【プラモレビュー】中国製プラモはここまできた!童友社「THE ENTROPY OF TITANS 雷神」は、可動もプロポーションもギミックも充実の最強キットだ!
社会人ともなると忙しい毎日の中で積みプラが増えてしまいがち……。そんなあなたに代わって、ロボット&プラモデル大好き声優の泰勇気がプラモデル製作に挑戦するのが、この連載!
コンセプトは「忙しい社会人でも、週末の休みを使えばここまでできちゃうよ」。ルールは素組みで、1~2日の制作期間の2点のみ! この連載を読めば、きっとあなたの作ってみたいプラモデルと出会えるはずだ。
というわけで、「声優・泰勇気の週末プラモ!」第81回スタート!
泰勇気の週末プラモ 第81回 1:100 NONZERO SERIES - THE ENTROPY OF TITANS 雷神 NZS-05-3
昨今、国内外のさまざまな模型メーカーから、原作のないオリジナルのキャラクターキットが多数発売されています。美少女だったりリアルメカだったりスーパーロボットだったり、本当に多種多様ですが、今回ご紹介するのは日本の老舗模型メーカーのひとつである童友社が、中国メーカー・HEMOXIANより輸入販売する「1:100 NONZERO SERIES - THE ENTROPY OF TITANS 雷神 NZS-05-3」(以下、雷神)です。
童友社は先日レビューした「オプティマスプライム」をはじめ、「ニューゴッドフェニックス(科学忍者隊ガッチャマンII)」や、美少女キットシリーズの「ATKガール」、「FANTASYGIRLS」など海外メーカーのプラモを積極的に輸入販売しており、今回の「雷神」もそのひとつとなります。
オリジナルロボットとは言いつつも、しっかり世界観や機体設定などが存在しており、シリーズ化もあり得そうな「雷神」。それではご紹介してまいりましょう。
まずこの箱のインパクト! 左上に「初回特典.VER」とあるように、初回版には特典が付属しています。
箱の中には、プラキットのランナー以外にも気になる物がいくつか入っていました。
ボタン電池と小さな基板。こちらを組み込むだけで、雷神の頭部に発光ギミックを内蔵させることが可能となります! 最初から用意されているのはすごいです。
水転写式デカールも付属。そこそこ点数があるので今回のレビューでは貼り付けられませんでしたが、後日、個人的に展示会などに飾る際には貼り付けたものを用意しようと思います。
本体が完成した後に残る、余剰パーツがあります。クリアパーツは、この無色のものとクリアオレンジのものが1枚ずつ付属。パーツ構成は同じで、通常の組み立てで使用するのはクリアオレンジの方でした。無色のクリアパーツを、好きなクリアカラーで塗装すれば雰囲気の違った完成品となるので、色違いを楽しむのもアリです。
左端の丸いパーツは本体の胸部に使用するもの。こちらも好みで選択してもいいかもしれません。
さらに初回特典パーツが、こちらの厚紙に挟まれています。その中身は…
布製のマント! マント上部にはリード線のような金属線が通っているので、ある程度の表情付けをコントロールすることもできます。
ロボットにマント。くぅ~! わかってるぅ~!
本体をチェック!
それではまず武装を取り付ける前の、本体完成状態からご覧いただきましょう。
リアルロボットなデザインラインと、スーパーロボットな体型をあわせ持つ、不思議な魅力を持ったロボットです。
装甲、関節の処理なんかは非常にリアルだなと感じつつも、胸部に「雷」を連想させるパネルが配置されていたり、非常に筋肉質に見える体型であったりと、ひと言では言い表すことができない存在感があります。
武装以外にも、平手や武器持ち手のほか、市販のスタンドなどを使用してディスプレイする際のアタッチメントパーツなどが付属します。
箱絵にある通り巨大なハンマーを扱うので、可動指では保持力が圧倒的に足りなくなるので、差し替えパーツがあるのは嬉しいところです。
続いて可動範囲をご紹介。
首はボールジョイント接続なので基本的にグリグリ動くのですが、さらに首の台座部分も前後に傾くように可動するので、顔をほぼ真上、真下に向けることができます。
腰の可動も非常に優秀で、特に前方向への屈伸はこんなにも深く曲がります。めいっぱい深く前に倒しても、背中側に大きな隙間が生じることはありません。
また右側の画像の矢印2か所で回転が可能となっています。下の矢印部分は腰部との接続部のため軸回転が可能。上の矢印部分も左右にひねることができるのですが、その際に腹部の装甲も連動します。メカなのに、非常に生物的な動きです。
またフロントアーマーは、ご覧のように大きく前方に倒すことができるなど、動きすぎるほどよく動きます。
腹部で横方向への屈伸も可能。
肩のスイング可動は、ボディ側が一部スイングするうえに、肩の関節を引き出すことでこんなにも大きく肩を前に向けることができます。
このほか、肩の接続軸での回転可動や腕を水平に持ち上げることも難なく可能です。このクラスのキットならそのくらいは当たり前、ということもあり、写真は省略させていただきました。
腰部のアーマー関連も「そんなに動かします!?」と思うくらい、よく動かせる構造になっています。
フロントアーマーは先述のように自由に可動するうえに、さらに腰との接続軸部分を中心に左右に振ることもできます。
サイドアーマーはリアアーマーにボールジョイントで接続。抑えたパーツ数ですぐれた可動を確保しています。
リアスカートは、サイドアーマーとの接続基部ごと上下にスライド。またリアアーマー自体もボールジョイント接続で、このようにあまりほかに例を見ないほどの可動を誇ります。
肩アーマー上部ユニットには、スラスター展開ギミックを内蔵。
そのスラスターは肩アーマーにボールジョイント接続しているので、前後に回転させることができます。
また肩アーマーの白い装甲部分が二層構造になっており、肩前方のパネルと上面部分が肩の接続軸を利用して、それぞれ独立して回転します。
サイドの装甲が跳ね上げられるのは、もはや当たり前。
肘関節にも連動ギミックを内蔵。上腕と肩の接続部でのロール回転も当然可能です。
手首周りがまた面白く、前後にスナップがきかせられるだけでなく、横方向へスナップを効かせることも可能。また手首の付け根部分ごと回転することも可能なので、かなり自由にポージングできそうです。
ハンドパーツは指を差し替えて交換できるだけでなく、親指を根本から起こすことができるほか、親指と人差し指の着脱部でロール回転させることが可能です。
膝関節も、すね、太もも、ふくらはぎにいたるまで、複数のパーツが連動して可動。そのうえ、ここまで深く曲げられます。
くるぶしあたりの左右の大きな装甲は、足首を傾けると連動して上下して足首の関節が露出するのを防ぎます。
また足首もつま先部分が独立して可動。接地表現に役立ちそうです。
こんな格闘ポーズなんて朝飯前。
胸部のパネルは「ゴッズ・サンクション」という必殺の一撃の武装。
なるほど!
ひざ裏には隠し武器としてパイルバンカーの「ストライク・ガンネイル」を内蔵。引き出して使用している状態も再現可能。
そして股関節のこの可動範囲のすごさ! アーマー類の可動の工夫がこういったところにいきてきます。
片膝立ちは、膝周りがちょっとゴツイので、コツがいりますが可能。
走り出しのこんな微妙なバランスのポーズでも、足首を大きく可動させて立たせることができます。
両手を平手に交換してみました。ご覧のような大胆な構えもかっこよく決まります。
バランスを取れば、こんなハイキックも可能な、股関節の開脚性能。
冒頭の基板を内蔵した頭部。スイッチもデザインの中に落とし込まれているので、見た目を損ねません。
スイッチを入れることで、額と両目のクリアパーツに光が灯ります。これを無改造で楽しめてしまうというのですからありがたい限り! 電池も付属していたので、完成したらすぐ試せます。
ギミック満載の各種装備!
続いて、各武装を装備させていきましょう。
両腕に「ZDF式2連装マシンガン・フラッシュブレイカー」を装備。
おそらくこちらがメイン武装になるのでしょう。エネルギーを貯めて一気に放出する攻撃なんかもできそうです。
次はバックパック。これだけでも支援機のようにも見えます。
雷神本体の、背中のハッチを開くと、中に四角いジョイント穴が現れます。
その穴にバックパックを接続。フタのパーツもじゃまになることなく、バックパックの中へ納まります。
こちらがバックパックまで装備した雷神の姿。
割と大きなバックパックを背負っているにもかかわらず、ボディのボリューム感のおかげで自然になじんでいるように見えます。
後ろから見ると、やはりバックパックの巨大さがわかります。それでももちろん自立が可能。
曲面も見えた背中でしたが、バックパックを装備すると一気に角ばったメカニカルな印象になります。
バックパック両サイドのユニットは「試作型プラズマキャノン」。
推進システムなども兼ねているのかもしれませんが、こう見えて武装です。両サイドが展開。伸縮も可能です。
バックパックもよく動きます。
後ろに畳むこともできますし……
展開してキャノンの砲口を後方に向け、推進器のようにすることもできます。
背中の2門のキャノン砲「試作型高収束電磁レールガン・梅金吉奥德(読めない!)」は、後ろに倒すこともできます。
さらに砲身が伸縮可能。バックパックとの接続部はボールジョイント接続なので、ある程度自由に角度をつけることもできます。
両腕のマシンガン、バックパックのプラズマキャノンと電磁レールガンと、すべての兵装を前方へ向けての一斉射撃ポーズも迫力があります。
プラズマキャノンはバックパックから取り外し、アタッチメントパーツを間に組み込むことで、腕部のマシンガンの位置に取り付けることも可能。
デカい! 強そう!チャージングハンマー・ミョルニル!
そして最後に、パッケージにも描かれていた巨大なハンマー「チャージングハンマー・ミョルニル」のギミック。
ハンマーの間にあるダイヤルを回転させることで、
ハンマーと先端部分が伸縮します!
グリップ部分に連動ギミックなどはないものの、持たせやすいように展開することができます。
武器持ち手への取り付けは、手首側の接続ピンをハンマーの柄の部分にある溝に差し込んだうえに専用の指で押さえ込むので、保持力はかなり高いです。
ただ大きくて重いので、ポージングには少し苦労しました。
本体の身長をも軽く凌駕する長さのミョルニル。ですが、そんな武器さえも力強く扱うのだろうなと想像できる雷神のたくましさよ。デザインの勝利!
手首の説明でも触れた通り、手首は横方向にスナップをきかせることができるので、手首の角度でハンマーの重さを表現することもできます。
片手で扱うことができそうな機体ですが、両手で構えてもかっこいいです。
「どぉぉりゃあああああ!!!!」という声が聞こえてきそうな勢いで、ハンマーを振りかぶる雷神!
並みのメカなら、ぺしゃんこでしょう!
初回特典のマントを装備
そして最後に「初回特典」装備のマントを羽織った姿を披露!
肩アーマー、バックパックと本体の間、肩の付け根にセットして装着します。なので一部のパーツは、いったん分解する必要があります。
万との破れた感じとか本当によく表現されています。このボロボロ感が単騎で戦い抜いてきた雷神の活躍を連想させます。
後ろ姿。
布製ならではの存在感。
腕組みっぽいポーズ。これで高いところから登場したら、もう完璧です。
パッケージには内ブタが1枚入っており、裏返すと岩場の背景が描かれています。撮影用としても展示用としても使えますので、どんどん使ってどんどん写真を撮影し、カッコイイ姿をSNSに投稿してみてはいかがでしょうか。
またマントの上端にはリード線のようなものが内蔵されているので、このようにある程度の表情付けも可能です。
汚し塗装をプラスひと手間!
さぁ、最後に恒例の「プラスひと手間」ですが、単騎で厳しい戦いを戦い抜いてきたということは装甲の損耗もなかなかに激しいだろうと思い、ギルディングワックス(シルバー)を使ったドライブラシを施して、疲弊したヒーローロボットを表現してみました。
今回もかなり激し目に施してみました。激突などによる塗膜の削れた装甲などを表現するつもりでドライブラシをかけています。
暗い色のパーツだとわかりやすいでしょうか。
さきほどまでのプラスチック感が強かった状態から、手軽に金属感を表現することのできる「銀色を使ったドライブラシ」。ぜひ皆さんも試してみてください。
寄りで見ると、いかに激しくドライブラシをしたかがよくわかります。肩アーマーは二重構造になっているので、下段の装甲は特に擦れるだろうということなんかも想像しながらやっています。
ドライブラシは、テクニックを知ることも大事ですが、それ以上に発想力と想像力によってどのような場所を汚すのが適切かを考えることも大切。想像力をふくらませて挑戦してみてください。
雷神の紹介は以上ですが、雷神といえば風神ですよね? 設定的に存在するのかもわからないところですが、ぜひともシリーズラインアップを充実させていっていただきたいところ。今後の展開も楽しみにしています!
童友社では今後も面白いキットの開発や輸入をすることと思いますので、また今後も手を伸ばしてみたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
ご感想、海外キットのレビューのご要望などございましたらコメント欄にてお聞かせください。
それではまた!
【商品情報】
■1:100 NONZERO SERIES - THE ENTROPY OF TITANS 雷神 NZS-05-3
・発売中
・メーカー:童友社
・価格:13,200円(税込)
・商品サイズ:全長225mm
・パーツ数:488個
・デカール付属
・接着剤不要
・塗装済み
中国の新興メーカー「HEMOXIAN」より1/100スケールのオリジナルメカプラモデル「雷神 NZS-05-3」が登場!モチーフは北欧神話に登場する雷神(トール)。武器はハンドガン×2、ジャイアントハンマー×1が付属。ジャイアントハンマーにはギミックもあり、ポーズに合わせて使い分けるのもオススメ。可動式パーツを使用することで、さまざまなポージングも楽しめるキットとなっております。
「無敵超人ザンボット3」放送開始2日前生まれ。幼少期より玩具(特にロボット)を愛し、小学生からプラモを組むようになる。声優となってからもロボット玩具・プラモ好きは変わらずアキバ総研でライターデビュー。
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