人気声優は長井龍雪監督が育てた!? 「『あの花』『ここさけ』『空青』振り返り＆新作映画『ふれる。』トークステージ」レポート【AnimeJapan 2024特集】

3月22日（土）、23日（日）にかけて、AnimeJapan2024が、有明ビッグサイトにて開催中だ。

会場では多数のアニメ関連企業、制作会社がブース出展し貴重な資料を展示したり、ステージイベントが催されたり、限定グッズを販売したりとお祭りムード全開！
そのほか、RGBの3つのメインステージでは有料でさまざまなステージを終日開催。アニメの新情報やここでしか聞けないレアなトーク、パフォーマンスを楽しむことができる。

今回は22日に開催された、「あの花の名前はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ」「空の青さを知る人よ」を振りかえりつつ新作アニメ映画「ふれる。」について語り合うトークステージの模様をお届けしよう。

「ふれる。」は、不思議な生き物の力でそれぞれの気持ちを口にしなくても心がつながっていた幼なじみの青年3人組と1匹の物語。コミュニケーションが複雑化する現代で、人と人との本当のつながりを教えてくれる、そんなストーリーだ。

2024年秋に全国公開予定で、製作陣は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」「空の青さを知る人よ」の心揺さぶる秩父3部作を手がけた、長井龍雪さん（監督）、岡田麿里さん（脚本）、田中将賀さん（キャラクターデザイン）というおなじみの3人が中心となる。

今回のステージには長井龍雪監督、「あの花」めんま役・茅野愛衣さん、「ここさけ」成瀬順役・水瀬いのりさん、「空青」相生あおい役・若山詩音さんの4人が登壇。3作品のヒロイン声優が勢ぞろいするのは、今回が初ということで、非常に貴重なステージとなった。

まずは秩父3部作振り返り一問一答コーナーから。各キャストから、今だから聞ける質問を長井監督にぶつけるこの企画。若山さんからは「各作品でそれぞれのキャストをメインに選んだ理由」が尋ねられた。
この質問に対し長井監督は「すごく幸せなことに、自分の関わる作品は全部フラットにオーディションしているので、キャラにあっている方を選ばせていただいている。田中（将賀）さん、岡田（磨里）さんと3人でテープを聞いて、決めている」「当時まだ出たての頃で、フレッシュさも含めて選ばせていただきました」とキャスティングの裏話を披露。

また冗談交じりに「わしが育てた」と監督がコメントすると、茅野さんは「そういうこと言うと、また記事の見出しに使われますよ！」とツッコミを入れ会場の笑いを誘った（そして、しっかりタイトルに使わせていただきました）。

続いて水瀬さんが「アイデアが浮かぶタイミング」を尋ねると、「ひたすら考えて、考えているから何かしらのきっかけで浮かぶことがある。制作中はずっと作品のことを考えているので、考えて考えているうちにふと浮かんでくる」「あまり気張らないようにしている」と長井さん。
また、「ロケハンもがんばってロケハンしようとしている時よりも、何の気なしに撮った写真からイメージがわくこともある」と、作品作りの秘訣を応えてくれた。

最後に茅野さんは「制作作業効率アップの”こだわり”はありますか？」と質問。
茅野さんによると、長井監督は「現場ではいつも体育座りしている」そうで、「そういう格好をしていたらアイデアが浮かんでくるのかな？」と聞くと、長井監督は「姿勢が悪いので、靴を脱ぎがちなんです(笑)。仕事をしている時も椅子の上に胡坐をかくことが多い」と体育座りの裏話を語った。
また、仕事場での決め事として「スタジオで寝ない」をあげる。「スタジオで寝だすと際限がない。だからどんなに眠くても練るのは家に帰ってから」とルールを決めていることを明かした。

続いて「ふれる。」特報映像や、メインキャラクターの情報が初公開された。

今回明かされた情報としては、舞台は秩父ではなくメインは東京の高田馬場周辺とのこと。秩父が岡田さんの実家だったように、高田馬場は岡田さんが東京に越してきて長く住んだ場所ということで舞台に決まったという。「土地勘のあるスタッフがいたほうがいいということで、知ってる場所になりがち」とロケーションの秘話が語られた。

またメインキャラも初公開。小野田秋、祖父江諒、井ノ原優太の3人の男性キャラが今回の中心人物となるようだ。3人は幼なじみで、子供の頃はとある島で暮らしていたという。そこから大人になり、上京してきたところから物語が動き出す。
監督いわく「全体的に上京する物語です。秩父3部作を経て、今回は上京する話になりました」とのこと。また、3人のキャラには監督自身の幼なじみとの思い出が、細かく切り分けて練り込まれているとのこと。秩父3部作同様、共感できる幼なじみエピソードにも期待ができそうだ。

ちなみに、今作にはかわいらしいマスコット的な謎のキャラクターも登場する。「いえることは“謎”ということだけ。ちょっとキャッチ―な作品になってほしいという思いを込めて、登場させたキャラです」と長井監督。こういうマスコットキャラは秩父三部作には存在していなかったので、この謎の生物が新たな作品にどんな新風を吹かせるのかに注目だ。