ガイナックス破産──元スタッフ・庵野秀明さん率いるカラーは「このような最後を迎えてしまい、残念でなりません」とコメント

「新世紀エヴァンゲリオン」「ふしぎの海のナディア」「天元突破グレンラガン」「王立宇宙軍 オネアミスの翼」などの、歴史的アニメを多数制作してきたアニメーションスタジオ・ガイナックスは、6月7日、公式サイトにて5月29日、東京地方裁判所に会社破産の申立をおこない、受理されたことを発表した。

ガイナックス公式サイトでは、「『新世紀エヴァンゲリオン』(現在は株式会社カラーが著作権を保有)などいくつかのヒット作にも恵まれましたが、2012年ごろから見通しの甘い飲食店経営、無計画なCG会社の設立、運営幹部個人への高額の無担保貸付、投資作品の失注等、経営陣・運営幹部の会社を私物化したかのような運営により、経済状態が悪化していきました」「当該経営陣の作った多額の負債により、ロイヤリティ未払いによる委員会除名や貸金訴訟等の窮状に陥る中、地方に当該幹部やその関係者を代表としたガイナックスの社名を冠した関連会社が多数設立され、大量の退職者を出しスタジオとしてのアニメーション制作機能も失いました。それらの会社は弊社との無関係を表明し、経営責任を放棄しています」と、徐々に悪化していく経営状況が語られている。

また、「1992年より長くその地位にあった代表取締役から、映像制作に知見のない人物への株式譲渡が当時の経営陣の承認のもと2018年に実施されました。さらに2019年、その人物が代表取締役に就任直後に未成年者への性加害で逮捕されるに至り、多額の負債を抱える中、完全に運営能力を喪失するに至りました」とアニメーションスタジオとしての機能を失っていくさまが生々しく記述されている。

その後、カラーの協力により新体制となったガイナックスだが、「多額の金融機関からの借入や、アニメーション業界各社への債務不履行、知的財産や作品資料を正当な権利者の許諾なく、上述の経営陣・運営幹部の会社や個人への売却、譲渡等の事実が判明し、それらの正常化に取り掛かりました」という。

また、関係各社、製作委員会と協力して状況の立て直しを図ったものの、「多くの旧経営陣が株主として残る状況に加え、前体制時に積みあがっていた高額負債解消には至りませんでした。そして本年5月に債権回収会社から債権請求訴訟の提訴を受けるに至り、業務の継続は困難との判断から、このたびの破産の申し立てを行った次第です」と、破産申立に至る経緯が明かされた。

最後に、「旧経営陣がこの窮状を一切顧みずガイナックスのブランドを用いて活動継続している中、無報酬にもかかわらず協力して頂きました新体制取締役各位と、取締役所属各社様、作家、クリエイターを第一に知財の整理譲渡等にご尽力賜りましたカラー様を始めとする関係各社に改めて感謝申し上げます」「また、なによりもファンの方々からの40年間のご支援に心から感謝いたします。」と関係者、およびファンに向けて感謝を述べている。

この発表を受けて、2007年までガイナックスに所属していた庵野秀明さんが代表を務める株式会社カラーも「40年弱の歴史を持つアニメーションスタジオがこのような最後を迎えてしまい、残念でなりません」と声明を発表している。

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