「泣ける」理由は「じっくり」「ていねい」な制作スタイルにあった!? 『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』「#キュア泣き」トレンド入りキャンペーンスタート記念インタビュー!
現在、絶賛公開中の『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』が、12月7日より「#キュア泣き」トレンド入りキャンペーンをスタートする。
『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』は、現在TV放送中の最新作「HUGっと!プリキュア」のキュアエールと、初代「ふたりはプリキュア」のキュアブラックがミデンを倒すべく力を合わせて戦う物語。「想い出」をテーマに、歴代55人のプリキュアたちが総出演する。「映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!」(2016年3月公開)以来、約2年半ぶりとなるオールスターズ作品だ。
「プリキュア」15周年記念作品として、総勢55人の歴代プリキュアが登場、歴代プリキュア映画の初動最高記録を更新など、話題に事欠かない本作だが、そのストーリーも「泣ける!」と視聴者の間で大きな話題を呼んでいる。
そこで、12月7日より「#キュア泣き」トレンド入りキャンペーンのスタートが決定した。
今回は、それを記念して神木優プロデューサーと宮本浩史監督に、本作の「泣ける」理由をうかがってみた。
これから映画を観る方はもちろん、観た方もこのインタビューを読めば、新鮮な気持ちでもう一度泣ける……かも!?
子どもはもちろん親も一緒に楽しめるように
――歴代1位の大ヒットスタートを飾った『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』ですが、大きな反響についての感想をお願いします。
神木 とても嬉しいです。ひとりでも多くの人に観てもらい、楽しめるように、と作ったものが形になり、結果として出てきましたので感慨深く思っています。
監督 自分は勉強不足で、どの程度数字がいったらすごいというのがわからないんですが、いい結果が出ているという話を聞いて、プリキュアに育ててもらいデビューできた監督としては、少しは作品に恩返しができたかなと嬉しく思います。
――本作は「泣ける」ということで大きな話題を呼んでいますが、意識的に「泣かせよう」と考えつつ制作されたのでしょうか。
監督 少なくとも本作を含め、自分がやってきた3本についてはそれはありませんし、脚本会議でも「ここが泣かせどころ」というような話は、一度も出た記憶がありません。
(※編注:宮本監督にとって本作は、「映画Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!プリキュアとレフィのワンダーナイト!」(2015年)、「映画プリキュアドリームスターズ!」(2017年)に続く3本目の監督作品)
――そうだったんですね! 個人的にははなちゃんが小さくなってしまった仲間を世話するシーンは、必死に育児をこなす姿に共感してウルッときましたし、その後のみんなを守るために自分を鼓舞して立ち上がるシーンでも、熱い姿に感動を憶えました。
監督 今、おっしゃっていただいた一連のシーンについては、自分自身も一番苦しみながら絵コンテを描いたシーンなんです。ある種、その苦しさが伝わったのかなと思います(笑)。フィルムには、けっこう作り手の苦しみ、悲しみが焼き付くとはよく言われるんですけど、そう思っていただけたとしたら、自分としても苦労した甲斐があったなと思います。
神木 今回は映画なので、テレビとは違って大きな画面だし、音響もいいという特別な空間で観るじゃないですか。今「共感」したとおっしゃったのも、映画館という気持ちがシンクロしやすい環境だからこそ、いろいろと感じることができたのかなと思います。
――ちなみに小さくなったキャラクターの行動や、てんやわんやになっているはなちゃんのリアクションなど、子育て経験者からすると非常にリアルな描写にも驚かされました。こういうシーンを描くうえで、何らかのリサーチ、取材はされたのでしょうか?
神木 はい。脚本の香村純子さんが周りのお子さんがいらっしゃる方にヒアリングしたり、ともにプロデューサーを務められている田中プロデューサー(ABCアニメーション)は子育てに参加されており、意見をおうかがいしたりもしました。
――こういうシーンは、小さな子どもはもちろん、一緒に観るであろう親のほうが何かしら感じる物があるのではないかと思います。本作のターゲットとしては、そういう親世代の皆さんも想定されているのでしょうか。
監督 最初のうちから、そういう話は出ていましたよね。
神木 (親にも観てもらいたいという気持ちは)ほんのりあったかもしれません。というのも、私たちにとって「プリキュア」のターゲットはもちろん小さなお子様なんですが、そのお子様はお母様の膝に乗って観てることがあるんです。そう考えると、お子様が最大限「プリキュア」を楽しめる環境って、実は周りにそれをシェアする環境があるということなんです。
ですので、お母様がもっと一緒に観てくれたらもっと楽しい映画、テレビ番組になるし、私たちの視界の中には今までもお子様とその周りの方々が見えていたつもりです。
そのうえで、たとえばキュアマシェリが小さくなって「うわーん」と泣くシーンなどでは、声のボリュームはどこまで上げればいいか、などは話し合ったりしましたね。あまり前面に出すと親御さんはきつく感じてしまう方もいらっしゃるのですが、これくらい出さないとはなちゃんの気持ちが伝わらないよね、などと話し合いましたね。
監督 今回はそういった音作りもこだわりましたね。
圧巻! 55人のプリキュアが乱舞するクライマックス制作裏話
――歴代プリキュア55人が登場して戦うクライマックスも圧巻でした。歴代主題歌のアレンジ曲をバックに、見せ場とともにセリフを次々と放っていく演出は、15年の歴史を一気に体験できるジェットコースターのような印象です。
監督 先ほど言ったように、今回は映画全体を通して音楽を前面に出すと最初に決めていたので、このシーンはキャストの方のお芝居は当然のことながら、やっぱり主題歌を含めて音楽で盛り上げることを考えて作りました。
――歴代の声優さんが集まって、ちゃんと最低でもひと言ずつセリフを言うというところにも、感動しました。
神木 キャストの皆さんとは、場合によっては当時のことやニュアンスについて、一緒に詰めさせていただきました。ひと言ひと言本当に大切に声を入れてくださっている、というのは本当に感じましたね。セリフが短い方もいたのですが、「集中!」して想いを込めていただきました。
――ひと言のセリフのために、出演していただくという、ある意味贅沢なキャスティングをされているわけですが、そこはやはり15周年というアニバーサリー作品だからこそ実現したといったところでしょうか。
神木 確かに「今回だからこそできること」でもあるのですが、今回は各世代の想い出を描くということを決めていたので、誰ひとりとして欠けてしまうと、そもそも作品が成り立ちませんでした。
プリキュアが勢揃いするシーンは私も大好きなシーンで、みんなが戦ってかっこいいことも魅力なのですが、同時にふと各キャストさんや当時の担当者のお顔が浮かぶんです。今まで作品に携わられた皆さんの流れがあって、今回の作品があるということ。それ自体が本作の価値なので、観てくださった方が喜んでいるのを拝見すると、皆さんとその想いを共有できたのかなと思います。
――各作品を一瞬で思い出させるような演出が凝縮されている点にも感動しました。歴代プリキュアを、わずかなシーンで再現するうえで、どのようなことを意識されましたか?
監督 アクションや、ちょっとしたポーズなど、できるだけオマージュできるものは入れようと思ってはいたのですが、当然各世代の各キャラクターだけではなく全体としての爽快感、疾走感も同時に成立させなければならなかったので、編集やダビングなど時間をかけて作りましたね。とにかくていねいを心がけました。
神木 また、かつては作画で描かれたプリキュアが出すエフェクトが、今回はCGになっています。さらに映画館という環境で観られるということで、皆さんの記憶に沿ったままに「今回だからこそ表現できたシーン」をお届けできたのではないかと思います。
そういったことがあいまって、「一瞬だけど懐かしい」「すごかった」という感情に結びつけることができたのかなと思いますね。
監督 当然(3DCG技術の)地の部分としては積み重なっている部分があるのですが、エフェクトのようなものは要素ごとに新規に起こすものが多かったので、そういう点での苦労はありましたね。たとえばエキストリームルミナリオ(キュアブラック、キュアホワイト、シャイニールミナスの3人で繰り出す技)のフルCG版に関しては、作画版のエキストリームルミナリオをみんなで観ながら「ああでもない」「こうでもない」とディスカッションした結果、これはリアルの世界でたとえると太陽のプロミネンスに相当するのかなというアイデアを出し合って、それをCGで再現したらどうなるだろう、と構築していきました。
――もうひとつ泣けるポイントは、今回の敵・ミデンとの決着の付け方かと思います。
神木 今回オールスターズ作品というところを大きく出しているんですけど、私たちが一番大切にしたかったのが「HUGっと!プリキュア」の映画であり、キュアエールの物語をつくるというところでした。
なのでお話を作る流れで一番最初に決めたのが、最後にキュアエールが敵とハグをしているというカットを入れることで、そこはスタッフみんなの頭の中にあったんです。だからこそ、本作はやさしい作品へと導かれたのだと思います。ミデンをハグするラストシーンは、監督も最初からかなりこだわっているシーンでした。
監督 でも、最終的にあの形にまとめあげるのには、けっこう時間はかかりましたね。
――他人から奪った記憶や想い出には価値がない、というメッセージも胸に刺さりました。
監督 そこは自分が言いたかったことのひとつです。小さい子でも、人から何かを取り上げて手に入れたところで自分のものにはならないし、大人になってもそれは同じなんです。自分で経験するから価値があるということが、学生でも社会人でも本質だと思うんです。やっぱり世の中、近道なんてできないですし、そういうものを一緒に積み上げていこうというのが最後に言いたかったことなんです。
「キュア泣き」の秘密は、ていねいな作品作りにあった!
――「ふたりはプリキュア」とのクロスオーバーも本作のポイントです。キュアブラックとキュアエールが軸になるということは最初から決まっていたのでしょうか?
監督 そこは最初から決まっていましたね。
神木 そうですね。どういう風に出会わせるか、とか、ストーリーの配分などは話し合いながら決めていきましたが、クロスオーバーすることは最初から決まっていました。
――15年前のキャラクターと現在のキャラクターを同居させるうえで、気をつけたことはありますか?
監督 なぎさ、ほのか、ひかりの3人が持っているフィジカルなものというかパーソナルなものというのは、普遍的な魅力を持っていると感じていたので、そういうところに対しては自分は不安はなかったし、こざかしいことはしませんでした。
ただビジュアル面に関して言うと、神木さん手動で私服を今風にしてみようということで、稲上さん(キャラクターデザインの稲上晃さん)に描いてもらいましたし、あとは肌色の色合いですね。エールとブラックを並べると若干違和感があったので、ブラック側をちょっとエールに近づけてもらったりとか、色彩レベルでの調整は細かくしていますね。白くて淡いピンクの肌色になるのか、ゴリっとオレンジの乗った肌色になるのかなど、それぞれ時代によって違っていたのでチューニングが必要でした。
神木 あとは初代のキャラクターというと、すごい先輩のような気持ちになるんですけど、そのいっぽうで「ふたりはプリキュア」の3人は等身大の女の子なんですよね。だから「初代として持ち上げるのではなく、中学2年生ということを忘れないでほしい」ということは当時の担当者から言われていたんです。だから、等身大な彼女たちを描きたいというところで生まれたシーンもあったりします。
――「ふたりはプリキュア」は、シリーズの中でも特にアクションが激しい作品という印象もあるのですがなんですが、その要素もかなり取り込まれていると感じました。
監督 そうですね。盛り込める範囲でオマージュは盛り込もうと思いました。
また、西尾大介監督(「ふたりはプリキュア」「ふたりはプリキュアMax Heart」シリーズディレクター)からは、たとえば敵と戦っている時は一方的にやられるのではなく、ちゃんとガードをさせなさいとか、そういう細かいところも含めていろいろとアドバイスをいただきました。
神木 要は、ポーズの付け方をはじめ、本当に一瞬ではあるんですが、どういう風に「ふたりはプリキュア」らしさを感じるのかというけっこうヒントはあって、落下の仕方ひとつをとっても、尺にすると短いんですけど、そこをどう描くかというのは監督のほうで作り込んでいただいたように思います。
――細部に神は宿るとはいいますが、そういう細かい気配りの積み重ねが、視聴者の心を掴む画作りにつながっているのかも知れませんね。最後に、SNSでは「#キュア泣き」というハッシュタグが盛り上がっていますし、今回「キュア泣きトレンド入りキャンペーン」もスタートします。「泣ける映画」として評価されていることについては、どのように思われていますか?
神木 さきほど監督からもあったように、そういう風に想定していなかったので、最初は本当にびっくりでした。映画を観た方から「すごく泣けました!」って言われた時は、「大丈夫? 疲れてない?」と言ってしまったくらいです(笑)。
ただ皆さんがなぜ感動したのかを考えてみると、映画をきっかけに、それぞれ大切にされていた想い出があったからなのだと思い至りました。最初は意外だと思いましたが、「想い出に向き合ってもらう」ということは私たちが映画でやりたかったことなので、ハッシュタグを見た時は、とても嬉しく思いました。
監督 自分もとにかくびっくりするばかりなんですが、きっと今まで本当に皆さんが「プリキュア」という作品を愛してくれていたからこそ、今回の感動の涙につながったのかなと思っています。自分たちがどうこうというより、15年間シリーズを作り続けてきた関係者の皆さんの努力があったからこそ、今回の感動を生み出したんだと思います。
――ありがとうございました。今日は、本作の感動の正体が少しわかったような気がします。
監督 きっと我々が「ここで泣かせてやろう」という気持ちで作ってたら、そういうこざかしさがフィルムに出ていたと思います。そのように作っていたら、きっと皆さんにはここまでよかったと言っていただけなかったと思います。そう考えると、今回の作品を作ってよかったなと思います。
【キャンペーン概要】
・キャンペーン名:『映画HUGっと!プリキュア・ふたりはプリキュア オールスターズメモリー ズ』大ヒット記念 #キュア泣き トレンド入りキャンペーン
・開始時間:12月7日(金) 18:00
・内容:「#キュア泣き」がトレンド入りしたら、宮本監督描き下ろしイラスト をプレゼント! 「#キュア泣き」したシーンを投稿して、宮本監督描き下ろしイラストをゲット! 更に抽選で、豪華賞品プレゼント♪
おすすめ記事
-
「モンスターハンター」シリーズ20周年記念! モンスター大集合の記念ビジュアル第2…
-
「ダンまちII」後半の重要ヒロイン、はかなく可憐なルナール(狐人)・春姫の魅力に…
-
「スーパーロボット大戦OG」シリーズより、「R-2パワード&R-3パワード」がSMPで立体…
-
「Fate/Grand Order」、「ますますマンガで分かる!FGO」第71話を更新!
-
2021年春放送開始のTVアニメ「SHAMAN KING」、阿弥陀丸の親友、喪助役は森田成一に決…
-
PS4/Xbox One/PC「ロケットアリーナ」シーズン2がスタート! 新ヒーロー追加などさ…
-
木魚の持ち込みOK!「僧侶枠」5周年イベントが4月に開催!「AnimeFestaフェス!~祝★…
-
何度もやめようと思った。けど──「先輩はおとこのこ」TVアニメ化決定&ティザーPV公…
-
30周年を迎え今もなおファンを熱くさせる「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」より、「…
-
アキバ特価情報(2016年3月1日~3月7日)
-
冬アニメ「昭和元禄落語心中 -助六再び篇-」、寄席イベント「昭和元禄落語心中 寄席…
-
「ソードアート・オンライン アリシゼーション」から、アリスの月刊ニュータイプ描き…