「Razer Edge」レビュー! ついに日本上陸のAndroidポータブルゲーム機でSteam配信のPCゲームをプレイしてみた
2023年10月27日、RazerのAndroid 採用ポータブルゲーム機「Razer Edge」と、専用の装着型コントローラー「Razer Kishi V2 Pro」の日本販売が開始された。
近年ではAndroidスマホでも本格的なプレイができるタイトルが充実し、また、「Steam Remote Play」を経由することで、PCゲームもAndroid端末で遠隔ゲーミング可能になっている。こうした現状を背景に登場した「Razer Edge」は、端末左右に物理コントローラーを備え、Androidによるゲームプレイに特化したゲーミング端末となっている。 今回はその現物に触れる機会を得たので、そのレビューをお届けする。
Android OSを採用したゲーミングデバイス
「Razer Edge」は、6.8インチのAMOLEDタッチスクリーンの両端を、コントローラーの「Razer Kishi V2 Pro」が挟み込むようにした形状の製品である。本体とコントーラーとの接続はUSB Type-Cで行われ、コネクターは「Razer Kishi V2 Pro」の筐体右内側に配置される。
「Razer Edge」の見た目は大型のスマートフォンといった感じだが、スマホやタブレットには必ずある背面カメラがなく、前面に500万画素のカメラがあるのみ。もちろん通話にも非対応で、小型のAndroidタブレットといったところだ。
とは言え、やはりこの製品はゲーミングデバイスだ。
搭載されるプロセッサーは「Snapdragon G3x Gen 1」で、これは今年8月に発表された「Snapdragon G3x Gen 2」の前世代モデル。ただし、このGen 2の開発には「Razer Edge」の存在が多分に貢献したということを忘れてはいけない。「Razer Edge」は、「Snapdragon G3x Gen 1」を初めて搭載したゲーミングデバイスであり、この経験を元に新型プロセッサーが開発されたのである。
144Hzのリフレッシュレートを持つタッチスクリーン
「Razer Edge」のスクリーンは、解像度が2400×1080ドットで、リフレッシュレートは最大144Hz。ゲーミングノートであれば平均的スペックだが、ゲーミングスマホやポータブルゲーム機でとしては、2倍速の120Hzを超えるこのリフレッシュレートは、及第点を大きく超えた数字だ。
プロセッサーの発熱問題
「Razer Edge」で気になるのは、プロセッサーの発熱問題だ。
本機が搭載する「Snapdragon G3x Gen 1」が発表される前日、同じQualcommのSnapdragonシリーズからハイエンド帯モバイル向けプロセッサー「Snapdragon 8 Gen 1」が発表されたのだが、このプロセッサーは、スペックこそ高いが発熱がすごく、短時間のゲームプレイでも支障が出てしまうほどの熱を放っていたからだ。
筆者も「Snapdragon 8 Gen 1」搭載のゲーミングスマホを持っているが、外付けの冷却ファンを装着しなければ1時間で低温火傷してしまいそうなほど筐体が熱くなってしまう。
このような経験から、「Snapdragon G3x Gen 1」を採用した「Razer Edge」はどうか?と気になっていたのだが、そのあたりについては後述したい。
西洋剣戟ゲーム「Hellish Quart」をプレイ
今回、「Razer Edge」をレビューするにあたってプレイしたのは、Steamで配信されているPCゲーム。「Steam Remote Play」を使った遠隔プレイとなる。
連携したPCのスペックは以下の通り。
- Victus16(HP)
- プロセッサー:AMD Ryzen™ 5 6600H
- グラフィック:NVIDIA GeForce RTX 3050 Ti
- メモリ:16GB
まずプレイしてみたのは、西洋剣術シミュレーター「Hellish Quart」。推奨スペックは以下の通りである。
- 64 ビットプロセッサとオペレーティングシステムが必要
- OS: Windows 10
- プロセッサー: Intel Core i5
- メモリー: 8 GB RAM
- グラフィック: NVIDIA Geforce GTX 970 or RX 590
- DirectX: Version 11
これを「Razer Edge」でプレイできないかと試みたのだが、結論を言えば「不可」だった。動くことは動くが、画像処理がまるで追いつかず、剣士はスローモーション状態に。
「Hellish Quart」の体育館ステージは処理が軽く、RTX3000番台のゲーミングノートPCでも問題なく動作するはず。故に、これは意外な結果。残念ではあるが、今回の試遊では「Hellish Quart」を満足に楽しむことはできなかった。
ナポレオン戦争TPS「Holdfast: Nations At War」をプレイ
次に試したのは、ナポレオン戦争を題材にした多人数参加型TPS「Holdfast: Nations At War」。このタイトルの推奨スペックは、下記の通り。
- OS: Windows 8 64-bit or Windows 10 64-bit
- プロセッサー: 3 GHz クアッドコア
- メモリー: 8 GB RAM
- グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 970
- DirectX: Version 11
- ネットワーク: ブロードバンドインターネット接続
先の「Hellish Quart」と同じレベルのグラフィックボードを必要とするようだが、こちらは先ほどとは打って変わって「Razer Edge」で快適にプレイできた!
「Holdfast」はキーボードとマウスでのプレイを前提にしているらしく、残念ながら「Razer Kishi V2 Pro」では全ての操作をまかない切れないという欠点も見受けられた。が、ここで重要なのは、プレイ自体は「Razer Edge」でも一切問題なかったという点である。
マスケット銃(火縄銃の延長線上の武器)に火薬と弾丸を込め、発射し、また火薬と弾丸を込める……という攻撃の基本動作が「Razer Edge」の6.8インチスクリーンで繰り広げられている。しかも、周囲には100を超える兵隊(該当サーバーにいる他のプレイヤー)の姿が。それらが一切カクつくことなく躍動しているではないか!
フォーミュラカーレースゲーム「New Star GP」をプレイ
もうひとつ、「Razer Edge」でプレイするのに最適なPCゲームを紹介したい。
今年8月にSteamでの早期アクセスが開始された「New Star GP」だ。
これは、見た目こそポリゴンの角が目立つレースゲームだが、何と1980年代から2020年代までのフォーミュラカーレースを追体験できるという内容だ。タイヤ交換、燃料補給などのピットワークやチームスタッフとの交流という概念も搭載されている。
PCと「Razer Edge」がどちらも良好なオンライン環境にいなければならないという条件はあるが、それさえ何とかできればPCでのプレイとほとんど変わらない感覚で遊べる。いや、むしろ物理コントローラーがある分「Razer Edge」のほうが快適か? とすら感じてしまう。
先述の「Holdfast」ほど複雑な操作もないため、徹頭徹尾コントローラーのみでゲームをプレイすることができた。また、6.8インチという画面サイズがレースゲームに最適とも感じる。「Razer Edge」と「New Star GP」は、非常に相性の良い組み合わせだった!
そして、ここまでプレイして感じたのは「発熱の少なさ」である。誕生日が1日違うSnapdragon 8 Gen 1とは全く別の性格で、より長くゲームをプレイできることは確実だ。
このあたりのパフォーマンスは、筐体内部に搭載されている冷却ファンの影響も大いにあるようだ。
発熱も少なく、プレイ可能なゲームも多い。注目のゲーミングデバイス
以上のテストからわかったのは、Steamで配信されているPCゲームでも、タイトルによっては普通にプレイ可能。ものによっては、PCでプレイする以上の快適さを「Razer Edge」が発揮してくれるということだ。
日本ではゲーミングPCの普及率はまだ決して高くなく、さらに、携帯デバイス向けの「Steam Remote Play」となると、お世辞にもよく知られているとは言えない。が、それゆえに、こうしたゲーミングデバイスが今後の普及する可能性は高い。
そんな「Razer Edge」の価格は、Razer公式ストアでは89,880円。日本人にとっての「ゲームプレイの在り方」を大きく変えてしまう可能性を持った注目のデバイスである。
- 商品情報
- 商品名:Razer Edge Gaming Tablet and Kishi V2 Pro Controller
- 価格:89,880円
- 公式サイト: #
フリーライター。1984年10月11日生まれ。ガジェット・ハード・ソフト・海外開発メーカー情報を各メディアで手掛ける。
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