「エルデンリング」超大型DLC「ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE」レビュー! 本編にも劣らぬ広大なフィールドで、新たな物語やダンジョン、手ごわいボスたちとの激闘が楽しめる
2024年6月21日に配信される「ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE」は、2022年に発売されたアクションRPG「エルデンリング」のダウンロードコンテンツだ。「影の地」というフィールドを舞台に、新たな登場人物やイベントのほか、武器やダンジョンなどが追加されているのが特徴である。なお、本DLCをプレイするには、本編に登場するボス、「星砕きのラダーン」と、「血の君主、モーグ」を倒しておく必要がある。
本稿では、そんな本DLCを先行してプレイしたうえでのレビューをお届けしよう。
大小さまざまなダンジョンや発見が満載の「影の地」
本作の舞台となるのは、黄金樹の陰に隠された「影の地」。神人であるミケラが向かったというこの地で、プレイヤーは本編では語られなかった物語や、新たな地での冒険が楽しめる。
金色に輝く野原や古代文明の痕跡を思わせる遺跡、険しい山岳地帯が続く大山、大量のツボが散乱している地下牢など、影の地にはさまざまなフィールドやダンジョンがある。それぞれの地に向かう方法も多彩で、道のりに沿って正面から行くこともできるし、気流に乗って大ジャンプしていきなり内部に降り立ったりもできる。周囲の建造物や地形を観察しながら、未踏の地に至る道筋を探してあれこれ頭をひねるのは、「エルデンリング」本編から続く魅力と言えるだろう。
ダンジョンでは中を進むにつれて武器やアイテムが手に入ったり、待ち受ける強敵と戦ったりすることが多いのだが、場合によってはダンジョン自体が道を兼ねていて、抜けた先にはまったく別の地が広がっているというパターンもある。建造物の屋上や最奥、広場の中央、見晴らし台のように突き出た出っ張りの先端など、怪しい、何かがありそうとなところにはだいたい何かがある、あるいはいたりするので、常に新たな発見を期待して各地を冒険できるという点もうれしい。
本DLCはマップが用意されていることとNPCの場所がわかること以外、大半の詳しい情報は自分で現地に行って確認しなければならないのだが、その情報不足が、かえってプレイヤーの冒険心や好奇心をくすぐる。
今回のレビューに当たって20時間ほど遊んだが、舞台である影の地の全容を把握するどころか、そもそも各地のマップ自体をそろえることができなかった。全体の広さは本編の3分の1かそれ以上で、見つけたダンジョンや怪しい場所をつぶさに調べて回ろうとすると、時間がみるみる過ぎていく。本DLCのボリュームは、単体でひとつの作品として成立しうるほどの規模だ。
レベル175でも厳しい難易度 一方で影の地専用の強化要素も
冒頭でも書いたように、今回のDLCを解放するために必要な条件は、「星砕きのラダーン」と「血の君主、モーグ」の撃破。どちらもいわゆる大ボスで、かなりの強敵だ。2人を倒していることが前提なためか、影の地に出てくる敵はザコでも非常に強い。
本DLCを始めた時点では、周回数は1周目で、プレイヤーキャラのレベルは150。本編クリアまで行ける状況ではあるが、DLCで登場する各地を攻略するには、個人的にこれでも厳しかった。影の地で挑めるダンジョンの最奥で待ち構えているようなボスと戦うと、一撃食らうだけで体力が5~7割は持っていかれる。おまけに相手は総じて体力が多く、さらに防御力も高い。いくらレベルを上げたところで、よほど腕に自信のあるプレイヤーでもない限り苦戦は必至だろう。結局、レベルを175まで引き上げた。
高い難易度を考慮してか、今回のDLCには救済措置がある。それが「影樹の破片」を使った「影樹の加護」と、「霊灰」を用いて得られる「霊灰の加護」だ。これらがあれば、プレイヤー自身のほか、移動手段として活躍してくれる馬のトレント、召喚してプレイヤーとともに戦わせられる「遺灰」を強化することができる。
影樹の破片と霊灰は影の地の各地に存在し、一定数を集めると、プレイヤーの拠点の役割を持つ「祝福」を通して使用可能となる。
影樹の破片で影樹の加護を得るとプレイヤーに、霊灰を使って霊灰の加護を得た場合はトレントと遺灰に、それぞれの攻撃力と受けるダメージの軽減率を段階的に高められる。なお、この効果は影の地でしか機能しない。本編の舞台である狭間の地に戻ると、攻撃力と軽減率はもとに戻る。
「エルデンリング」では、集めた「ルーン」を使って、筋力や技量といった各種パラメータを上げてプレイヤーのステータスを強化できる。これに伴いレベルも上昇していくわけだ。ただ、ステータスの伸び具合は参照されるパラメータの数値によって変動し、それが50や60あたりになると、目に見えて伸びが鈍くなる。ラダーンとモーグという強敵を倒すのがDLCの解放条件になっていることから、影の地に行けるころにはプレイヤーキャラのステータスは上昇しきっている場合が多いだろうから、以降は通常のレベル上げでは強化にも限度がある。
加護による強化は、通常の成長とは完全に別枠扱いなので、レベルをそれなりに上げているプレイヤーたちの、「高レベルキャラの成長が難しい」という悩みをうまく片付けてくれる。加護を利用するのか、あるいはどれほど伸ばすかはプレイヤーに委ねられているので、余裕なら放置してもいいし、使うにしても苦戦の程度に応じて伸ばしていくのがオススメだ。
軽大剣に大刀、調香瓶……新たに追加された多彩な武器種
影の地では、本編の舞台だった狭間の地にはない新たな武器が多数手に入る。素早い攻撃と長いリーチを両立した軽大剣のほか、刀よりも間合いが長い大刀、中身をばらまいて周囲を攻撃する調香瓶に加えて、連続で得物を投げつける投擲剣など、武器のバリエーションは非常に多い。
派手な技を備えたタイプも多く登場する。刀の「連星剣」なら、リーチの伸びた青く輝く刀身による連続攻撃をくり出す技「オンジの連星」を使える。二刀流の軽大剣である「レラーナの双剣」なら、青とオレンジの炎をそれぞれまとう刀身を構えた後、弱攻撃なら斬撃を飛ばし、強攻撃なら回転しながら周囲に炎を振りまく技「月と火の構え」を持つ。見た目も派手だが敵も圧倒できる強い技を備えた武器もあり、これらを敵の種類に応じて巧みに使い分けたり、これと決めた新武器1本を使い続けたりするこだわりの縛りプレイもはかどった。
ほかにも、刺突盾という変わった武器種もある。筆者が見つけたのは「デュエリングシールド」という刺突盾で、盾の上下に槍を括り付けたような見た目をしている。攻撃と防御を同時にできるため敵の反撃に強く、そもそもほかの近接系の武器種とはまったく毛色の異なるタイプなので、ザコ敵に使ったらどうなるか、ボスの攻撃も盾でいなせるのかなど、実験感覚で楽しむことができた。
直剣や大剣などの近接武器に、遠距離からの攻撃も可能な魔術、召喚するとともに戦ってくれる遺灰など、本作はもともと戦う手段が多かったが、今回の追加要素によってその幅もより広がった。本編では一定の条件を満たすと、魔術学院レアルカリアで「雫の幼生」というアイテムと引き換えに各種パラメータを割り振り直す「産まれ直し」が利用できるため、新しい武器を使う際は、要求されるパラメータに応じてこちらを試すのもいいだろう。
4,400円(税込)という価格は、ダウンロードコンテンツとしては高めな設定ではある。だが、本DLCは本編にも迫るような広大なフィールドに加え、山や地下牢、森林に遺跡といったバリエーション豊かなダンジョン、新しい武器が大量に詰め込まれた大ボリュームとなっており、その密度は通常のゲームほぼ1本分と考えてもいい。2022年最高のゲームとして、当時の「ゲーム・オブ・ザイヤー」に輝いた「エルデンリング」の世界をより掘り下げるDLCとして、自信を持ってオススメできる。
【タイトル情報】
■「ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE(エルデンリング シャドウ オブ ジ エルドツリー)」
ジャンル:アクションRPG
発売日:2024年6月21日(金)
対応プラットフォーム:PlayStation5/PlayStation4/Xbox Series X|S/Xbox One(SMART DELIVERY対応) /Steam
プレイ人数:1人~4人
※「闘技場」では最大6人での対戦に対応。
レーティング:CERO D(17歳以上対象)
単体販売価格:4,400円(税込)
活動歴約10年のフリーライター。専門学校を出た後、大手のゲーム雑誌の記事作成や編集プロダクションの攻略本作成などを経験。週刊誌での長期連載やプレスリリースのリライトも経て、最近はアキバ総研などのウェブ系でも執筆を始める。 基本的に雑食で、RPGからアクション、シミュレーションやFPSまでなんでもやる。
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