「龍が如く8」発売! 阪本寛之チーフプロデューサーインタビュー──シリーズ最大級のボリュームで、新たな物語が繰り広げられる
セガのドラマティックRPG「龍が如く8」が2024年1月26日(金)に発売される。
裏社会の男たちが熱い生き様を見せる「龍が如く」シリーズの最新作では、前作で導入されたコマンド選択式バトルがさらに進化したほか、島を発展させる「ドンドコ島」、シリーズを代表する主人公・桐生一馬が人生を振り返る「エンディングノート」などさまざまなコンテンツを楽しむことができる。
そこで、今回は「龍が如く8」チーフプロデューサー・阪本寛之氏へのインタビューを敢行。発売を目前に控えたタイミングで、本作で進化したポイントや見どころなどを聞いてみた。
――「龍が如く8」の戦闘は、前作「龍が如く7 光と闇の行方」からどう進化しているのでしょう?
阪本 今回は手番が回ってきたキャラクターをある程度自由に移動させられるようになり、位置取りにまつわる戦略性が重要になっています。後方から攻撃すると「バックアタック」となってボーナスが付いたり、「絆」の高いキャラクターを近くに配置すると「連携攻撃」ができたりもするんです。ジョブに関しても「7」だと「ホスト」や「キャバ嬢」といった日本の夜職的なものから発想していったんですが、「8」では舞台がハワイなので、日本離れしたものや現地のアクティビティと結びつけたものを増やしています。おかげさまで、海外でも評判がいいですね。
――開発において、「7」から「8」で変えようと考えた部分はどこでしょう?
阪本 やはりバトルをどうグレードアップしていくかというところでしょう。「7」のバトルについては、RPG初心者の方からは及第点的な評価をいただけました。しかし、我々としては運の要素が強すぎるなど、開発を進めつつももっと変えていきたいという思いがありました。そこで「8」の戦闘における最初のミッションは、“運任せだった部分に、プレイヤーの戦略が影響するようにする”というものになりました。皆が動き回りながら戦えるという点が、コマンド選択式バトルにおける「7」のオリジナリティではあったので、移動やバックアタック、連携といった要素を取り入れつつ、足し算と引き算を繰り返して何パターンも作っていったんですね。最初は、ボタンを押すとパンチが出るというようにアクションRPGに寄せたほうがいいのではないかという話もありましたが、それではターン制から離れてしまうし、仲間を操作しなくなるといった弊害もあり、現在の形に落ち着いた感じです。ただ、桐生についてはスペシャル的な要素としてアクションでのバトルもできるようにしてあります。さまざまな要素を足していく中、桐生のアクションを足しても何かが壊れるわけではないですし、キャラクターへの愛も深まるのであればぜひ入れようということになったんですよ。
――ライトからマニアまでさまざまな層の人がプレイする「龍が如く」シリーズですから、難易度調整にも苦労されたのでは?
阪本 敵が硬すぎたり、バトルが長すぎたりするかと思えば、何をやっても楽勝なくらい簡単になったりもするといったところを行ったり来たりしていましたね。そうした中、新しい理(ことわり)を作らなければならないということになり、属性をうまく利用したり、属性どうしをかけ合わせたりするとダメージが増えるといったシステムができました。たとえば、水をかける攻撃で「風邪」を引かせた後だと、「電気」属性がより通りやすくなるといった具合で、同じ技でもうまく順番を変えると変化が起こるわけです。こうした部分を自然に発見してもらえるのが一番きれいなゲームデザインですし、「8」における目標でもあります。ゲームが進めば、イカやサメといった手ごわい巨大ボスも登場しますよ。「7」ではパワーショベルと戦いましたから、それ以上の派手さで楽しく戦ってもらえれば嬉しいですね。
――「8」にはメインストーリーに加え、桐生が思い出の地を訪れる「エンディングノート」や、島を開発する「ドンドコ島」など、さまざまなコンテンツがあります。これらのコンテンツをプレイしないと、メインストーリーを進めるのが難しくなったりするのでしょうか?
阪本 「エンディングノート」や「ドンドコ島」は、メインストーリーに組み込まれていて、ひと通りチュートリアルとして遊ばれた後、続けるかどうかは皆さんの判断にお任せする形ですね。ただ、「エンディングノート」は目標を達成するほどにパラメータも上がっていくので、やり込むほどに強くなってはいきます。神室町や横浜など思い出の場所を桐生が訪れていくため、ボリューム的にもすごいものがありますよ。桐生自身のパーソナリティも少しずつ変わりつつあり、これまで語られなかった部分を初めて語ったという側面もあります。
――「8」のプレイ時間はどれくらいになるのでしょう?
阪本 いろいろなコンテンツがあるため、何を基準にするか定義しづらいんですが、メインストーリーを進めていく通常のプレイでも100時間はいくと思います。今までのシリーズでも一番長くて、「龍が如く5 夢、叶えし者」を超えるボリュームがありますね。僕もデバッグのために何度もプレイしてるんですが、「ドンドコ島」だけでも20~30時間くらいはかかっていますから。
――「ドンドコ島」ではあのガチャピンとムックが出てきて驚いたファンも多いと思います。コラボした理由について教えてください。
阪本 “メインストーリーから離れた空間で南国体験ができるアクティビティ”ということで作られたのが「ドンドコ島」です。プロモーション的にインパクトが欲しいということでいろいろとアイデアを出したんですが、ガチャピンとムックが出てきた瞬間にステージがいくつもアップした感がありました。特にガチャピンはスキーやスキューバダイビングなどいろいろな挑戦をしていて、アクティビティといえばガチャピンだろうというところもありましたから。他言語版では吹き替えもされていて、現地の言葉でしゃべる2人を見られますよ。
――春日がガチャピンを見てものすごく驚いていましたが、これは彼の子ども時代を反映した描写なのでしょうか? それとも幼少の頃、とても「ひらけ!ポンキッキ」を見ていられるような環境ではなかったから、ガチャピンを知らなかった?
阪本 そこまでメタな話ではないですね。単純にハワイでガチャピンやムックが出てきたら驚くだろうということです。
――「ドンドコ島」に出てくる設置物の中には、「指詰めセット」や「無料案内所の看板」「お風呂マット」など風変わりな品も含まれています。これらが背景として存在するのではなく、“ユーザーの意志で設置できる”ことでレーティングに影響があったりしたのでしょうか?
阪本 そういうことはないですね。「龍が如く」シリーズは日本のCEROだと17才以上対象のD区分ですし、他国でも全方位にチェックを受けたうえで発売されています。「ドンドコ島」の設置物も「龍が如く」本編に出てくるものですから、そこは大丈夫なんですね。僕らは昔から「龍が如く」シリーズを作り続けていて、ラインのようなものはわかっています。ただ、前作「龍が如く7外伝 名を消した男」の実写映像を使ったキャバクラはギリギリでしたね。
――これまでに公開されたムービーの中で、「ドンドコ島」にオンライン要素があるようなシーンがありましたが、具体的にはどのようなものになるのでしょう?
阪本 ほかのプレイヤーさんが作った島に遊びに行けるというものになります。非同期型のオンラインで、アイテムをもらったり「スジモンバトル」を楽しんだりできます。
――公式で島のコンテストなどを行ったりはするのでしょうか?
阪本 そこは未定です。「龍が如く」はあくまでシングルプレイかつナラティブなゲームで、皆さんもじっくり楽しまれるケースが多いでしょうし。
――「ドンドコ島」の設置物ですが、どれくらいの数を置けるのでしょう?
阪本 小物からビルまでたくさん置くことができます。もちろんリミットはあるんですが、ちょっとやそっとじゃ到達しないくらいにたくさんですよ。後半はビルを置くために道を引いたりするようになります。シリーズの中で見たことがあるようなビルはひと通り用意されていますし、夜になるとネオンや明かりが点きますから、ご自分だけの歓楽街を作ったりもできます。お客さんもAIで街をうろついてくれて、自分が置いた設置物にリアクションしてくれます。お客さんが感銘を受けたり、太客的なお客さんをつかむとその分収入が増えますし、おみやげを渡したらお礼の品をもらえたりと結構面白いですね。「ドンドコ島」では「ゼニー」という通貨を使うんですが、ハワイで使うお金に両替できます。
――もう「ドンドコ島」だけで単体のゲームとして成り立ちそうな感じですね。
阪本 「これはもう作り込みすぎだろう」とみんなから言われるくらいですね。
――新作を作る際、ストーリーと舞台となる街、どちらを先に発想するのでしょうか?
阪本 ストーリーからですね。「8」の場合は、春日が逃げていた母親を探すというもので、日本人が潜伏できる場所であればハワイだろうということで舞台が決まりました。そして、ハワイのどこを楽しんでもらうかでロケーションを選んでいくわけですが、観光地としてのワイキキビーチは必ず入れなければいけないし、裏社会を扱う「龍が如く」シリーズなのでマフィアが不法占拠する「第五地区」という場所を設定する……というように進めていきました。
――「8」には簡単にキャラクターを育てられるような要素はありますか?
阪本 自分たちが強くなると、弱い敵を「クイックバトル」で一瞬にして倒せる機能も用意しています。デフォルトのジョブだけを突き詰めてもクリアはできますし、「8」では転職時に引き継ぐ技も自分で選べ、前に強かったジョブの技を持ってきて有利に戦うようなこともできますので、いろいろと転職しても遠回りにはならない感じです。
――では最後に、読者に向けてメッセージをお願いできますか?
阪本 正直に言うと、「8」は要素が多すぎて語り尽くせないんですよね。ただ、プレイし始めると本当に止まらなくなるし、メインストーリーを終えた際の満足感や、心に残るものは「龍が如く」シリーズの中でも屈指のものがあります。やり込み要素もありますし、本当にお買い得な1本ですので、我々を信じていただけたらと思いますね。
――ありがとうございました。
(取材・撮影/箭本進一)
■「龍が如く8」
対応機種 : PlayStation5 / PlayStation4 / Xbox Series X|S / Xbox One /Windows/PC(Steam)
発売日 : 2024年1月26日(金) 発売予定
価格 :
スタンダード・エディション 9,680円(税込)
デラックス・エディション 10,780円(税込)
アルティメット・エディション 12,760円(税込)
ジャンル : ドラマティックRPG
プレイ人数 : 1人
発売 ・販売 : 株式会社セガ
CERO : D区分(17歳以上対象)
(C)SEGA
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