【2023夏アニメ】TVアニメ「アンデッドガール・マーダーファルス」黒沢ともよ(輪堂鴉夜役)インタビュー「自分の未熟さを知った、最難関の作品でした」

7月5日スタートのTVアニメ「アンデッドガール・マーダーファルス」で、首から下がない不老不死の美少女探偵・輪堂鴉夜(りんどうあや)を演じている黒沢ともよさん。

奪われた体を取り戻すため、半人半鬼の真打津軽(しんうちつがる、CV:八代拓)と、メイドの馳井静句(はせいしずく、CV:小市眞琴)とともに、怪物専門の探偵“鳥籠使い”として数々の事件を解決しながら、ヨーロッパを巡る旅が描かれる本作では、「津軽は私のツボをピンポイントで押さえてくる」と、旅の相棒・津軽がかなりお気に入りの様子。アフレコ前から「2022年最難関の作品になると武者震いした」という黒沢さんに、アフレコの感想や鴉夜へのアプローチ、津軽のお気に入りポイントを教えてもらった。
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ーー原作小説を読んだときには高揚感や背徳感があったとコメントされていましたが。

黒沢 妖怪や吸血鬼などの描写が生々しくて細かくて、かつ文章がとても読みやすいので映像が思い浮かぶ感覚がありました。ひと昔前のサーカスを見ているような感じで、自分から見に行っているけれど、高揚してしまうことに背徳感を覚えるみたいな。耳の奥がジュク〜っとなる感じを楽しんでしまう自分への恐怖感があったし、高揚感と背徳感を行ったり来たりしていました。好きと思う自分と、好きと思ってしまうことへの恐怖感も感じつつ、エンタメの源流ってきっとこういうことなんだろうなとも思いました。逃げられないところでもてあそばれている感じもすごく好きです。

ーー体を奪われた生首の美少女・鴉夜のキャラクターをどのように感じましたか?

黒沢 演じる身としては生首であることで余白が増えて面白そうだなと思っていました。生首になったことで死ねないうえに、自分の意志では動けないというかせが加わったことも、俳優にとっては魅力的な存在だと感じました。

ーーオーディションでの長台詞がとにかく難しかったそうですが、実際のアフレコではいかがでしたか?

黒沢 先ほど久しぶりに台本を見たのですが、「こんなにしゃべっていたんだ」とビックリしました(笑)。原作のセリフがほとんどですし、文章自体は軽快でリズムがいいので、読むのに苦労はないのですが、音として監督に提供すると思ったときに、自分のエゴとの戦いもありましたし、映像に色のついていない段階でどこまで自分が演じるべきなのか。作品のテーマは“粋”なのですが、それこそ粋な抜き加減が迷子になるような分量のセリフでした。

ーー自分のエゴとの戦いとは?

黒沢 長台詞だと画に頼らずに耳で聞いてわかるようにしゃべりたくなるのですが、監督が素敵な作画をすることはわかっていたので、監督にゆだねたいと思う部分と、ゆだねていることで役者として自分が怠けているようにスタッフさんに感じられてもよくないなって。平坦に聞こえても画と合わせるとちょうどよくなることがあると私は思っているので、どのくらい声に色をつければいいのか、監督とも話して押し引きしながら調整していきました。あとは八代さんに引っ張ってもらってついていく感じでした。

ーーアフレコは一緒にできたとのこと。八代さんの演じる津軽はいかがでしたか?

黒沢 津軽は、私のツボをピンポイントで押さえる、いわばフェチの塊のような存在。印象は“ズルい”って感じです(笑)。ゴツゴツして細く長い手、ちょっと猫背で大柄なのに華奢で高い身体能力があって、飄々(ひょうひょう)としているけれど闇が垣間見え続けるところも好きだし、軽やかな口調で、トーンは軽快なのにどこか曇りガラスのような感じがあって、血生臭さも漂っているけれど、血が滴って色気が出るような。こんなにフェチの要素が詰まっているのに、バランスも素晴らしくて。そこに八代さんご本人のおしゃべりが、好きな感じとやさしさと孤独感のようなものが津軽の声ににじんできて、「津軽がどんどんエロくなる!」と思いながら聞いていました。

ーー鴉夜にとって一緒に旅をする津軽と静句は、どのような存在だととらえていますか?

黒沢 自分が死ねる唯一の手段なので、津軽は“救い”でしょうか。鴉夜が津軽に見ていた希望は、第1話と最終話あたりでは色形が随分と変わっていくような気がしています。津軽は鴉夜にとって一貫して希望ではあるけれど、そのグラデーションが変わっていったキャラクターという印象です。静句は一番安心して身を委ねられる存在であることに変わりはないけれど、と同時に過去から絶対に逃してくれない存在です。顔を見て安心する人、しんどくなる日もある。両側面があるキャラクターだと思っています。

ーーオトナ向けのお伽噺(おとぎばなし)ともおっしゃっていましたが、大人向けのおすすめポイントを教えてください。

黒沢 死生観の描かれ方でしょうか。生きるとか死ぬとか、生きたいとか死にたいとか、そういった欲望に対しての倫理観を大きく揺さぶるキャラクターがたくさん出てきます。極端な登場人物ばかりで、そこに正義がないというのもいいなって。己の欲、わがままを発言するキャラクターばかり。一般的な正義ではなく個人的な正義が前提としてあるというのは、オトナのためのお伽噺的な意味でおすすめできるポイントだと思っています。

ーー作品に漂う艶や色気。こちらも大人向けを意識しながら演じたのでしょうか?

黒沢 出そうと思って出せるものではないので、私には無理(笑)。ただ、収録が終わってから「なんかエロいな」とは思いました。アフレコの時は、「うっふーん」とわかりやすいマークとして完成されている色気ではなく、死が漂う時の生命力という方面の色気は意識しました。たとえば、戦争映画で人間ドラマに寄った作品に感じるエロさに近い、血生臭さのある色気、命の危機感があることにより漂う色気、そんな感じです。

ーー(アフレコ時の)2022年最難関になる作品と感じていたとのこと。アフレコを終えた今、本作は黒沢さんにとってどのような作品になりましたか?

黒沢 すごく大きなきっかけになる作品になるのではと思っています。まだ自分の芝居を客観的に見られてはいない段階ですが、アフレコ中に感じたのは怖いものがどんどん見えてくる収録だったということ。まさに「大人の階段昇る♪」みたいな感覚でした。

ーーここでもキーワード「大人」の登場ですね。

黒沢 今までの自分は怖いもの知らずだったことを認識しました。怖いものが見えてしまってからは、台本を開くのが怖かったし、芝居って難しいものだと心から思いました。エンターテインメントには正解がないと言うけれど、それでもある程度の正解はあると思って生きてきました。ひとつひとつ扉に向かって走り続けてきたけれど、ついに扉がなくなってただ暗闇のトンネルが広がっているのが見えるような感じというのでしょうか。きっと(怖いものが)見えるだけの山に当たってなかったと思うと、未熟さも感じました。難関になると思って挑んだらやっぱり難関で。

ーーどう乗り越えたのでしょうか?

黒沢 心が折れていたところでアフレコに参加してくださった三木(眞一郎)さんや相沢(まさき)さんが、一緒に現場で悩んでくれたのが救いでした。960年以上生きる鴉夜に比べたら、私は10分の1くらいしか生きないだろうけれど、この作品で俳優としての果てのなさや課題のようなものがじんわりと沁みてきました。演じていく中で感じた鴉夜の果てのなさを自分の中にも見つけ、これから私がどう生きるかも考えさせられる作品でした。

ーー本作も楽しみですが、本作を乗り越えたあとの作品も楽しみになりました!

黒沢 まずは、本作を存分に堪能していただきたいです。戦闘シーンや色彩の不気味感も見どころになっていると思います。第1話は見世物小屋のシーンから始まりますが、まさに見世物小屋にいる気分で楽しめる作品です。夏なので肝試しのような感覚で、夜に部屋を暗くして楽しんでいただけるとうれしいです。

(取材・文/タナカシノブ)


【アニメ情報】

■アンデッドガール・マーダーファルス

<放送情報>

2023年7月5日よりフジテレビ「+Ultra」ほかにて毎週水曜24:55〜放送

※放送時間は変更の可能性あり

<放送局 /放送日時>

フジテレビ 7月5日より毎週水曜24:55~

関西テレビ 7月6日より毎週木曜26:25~

東海テレビ 7月8日より毎週土曜25:45~

北海道文化放送 7月9日より毎週日曜25:10~

テレビ西日本 7月5日より毎週水曜25:55~

BSフジ 7月12日より毎週水曜24:00~

AT-X 7月9日より毎週日曜23:00~

※毎週(木)29:00、毎週(日)8:00にリピート放送あり

<配信情報>

2023年7月6日より毎週木曜日正午からdアニメ/U-NEXTで先行配信

【先行配信サービス】

dアニメストア

dアニメストア ニコニコ支店

dアニメストア for Prime Video

U-NEXT

2023年7月9日より毎週日曜日正午から各事業者で順次配信開始予定

【見放題サービス】

・ABEMA

・Amazon Prime Video

・Disney+

・DMM TV

・FOD

・J:COMオンデマンド

・milplus

・アニメ放題・ニコニコ動画

・バンダイチャンネル

【都度課金サービス】

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・Google Play

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