【2023夏アニメ】頼れる座長・福山潤とのバディ感が見どころのアニメ「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」本渡楓(ラッミス役)インタビュー

異世界転生モノは数あれど、自動販売機に転生する作品というのは稀有だろう。タイトルからインパクト抜群の作品「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」(原作:昼熊/角川スニーカー文庫刊)が、2023年7月5日よりTVアニメとして放送される。

自販機マニアが転生した、主人公であり自動販売機であるハッコンを福山潤さん、ハッコンのパートナーである元気ハツラツなハンターの少女・ラッミスを本渡楓(ほんどかえで)さんが演じる。

今回、アキバ総研では、ラッミス役の本渡さんにインタビューを実施。インパクトのある本作の印象や魅力、ラッミスの演じ方はもちろん、福山さんとの共演についてもうかがった。



■自動販売機がこんなにありがたい存在だと気づきました

――「自動販売機に転生」という一文を見て、正直どう思いましたか?

本渡 見間違いかな? と思いました(笑)。もう1回見てみよう……あ、やっぱり自動販売機だ! みたいな。「異世界転生」はとても人気で、私も好きなジャンルのひとつですけど、ここまで来たかという感想でしたね。唯一無二だと思うし、オーディションでこの作品に出会ったときに「この出会いを逃したくない!」となるぐらいのインパクトでした。タイトルから絶対に面白いだろうと感じましたし、実際に原作を読み進めてみたら本当に面白かったので、より熱を込めてオーディションに臨みました。

――どういう発想やきっかけで、自動販売機に転生するなんて思い浮かぶのでしょうね。

本渡 先生がめちゃくちゃ自動販売機のことを好きだとか…(笑)想像ですけど。

――原作の昼熊先生は、本作の前には畑に転生する作品(2015年連載「俺は畑で無双する」)も書いていますね。

本渡 先生(の想像力)がすごいんですね! ゼロから生み出す人ってすごいです。

――そんなインパクト抜群の本作ですが、読んだ感想をもう少し詳しく教えてください。

本渡 「迷宮を彷徨う」とあるように、さまざまな階層がある異世界の迷宮にはモンスターがいて、討伐グループがいて……という中で、戦ったり駆け引きがあったり、人間関係を育みながら切磋琢磨していきます。ラッミスは自動販売機のハッコンを背負っていくんですけど、こんなにも自動販売機って便利なんだ! と思いました。

自動販売機といっても、飲み物だけではなく食べ物やお菓子など、いろいろなものが出てくるんです。冷たいものも温かいものもすぐ出てきて、栄養もとれる。異世界での需要にピッタリはまるんですよ。普段は身近すぎて深く考えたことはなかったですけど、こんなにありがたい存在だったんだと気づきました。

――海外からの観光客のお目当てになっていたこともありますからね。こんな自動販売機は日本にしかないと。

本渡 そうみたいですね。この作品も海外の方がすごく楽しみにしてくださっているんですよ。

――本渡さんが演じるのは、その自動販売機ではなく、自動販売機のパートナーとなるラッミスです。いきなりですが、ラッミスってなかなか言いにくい名前ですよね?

本渡 みんなに言われます(笑)。めちゃくちゃ言いにくくて、オーディションでとまどってしまいました。キャストの間でも話題になったんですよ。みんな「ラッミス……ラッミス」とそこだけ練習していることもあって(笑)。

この作品は、ラッミスだけじゃなく、あまり聞かない名前の人が多いんです。ハッコンも、もとは日本人だと思うんですけど、異世界に来ちゃった感が名前の響きから感じられますよね。

――小さい「ッ」の位置は一緒でも、ハッコンのほうは言いやすいですよね。

本渡 言いやすいです。ラッミスは、小さい「ッ」のあとに「ミ」と口を閉じなくちゃいけないのが難しいですね。

■関西弁風のしゃべり方は新たな挑戦でした

――ラッミスの魅力は、本渡さん自身はどういうところだと思われますか?

本渡 見た目からしてすごくかわいくて、原作を読む前にビジュアルを見た時は、きっと天真爛漫で明るくて、やさしい子なんだろうな……と思っていたら、本当にそういう子でした。それに加えて、実はものすごく怪力なんですよ。キービジュアルでもハッコンを背負っていて、見た目とのギャップがあります。でも、ラッミスは自身の怪力を大好きで大切な仲間のため、幸せな暮らしを続けるために使うんです。本当に尊敬に値する心の持ち主だなって思いました。

あと、テンションがあがると不意に出る、関西弁風のしゃべり方もすごく意外でした。オーディションでも「どうしよう……私、関西弁をしゃべったことないな。どのぐらいの正確さを求められるんだろう?」って緊張しながら受けたんですよ。

――これまでさまざまな役をやられてきましたが、関西弁の役はなかったのですね。

本渡 そうなんですよ。佐賀や香川、広島といった、方角としては近いところの方言は(役として)しゃべったことがありますし、お笑い芸人さんやテレビから聞こえる音として関西弁になじみはありました。でも、いざやってみると、なによりも難しかったですね。音階はどれが正解なんだろう? となっちゃって。

――なんとなくでやると、エセっぽく聞こえますからね。異世界ですから、本物じゃなくていいのかもしれませんが。

本渡 やっぱり知っている人の多い有名な方言ですから、せっかくならちゃんとしたい気持ちがありました。

――大変であるのと同時に、役者としては初めてのことに挑戦できたわけで。

本渡 はい。新しい挑戦ができることは、いつも嬉しいです。今回も、現場でわかる方に教えていただきながらやりました。

――現場だと、どなたに?

本渡 キャストではハッコン役の福山さん(大阪府出身。出生は広島県)ですね。知識もすごく詳しくて、「関西弁ってこういうところあるよね」「ここに気をつければ言えるんじゃない?」などと教えていただきました。

まずは自分なりの想像でテストをやってみて、違うときは福山さんだけでなく、音響さんの部屋から「こっちにわかる人がいます。今から言ってもらいますので、メモしてください」と言っていただくこともあって。その人が「なんとかやねん」みたいに大きな声で言ってくださるのを聞いて、台本に(イントネーションがわかるような)矢印やグラフのようなものを書いて、やってみる。違ったらまた聞いて、もう一度やる……を繰り返しました。第1話の早い段階から方言チックなセリフが出てきますので、ぜひ注目してもらいたいです。

■素晴らしい役者であり座長である福山潤のすごさ

――福山さんとは、基本的に一緒に収録できたのでしょうか?

本渡 はい。できる限り同じ時間帯に(スケジュールを)組んでくださいました。ありがたかったです。

――福山さんは演技のすごさは言わずもがなですが、座長としての場の作り方も達者ですよね。サービス精神が旺盛ですし。

本渡 本当にサービス精神がありますよね。

――今回、一緒に録ってみてどうでしたか?

本渡 こういうバディ的な存在としてガッツリご一緒するのは初めてだったので、ちょっと緊張していたんですけど、始まってみたらめちゃくちゃいっぱい話してくださいました。ただでさえハッコンはほかの人より何倍もしゃべるのに、待ち時間でもたくさん話してくださりました。地域の隠れ方言のこととか、自動販売機の話題とか、居心地のいい空間を作ってくださいましたね。

――福山さんがハッコンの声を当てたのを聞いて、いかがでしたか?

本渡 そもそもハッコンってどんな声でどんなしゃべり方をするんだろう? と思っていたんですけど、現場で福山さんが声を当てられた瞬間、「あ、ハッコンがいる!」と本当に思えました。無機物の声をバチンと当ててくるってすごいですよね。

自動販売機の「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」といった定型文は第1話のときに収録したので、それ以降に福山さんが当てられたのは「人間としてのモノローグ部分」ではあります。でも、それを真剣に遊ばれていて、ずーっと聞いていてもちっとも飽きないどころか、むしろもっと聞きたいと思わせてくれるんです。自動販売機だけど、すっごく表情豊かだなと感じさせるお芝居、ハッコンってこんなにかわいいんだなと思えるお芝居をされていて本当に素敵でした。

――いまも完全に全員一緒ではないにせよ、ここ数年は分散収録でしたから、そうやって直接先輩のお芝居や立ち居振る舞いから学ぶことは大きいですよね。

本渡 大きいですね。一緒の空間で録ることでしか知れないものって山ほどあって、勉強になることばかりです。台本とV(事前に確認や練習をするための映像)をいただいて、自分で読む時にほかのキャラクターにもふわっと声を当てていたんですけど、(実際のアフレコでは)想像していない感じにセリフを言われることも多々あって。ときにはアドリブをいれたり、急にダジャレを足してきたりして、笑っちゃいけないのに笑っちゃうこともありました。一緒に録ることができて、本当によかったですね。

■本渡楓が欲しい自動販売機は……?

――休憩時間などには自動販売機の話になったそうですが、どんなことを話していたのですか?

本渡 やっぱり珍しい自動販売機の話題になりましたね。「こういうものが売っている自動販売機見たことある?」「ある! どこどこの通りだよね」とか。知らないとこだったら、メモって行ってみようって。自動販売機のことが自然と好きになるような雰囲気でしたね。

あと、これはただの願望なんですが、「ハッコンの声でしゃべる自動販売機が全国に普及したら、夢のようだよね」とみんなで話していました。しゃべる自動販売機はありますけど、そんなに多くないですよね。それが全部、福山さんの声だったらいいなぁと(笑)。

――夜道でいきなりしゃべりだしたら怖そうですけど(笑)。では、本渡さん自身が最近気になったり驚いたりした自動販売機はありますか?

本渡 冷凍のラーメンが自動販売機にあるのはビックリしました。まだ買ったことはないんですけど、カレーとかもあるみたいです。

※外部リンク:オリジナルラッピング冷凍自動販売機 “ハッコン”が期間限定で設置される。

――食べ物系は驚きますよね。サムゲタンの自動販売機に出会ったときは二度見しちゃいました(笑)。

本渡 押したらサムゲタンが出てくるんですよね?(笑)

――たぶん、そうだと思います。

本渡 あと、見かけるとやっちゃうのは、自動販売機と言っていいのかわからないですけど、ガチャガチャの自動販売機です。ペットボトルのところにフィギュアとかのシリーズが並んでいて、ボタンを押すとそのシリーズの中からひとつがランダムに出てくるんですよ。それがすごく楽しいです。

――面白いですね。本渡さんだったらすっごく辛いものが並ぶ自動販売機とかどうですか? 段階的に辛くなっているとか。

本渡 欲しいです!

――きっと一番辛いのから行きますよね?

本渡 まずマックス(一番辛いもの)を行こうと思います(笑)。あったら絶対に買います! いや、あってほしいです!!

――そういう自動販売機トークも楽しみにしています。最後に、第1話や今後の見どころをお聞かせください。

本渡 第1話からいろいろなドラマが起こります。ラッミスとハッコンの出会い方もこの作品ならではですし、方言(のようなしゃべり方)もがんばりました。自動販売機という無機物に出会ったラッミスはすごく動揺して、たくさん方言が出てくるんです。そこもかわいい一面なので、ぜひ見てほしいです。そして、異世界の集落でハッコンは自動販売機として何をどう提供するのか、提供したことでどうなっていくのか。第1話以降もさまざまな仲間や敵が出てきて、ハッコンとともにラッミスも成長して素敵な子になっていきますので、応援していただければ嬉しいです。



(取材・文・撮影/千葉研一)


【アニメ情報】

■自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う
<放送情報>
・2023年7月5日(水)放送開始

 TOKYO MX:毎週水曜22:00~
 BS日テレ:毎週水曜24:30~ 
 AT-X:毎週水曜 22:00~(リピート放送:毎週(金)10:00~、毎週(火)16:00~)


<配信情報>
・2023年7月5日(水)配信開始

 dアニメストア、DMM TV:毎週水曜22:00~地上波同時・最速先行配信
 U-NEXT・アニメ放題:毎週土曜22:00~
ほか各プラットフォームで順次配信
ABEMA、FOD、Hulu、J:COMオンデマンドメガパック、Lemino、milplus見放題パックプライム、Prime Video、TELASA、スマートパスプレミアム、ニコニコ、バンダイチャンネル、HAPPY!動画、クランクイン!ビデオ、ムービーフルPlus



<スタッフ>

原作:昼熊「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」(角川スニーカー文庫/KADOKAWA)
監督:秋田谷典昭
シリーズ構成:髙橋龍也
キャラクター原案:憂姫はぐれ
キャラクターデザイン:酒井孝裕
モンスターデザイン:あきづきりょう
副監督:高橋雅之
総作画監督:山内尚樹、田津奈々子、津幡佳明
サブキャラクターデザイン:コレサワシゲユキ(デジタルノイズ)、灯夢(デジタルノイズ)
自動販売機デザイン:小高みちる(デジタルノイズ)、刻田門大(デジタルノイズ)
色彩設計:鈴木ようこ
美術監督:岩瀬栄治(スタジオちゅーりっぷ)
撮影監督:魚山真志(チップチューン)
編集:坪根健太郎(REAL-T)
音響監督:郷文裕貴
音楽:浦木裕太 高橋慶多

プロデュース:スロウカーブ
アニメーションプロデューサー:富岡哲也
アニメーション制作:Studio五組xAXsiZ
製作:「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」製作委員会


オープニングテーマ:BRADIO「ファンファーレ」

<キャスト>

ハッコン:福山潤、ラッミス:本渡楓、ヒュールミ:青木志貴、シュイ:富田美憂、」ケリオイル:中井和哉、フィルミナ:茅野愛衣、熊会長:宮内敦士、赤:山下大輝、白:榎木淳弥、ミシュエル:江口拓也 ほか

© 昼熊・KADOKAWA/「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」製作委員会

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