2023年最高のゲームに輝いたのは「バルダーズ・ゲート3」に! 受賞作や新作の発表で盛り上がった「The Game Awards 2023」を振り返る

2023年12月8日、アメリカのロサンゼルスにあるマイクロソフトシアターで、「The Game Awards 2023」(以下、TGA2023)が開催された。本イベントは、その年に発売された作品の中から、特にすぐれた作品を表彰するというもので、2023年は「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」を始め、日本からも多くのタイトルがノミネートされていた。

本稿では、そんなTGA2023で賞を獲得した作品や、特に印象的だった新作情報などを振り返っていく。

2023年最高のゲームは「バルダーズ・ゲート3」に!

その年に発売された最高のゲームに贈られる賞、Game of The Year(以下、GOTY)に輝いたのは「バルダーズ・ゲート3」。本作はベルギーのLarian Studiosが開発したRPGで、世界的に人気のテーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」をベースにしており、その世界観やゲームシステムを忠実に再現している。


バルダーズ・ゲート3


本作ではプレイヤーの取れる行動パターンが非常に多い。話し合いを仲裁する際、穏便に済ませるのか、実力行使に出るのか。会話の返答に応じてキャラクター間で変化する関係など、大小の異なる膨大な分岐により、本作には1万7000通りのエンディングがある。遊び方によっては正義感に強い侠客のような存在にもなれるし、残虐な賊にもなれる。


バルダーズ・ゲート3


ターン制でくり広げられるバトルも特徴だ。剣や魔法など、威力も範囲も異なるさまざまな攻撃手段があるだけでなく、高所にいる敵を突き落としたり、油をまいた場所に火をつけて敵を焼き払ったりと、環境を使った戦術も用意されている。


さらに種族やクラス、経歴といった、多彩な項目を設定できるキャラクターメイキングも。先述の重厚なストーリーや取れる戦術の多さも相まって、プレイヤーに圧倒的な没入感を提供してくれるのが、「バルダーズ・ゲート3」だ。プレイヤーが文字通り自分だけの冒険を堪能できるのは、まさに王道のロールプレイングゲームと言えるだろう。

「バルダーズ・ゲート3」は大賞のほかにも、「Best Performance」、「Best Community Support」、「Best RPG」、「Best Multiplayer Presented by Discord」、「Player's Voice」で受賞。合計6部門で選出された。本作は現在PC向けに配信中だが、2023年12月21日には日本語に対応したPS5版が発売される。


バルダーズ・ゲート3


今回のノミネート作品を見てみると、いずれも粒ぞろいだ。まず、「Alan Wake」以来13年ぶりの続編であり、光と闇、現実と虚構など、さまざまな対比が印象的な「Alan Wake 2」や、映画の「スパイダーマン」を忠実に再現するとともに、PS5の処理能力を生かして快適なプレイ体験を実現した「Marvel’s Spider-Man 2」がある。

さらに、ストーリーやステージは当時のものを極力再現しながら、ナイフの仕様変更をはじめとする緻密なアレンジで、現在でも十分通用するクオリティとなった「バイオハザード RE:4」。2Dスクロールという伝統的なスタイルでありながら、“ワンダー”という要素を軸に多彩な仕掛けが詰め込まれていた「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」も候補にあがった。


バイオハザード RE:4


そして、2017年のGOTYを受賞した前作をベースに、新たに空や地下のフィールドを追加。さらにさまざまな物を組み合わせられる新能力によって途方もない攻略法をプレイヤーに提供した「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」もそのひとつ。ノミネートされるにふさわしいタイトルが勢揃いし、どれがGOTYを受賞してもおかしくない状況だった。


ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム


ノミネートされた6つの作品のうち3つは日本のタイトルというのも印象深い。去年の2022年には「エルデンリング」(フロム・ソフトウェア)がGOTYに選ばれ、その前の2021年には「バイオハザード ヴィレッジ」(カプコン)や「メトロイド ドレッド」(任天堂)がノミネート。今回は大賞こそ逃したが、日本のゲームが国内外で広く浸透し、また人気である事実を確かめられたと言える。

「モンスターハンター」のシリーズ最新作や、小島秀夫監督の新作ホラーゲーム情報も


OD


TGA2023では、授賞式と並行してさまざまな新作ゲームの情報も発表された。特に会場を沸かせたのは、一躍話題となった「デス・ストランディング」を手がけた小島秀夫監督の新作「OD」。2人の男女が「腹ペコの紫恐竜」や「狂ったクジラを食べて物売り」など、不気味なことを口走る短い映像が公開された。その後、小島監督本人が「NOPE/ノープ」で知られるジョーダン・ピール監督とともに登壇し、彼と協力して本作を開発していることなどが明かされた。


さらに、「モンスターハンター」シリーズの最新作として「モンスターハンターワイルズ」も発表。2025年にPS5とXbox Series X|S、PCで発売される。



映像では、広大な砂漠地帯を移動する動物たちが登場。騎乗中のプレイヤーと思しきキャラクターが、迫りくる砂嵐と別の動物の群れから逃げるシーンも確認できた。以前に発売された「モンスターハンター:ワールド」のように、現行機の性能を生かした大迫力の狩りが楽しめそうだ。


モンスターハンターワイルズ


セガは、自社がかつて手がけた名作タイトルの新作を続々と発表。「クレイジータクシー」や「ジェットセットラジオ」、「Shinobi」に「ゴールデンアックス」、「ベア・ナックル」などが、今回公開された新トレイラーで確認できる。往年のファンたちは、今後のセガの動向から目が離せないのではないだろうか。


GOTYの受賞式はもちろん、数多くの新作情報も飛び出し、TGA2023は例年以上の盛り上がりとなった。YouTube上にあるTGAの公式アカウントでは、TGA2023の配信を収めたアーカイブが投稿されているので、興味があればぜひ確認してみてほしい。

夏無内好

夏無内好

活動歴約10年のフリーライター。専門学校を出た後、大手のゲーム雑誌の記事作成や編集プロダクションの攻略本作成などを経験。週刊誌での長期連載やプレスリリースのリライトも経て、最近はアキバ総研などのウェブ系でも執筆を始める。 基本的に雑食で、RPGからアクション、シミュレーションやFPSまでなんでもやる。

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