【サイン入りチェキをプレゼント】アニメ「ケンガンアシュラ」Season2配信記念！十鬼蛇王馬役・鈴木達央インタビュー前編──偉大な先輩声優たちへの唯一の恩返しとは？

熱き企業同士の代理戦争、“拳願仕合”が再び!! アニメ「ケンガンアシュラ」Season2が、2023年9月21日(木)よりNetflixで独占配信される。

「ケンガンアシュラ」はWEBサイト「裏サンデー」とコミックアプリ「マンガワン」の読者人気にて、不動の1位を誇る激アツバトルアクション漫画（原作：サンドロビッチ・ヤバ子、作画：だろめおん）。これまで5億⼈以上に読まれており、「100万⼈が選ぶ本当に⾯⽩いWEBコミックはこれだ！2018」では、男性ランキング1位を獲得。アニメのSeason1は2020年1⽉から6⽉まで地上波＋BSにてTV放送され、現在Netflixにて独占配信中となっている。

Season1で気になる終わり方をした「拳願絶命トーナメント」の行方は？視聴者を圧倒した迫力のある映像やキャスト陣の演技はSeason2でどうなるのか？そんな注目のSeason2配信を目前に、主人公・十鬼蛇王馬（ときたおうま）役の鈴木達央さんを直撃。Season2の見どころやパワーアップした部分をはじめ、座長として本作とどう向き合ってきたのか、そして豪華キャスト陣とのエピソードまで、前後編にわたってたっぷりと語っていただいた。

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「AnimeJapan 2023」で体感した本当のエンターテインメントの姿

――先日の「AnimeJapan 2023」（以下、「AJ」）のステージでは、プロレスを観戦されていました。

鈴木　個人的に「AJ」のステージの中でいちばん盛り上がっていたと思いました。

⇒【AnimeJapan2023特集】鈴木達央もリングサイドで大興奮！「ケンガンアシュラ」×「DDTプロレス」コラボマッチ～リアル拳願仕合～でビッグサイトが揺れた！

――戦っている男たちを間近で見てどうでしたか？

鈴木　プロレスって生身のエンターテインメントであり、「ショー」の部分と「格闘技」の部分が混ざりあってできあがっているものですよね。「AJ」というアニメのイベントで、プロレスラーのショー・格闘技が行われることによって、どんどん人が増えて大きな渦になっていく。まさにこれがエンターテインメントとしての究極系だなと感じました。素晴らしくきれいな形を間近で見させていただき、自分自身の帯をしめ直すよいきっかけになりました。

――生で見ると迫力がすごいですからね。

鈴木　こういったステージだしあまり痛いのも……と（手加減して）やるのではなく、思いっきりドロップキックをして、思いっきり投げて、思いっきり殴る。だからこそドキドキとワクワクと興奮がある。僕たちがフィルムを作るうえでも「このぐらいでやれば伝わるだろうな」ではなく、その先、その先を常にやっていかなければ、ゾクゾクして人を熱狂させるようなフィルムは作れるわけがないんですよ。

こういった場で話すことが全てではなく、実際にフィルムを見たときに「そりゃそうだよな」「すごかったけど見た？」と言いたくなるもの、そのうえでインタビューを見た方が「だよね」と思えるようなものを作っていかなければいけない。そう改めて思えた瞬間でした。

――集まったお客さんもみんな楽しそうにしていて。

鈴木　「AJ」なのに、プロレスのステージがすごく盛り上がっていると感じるのも面白いですよね（笑）。足を止めたくなるし、「すごい」と言いたくなる。最高ですよね。これこそが、本当のエンターテインメントの姿だと思います。

アニメ的な表現・方程式ではなく、あくまで肉体から発せられる音であり声

――そして、いよいよアニメ「ケンガンアシュラ」Season2が配信されます。まずは、王馬を演じるにあたり、どんなところからスタートしたのか振り返っていただけますか？

鈴木　あまりにも自分で補完できないことが多かったので、王馬のモデリングをやってくださっていた担当編集の小林さんに「実際に受けることを知りたいので、殴ったり蹴ったりしていただいてもいいですか？」とお願いしました。（編注：原作者のサンドロビッチ・ヤバ子さんと担当編集の小林さんはともに格闘経験者で、本作の原作コミックの格闘シーンを描く際、両者が組み手を行い検証している。アニメ版でも小林さんはモーションアクターとして制作に参加している）僕自身、ほんの少しだけキックボクシングをかじっていまして、殴るうんぬんはなんとなくわかります。その予習復習も兼ねて、受けることを知るためにハーフミットを持って（小林さんのパンチを）ガードをしたり、ローミットを持ってキックを受けたりして、どの程度の力なのか知るところから始めました。

――テレビなどで芸能人がパンチやキックを受けてオーバーリアクションをする、それはそれで演出としてアリなわけですが、本当に漏れてしまう声とはどういうものなのか知ったと。

鈴木　そうですね。実際に体験したことで、自分でパンチを繰り出すよりも受けるときのほうが難しいとわかりました。それがわかったうえで、次はどうしていくのか。それがSeason1の課題としてありました。

完成したフィルムを見て、「リアル」ではあったかもしれないけど、もっともっと人に伝わる表現としての「リアリティ」を追求したい。そこでは嘘をついたほうがいいので、ショーとしてのリアリティを突き詰めることもどんどんやるべきだと感じました。

――アニメだと、テレビとはまた違ったアニメ的なリアクションや声の出し方もあるのではと思うのですが、さじ加減は難しかったのでは？

鈴木　この作品は（戦いにおいての）手数が多く、手描きでは追いつけないところがあるからこそ、フルCGで制作しています。その動きによりリアリティをもたせるためには、息ひとつにしても技術的な面がとても大きいです。

たとえば、（作中で）気功波やエネルギー弾を出すとするじゃないですか。「（声を）こう出したらそう聞こえる」というのが「アニメ的な表現」になっていると思うんです。

ですが、本来は、どうして気功波が出ているのか、どういう気持ちで手のひらから飛び出しているのか……そういったさまざまなことで形作られるからこそ、こういう声を出さなきゃいけない。そこにリアリティが混在されているのだと思います。

僕がこの作品に関して言うのであれば、「あくまで肉体から発せられる音であり声である」。これが見ている方に伝われば（方程式通りじゃなくても）なんでもいい、となります。音として成立しているかどうかが大事な部分であり、アニメの原点回帰のようなところがあります。そこはすごく気にしながらやっていて、岸（誠二）監督からも「こういう状況・試合内容だからこそ、ここに気持ちを置いた、こういう音にしてほしい」といったオーダーが多かったです。

鈴木達央の“座長”としての矜持とは？

――その話にも繋がると思うのですが、Season1はコロナ前ということで、横ですごい先輩方がものすごい演技をされていたわけじゃないですか。そんな先輩たちを見て感じたのは、どのようなことでしょうか？

鈴木　先輩方を見て感じるというより、ハッパをかけていました。

――「かけられた」ではなく、「かけていた」？

鈴木　かけていました。だって（先輩方は）サボるので（笑）。

――（笑）。

鈴木　雑な言い方をしてしまったけれど、皆さん素晴らしい方々ですので、どうやっても合格ラインなんです。何も言われなくても合格なのであれば、それを出すに決まっていますが、僕は“それ以上”を知っているので、「それ以上を出してくれないと困る。先輩方を尊敬しているから。」「そんなものじゃないだろ！手を抜いたら駄目！」と。それが僕のスタイルです。

だから、（先輩方から）影響を受けるのではなく、「先輩方が影響を受ける」という気持ちでした。すぐれた先輩だとわかっているし、素晴らしい芝居が出てくることも知っているからこそです。

――視聴者からしたら、通常の合格ラインでもものすごい演技でしょうけど、その上がまだまだあると。

鈴木　そうです。そういったものを作り上げてきて、いまの地位にいらっしゃる方々ですから。「10割、12割、20割を出していただかないと納得いかないので困ります」という思いで、そのために僕も努力をして、尊敬の念を持ち、ひとりひとりの矜持を尊重しています。

そのうえで、「作品のことでわからないことがあれば僕に聞いてください。全て僕が答えます」「何かあれば、必ず僕が責任を持つので大丈夫です。その代わり、期待しています」と皆さんに言いました。

――素晴らしいですね。初めて主役をやる方にインタビューすると、「座長ですね」と話を振っても「初めてだから、まだ全然わからなくて」と答える人が結構いて。初々しくていいなと思うのですが、経歴の差はあれど、やっぱり鈴木さんは違うなと感じます。

鈴木　ありがたいことに僕は先輩方に育てていただき、面倒を見ていただいて、救っていただいたからだと思います。僕から先輩方に返せる唯一の恩返しです。

インタビューで上手な方のことを「すごい」と話しているのを見かけますが、僕たちが見ているものはそれだけなのだろうか？といつも思います。だって、僕が知っている先輩方はもっとすごいものを出せることを知っていますから。僕はそれが見たいですし、そのためには僕も努力をしなければいけない。「僕がこれだけやるので、よろしくお願いします」というのは礼儀であり当たり前のことだと思います。だからこそ助けていただき、僕も助ける。その相互作用だと思います。

――礼儀であり、座長としての心構えというか。

鈴木　先輩方は僕を信頼し、僕がどういう風にマイクと向き合っているのか知ってくださっています。僕はそれに一生応えていかなければいけないし、言ってしまえば、それが僕の矜持です。

――素敵な考えだと思います。

鈴木　さまざまな作品があり座長がいますから、どれが正解ということはなくどれも正解です。ですが、僕が出す答えはほかの方々よりひと味どころかふた味以上の違いを必ず求めたいです。

「この座組は誰がまとめているの？」となったときに「あー、タツだよ。だからこういう作品になったんだよ」と言ってもらうのには理由があります。この作品では「感情的な面や気持ち的な面でタツさんにやってほしいです」ではなくて「王馬は、物理的にお芝居できる方がタツさんしかいないんです」と言っていただきました。「代えられません。あなたしかいません。できる人がいないから」と。これほど響く言葉はないです。

――めちゃくちゃ嬉しいですね。

鈴木　だからこそ、もっといい作品にするために自分には何ができるのだろうと考えています。ほかにも、現場のスタッフさんから言われて嬉しかった言葉がありまして、「タツさんが来ると現場が変わります」「空気感が変わって、全てが円滑に回る」とおっしゃっていただいたことです。ただ最初から最後まで現場にいるだけで「なにもやっていないのに、なぜ？」と思いました。ですが、それだけでも空気が変わると言われるのは、座長として少しは信頼されているのかなと。これ、履歴書に書けない特技ですよね（笑）。

――ぜひプロフィールの特技欄に書いてもらいたいです（笑）。

鈴木　「特技：作品の底上げが得意です」みたいな（笑）。

インタビュー後編に続く！