【10/17発売！】「ソニックスーパースターズ」レビュー！シリーズの魅力を再認識させてくれる、懐かしくて新しいソニック最新作

セガ「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズの最新作「ソニックスーパースターズ」が2023年10月17日に発売された。

広いフィールドを超音速で突っ走る、2Dアクションとしての魅力を現行ゲーム機に継承する本作は、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の魅力を再認識させてくれると同時に、現行機のグラフィックによって描かれる美しい世界で、4人協力プレイや8人対戦など幅広い楽しみ方ができるゲームだ。

「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズは、クールな蒼いハリネズミであるソニック・ザ・ヘッジホッグ（以下、ソニック）が、超音速でステージを駆け抜けるアクションゲームだ。1991年に2Dアクションの初期シリーズが人気を博したのを皮切りに、3Dアクション「ソニックアドベンチャー」やオープンワールド「ソニックフロンティア」などさまざまな展開を見せている。また2020年には実写映画化、2022年にはアニメ「ソニックプライム」が公開されており、老若男女問わず幅広いユーザー層に親しまれている。

さらにソニックは「大乱闘スマッシュブラザーズ」をはじめ、さまざまなゲームへのゲスト出演も多く、セガの看板キャラクターのひとりと言っても過言ではない。

そんな「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズの最新作が「ソニックスーパースターズ」だ。本作は2Dアクションという初期シリーズのシステムに回帰し、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」というゲームの原点の面白さを現行機のグラフィックで描くタイトルだ。

ルールは非常にシンプルで、ジャンプで障害物を避けつつゴールへと向けて突っ走ればいい。1回転するループの小径、ソニックたちをピンボールのように吹っ飛ばすバンパー、高速で駆け抜けるトンネルといったギミックがもたらすプレイ感は、いい意味で初期シリーズのまま。これまで「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズをプレイしたことのない人も、数分も遊べばゲームになじむことができるだろう。ステージ中に置かれたリングを1個でも取っておけば、トラップに当たってもミスにならない（リングが減るだけで済む）ルールもこれまでと同様。初心者でもリングの確保を心がければじっくり攻略でき、上級者はミスなくプレイすることでたくさんのリングを持ってゴールインで高得点をゲット。プレイヤーの腕前に合わせて、幅広い層が楽しめるルールは正に老舗の味と言えるだろう。

同じステージでも、探り探りの1回目、慣れてきた2回目、タイム狙いの3回目……というように繰り返し遊ぶと楽しさが増していくのがソニック流。シリーズのウリである疾走感は上達するほどに増していき、目にも留まらぬ速度で駆け巡るのは爽快のひとことに尽きる。この疾走感と、個性的なキャラクターたちによる「固有アクション」を駆使しての攻略、ステージ内に隠された「カオスエメラルド」の探索に加え、新要素「エメラルドパワー」が繰り返しのプレイをより楽しくしてくれるのだ。

今回はクールなソニックと親友テイルス、元気いっぱいのエミー、ライバルのナックルズといった初期メンたちがプレイアブルキャラクターとして登場。固有アクションはそれぞれが持つ得意技のようなもので、ソニックは着地時に急加速する「ドロップダッシュ」、テイルスは尻尾をプロペラのように回しての「飛行」、エミーは「ハンマーアタック」「2段ジャンプ」、ナックルズは「滑空」「壁登り」といった、これまたおなじみの技が揃う。

たとえば、特定の岩壁はエミーのハンマーで壊してショートカットできるし、本来ならツタのギミックを使って突破する絶壁も、ナックルズなら「壁登り」で悠々登攀（とうはん）……と、固有アクションを駆使すれば通常と違った方法でも攻略できる。苦手なギミックに対応したキャラクターを選ぶのもアリで、初心者にもやさしい。

プレイアブルキャラクターを紹介！

ソニック・ザ・ヘッジホッグ

シリーズの主人公「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」。自由を愛するクールな彼は海外でも高い人気を誇り、日本で未放映のアニメ版が複数存在するほど。固有アクション「ドロップダッシュ」はただでさえ速いスピードをさらにアップさせる。

テイルス

ソニックの相棒「マイルス "テイルス" パウアー」。ナンバリング2作目から登場する頭脳派で、尻尾を回しての「飛行」で仲間を運ぶチームプレイはシリーズ名物のひとつ。本作ではトルネード号にソニックを乗せて登場するおなじみのイントロも健在だ。

エミー

元気で行動力バツグンな女の子「エミー・ローズ」。「ソニックフロンティア」では電脳空間に捕らわれており、アナザーストーリーでのみ使えたが、今回は最初から使用可能。「ハンマー」による高い攻撃力と「2段ジャンプ」で、ボス戦からステージ攻略まで幅広く活躍する。

ナックルズ

「ナックルズ・ザ・エキドゥナ」。熱い心を持つソニックのライバルで、真っ赤なカラーともども対照的なキャラクター。ジャンプ後の「滑空」で空中を移動でき、「壁登り」ではスピードこそ遅いが垂直の壁も登攀できる。

新要素「エメラルドパワー」！

本作で新登場する「エメラルドパワー」。ステージ内に隠された特殊なリングをくぐり、異空間に浮かぶ「カオスエメラルド」をスイングアクションで追うスペシャルステージをクリアできれば手に入る特殊能力だ。

回数制限はあるが、その効果は強烈。無数の分身でステージ内を攻撃する「アバター」でボス戦を制し、火の玉となって指定方向へ飛ぶ「バレット」を使って普段いけない高所へ行き、時間の流れを遅くする「スロー」で素早いギミックに対処するなど、いずれもステージの攻略を助けてくれる。

「カオスエメラルド」を取るにはステージ内の探索が重要。一度手に入れた「エメラルドパワー」は全員が使用できるため、探索を進めていくほどにプレイの幅も広がっていく。

異空間を移動する「カオスエメラルド」を追うスペシャルステージ。空中に浮かぶ無数のポイントに光のロープを引っかけ、ブランコのようにスイングして「カオスエメラルド」を目指す

「アバター」は無数の分身を呼び出して画面全域を攻撃。特にボス戦で有効だ

「バレット」は火の玉となって任意の方向に飛べる

また本作では、演出面にも注目していただきたい。本作のステージはこれまでのタイトルよりも広くなっているのに加え、背景でほかのキャラクターが冒険しているといった演出もあり、あちらこちらと巡るのも面白い。ボス戦では現行機のグラフィックによるパワフルな演出を見られると同時に、2Dアクションのお作法にのっとった攻略を楽しめる。時にはちょっと頭をひねらなければならないこともあり、このあたりのプレイ感は懐かしくも面白い。

後方からサメのようなボスが迫る。現行機のグラフィックが可能とした演出だ

空中から一方的に攻撃してくるボス。どうやれば攻撃できるのだろうか？デザインがメガドライブ版に見られた多関節キャラ風なのもファンには嬉しいところ

テイルスでのプレイ中、背景を見るとエミーが友達と談笑していた

本作はオフライン協力マルチプレイと「バトルモード」でのオンライン/オフライン対戦があるため、みんなでプレイすることも可能だ。オフライン協力マルチプレイは、最大4人プレイが可能で、ほかのプレイヤーと一緒にフィールドを駆け回れる。画面外に置いて行かれてもペナルティなく、さらに好きなタイミングでステージに復帰できる。「自分はツタのギミックが得意じゃないから、ここは仲間に攻略してもらおう。その代わり、スピードで駆け抜けるところなら任せてくれ！」といった、一種の分担もできる。ゲームが上手な人と一緒に遊び、お手本を見せてもらうのもアリだろう。

「バトルモード」のオンライン対戦は最大8人でプレイ可能。フィールド上に散らばる星を集めたり、大砲の弾をかわして生き残る時間の長さを競ったり、電撃弾で相手を撃ったり、ゴールまで競争したり……といった多彩なルールで対戦するのは、パーティーゲーム的な面白さがある。ここで使うロボット「メタルファイター」は、頭や胴、脚のパーツを組み替えたり、カラーリングを変えたりとカスタマイズできるため（性能は変化しない）、お気に入りのコーディネイトでオンラインに臨むのも楽しいだろう。

バトルモードは画面を分割した形で、最大4人までオフラインでも楽しむことができる

対戦用キャラクター「メタルファイター」は、色変えやパーツの組み替えでカスタマイズ可能。ゲームを進めると新たなカラーやパーツが解禁される

繰り返しになるが、本作は2Dアクションとしての「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」を現行機でリブートした作品だと感じた。繰り返し遊ぶことで爽快感が増していく「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の面白さを、「カオスエメラルド」探しや「エメラルドパワー」による能力拡張がパワーアップさせており、初期シリーズのファンから新たに入門する初心者まで、幅広い層が楽しむことができそうだ。

当時を懐かしむのではなく、2Dアクションというジャンルの面白さを改めて問いかける作品と言えるだろう。

本作を入り口に、ソニックを愛するファンが公式作の開発者となった「ソニックマニア」や、初期シリーズを存分に楽しめる「ソニックオリジンズ・プラス」などの他作品も遊んでみるのも楽しいのではないだろうか。