても見どころですね。それに、第3期の「ウルトラロマンティック」を経て、かぐやと白銀がこの先どうするのか。その動きもやっぱり見どころだと思うので、ぜひ皆さんもいい意味で振り回されながら見ていただきたいです。

私は今回、会長とかぐやをちょっと引いたところから演者目線としても見られた気がしています。第2期、第3期でだーっと突っ走って来たところから、古川さん（白銀御行役の古川慎さん）とあおさん（古賀さん）を客観的に見られた感じがすごくありました。

成長した2人を応援したい気持ちです

――第3期であんなロマンティックなラストがあれば、普通ならもう2人は恋人になりそうですけど、そうならないのが「かぐや様」の面白さでもあると思いますが、3人は今回のかぐやと会長のことをどういう気持ちで見ていましたか？ もどかしいとか。

小原　2人がくっついてしまったら物語が終わってしまうので、「くっつかない！ よし！ 物語続く」みたいなのはありました（笑）。

富田　それはありますね（笑）。

古賀　（笑）。

小原　でも、今回は収録をしていて、ひたすらかぐやさんがもどかしいなと感じていました。見ているこっち側としては「いや、素直になって」って思うんですけど、一番苦しいのはかぐやさん本人だろうし、ひと言では片付かないいろいろな思いがあるんだろうなって。見ていると、それが愛おしさに変わるんですよね。会長も違った意味でどこか素直になれないというか、絶妙なバランスの2人がだんだんとかわいらしく見えてきて。最初の頃は簡単にくっつきそうだなと思っていたのに、今は「そのまま成長していってね（温かい眼差し）」って気持ちかもしれないです。

古賀　確かに。第1期の第1話が一番“頭脳戦”をしていて、後半からはバレバレな感じになりつつも意地の張り合いになっていたからね。そこからよくあそこまで行ったなって。

小原　手を繋いだ時、大拍手だったもん。

古賀　うわー！ 繋いどるやんけー!! って。

小原　いつ繋いだ!? どっちから？ みたいな。

富田　うふふふふ。

古賀　すごかったよね。あそこまでのウルトラロマンティックがあったらスッといきそうなんですけど、そこで改めて考え直しちゃうのがあの2人らしいなと思います。でも決着ついたようで、ついてねーぞって考え直してくれたおかげで新作が見られるは嬉しいところでもありますし……。２人はここからまたしっかりと本気で向き合うか！ となるんですけど、「向き合うか」となること自体すごく成長したなって思いますので、もどかしさはすごくありつつ応援したい気持ちですね。

富田　2人のもどかしさは、第2期の体育倉庫の時からありましたね。

古賀　そうなの！ 目を閉じたらね（興奮気味）。

富田　私的には「いやもう早くしちゃえ！」みたいな気持ちがあったんですけど、ミコ的には「クズめ」って言わなきゃいけないから、気持ちをリセットしなきゃいけなくて、感情ジェットコースターにされる部分がありました。これが噂に聞く「かぐや様」か！ と感じましたね。

でもやっぱり、あおさんも言っていたように、第3期から今回にかけては客観的に見て「がんばれ！ がんばれ！」って応援したくなるようなもどかしさがすごく出ているので、皆さんにも映画館の（人に見られない）暗い空間でいろいろな顔になってほしいです。顔をくちゃくちゃにして帰ってもらえる2時間になっていると思いますので。

小原　うんうん。

左より富田美憂さん、古賀葵さん、小原好美さん

後編では女性陣に、白銀会長──もとい、古川慎さんについて大いに語っていただきました！ 乞うご期待！

（取材・文・撮影／千葉研一）