「ボトムズ」「ダンバイン」「SDガンダム」……バンダイの“ガシャプラ”シリーズが受け継ぐプラモデル本来の楽しさとは?【ホビー業界インサイド第43回】

ガシャポンの小さなカプセルにすっぽり入るサイズで、手軽に組み立てやコレクションを楽しめるプラモデルキット、「ガシャプラ」。この2019年1月、ガシャプラ「装甲騎兵ボトムズ」に、待望の第2弾が加わる。ほかにも、ガンプラと組み合わせて遊べる「SDガンダムビルドダイバーズ」も第2弾が発売中、そして3月には「聖戦士ダンバイン」が新たにガシャプラに加わるなど、精力的に商品開発が行われている。
ガシャプラの企画を行っているのは、バンダイ・ベンダー事業部の長谷川淳さん。かつてはホビー事業部でガンプラ開発などに携わり、“長谷川指導員”の愛称でも知られる筋金入りのプラモ好き。その長谷川さんに、ガシャプラの面白さをたっぷり語っていただいた。

80年代ロボットは“雰囲気のある立ちポーズ”をしっかり決めたい


──まず、ガシャプラ「装甲騎兵ボトムズ」の第2弾ラインアップについて聞かせてください。今回は水陸両用AT(アーマード・トルーパー)「マーシィドッグ」「スタンディングタートル」「スナッピングタートル」が入っていますが、テレビシリーズ第2部クメン編を意識していますよね?

長谷川 もちろん、意識しています。アニメの展開に合わせて新しいATを出しながらも、「スコープドッグ レッドショルダーカスタム」のようなバリエーションも、少しずつ混ぜていく。1983年の放送当時、タカラ(現タカラトミー)さんの発売していたプラモデルのラインアップを何となく想起できたほうがお客様も楽しいだろうし、僕も楽しいからです。

──マーシィドッグはヒザから下だけが新規造形かと思いきや、フトモモが太く作り直されていると聞きました。

長谷川 第1弾のスコープドッグを買われた方から、「ちょっとフトモモが細いのでは?」という声が聞かれたからです。設定画を見ると、確かにマーシィドッグの足はかなり太い。そこで、限界まで太くしました。あまり太くすると可動に支障が出るのですが、この製品はあまり可動に重点を置いていませんので。

※写真の商品の一部は、長谷川さんによって部分塗装を施したものとなります

──第2弾の目玉は、完全新金型のスタンディングタートルとスナッピングタートルですね。

長谷川 ええ、これを作りたかったんです。番組を見ていた当時から、タートル系は好みだったんです。スコープドッグとスケールを合わせたので、ちょっと大柄になりました。足にスワンピークラッグという板が付くのですが、この板の大きさに悩みました。自分の当時のイメージでは、スワンピークラッグを足の下に敷いていたほうがカッコいいよね……と思っていたんです。ところが、実際に足の下にスワンピークラッグを敷ける製品に触れてみると、ガシャプラで再現するには厳しいですし、劇中でもあまり印象に残っていない。設定画のカッコよさを追求するなら、スワンピークラッグは足の裏に合わせず、やや小さめにして足の前に固定したほうがしっくりくる。そのことに気がつくまで、何十年もかかってしまいました(笑)。改造すれば、足裏に敷いた状態も再現できなくはないです。 やはり、アニメの設定画がメインというか公式なので、そこからかけ離れないよう、フォルムは設定画に準拠しています。ただ、サイズ的に再現できない部分は省略しますよ、というスタンスです。


──設定画に描かれていない、立体ならではのディテール……たとえば、リベットなどが加えられているようですが?

長谷川 立体用のディテールを新たに加える場合は、バンダイの1/20スコープドッグのプラモデルを参考にしています。バランスを見ながら、ディテールを入れすぎてうるさくならないよう、気をつけています。

──ガシャプラ「ボトムズ」は肩や足首にボールジョイントが仕込んであり、設定画風のカッコいい立ちポーズを自分で追求できますね。

長谷川 ええ、いい雰囲気の立ちポーズが決まるよう、ボールジョイントにしています。可動個所の多さは商品としてのバリューではあるのですが、ポーズの付け方次第でカッコよくもカッコ悪くもなります。それだったら、自然な立ちポーズが一番いいと思ってしまいます。もうひとつ、80年代のサンライズさんのロボット物って、アニメ雑誌で見た立ちポーズの設定画が、もっとも強く皆さんの印象に残っているんじゃないでしょうか。そうした理由から、関節を多く入れすぎて、ポーズ付けの難易度を上げないほうがいいだろうと考えたんです。

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