HoYoverse最新作「ゼンレスゾーンゼロ」をレビュー!マンガ風のコミカルな演出が楽しいストーリーやド派手かつシンプルな操作性のバトルが楽しめる!

2024年7月4日より、PS5/PC/iOS/Androidで配信中の「ゼンレスゾーンゼロ」。「原神」や「崩壊:スターレイル」など、世界的な人気タイトルを多く手がけてきたHoYoverseの最新作にあたる。

本稿では、リリースされて間もない本作の、プレイレビューをお届け。世界観やバトルシステム、プレイヤーの拠点となるフィールドについて解説していこう。

主人公は危険な領域からの脱出を手助けするエキスパート

ストーリーは「ホロウ」と呼ばれる超常的な自然災害が発生するようになり、「エーテリアス」と呼ばれる怪物がひしめく異質な空間が生み出されていった結果、現代文明は終わりを迎えてしまう。そんななか、大災害を生き延びた人々が集う「新エリー都」は、ホロウによる災害に対抗する技術や資源を蓄積させていき、次第に人類最後の希望となっていった。本作では、この新エリー都という都市が舞台になる。

主人公のアキラとリン。どちらを操作するかはプレイヤーが選べる

エーテリアスを生み出す空間であるホロウに入った人を安全に逃がすための専門家「プロキシ」として活動している主人公は、新エリー都にいるさまざまな勢力の依頼をこなしていきながら、ホロウという存在や、新エリー都に隠された秘密に迫っていく。

ホロウによって文明が滅んだという背景があるものの、本作の雰囲気はとても明るい。ストーリー序盤では「邪兎屋」という組織のメンバーであるニコ、ビリー、アンビーの、ボケとツッコミが愉快な漫才のようなやり取りが印象的。また、会話シーンはイラストで表現されており、コメディ風のマンガを読んでいるような感覚に近い。ちなみに、マンガ風に描かれているシーンは自分の好きなタイミングで読み進められるのでテンポもよく、以前のシーンにいつでも戻れるため読み返しもできる。

ストーリーではマンガ風の演出に加えてムービーも流れるのだが、キャラクターたちの動きが滑らかで、躍動感はかなりのもの。風に揺れる髪の毛や服、表情の変化も細かく描写されている。アニメ調のグラフィックも相まって、アニメを見ているようでもある。ゲームでありながらも、ストーリーが展開する会話シーンではマンガ的でありアニメ的でもある演出によって、一度に3種のサブカルチャーを味わえる豪華ぶりだ。

連打でも様になるシンプルかつ爽快なアクション

本作のバトルは、3人1組のチームを組んで戦うアクションゲームで展開する。キャラクターはいずれも「通常攻撃」、「特殊スキル」、「回避」、「交代」の4アクションがメインで、戦闘中はこれらをリアルタイムで使い分ける。

通常攻撃は操作キャラクターが自分の武器で攻撃するもので、バトルの基本と言える。特殊スキルは通常攻撃とは違ったもうひとつの攻撃手段だ。相手に攻撃を加えてエネルギーを一定量まで蓄積すると、特殊スキルは「強化特殊スキル」となり、通常よりも強力な攻撃ができるようになる。

回避は文字通り相手の攻撃を避ける動作。敵の攻撃を受けるギリギリで回避すると「極限回避」に変化、極限回避後に通常攻撃をくり出すと「回避反撃」という専用の技が使える。

交代は、ほかのメンバーと入れ替わり、操作するキャラクターを変えられるというものだ。交代はいつでも可能だが、発動するタイミングで効果が変化。相手の攻撃を受けた際に交代を使うと「クイック支援」が発動し、直前に操作していたキャラクターが受けるはずだった吹き飛ばしや硬直といったマイナスの効果を打ち消し、控えメンバーで即座に戦闘に復帰できるようになる。

通常攻撃、特殊スキル、回避に交代と、これら4つのアクションをリアルタイムで使い分ける……と聞くと、操作が難しいと思われる方もいるかもしれないが、実際の戦い方はシンプル。基本的に通常攻撃をくり出しつつ、ときおり特殊スキルや強化スキルを使えばいい。とにかく攻めるべし。通常攻撃も特殊・強化特殊スキルもそれぞれボタンひとつでくり出せるため、連打しているだけでどうにかなるはずだ。

攻撃し続けるメリットは、強化特殊スキルに必要なエネルギーがためることができるだけではない。攻撃をくり返していくと、敵は「ブレイク値」がたまっていく。これが満タンになると相手は「ブレイク状態」となり、しばらく動けなくなるほか、受けるダメージが上昇する。

このときに「重撃」の効果を持った攻撃を当てると、ほかのメンバーに切り替えつつ攻撃する「連携スキル」が発生。敵に対して強力な追撃が可能になる。一気に勝負を決める大チャンスになるわけだ。ちなみに、重撃の効果を持った攻撃とは、通常攻撃のコンボでくり出す最後の技や、特殊スキルや強化特殊スキルといった一部の技を指す。

連携スキルが発動した瞬間。このときに任意のメンバーと交代が可能だ

黄色い光と同時に控えのメンバーと交代すると「極限支援」が発動。操作キャラクターを切り替えながら攻撃を行う。相手の攻撃を利用して反撃に転じる、本作らしい攻めのシステムだ

攻撃すればこちらのエネルギーと敵のブレイク値を同時にためられるため、プレイヤーからすると強化特殊スキルを使えるようになるだけでなく、相手にブレイク状態を引き起こせるのでなにかとメリットが多い。連携スキルを使えばメンバーが次々と切り替わるので見た目も華やかで、ただ交代しているだけでもおもしろい。

さらに、一連の動作はすべて4つのボタンで完結する。強化特殊スキルや連携スキルを使う際は画面内にアイコンが表示されたり、アイコン自体が光ったりするおかげで発動タイミングを逃す心配もない。操作がこのうえなくシンプルなので、アクションゲームが苦手な人でも安心して楽しめるだろう。

ド派手なバトルから一転、ホロウ内部を探索するパートでは、ブラウン管テレビのような画面を移動していく。止まった場所に応じてさまざまなイベントが発生し、すごろくのようなシステムになっている。

ゲームセンターでゲームも楽しめる!機能満載の六分街

主人公はホロウから人々を救出する専門家・プロキシではあるが、それはあくまでも裏の顔であり、表向きはビデオ屋の店主。本作ではさまざまな店が軒を連ねる「六分街」も活動の拠点となる。学生が店を利用していたり、路地にネコがいたりと、随所に生活感がよく出ている。

利用するとバトルでいい効果が得られるラーメン屋や喫茶店、キャラクターが装備するアイテムを取り扱う専門店など、六分街にはさまざまな施設が集まっている。

なかでもよく作りこまれているのがゲームセンターだ。ここでは、実際に2種類のミニゲームを遊ぶことができる。しかもマルチプレイに対応しており、最大4人による同時対戦も可能という本格仕様なのだ。


序盤の行動範囲は六分街のみだが、ストーリーを進めていくと徐々に行ける場所が増えていく。キャラクター用の強化素材が手に入る施設など、そのバリエーションは豊富。ファストトラベル機能もあるため、マップ間の移動も快適だ。

本作はソーシャルゲームではあるが、そのプレイ感はコンシューマー専用ゲームのそれにかなり近いものがあった。ボタンを押して目的のコンテンツにお手軽に移動する、という利便性を重視したソーシャルゲームによくあるノリはあまりなく、六分街という作りこまれたフィールドのなかに各コンテンツが施設やNPCといった実在感ある形で存在しているように思えた。そのため、一般のソーシャルゲームと比較して、没入感は段違いである。

今回は数時間ほど遊んだうえでのレビューだったが、マンガ風の演出を加えたコミカルなストーリーに、攻めを重視したシンプルかつ派手なバトル、没入感あふれるマップの作り込みなどを堪能できた。RPGや明るい作風のタイトルが好きな人はもちろん、アクションゲームは苦手だけどド派手なバトルを楽しみたいという人まで幅広くオススメできる1作だ。


■「ゼンレスゾーンゼロ

ジャンル:都市ファンタジーアクションRPG

プラットフォーム:PC、iOS、Android、PlayStation5、エピックゲームズ

価格:基本無料(一部アイテム課金あり)

・ゼンレスゾーンゼロ 公式サイト:#

・ゼンレスゾーンゼロ 公式X:#

・ゼンレスゾーンゼロ 公式YouTubeチャンネル:#

(C) COGNOSPHERE

夏無内好

夏無内好

活動歴約10年のフリーライター。専門学校を出た後、大手のゲーム雑誌の記事作成や編集プロダクションの攻略本作成などを経験。週刊誌での長期連載やプレスリリースのリライトも経て、最近はアキバ総研などのウェブ系でも執筆を始める。 基本的に雑食で、RPGからアクション、シミュレーションやFPSまでなんでもやる。

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