PS4/Switch「カプコン ベルトアクション コレクション」レビュー【今だから遊びたい! 懐かしのレトロゲーム第2回】
最高級のグラフィックが堪能できる最新ハードで、ドット絵のレトロゲームを楽しんでいる皆さまにお送りする「今だから遊びたい! 懐かしのレトロゲーム」の第2回。
今回は、1989年にカプコンからリリースされて大ヒットした「ファイナルファイト」をはじめとする、7作のカプコン製ベルトスクロールアクションを収録した「カプコン ベルトアクション コレクション」。まずは、収録タイトルを紹介していこう。
■「ファイナルファイト」
「ファイナルファイト」は1989年にリリース。犯罪集団「マッドギア」にさらわれたジェシカを救出するため、ジェシカの父で市長のハガー、ジェシカの恋人コーディとその友人ガイが、マッドギアに戦いを挑むアクションゲームだ。
豪快な打撃技と投げ技で敵を倒しまくる爽快感が魅力。同時プレイは2人まで可能。
■「ザ・キングオブドラゴンズ」
1991年リリース。剣と魔法のファンタジー世界が舞台のゲームで、元は「D&D」のアーケード版として開発が進められていたが、のちにオリジナルタイトルに変更になったという経緯があるらしい。
プレイヤーキャラはファイターのデレク、クレリックのアルド、ウィザードのレジェ、エルフのラベル、ドワーフのバルガスの5人。3人同時プレイが可能で、ラスボスのドラゴン、ギルディスを倒して財宝を帝に入れるのが目的。
■「キャプテンコマンドー」
1991年リリース。2026年の地球を舞台に、宇宙全体で問題を起こす犯罪超人たちを一掃するのが目的。
プレイヤーキャラはキャプテンコマンドー、ベイビーコマンドー フーバー、ニンジャコマンドー 翔、マミーコマンドー ジェネティーの4人で、4人同時プレイが可能だ。各キャラ固有の必殺技を使用できほか、基本システムにダッシュ機能が備わっているのも特徴。
■「ナイツ オブ ザ ラウンド」
1992年リリース。「アーサー王物語」の中の「円卓の騎士」からキャラと世界観のモチーフを引用した、中世ファンタジーアクション。無限の力を持つと言われる聖杯を探し求めて旅に出るのが目的だ。
プレイヤーキャラはアーサー、ランスロット、パーシバルの3人で、同時プレイも3人まで可能となっている。レベルアップごとに装備やキャラの外観が変化していくという特徴を持つ。
■「天地を喰らうⅡ 赤壁の戦い」
1989年にリリースされたアーケード版1作目に続く、1992年リリースの続編。
前作は馬に騎乗して攻撃するベルトスクロールアクションであったため投げ技が存在せず、武器攻撃のみのアクションゲームだったが、本作では投げ技が加わり「ファイナルファイト」の進化系とも言えるベルトスクロールアクションになっている。プレイヤーキャラは関羽、張飛、超雲、黄忠、魏延の5人で3人同時プレイが可能。
■「パワード ギア」
1994年リリース。敵のパーツを奪って使用できる機動兵器、ヴァリアント・アーマーが自機のロボットアクション。敵から奪った強力な武器で敵を倒しまくる爽快感が特徴だ。
プレイヤーはブロディア、レプトス、ガルディン、フォーディーの4体のヴァリアント・アーマーから選んで操作し、3人まで同時プレイが可能。
■「バトルサーキット」
1997年リリース。賞金稼ぎのサイボーグたちが、全世界のコンピューターを支配可能にする「天帝システム」の起動ディスクをめぐる戦いに巻き込まれていく、というストーリー。
サイバー・ブルー、キャプテン・シルバー、イエロー・ビースト、ピンク・オーストリッチ、エイリアン・グリーンの5人で、4人まで同時プレイが可能。タイトルの“サーキット”は本作では「回路」を意味しているが、開発初期はレースゲームであった名残でもある。
【レトロゲー思い出がたり】
■友人との連コインプレイでお金が湯水のごとく消えていった「ファイナルファイト」
さて、今回は収録された7作の中から「ファイナルファイト」をピックアップしたコラムをお届けしよう。「カプコン ベルトアクション コレクション」の中でも「ファイナルファイト」を一番のお目当てに購入した方も多いのではないだろうか。もちろん、筆者もそのひとりである。
「ファイナルファイト」がゲーセンで稼働開始された当時、学校近くの50円ゲーセンに行くたびに友だちとともに両替したコインを筐体に積み、コンテュニューしまくって楽しんだものである。当時は「湯水のごとくお金を遣ってしまうゲームだな……」と感じたものだが、その後訪れた対戦格闘ゲームのブームでは「ファイナルファイト」以上のスピードでお金が減るのを体験することになるのは、また別のお話。
「ファイナルファイト」は、元々「ストリートファイター’89」というタイトルでショーに出典され、メディアにも紹介されたゲームである。このこと自体はご存知の方も多いことだろう。アーケードゲーム誌「ゲーメスト」でも「ストリートファイター’89」のタイトルで画面写真などが公開されていたが、後ほど「ファイナルファイト」にタイトル変更されてリリースされた経緯がある。どうやら、カプコンUSA側から「ストリートファイター」の続編は1対1で戦う形式のゲームを希望していたことも要因にあったとか。
それとは別に、ユーザー側でもメディアに掲載された画面写真を見て「これが「ストリートファイター」の続編というのは違和感がある」という意見も多かったようだ。
結果的に「ストリートファイター'89」は「ファイナルファイト」になり、後に「ストリートファイター」の正式な続編「ストリートファイターII」がリリースされて大ヒットしたのである。
と言いつつ、「ファイナルファイト」が「ストリートファイター’89」というタイトルのままリリースされ、「ストリートファイターII」がリリースされなかった世界線のアーケードシーンがどうなっていたのかは、いちアーケードゲームファンとして見てみたいものだ。もしかしたらシューティングゲームやアクションゲームが90年代でも隆盛を誇っていたのかもしれない。もっともこれはシューティング好きの筆者の妄想でしかないのだが……。
■キャラの大きさの割に軽快かつスピーディーな操作感が魅力!
さて、「ファイナルファイト」がアーケードで登場する前からベルトスクロールアクションというジャンルは存在していた。例をあげると、テクノスジャパンの「ダブルドラゴン」や、セガの「ゴールデンアックス」などがそれだ。
サイドビューによる横スクロールアクションをベースに、左右移動だけでなく、キャラクターが移動できるスペースに奥行きが設定されていることが特徴である。この奥行きがある床や地面をベルトに見立てることから、ベルトスクロールアクションと呼ばれるようになったと言われている。
「ファイナルファイト」がヒットした要因は、画面内にデカキャラが多数登場するという派手さ、軽快な操作感で敵をバッタバッタと倒していける爽快感、そして敵からダメージを喰らうことが気にならないくらい、豪快なプレイを楽しめるという点だろうか。
また、それらの要素は当時のカプコン最新基板CPシステムが可能にしたことも付け加えておこう。また、デフォルトの残機設定が2機設定というシビアさもあり、ちょっと油断をするとあっという間にゲームオーバーになってしまうほど。さらに、友だちがプレイしていると、ついコインを入れて途中参加したくなるゲーム性も見事だったと言えよう。ゲームのやめ時が見極められず、毎回のようにラスボスを倒すまでゲームを続けてしまったという経験者も多いことだろう。……もちろん、これも筆者の経験談である。
■オンラインやローカルでの協力プレイが最高に楽しい!
また、ゲームに登場するプレイヤーキャラであるコーディ、ガイ、ハガーの3人のキャラが立っていたことも人気の要因だろう。各キャラごとに用意された打撃技や投げ技のモーションに加えて、敵をつかんでジャンプからの投げ技であるハガーの専用技・パイルドライバーを決めることがクセになるほど楽しく、これを覚えてしまうと使用キャラはハガー一択。筆者も友人との協力プレイ時にハガーの取り合いをすることは日常茶飯事であった。
お金をつぎ込みまくってコンティニュープレイすることが楽しいゲームだと書いたが、もちろんほかのアーケードゲーム同様に1コインクリアを目指す「ガチ攻略」を目指すのも醍醐味だ。むしろ、思考がその境地にたどり着いた時、「ファイナルファイト」とのラウンド2が始まると言っても過言ではない。
初期は打撃技に頼りがちになるゲームだが、1コインクリアを目指す攻略となると、ほかの敵を巻き添えにダメージを与えられる投げ技を効果的に使っていくことが求められる。ちなみに筆者の最高は1コインで4面前半までなので、「ファイナルファイト」を1コインクリアできるプレイヤーは尊敬の対象である。ぜひとも、そんな方とぜひいっしょに「カプコン ベルトアクション コレクション」版「ファイナルファイト」を協力プレイで楽しみたいものである。
さて、協力プレイの話をしたところで、今回リリースされた「カプコン ベルトアクション コレクション」はネットワークを介して協力プレイができるのが最大の特徴だと言うことを、声を大にして伝えておきたい。とくにオンライン協力プレイは最高に楽しく、かつてゲーセンでともに「ファイナルファイト」遊んだ友人とのオンラインプレイ体験によって、当時高校生だった自分たちの思い出や、ホームにしていたゲーセンの情景などが色々と蘇ってきてしまい、ノスタルジックな気分に浸ってしまった。リアルタイムで「ファイナルファイト」に触れていた方たちにはぜひとも体験してもらいたいのが、このオンライン協力プレイである。
また、ローカルでの協力プレイも、もちろん可能だ。「ファイナルファイト」をリアルタイムで楽しんだ世代も、今や結婚して子どもがいるのも当たり前である。ぜひともゲーム好きの奥さんやお子さんと「ファイナルファイト」を楽しんでほしい。女性でも子どもでも楽しく遊べるのが「ファイナルファイト」の魅力だ。
ちなみに筆者は最近、寝る前の1ゲータイムがすっかり「ファイナルファイト」になってしまっている。酒を飲みながら乱雑プレイを30分程度楽しみ、満足したら布団に入るのである。そして夢の中でハガーになって敵にパイルドライバーをキメるのも日課だ。そんな、大人になっても夢中にさせてくれる、最高のゲームをリリースしてくれたカプコンに最大の「ありがとう」を送りたい。
<Writer's Profile>
■風のイオナ
1996年にゲーム雑誌の編集者としてメディアデビューし、以降22年に渡って活動し続けているエディター&ライター。ゲーム、音楽、旅行、自転車、野球(広島カープ)が特に好き。2015年にリリースされた「ファイナルファイト オリジナルサウンドコレクション」ではブックレット編集と「ファイナルファイト」のコンポーザーさんのライナーノーツ構成を担当。ちなみにアイドルグループ「遊星ギミック」のディレクターもやってます。
Twitter:#
【商品情報】
■「カプコン ベルトアクション コレクション」
・プラットフォーム:Nintendo Switch / PS4 / Xbox One / PC(Steam)
・発売日:
DL版:発売中(2018年9月20日(木)発売)
パッケージ版:2018年12月6日(木)
・価格:
ダウンロード版:Switch / PS4 / PC(Steam)3,056円(税別)、Xbox One 3,080円(税別)
パッケージ 通常版:Switch / PS43,300円(税別)
パッケージ コレクターズ・ボックス:Switch / PS45,800円(税別)
(C)CAPCOM CO., LTD. 2018, (C)CAPCOM U.S.A., INC. 2018 ALL RIGHTS RESERVED.
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