【TOYインタビュー】2000年代を盛り上げた人気キャラの「なりきり玩具」が続々登場! バンダイが狙う新たな層に向けた「なりきり」商品とは

女児向けアニメや特撮作品に登場するキーアイテムを子ども向け玩具として制作するほか、「COMPLETE SELECTION MODIFICATION」と題した大人向けブランドも展開しているバンダイ。「なりきり玩具」とひと口に言ってもその幅は広いわけだが、近年また新たなターゲットに向けたなりきり玩具が発売されている。

タイトルを見ても「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」、「家庭教師ヒットマンREBORN!」、「おジャ魔女どれみ」と2000年代に小中学生だったユーザーの心をつかむタイトルばかりだ。そしてこれらのアイテムには「Special Memorize」というブランド名が冠されている(遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 千年パズル COMPLETE EDITIONを除く)。

そんなアイテムを制作しているバンダイの企画チームの担当者たちに、なぜ新たなターゲット向けのなりきり玩具を作ろうとしたのか、そして各アイテムにどのような想いを込めたのかをうかがった。

——どういったきっかけから「Special Memorize」ブランドのような懐かしのアイテムの展開が企画されたのでしょうか。

担当者E 弊社では子ども向けだけでなく大人向けの「COMPLETE SELECTION MODIFICATION」などを展開する中で、なりきり玩具が幅広い層に楽しんでもらえるものなのではないかと考えていました。実際に昨年10月には弊社主催の「NARIKIRI WORLD(なりきりワールド)」というイベントを開催させていただき、多くの人が「なりきり」玩具を楽しんでくださりました。そんな中で、特撮作品に限らずさまざまな作品の世界観に没入できるアイテムを検討しよう!という機運が高まり実現したのが今回の3商品です。

——その中でも「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」、「家庭教師ヒットマンREBORN!」、「おジャ魔女どれみ」といったタイトルを選ばれたのはどういった経緯が……?

担当者E 小さいころに好きだった作品を大人になってもう一度楽しみたい!という需要はいろいろな方面から感じていて、特に多くのアニメ文化に触れながら育ってきた20~30代向けに商品展開を考えたいというのが理由のひとつです。もうひとつには、チームのメンバーの多くが20~30代だったということもありますね。その世代に手に取ってもらえるのはどういう商品化ということを考えながら、企画会議をしています。

——なるほど。そのような経緯があったんですね。

担当者E 弊社が得意としている特撮作品のなりきりアイテムで培った技術をほかのアイテムにも応用していく。そこが今回のテーマのひとつでもありますが、それぞれの作品ごとにファンの特性は違いますし、求められる機能も違います。ひとつずつの作品と向かい合い、それぞれのファンの方が何を求めていらっしゃるかひとつひとつ開拓していくほかないので、日々勉強中ですね。

——どのアイテムも担当者さんの愛が詰まっているように感じます。「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 千年パズル COMPLETE EDITION」では、どのように開発を進められたのでしょうか。

担当者T いろいろ詰め込みたいものはあったんですが、価格と仕様のバランスを考えながら進めていきました。一番重視したのは、ユーザーが千年パズルに何を一番求めるか、です。やっぱり皆さん、首に付けながら、遊戯になりきりたいじゃないですか。そこで革紐を付けられるようにしたり、バトル中のBGMも流せるようにしたりしました。


——サイズ感も絶妙で、遊戯のようにファッションとして付けたくなりますよね。

担当者T 台座も作っているので、飾って眺めることもできるようにしています。また、闇遊戯に変わるシーンを再現するために、LEDを入れているんです。最後のパーツをはめると発光するんですが、一部分が光るわけではなく、パネルの隙間から漏れるようにしてみました。そういった再現をするための試行錯誤が、設計チーム泣かせでしたね。

——サイズが大きすぎるわけでもないですからね。

担当者T そうなんです。単四乾を確保しつつ設計していくことはとても大変でした。スピーカーの穴も溝に入れてみて……。ボタンも違和感があるような造型にはしたくなかったので、パズルの模様に見えるようにしているんです。そこも注目していただきたいですね。

——「家庭教師ヒットマンREBORN! Special Memorize ボンゴレ匣&ボンゴレリングセット」は「家庭教師ヒットマン REBORN!」のアイテムですが、当時絶大な人気を誇りましたよね。

担当者E 「家庭教師ヒットマンREBORN!」のアイテムを弊社が展開するのは初めてなんです。なので、どれくらい反応があるかチャレンジの連続でした。企画会議で提案した際に担当者同世代の子たちから反応が強くて! その熱量があったからこそ商品化に至ることができたんだと思います。

担当者M ジャンプフェスタでも展示させていただきましたが、その際にファンの方々の反応を直接目の当たりにできたのは嬉しかったですね。

——このアイテムはボンゴレ匣(ボックス)とボンゴレリングのセットですが、特にこだわった点は何ですか?

担当者M 当時観ていたアニメの動作をそのまま再現できることです。ボンゴレリングを使ってボンゴレ匣を開けられるようにする。そして、声優さんの音声が入っている、ということですね。そのうえで遊べるようにするには、ボンゴレ匣のサイズ感を小さくしなくちゃいけないなと。ボタン電池のほかにスピーカーも入れつつ、外装を潰さないようにデザインをしたい……。その思いをしっかりと詰め込みました。

左より霧、大空、雲のボンゴレ匣。全3種類が発売される

——ボンゴレ匣は、デザインも魅力のひとつですからね。

担当者M そうなんですよ! 手のひらサイズだけどきれいな造形になっているよう、設計チームとは何度もやり取りを重ねました。スピーカーの穴のデザインが、標的マークになっているのもこだわりです(笑)。

——ボンゴレリングに関しては?

担当者M ボンゴレリングに関しては、作中ではみんな中指に付けています。そこで社内のいろんな人の指のサイズを測りつつ、さまあまな人のできれば中指に、せめてどこかの指には入るサイズ感になればいいなと思って調整しました。

各匣とも、対応したデザインのリングがついてくる

——そして二次受注が始まっている「おジャ魔女どれみ Special Memorize おジャ魔女どれみ みならいタップ」についてもお話をうかがいたいと思います。当時発売されていたアイテムから変えた点もあるそうですね。

担当者S はい。発光ギミックを入れて、劇中からそのまま出てきたような印象になるように立体化を進めました。大きな変更点としては、ドレミファソラシドのボタンの配置が当時発売していた玩具とは逆回りになっていることですね。

——それはなぜでしょうか?

担当者S 実は当時の玩具とアニメでは周り方が逆になっていたんです。今回はアニメに合わせて反時計回りで設計しました。また、見習い服にお着替えができるアイテムなのでメロディだけ入れるという案もあったんですが、魔法玉を押したときに音が鳴らなければ、みならいタップじゃないなと。そこで各所と相談しつつ、ちゃんと音が鳴るようにしました。

——魔法玉が忠実に再現されているのはとても嬉しいですね。

担当者S カラフルな球体というイメージがファンの中では強いと思うので、そこは妥協せずこだわっていきました。スピーカー穴が五線譜になっているなんて遊びもありますので、そこも見てほしいですね。

——そんな3アイテムの予約が始まっているわけですが、今後はどのようなアイテムを生み出していきたいと考えられていますか?

担当者E バンダイは若手でもアイデアを出すことができる環境にあります。新しいアイデアとこれまでに培った「なりきり」玩具の知見を合わせることでまだチャレンジできていない作品の「なりきり」玩具にチャレンジしていきたいと思っています!「なりきり」玩具はバンダイのお家芸でもあるので(笑)。「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 千年パズル COMPLETE EDITION」「Special Memorise ボンゴレ匣&ボンゴレリングセット」「おジャ魔女どれみ Special Memorize おジャ魔女どれみ みならいタップ」は本当に反響もたくさんいただけたので、これからもラインアップを強化すべく頑張っていこうと思います!

(取材・構成:太田祥暉[TARKUS])

【商品情報】

■遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 千年パズル COMPLETE EDITION

・発売価格:8800円(税込)

・2023年7月発送予定

・発売元:バンダイ

■家庭教師ヒットマンREBORN! Special Memorize ボンゴレ匣&ボンゴレリングセット(沢田綱吉/雲雀恭弥/六道骸)

・発売価格:4950円(税込)

・2023年7月発送予定

・発売元:バンダイ

■おジャ魔女どれみ Special Memorize おジャ魔女どれみ みならいタップ

・発売価格:5940円(税込)

・2023年9月発送予定(二次受注)

・発売元:バンダイ

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