薄型軽量のポータブルゲーム機「AYANEO Pocket AIR」レビュー!Android版「原神」も、Steamのミラーリングプレイも快適!
「AYANEO」ブランドのゲーム端末の快進撃が著しい。
その中のひとつ、より手軽なゲーム体験に寄り添ったAndroid対応のゲーミングデバイス「AYANEO Pocket AIR」が筆者の手元に届いたので、今回はこれをレビューしてみたい。「超薄型軽量」をうたっているこの製品だが、ポータブルゲーム機としてのパフォーマンスはどうだろうか。
重量約380gの軽量薄型・携帯ゲーム機
筆者は先日、アキバ総研で「AYANEO KUN」というWindows対応の携帯ゲーム機のレビュー記事を執筆した。8.4インチの大画面と、約950gの重量が醸し出す堂々としたたたずまいが特徴の本機は、複雑な描写処理をともなうオンラインFPSも難なくプレイすることができた。 いっぽう、今回紹介する「AYANEO Pocket AIR」には、そこまでの重厚感はない。画面サイズは5.5インチ、重量は約380g。端末の大きさは224(幅)×89.5(高さ)×17(厚さ)mm。厚さが17mmということからもわかるように、全体的にコンパクトに収まっている。そもそもAndroid対応機ということでターゲットは異なるわけだが、パッと見た雰囲気は「AYANEO KUN」の廉価版といった印象だ。
搭載されるプロセッサーは「MediaTek Dimensity1200」で、これは完全にAndroidなど、モバイル端末向けのものである。そして、ボタン数も「AYANEO KUN」と比較してだいぶ少なくシンプルなものとなっている。
主な入力デバイスは、左手側の十字キーに、左右ひとつずつ設置されたジョイスティック、右手側のA/B/X/Yボタン、上部に4個(左右に2個ずつ)のトリガーボタンとなっている。
「AYANEO KUN」にあった背面ボタンは「AYANEO Pocket AIR」には装備されない。そのおかげでデザインはすっきりしており、左右トリガーボタンに連なるグリップ形状も手のひらにフィットするようにふくらんでいるため、長時間のプレイでも疲れにくそうだ。
5.5インチ 1080P・AMOLEDディスプレイを搭載
本機に搭載されるディスプレイは、5.5インチの1920×1080AMOLED(有機EL)。強力なファンを搭載した空冷システムのほか、端末の動きを感知するデュアル 6 軸ジャイロスコープも搭載されている。Android対応の携帯ゲーム端末としては、一線級のハードウェア性能を有していると言っていいだろう。
なお、お気づきの方もいるだろうが、端末のカラーリングは往年のゲームハード「ファミリーコンピュータ」を連想とさせる赤と白のカラーリング「レトロホワイト」だ。世代によっては、この配色が胸に刺さるという方もいるだろう。
「AYANEO Pocket AIR」を使用して、ゲームをプレイ
それでは「AYANEO Pocket AIR」を使用して、いくつかのゲームをプレイしてみよう。
まずは人気タイトル「原神」である。このゲームのモバイル版は処理が非常に重いことで知られており、このゲームをいかに快適に動かせるかが、現在のゲーミングデバイスの処理速度を測るうえでのひとつの目安となっている。
Android版「原神」の推奨スペックは以下のどおり。
CPU | Snapdragon 855、Kirin 820以上 |
---|---|
RAM | 6 GB以上 |
システムバージョン | Android 11.0以上 |
ストレージ | 30GB以上の空き容量が必要 |
「AYANEO Pocket AIR」はメモリー・ストレージ容量の組み合わせによって、8G/256Gと12G/512Gという2つのモデルが用意されているが、「原神」をプレイするのなら上位版である12G/512GB版を使ったほうがいいだろう。256GBの容量では、ほかのゲームもダウンロードするといつの間にか容量不足に……という可能性が出てくる。
また、「原神」をインストールする段階でプロセッサーには少なくない負担がかかり、スマートフォンなどの製品によっては過度の発熱を起こしてしまうこともある。しかし、エアフローがしっかりしている「AYANEO Pocket AIR」はその心配をする必要もあまりないようで、ダウンロードはもちろん、その後のプレイでも発熱による問題は見当たらなかった。
5.5インチの1920×1080AMOLEDディスプレイは、ゲームの映像業現に良い影響を与えている。「原神」本来の繊細のアニメーションを十二分に映し出している。5.5インチは今時の携帯ゲーム機としては決して大きくはないが、その分だけ表現力に優れていると言える。と考えてよいだろう。
そして、物理ボタンで「原神」をプレイできるというのは非常にありがたい。「原神」はアクションゲームなので、やはり物理ボタンを用いたほうが確実な操作が望める。長時間のプレイでは、スマホのタッチディスプレイよりも「AYANEO Pocket AIR」のボタン類のほうがはるかに快適とも思える。
「Steam Remote Play」でPCと連携したSteamゲームのプレイが可能
次はあえてAndroid向けのモバイルゲームではなく、PCと連動してSteamゲームをプレイできる「Steam Remote Play」を試してみよう。
プレイするのは、カプコンの「ロックマンX DiVE オフライン」。このゲームはSteam以外にもAndroid版、iOS版が配信されている。今回はこのSteam版を「Steam Remote Play」を使って遠隔プレイしたい。
ここで見るべきは、伝統的な2Dアクションゲームである「ロックマンX DiVE オフライン」の操作と「AYANEO Pocket AIR」のボタン配置の相性だ。
「ロックマン」シリーズの基本アクションは、今も昔も大差ない。ジャンプ、スライディング、ロックバスターでの攻撃。人によっては、ジョイスティックではなく十字キーを使うほうがいいという場合もあるかもしれない。もちろんこれらの操作は、「AYANEO Pocket AIR」のボタンですべてまかなうことができる。
そもそも「ロックマン」は、スマホのタッチスクリーンより物理ボタンを用いたほうが操作しやすい。そのため「AYANEO Pocket AIR」のボタン配置との相性はきわめていい。
気になるPCとのワイヤレス通信だが、こちらも優秀で、激しいアクションでも遅延することはなかった。リモートプレイで特に問題になるのは「ゲームの遅延」だが、ネット環境が良好であれば遅延を感じることはない。「快適なプレイ」と評価できるパフォーマンスだ。
冷却性能の高さを体感
これらの試遊を通して、改めて強く感じたのは「発熱の低さ」である。
モバイルデバイスのプロセッサーは過度の発熱を回避するため、ある一定以上の温度になると、自動的に処理のパフォーマンスを落とす仕組みになっている。つまり、「発熱のせいで動作が遅くなった」というのはプロセッサーの自己防衛機能なのだが、本機の場合、上述の冷却システムがしっかり働いているようで、ゲームのプレイ中に動作が遅くなるほど本体が熱くなってしまった……ということは一切なかった。この点はすばらしい点だ。
小さなボディにデュアルスピーカーを内蔵
また、サウンド面も意外に本格的だ。製品紹介によれば、この小さいボディにデュアルチャンバーのスピーカーを内蔵した「ハイパーサウンドステレオデュアルスピーカー」を採用しているという。特に上記の「ロックマンX DiVE オフライン」をプレイした時に、そのサウンドの迫力を強く感じた。
新星到来の兆し
「AYANEO Pocket AIR」は、日本での公式販売は今のところ未定だが、もしこれが上陸したら大きな話題になる可能性は高いだろう。「ポータブルゲーミングデバイスの在り方」の転換点になるかもしれない。
日本での正式発売は未定
「AYANEO Pocket AIR」は、1月までクラウドファンディング「Kibidango」で出資を募っていた。それが終了した2024年2月時点、この製品の日本正式販売のスケジュールは未定である。販売価格も決まっていない。
一刻も早い正式発売が待ち望まれる製品だ。
スペック
OS | Android 12 |
---|---|
プロセッサー | MediaTek Dimensity1200 |
メモリ | 8/12 GB |
ストレージ | 256/512GB |
ディスプレイサイズ | 5.5インチ1920×1080AMOLEDスクリーン |
バッテリー容量 | 7,350mAh |
重量 | 380g |
公式サイト:#
フリーライター。1984年10月11日生まれ。ガジェット・ハード・ソフト・海外開発メーカー情報を各メディアで手掛ける。
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