「Yu-Gi-Oh! World Championship 2023」最速レポート! 「遊戯王 マスターデュエル」も加わった4年ぶりの世界大会では、ハイレベルなデュエルが展開

コナミデジタルエンタテインメントは2023年8月5日~6日、東京ビッグサイト(国際展示場) にて「Yu-Gi-Oh! World Championship 2023」を開催した。「遊戯王カードゲーム」のトップデュエリストを決める大会で、厳しい予選を勝ち抜いた猛者たちが世界最高峰の戦いを見せた。


「Yu-Gi-Oh! World Championship(以下、WCS)」は2003年から開催されている「遊戯王カードゲーム」の世界大会。2019年にドイツで開催された後は、新型コロナウイルスの影響や世界情勢を鑑みて開催が見送られてきたが、今年2023年に4年ぶりの復活を遂げた。競技タイトルは、これまでの「遊戯王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ」「遊戯王 デュエルリンクス」に、今年から採択された「遊戯王 マスターデュエル」を加えた3つ。4年ぶりの開催かつ「遊戯王 マスターデュエル」の初代王者が決まる大会というわけで、ファンの注目度も例年以上のものとなっていたのだ。本稿では「遊戯王 デュエルリンクス」「遊戯王 マスターデュエル」の2競技について、8月6日に行われた決勝戦の様子をお伝えしていこう。

左からPaulie Aronson選手(オフィシャルカードゲームの部)、チーム「snipehunters」(マスターデュエルの部)、Yukoo(Lee Jonghwan)選手、Takagi(Jian Yu Jiang)選手(デュエルリンクスの部)、チーム「Team 7」(マスターデュエルの部)、Juan Mateo Augusto Renteria Pastor選手(オフィシャルカードゲームの部)

8月6日の大会は、和楽器バンドとダンスのパフォーマンスとともに開幕。尺八、琴、笛によって奏でられる美しくも勇壮な音色と、ダンサーたちのLED装飾が闇に輝くサイバーなダンスパフォーマンスが調和する中、場内は解禁された歓声や手拍子で盛り上がる。新型コロナウイルスの流行下では考えられなかった光景と言えるだろう。

「遊戯王 デュエルリンクス」

「デュエルリンクスの部」決勝戦は、Yukoo(Lee Jonghwan)選手とTakagi(Jian Yu Jiang)選手が激突した。

なかでも注目を集めたのが、プレイ歴わずか3年のTakagi選手。KCカップの上位にランクインした選手に「KCカップポイント」を付与、その合計が多い選手たちに世界大会の本戦参加権を付与する新制度においてランク4を獲得。猛者揃いの準決勝戦を制して決勝戦に駒を進めてきた。

Yukoo(Lee Jonghwan)選手

Takagi(Jian Yu Jiang)選手

第1試合はお互いの罠カードが入り乱れるスリリングな展開となった。まずはYukoo選手が「煉獄龍 オーガ・ドラグーン」の能力(手札が0枚なら相手が発動した魔法や罠カードを無効化できる)で相手の魔法や罠カードを牽制。しかしYukoo選手の手札があるのを見計らってTakagi選手が「大捕り物」を発動。その能力でYukoo選手の「煉獄龍 オーガ・ドラグーン」をコントロールすることにより、自分の魔法や罠カードを使えるようにしてから猛攻を開始。試合時間にして6分ほどでスピード勝利を決める。

第2試合、Takagi選手は「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」「クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン」のWエース体制。ターン3、Takagi選手が「クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン」で仕掛けた際、今度はYukoo選手が「大捕り物」を発動するも、Takagi選手は「禁じられた聖槍」でこれを無効化しつつダイレクトアタック。続く「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」でYukoo選手のLPをゼロにして連勝する。

両者の意地がぶつかり合うようなデュエル。第3試合では消耗戦をTakagi選手が制し、3-0のストレートでWCS 2023「デュエルリンクスの部」の王者となった。試合後、精も根も尽き果てたという感のTakagi選手の姿が印象的だった。

「マスターデュエルの部」


今年からの開催となった「マスターデュエルの部」は、3人チームでの対戦。3対3のデュエルが同時進行する形でラウンドが進み、これを最大で3ラウンド繰り返す。その中で先に5回勝利した側のチームが優勝となる。3人チームによる総当たり戦だけに、仲間同士の協調が重要。試合中だけでなく、ラウンドとラウンドの間に設けられた10分のインターバルにも選手同士の会話が許されているため、相手のデッキなどさまざまな情報を共有することができるのだ。また、オンライン予選を勝ち抜いた8名がそれぞれチームリーダーとなり、2名の仲間を指名してのチーム編成や、全てのデッキに3枚まで共通のカードを入れられる「シェアカード」など、チームでの戦いを盛りあげる数々の取り組みが話題を呼んだ。

チーム「snipehunters」は、チームリーダーのJosh(Joshua Schmidt)選手とEmre(Emre Kizilates)選手がドイツ、QuantalThink(Jack-Rory Steenkamer)選手がオランダ。対するチーム「Team 7」は、チームリーダーのRaye(Raymond Dai)選手がアメリカ、Karmano(Ryan Yu)選手とJesse Kotton(Jesse Kotton)選手がカナダという編成だ。なかでもKarmano選手はWCS2017の「小学生の部」においてプレイ歴2年で優勝したという人物。それから6年を経て「マスターデュエルの部」で再びWCSの決勝戦に立ったというわけで、シリーズが積み上げてきた歴史の長さがうかがえる。

チーム「snipehunters」、左からJosh(Joshua Schmidt)選手、QuantalThink(Jack-Rory Steenkamer)選手、Emre(Emre Kizilates)選手

チーム「Team 7」、左からJesse Kotton(Jesse Kotton)選手、Karmano(Ryan Yu)選手、Raye(Raymond Dai)選手

ラウンド1はJosh 選手とRaye選手のリーダー対決が注目のポイント。「snipehunters」が2勝、「Team 7」のRaye選手がリーダーの意地で1勝をもぎ取った。


このまま「snipehunters」が3連勝すれば勝敗が決するというラウンド2だが、今度は「Team 7」が2勝、「snipehunters」が1勝とラウンド1を逆にしたような展開で3対3のタイに。なかでもQuantalThink選手対Jesse Kotton選手戦は、ティアラメンツデッキどうしの激突となったが、Jesse Kotton選手の「妖精伝説-シラユキ」が大活躍。みずからの手札をギリギリまで使って「妖精伝説-シラユキ」をフル稼働させ、勝利をもぎ取った。Jesse Kotton選手は最も好きなカードとして「妖精伝説-シラユキ」をあげているが、彼女を信じてともに戦い抜いたというわけだ。

泣いても笑っても決着となるラウンド3、Emre選手対Karmano選手戦ではEmre選手が勝って4-3で王座にリーチをかける。そしてQuantalThink選手対Raye選手戦ではQuantalThink選手が相手チームリーダーを下し、5-3の成績で「snipehunters」が初代王者となった。

なお、この日は2つのサプライズ発表も行われた。

ひとつは「遊戯王 デュエルリンクス」の新ワールド実装。2023年9月28日には、2020年に放送されたアニメ「遊☆戯☆王SEVENS」ワールドが追加され、同作内で大量ドローや連続召喚を特徴とする「ラッシュデュエル」がプレイできるようになる。プロデューサーの寺嶋秋津氏によれば、従来の「スピードデュエル」もそのままプレイ可能で、今後は「スピードデュエル」「ラッシュデュエル」の二軸で作品を展開していくとのことだ。

プロデューサーの寺嶋秋津氏

もうひとつは、来年2月に東京ドームにて行われる大会である。2024年2月3日~4日に、シリーズ25周年を記念した「遊戯王デュエルモンスターズ 決闘者伝説 The Legend of Duelist QUARTER CENTURY」が開催されることが告知された。なお、詳細については今後の発表を待とう。

世界各地から集った猛者たちが戦い抜いたWCSだが、今後もさらなる熱いデュエルが期待できそうだ。

©スタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・KONAMI ©Konami Digital Entertainment

おすすめ記事