新作オープンワールド「鳴潮」をレビュー!広大なフィールドでの快適な探索や、スピード感あふれる高速でのアクションが楽しめる

2024年5月23日より、iOS/Android/PC向けにアクションゲーム「鳴潮(めいちょう)」が配信されている。本作は、過去に「パニシング:グレイレイヴン」を手がけたKURO GAMESからリリースされた新作タイトルである。本稿では、サービスが始まったばかりの本作のレビューをお届けする。

「悲鳴」によって崩壊した世界で、主人公は失った記憶を求めてソラリスを旅する



本作の舞台になるのが、ソラリスという惑星。かつては人類が生活する惑星だったが、突如として現れた「悲鳴」という現象と、それに伴い出現した「残像」などが引き起こした災害によって壊滅的な被害を受けてしまう。生き残った人類はどうにか立て直し、各地で拠点を作るとともに、超常的な力を持つ人間「共鳴者」の助けを借りて、依然として人々を脅かす残像と戦い続けていた。



人類の拠点のひとつである今州城の近くで目を覚ました主人公は、自分を介抱してくれた秧秧(ヤンヤン)と熾霞(シカ)というふたりの女性と出会う。記憶を失い途方に暮れていた主人公は、ふたりの提案で今州城に向かい、その先でさまざまな事件や出来事に遭遇する。というのが本作のあらすじだ。




今州城では「大物」としてもてなされたり、調査に向かった先で出会った不審な男からあたかも仲間のような言いかたをされたりと、序盤から主人公の正体をほのめかすような場面が多く、先が気になるところ。「歳主」と呼ばれる存在を感じ取るシーンをはじめ、主人公の特性についての描写が多く、彼には世界の行く末を左右する力を秘めていることがうかがえる。



最初に主人公が向かう今州城は、繁栄を謳歌する大都市。見晴らしのいいところから今州城を含む一帯を見渡すと、明るい雰囲気のファンタジーRPGの風景を思わせる。ソラリスは大昔に崩壊したそうだが、ゲームのスタート時点ではかなり復興が進んでいるようで、今州城の中では多くの人々が元気に生活している。設定はヘビーながら、実際にプレイヤーが接する世界は親しみやすく、冒険心をそそられるものとなっている。




拠点に強敵に謎解きと、さまざまな様相を見せる広大な世界



本作はオープンワールドを採用しており、見渡す限り広がる世界を隅々まで探索できる。見晴らしのいい野原もあれば、崩壊した都市や薄暗い洞窟もあり、そのロケーションはさまざま。どのタイミングでどこを探索するかはプレイヤー次第なので、自由気ままな冒険が楽しめるのも本作の特徴と言える。



今後のアップデートでマップは順次拡大していくのだろうが、各地を瞬時にワープできるファストトラベル機能を使わなければ、移動だけでも相当時間がかかりそうなレベルの広さ。現時点でのボリュームでも、探索し尽くそうとすれば何十時間とかかりそうなボリュームだ。



便利な機能で広大なフィールドを手軽に探索できる




本作でファストトラベル機能を使用する際は、各地にある信号塔を調べる必要がある。信号塔を調査すると、以降はマップ画面からいつでもそこにワープできる。本作は徒歩でもストレスなく探索できるが、さすがに目的地が遠すぎると時間がかかるので、距離に応じて通常の移動とファストトラベルと使い分けるのがいいだろう。

各地には手頃な残像もいれば、しっかりと育成したキャラクターがいないと倒せないような強敵もいる。順調に探索しているところで強い残像と出くわしたり、あるいは調子に乗ってザコ敵の集団に挑んでピンチになったりすることもある。




宝箱が膨大に用意されているのも本作の特徴。近づくとすぐに開けられるタイプの宝箱から、ちょっとした謎解きが必要な宝箱までその種類は多彩。そのほか、大小さまざまな寄り道要素がたっぷり詰め込まれており、ストーリーをそっちのけでサブクエストを楽しめてしまう。そういった寄り道要素に入れ込みがちな人は、とことんハマりそうな作風となっている。

本作の大きな特徴のひとつが、探索中の機能だ。戦闘シーン以外のダッシュ中のスタミナ消費はゼロ。カギ縄を使った空中移動、垂直でもかまわず移動できる壁走りに加えて、ちょっとした段差なら自動で乗り越えるし、とにかく移動が快適である。



とくに壁走りは優秀で、ダッシュで壁に近づくと操作キャラクターはそのまま駆け上がる。頭上にネズミ返しのような地形があっていても、体をよじらせて難なく越えてくれるため、多少の地形は無視して移動できる。

よじ登っている最中に横にダッシュ移動すれば、その場で壁走りに移行することも可能。おかげで通常は苦労しつつよじ登らなければならないような高台にある宝箱の開封が非常にはかどる。オープンワールドのゲームはフィールドが広大であるために、どのように移動するかが重要になるが、本作は壁走りを始めとするストレスフリーな機能によって、ファストトラベル機能を使わずとも快適な探索が可能だ。

パリィや回避を中心としたハイスピードのバトルが楽しめる



本作では通常攻撃に加えて、「共鳴スキル」、「共鳴解放」といった専用技を駆使しながら戦う。基本的には攻撃ボタンを連打、必要に応じて共鳴スキルや共鳴解放を使えばいいので、操作はかなり簡単だ。



ここに「パリィ」と「ジャスト回避」が加わると、さらに戦略性のあるバトルが楽しめる。「パリィ」は相手の攻撃時に特定のタイミングで攻撃をくり出すという技で、成功すると相手の隙を生み出せるほか、敵が持つ「共振度」というゲージを大幅に削ることができる。

共振度がゼロになった敵はしばらく行動不能になるため、そうなるとこちらが攻めるチャンス到来。普通に攻撃を加えても共振度自体は削れるが、パリィを成功させる方が効率がいいため、なるべく狙っていきたい。パリィのタイミングは、敵が攻撃する際に表示される輪が光った瞬間。輪っかをしっかり見ていればパリィはやりやすかった。

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もうひとつのアクション「ジャスト回避」は、相手の攻撃を引き付けて回避をすると発動する技。ジャスト回避に成功したキャラクターは、あらゆる攻撃を必ず回避できるだけでなく、直後に特別な通常攻撃をくり出せる。パリィは失敗すると敵の攻撃をモロに受けてしまうが、「ジャスト回避」は成功しなくとも通常の回避は必ず発動するので、多少は安全と言える。慣れないうちは「ジャスト回避」中心に攻撃をパターンを組み立てるのがいいだろう。

攻撃や支援もこなせる便利な「音骸」



倒した残像は、一定の確率で「音骸」を残す。音骸は敵が残したデータのようなもので、吸収した音骸は、専用の枠に最大5つまで装備できる。つまり、敵である残像から手に入れたものが、本作ではそのままキャラクターたちの装備にもなるわけだ。

5つあるスロットのうち、一番上のメインスロットに音骸を装備すると、その音骸に備わっている音骸スキルを戦闘中に使用できる。音骸スキルは、敵への攻撃や味方のHPの回復など多彩で、どれを付けるか悩ましい。


音骸にはステータス補正もある。補正の対象となる項目は画面右上の音骸スキルの上に記載されている


さらに音骸には「ハーモニー効果」がある。特定の属性の音骸を一定数装備していると発動する効果で、攻撃力アップを始め、そろえ方によって効果が変化する。主力としてメインスロットに入れる分、ハーモニー効果を考えてサブスロットに入れる分などを考えると、音骸の組み合わせも多彩。バトルが得意だから攻撃特化、敵の攻撃に当たりやすいから回復や防御特化にするなど、プレイヤーの好みに応じて組み合わせ、バトルスタイルを変えられるのも音骸の特徴と言える。

ザコの残像からはもちろん、音骸は各地にいるボスからも手に入る。さらに音骸を集めると「データドッグレベル」が上がり、レベルに応じて音骸の出現率や手に入るレアリティが上がるというメリットも。効果の種類が豊富なのでカスタマイズ自体が楽しいのもあるが、音骸は残像から手に入るため、敵と戦うことにしっかり意味を持たせている点が非常によく考えられていると感じた。

PC版はなるべくSSDにインストール

PC版に限った話ではあるが、本作をインストールする際は、インストール先をHDDではなくSSDにしておきたい。原因は不明ではあるものの、HDDに入れた「鳴潮」を起動すると動作が安定せず、プレイ中は処理落ちなどの現象が頻繁に発生するようである(2024年6月4日時点)。しかし、SSDに入れるとこれらの現象は発生しない模様。今後のアップデートで、この問題は解消されると思われるが、現時点ではPC版をインストールする際は事前にSSDを用意しておくのがオススメだ。

悲鳴や残像といった印象的な用語が登場する謎めいたストーリーのほかにも、広大な世界を快適に動き回れるよう練り込まれた探索要素、パリィやジャスト回避を交えたシンプルかつアクション性の高いバトルなどは特徴の本作。現在はスマートフォンとPCでの配信中ではあるが、アクションやオープンワールド系のゲームが好きな人はぜひ一度触れてみてほしい。

  • 【タイトル情報】
  • ■「鳴潮
  • ジャンル:オープンワールドアクションRPG
  • 価格:基本プレイ無料(一部ゲーム内課金あり)
  • 対応OS:Android、iOS、Windows

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夏無内好

夏無内好

活動歴約10年のフリーライター。専門学校を出た後、大手のゲーム雑誌の記事作成や編集プロダクションの攻略本作成などを経験。週刊誌での長期連載やプレスリリースのリライトも経て、最近はアキバ総研などのウェブ系でも執筆を始める。 基本的に雑食で、RPGからアクション、シミュレーションやFPSまでなんでもやる。

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