【新作プラモレビュー】「戦闘メカ ザブングル」のアイアンギアーが、ハセガワの艦船モデルで登場! お手軽ウェザリングでリアルに仕上げよう
社会人ともなると忙しい毎日の中で積みプラが増えてしまいがち……。そんなあなたに代わって、ロボット&プラモデル大好き声優の泰勇気がプラモデル製作に挑戦するのが、この連載!
コンセプトは「忙しい社会人でも、週末の休みを使えばここまでできちゃうよ」。ルールは素組みで、1~2日の制作期間の2点のみ! この連載を読めば、きっとあなたの作ってみたいプラモデルと出会えるはずだ。
というわけで、「声優・泰勇気の週末プラモ!」第64回スタート!
声優・泰勇気の週末プラモ!第64回 「戦闘メカ ザブングル」アイアンギアー
老舗模型メーカーのひとつでもあるハセガワより、TVアニメ「戦闘メカ ザブングル」に登場した人気の大型ランドシップ「アイアンギアー」が、まさかのプラキット化!
「老舗メーカーのキットって難しそう……」と思っている、そこのアナタ! このキットはそんなイメージを、ブルーゲイルで吹き飛ばしてしまうほど、お手軽に楽しめてしまう驚きのキットとなっております!
正直に言いますと僕も「飛行機のハセガワ」というイメージゆえ(もちろん艦船やAFVも発売しています)、難しかったらどうしようかと思っていたのですが、まったくの杞憂でした!
実はこれまでに「電脳戦機バーチャロン」「超時空要塞マクロス」などのキャラクターキットがシリーズ化され、最近では「ダーティペア」のラブリーエンゼルもキット化したりと、実はキャラクターものをいろいろと展開されているハセガワさん。そのあたりの勘どころは、バッチリです。
パッケージ画像
なお今回レビューさせていただいたキットは、製品版に近い「テストショット(試作品)」なので、念のため「製品とは細部が異なる場合がございます」と謳わせていただきます。また、製品版に付属する「水転写式デカール」の貼り付けもなしということでご容赦ください。が、記事をご覧いただくと「え? どこにデカールが必要だろう?」と思うくらい、パーツ分割による色分けもしっかりしております。
デカール画像
では、さっそくランナーから見ていきましょう。
パーツのひとつひとつが大きめで、これを見てまず安心しました。この画像から見ても、どれがどこのパーツかおわかりになるのではないでしょうか。
というわけで、さっそく素組み状態をお目にかけましょう。
ジャン。いかがでしょう。
無塗装、デカールを貼らずしてこの出来栄え。変形メカであることも踏まえた形状となっており、「艦」としてのアレンジを加えるということもあえて行わず、あくまでTVアニメに登場したランドシップを実直に模型にした、そんな印象を受けました。
色分けに関しても、「これ以上どこを塗装でフォローすれば!?」と思ってしまうほどです。
後方から。
後でくわしく紹介しますが、後部のウイングの可動部のディテールなどにも、「らしさ」を持たせたディテールとなっております。
前後をぱっと見た段階で、パーツ同士の継ぎ目をほとんど見つけられないのも驚きです。
艦首をなめてブリッジを見たときのこの巨大感。
艦首200mm連装砲の砲口には、くぼみのディテールが入っています。艦船モデルとしてもこれはうれしいポイント! ピンバイスを使って自分で彫らないといけないとなると、中心がずれたりフチが欠けたりしてしまうこともありますからね。
艦首両サイドのジェットノズルの内側にも、しっかりディテールが入っています。
ウォーカーマシン(以下、WM)形態における膝周りの色分けは、パーツ分割による再現。オレンジイエローのパーツも高い精度で収まります。
そのほかの主なディテールも、設定画に忠実に再現されています。
特徴的な円形の甲板は、変形ギミックを想像させる分割線が、あえてはっきりと見て取れるようになっています。
76mm連装対艦速射砲もしっかり設置。オレンジイエローの部分はもちろん別パーツ。
変形甲板には、三連遅燃性高熱散榴弾砲(ポタン砲)が選択式で設置可能。マニアックな武装ですが、劇中のインパクトがあったので覚えている方も少なくはない装備でしょう。
WM形態時の胸部にあたる格納庫部分。これまでに発売された一部の玩具では、ここを一度取り外して変形させる機構になっていたりしますが、今回のキットではこのタラップのようなパーツで繋がっている表現になっています。
窓の部分はクリアパーツ。オレンジイエローのパーツは別パーツ。きつくもゆるくもなく、しっかりと組み付けられています。
格納庫のハッチは開閉可能。
内側はご覧の通りです。
大型WMとしての機能も備えているため、実は格納庫は狭いんですよね。
ブリッジのアップ。
窓はクリアパーツ。それ以外の部分も、パーツ分割だけでここまで色分けが再現されています。今回のご紹介を見送った水転写式デカールは主にこのブリッジ付近に集中しており、たとえばWM形態における頬の部分の黄色のラインなどがデカールで再現できるようになっております。
でも、このままでも十分に納得のいく完成度ではないでしょうか?
横から見たところ。本当は首の部分にパーツの分割線がきているはずなのですが、ほとんど見えないほどの精度で、ディテールとして見ても成立する角度のラインになっているので本当に気になりません。
ブリッジ形状も変につぶれたりすることなく、艦体との大きさのバランスもよく再現されています。
40mm連装対WM機関砲周辺。WM形態における肩の部分で、上下分割となっているのですが、砲塔でほとんど覆われるので合わせ目は目立ちません。
ランドシップ形態では格納されている手首パーツも、ちゃんと再現されています。
このキットにおいて、僕がほんの数か所見つけることのできたパーツの合わせ目は、WM形態時の前腕にあたるこの斜めの面の部分のみです。
それでも、合わせ目の生じる角っこの隣の角っこはご覧の通り、合わせ目なし!
両サイドの筒状のジェットエンジン部分も複数の層で構成されており、中を覗き込んだ時にもぬかりなくディテールが見えます。
艦体後部も同様。中央2基のノズルに、ちゃんとディテールが入っています。このあたりはさすが「飛行機のハセガワ」と言わしめる部分かなと思いました。
背部ウイングの可動部。WM形態では、ここが折りたたまれます。シンプルでありながらもそれらしさのある造形となっています。見ただけで機能が想像できるくらいの形状になっているところが素晴らしい。
格納庫前のタラップのような部分は、あまり印象にないのですが、もしかしたら、ここは今回のキットの数少ないアレンジ部分かもしれません。甲板側にはそのタラップが収まりそうな凹みがあります。このほんの数ミリの凹みだけでタラップがそこに収まるのだろうなと想像できてしまう……。芸が細かいです。
WM形態時の膝裏にあたる部分も穴が開いているわけではなく、ご覧のようにそれらしいディテールに見える板でふさがれています。
引き続き、艦の下側も見てみましょう。
WM形態時に艦首部分が収まる部分には空間が用意されており、その奥にもそれらしいメカのディテールが刻印されています。また左右の脚部をつないでいるブロック状のパーツは、今回のキットのアレンジですね。アニメ準拠に近づけるのであればこのブロックは取り外しても構わないかもしれません。
WM形態時の太もも部分。アイアンギアーはホバー艦のため、ホバーファンのようなディテールが施されています。
甲板の真下から、分割されている太ももの後ろ側あたり。
WM形態への変形時には、甲板下の3基のノズルから全力で炎を噴出させてボディを持ち上げる印象的な描写があるので大事な部分ですね。しかもその周辺には変形用可動アームの形状なども確認でき、この部分がどのように変形するのかが想像しやすくなっています。かなり負荷のかかる変形機構部分のため、変形アームも太めなんですね。
艦後方の裏面。こちらは変形する部分はないためシンプル構造ですね。
甲板の両脇にはWM形態時の腰部サイドの装甲となる部分もちゃんと分割されています。
ここまで構造を見てきて「これ、WM形態に改造できそうな気がする」と思った方も多いのではないでしょうか。
はたして、本当に改造して作る人が現れるのが先か、キット化が企画されるのが先か!?
艦はそのまま置いても大丈夫ですが、透明な台座パーツを前後の下面に敷くことで、ホバー状態を再現したまま展示しておくことも可能です。
基本的には固定モデルなのですが、部分的に動かせる個所もあります。
まずブリッジ両サイドの、いわゆる耳の部分。ご覧のように畳んだりできます。
艦首主砲は旋回と仰角をつけることが可能。
速射砲は前後方向へ可動。ポタン砲は旋回のみ可能。
機関砲は上下に可動します。
艦載WMもしっかり付属!
続きまして付属品ですが、こちらもなかなかあなどれません!
まずはWM「クラブタイプ」。足首の角度が真横になっているのは、つま先の反った部分の形状を再現するためですね。このスケールで再現し得る限り、特徴を再現した造形になっています。
続いて「トラッド11」。クラブタイプよりだいぶ凝った形状ですが、こちらも特徴をよくとらえた造形。
3種類目は「ギャロップタイプ」。
アニメ放映当時は、なかなかこのレベルの造形をこの大きさで金型に起こすことは難しかったでしょうね。今回、設計した方もすごいですが、いい時代になったものです。
忘れちゃならない主人公メカ「ザブングル」
ほかのWMより頭身が高いとはいえ、その分特徴的なディテールも多く、省略の難しいメカのはずなのですが、こちらもしっかりくっきり再現されています。
最後にザブングル・カーをご紹介。
連結部分で前後に分離も可能。
これらWMはそれぞれ2セットずつ付属しています。さすがに小さすぎるのでパーツ分割による色分けとはいきませんが、これだけしっかりした造形の付属品はうれしいです。
アイアンギアーとからめて遊んでみるとこのような感じです。
同スケールにすると本来はザブングルとの対比はこのくらいになるのかもしれませんね。劇中のほうでは格納庫に収まっていましたが、まぁ「アニメだからね!!」
このワイワイして楽しそうな様子こそ「ザブングル」の面白さのひとつ。
格納庫にはザブングル以外であればこのように格納が可能です。
ザブングル・カーの方は分離させれば収まります。
お手軽ウェザリングで、リアルに仕上げる!
さて、ここまで色分けもパーツ構成もしっかりしているキットだと、いつもの「プラスひと手間」の選択肢もいろいろありますが、今回はこの成形色による色分けの優秀さを生かし、惑星ゾラの砂を浴びて移動してきたランドシップらしさを目指して、簡単なウェザリングを施してみることにします。
使用したのはダイソーの「お肌にとろけるミルキーファンデーション(200円)」です。
やり方はこんな感じです。
で、20分ほど作業をした後にファンデーションを定着させるため、軽く乾かした後に「つや消しクリア」でコーティング。クリア塗料で若干ウェザリングがおとなしくなってしまうこともあるので、そう感じたら乾燥後にもう一度ウェザリングを施します。
そのようにして完成したのが、こちらです!
いかがでしょうか。進行方向や地表からの高さなどをイメージして、ウェザリングの具合を調整。荒野となっている惑星ゾラをホバー移動する、ランドシップらしい汚れの色になったのではないでしょうか。
今度は艦首側にピントを合わせてブリッジを眺めてみました。ウェザリングによりさらに巨大感が増していませんか?
進行方向を考えるとやはり艦首は最も汚れやすい部分かと思い、比較的激しめにファンデーションを塗りたくっております。
各部の角の部分にもハイライト効果が入り、よりディテールも強調されています。
甲板にはWMも飛び乗ってきたりすると思うので、やや不規則な方向性でウェザリング。
白い部分は特に砂汚れっぽく見えます。
艦の前方部分をやや後ろ側から。
今回は組み立て後にウェザリングを施しましたが、形状を把握したなら一度分解して、隅々までウェザリングを施してもいいでしょう。
ブリッジ周辺をやや上から。パネルラインなどの段差にもハイライトが入ったことで、こちらもディテールがはっきりしました。これも元々の造形がかっちりしているからこそです。
ジェットノズルには煤汚れのウェザリングを追加してもいいかもしれません。今回は手軽に組んで、手軽にウェザリングするだけでこのようになりますよ~、という「簡単さ」を重視したのでサボっちゃいました(コラ!)。
一応、高さを意識してウェザリングを調整していますが、砂嵐などもありそうなので、艦の高い部分にもややきつめにウェザリングを施してみました。このあたりは好みによって調整してください。
夕方の自然光をバックに撮影したりしてもかっこよさそうですね~。
ブリッジ周辺。アンテナもあるので破損させないように注意しましょう。
頬やひさしの部分などのエッジにも、ちょうどいい感じにハイライトが入っています。
このアイアンギアーはできるだけ視点を低くして眺めると、抜群に迫力があります。
さらに裏面もしっかり汚しましょう。
裏面は特にホバーで砂が巻き上げられ続けているので猛烈に汚れていることでしょう。また、岩などにこすることもあるかもしれません。そんなことを想像しながらビシバシ汚していきます。
ジェットエンジン部分も地表から近いのでやや激しめにウェザリングを施してあります。確かにあんまり汚れると機能として支障がないか心配になりますが、こういう惑星ですから対処済みなのでしょう。
続いてWMのほうも、気になったものに一部手を入れていきます。
まずはザブングルですが、2個付属しているということで、1個はジロン機を再現してみましょう。背部のウイングをいい感じにへし折り、両腕のタイヤを取り払いました。
ウイングが折れているだけで、シルエットがガラリと変わりますね。
もうひとつ、クラブタイプの足ですが、膝のあたりで切断してつま先を好みの方向に向けて接着しただけですが、これだけでそれらしくなったんじゃないでしょうか。
繰り返しになりますが、つま先の反りかえりの形を再現するためには、金型の都合からするとこうするしかないんですよ。
WMはさすがに塗装に時間がかかるので、余裕のある時に少しずつ塗装していきましょう。
最後に、今回のキットでは使用しないパーツがいくつかあります。それが以下の通り。
この未使用パーツを見て、鋭い人はふと思うのではないかと思われますが、アイアンギアー級はこのほかに、色違いかつ配色パターンが若干異なる「グレタ・ガリー」と「ギア・ギア」という2つのランドシップがありますよね。今回のキットはアイアンギアーの色なので気づきにくいかもしれませんが、成形色を変えたとして頭の中で組み立ててみると、見事に両者の再現が可能なのです(ギア・ギアについてはお立ち台が必要ですが)。
これはもしかするとどちらも商品化の可能性があるのでは? いや、聞いたわけではないので定かではありませんよ? ですがこれを機にひと通りのアイアンギアー級ランドシップの立体化、さらにはWM形態のキット化などもお願いしたいですね!
もちろん強者の方々は、今回のキットをベースに塗装で各種揃えるのもいいでしょう。
いずれにせよ今回紹介したキットは、とにかく組み立てるのが簡単なので、ぜひ思い思いに楽しんでください。
それではまた次のキットでお会いしましょう。
【商品情報】
■「戦闘メカ ザブングル」 アイアンギアー
・メーカー:ハセガワ
・発売日:2022年12月28日ごろ
・本体価格:6,380円(税込)
・スケール:1/500
・模型全長:337mm
・模型全高:110mm
・模型全幅:163mm
【泰勇気の出演情報】
・ NETFLIX海外ドラマ「Locke&Key」シーズン1、2配信中(タイラー役)
・ 橘猫工業「ハンドレッドエッジ」PVナレーション
・ YouTubeガンダムベースライブch川口名人のすいプラ」毎週水曜18時配信(アシスタント)
(c)創通・サンライズ
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