アニメ「ラーメン赤猫」杉山紀彰(佐々木役)、村瀬迪与(サブ役)インタビュー! ちょっとした行き違いにも愛を感じる日常ドラマが面白い!
集英社「ジャンプ+」にて連載中の人気コミック「ラーメン赤猫」がTVアニメ化。2024年7月より、TBS系28局にて放送中だ。
本作は、猫が営むラーメン屋「ラーメン赤猫」で働くこととなった主人公の人間・社 珠子(やしろ たまこ)と猫たちとの日常が描かれた、“猫あるある”満載の異色のお仕事物語。“ジャンプ+連載争奪ランキング”で1位となり、ジャンプ+のインディーズ連載を獲得、2022年に単行本が発売され、30話より通常連載化、“次にくるマンガ大賞 2022”ではWebマンガ部門第5位を獲得した話題作だ。それが今回、待望のアニメ化となった。
キャスト陣は、「ラーメン赤猫」店長・文蔵を演じる津田健次郎さんをはじめ、釘宮理恵さん(ハナ役)、早見沙織さん(クリシュナ役)、折原くるみさん(社 珠子役)と魅力的な面々が揃う。アキバ総研では、接客・レジ・経理担当である佐々木を演じる杉山紀彰さんと、餃子等サイドメニューの調理及びラーメンの盛り付け担当であるサブを演じる村瀬迪与さんにインタビュー。作品の魅力からアフレコのこと、さらには猫やラーメンのことまでいろいろとお話をうかがった。
好きなシーンはみんなの愛が溢れるところや……巧妙な手口!?
――「ラーメン赤猫」は猫たちのかわいさや癒し、おいしそうなラーメンがありつつ、心に響くエピソードも印象的です。おふたりは作品の魅力をどのように感じていますか?
村瀬 魅力は誰も死なないことですね(笑)。誰も戦わないですし。日常生活の中での戦いはありますけど、ずっと見ていられます。癒しだけでなくちょっとした言葉に深みもあって、読んでいる側の人生を通して見る(読む)ことができるのもいいなって思います。
杉山 もちろん猫のかわいらしさや癒しの要素もありますけど、それだけでもないんですよね。各キャラクターの間の人間関係(猫関係)とか、緩い日常の中でいろいろほほえましいことや楽しいことがあって。ラーメン屋で起こるトラブルをみんなで乗り越えていくところも、すべてがほほえましいです。突撃系の迷惑YouTuberも最終的には……となりますし。
村瀬 あそこは楽しみですね。
杉山 出てくる人たちは“100%悪”という感じではなく、“ちょっと困った人だな”ぐらいに描かれるから、長い目で見ると救いがあるというか。
村瀬 人間らしさですよね、それも。
杉山 そうなんです。“100%悪”な人間ってそうはいないよね、と。困った様子が30%とか40%あっても、憎めないところやいいところもある……という、いい意味で人間臭いやさしさにあふれているなと思いました。
――そんな本作でおふたりが演じる佐々木とサブについて、特に楽しみにしてほしいエピソードやシーンを挙げるならどこでしょうか?
杉山 面白いシーンやかわいいシーンはいっぱいあるんですけど、僕が好きなのは、“社さんに厨房でお皿を洗ってもらうため、佐々木さんが衣装を用意してくるシーン”ですね。佐々木さんには、社さんとハナちゃんに仲良くなってほしいという思いもあって。「猫がコンセプトのラーメン屋さんに人間がいたら台なしじゃん!」と怒るハナちゃんにどうやって納得してもらうか。「上の決定です。従ってください」とやるのではなく、うま〜く角が立たないようにして、最終的にはハナちゃんに「これが一番マシ」と言わせて、文蔵くんと佐々木さんがニヤリとするんです。
村瀬 巧妙な手口(笑)。
杉山 そうなんですよ(笑)。巧妙な手口なんですけど、そうやって円滑にお店や猫関係、人間関係を運ぼうとする佐々木さんがすごくやさしいなと思います。本当は「この人に厨房で働いてもらうから、文句言わないで」でも済むけど、ちゃんとみんなに気を使っているってところがかわいいですね。
村瀬 こんなつぶらな瞳でね。
杉山 しかも、衣装も「サブちゃん買いにいって」とやるのではなく、ちゃんと自分で買いますから。
村瀬 ドン・◯ホーテに買いに行ったのかな?(笑)
杉山 かもしれないですよね。「この服ならハナちゃんはこう怒るだろうな」とか作戦を考えて、そういうお店に自分で買い物にいって。マメでフットワークの軽い佐々木さんです。
――サブの方はいかがですか?
村瀬 サブは、“ゲームをやりすぎてお寝坊するシーン”ですね。いろいろ勘違いされて、「店を辞めてプロゲーマーになりたいなら送り出すよ」などとみんなに言われるんですよ。
杉山 すれ違いが面白いですよね。「オレ、クビっスか!?」って(笑)。
村瀬 ちょっとした行き違いがありつつ、それによってみんなの愛を感じるシーンなんですよね。見るのが楽しみです。
――個人的には、アニメで描かれるかはわかりませんが、原作での「サブがリーゼントのカツラを被る姿」がとてもかわいかったです。
村瀬 ツッパリサブですね(笑)。ネットでも被ったときの絵が人気なんですよ。
杉山 かわいいですね。なかなかないですよね、ニャンコのリーゼントって(笑)。
どこまでリアルな鳴き声にするかバランスを考えました
――佐々木もサブも、人間の言葉を話しますが猫ですよね。そのようなキャラクターを演じるときは、普通の人間キャラと比べてなにか違いは意識するのでしょうか?
村瀬 逆に「猫であることを特に意識しないように」とディレクションがありましたね。
杉山 そうですね。佐々木さんは第1話のときに「あまりキャラクターっぽくしすぎない方向でいきたい」という最初の意向がありました。キャラクターはキャラクターなんですけど、あまりベタに“キャラクターの会話”“キャラクターの作品”という形にはしたくない、人間ドラマ的にしたいんだろうなと。
ただ、お話が進んでいくと、コミカルなシーンやキャラクターっぽいシーンも出てくるので、そのあたりの整合性やバランスの試行錯誤はすごくディスカッションしました。やり方をひとつ変えれば、めちゃくちゃキャラクターものにもできるし、普通の人間ドラマにもできる。そのシーンと全体を通してのバランスを取るのが難しかったです。2.5次元といいますか、そういう感じになっているところはありますね。
村瀬 私は女性なので、ちょっとコントロールが難しい部分はありました。あまりキャラクターっぽくしちゃうと、女の子っぽくなっちゃうんですよ。そこをコントロールするぐらいで、人間とか猫とかを意識はしなかったですね。
――ずっと「にゃーにゃー」しゃべるわけではないですからね。
村瀬 でも、“ビジネスにゃー”を言わなきゃいけないときがあるじゃないですか。返事で「にゃー」とか。そういうときは、どのぐらいの「にゃー」なのか、最初はちょっと悩みました。
杉山 「にゃー」とか「シャー」とか、猫特有の声をどこまでリアルにするのか、どこまでファンタジーのアニメっぽくするのか、そのバランスですね。ゲーム(※)の収録でリアルに「シャー!」とやったら、「すいません。ちょっとリアルすぎるので、もうちょっとキャラクター寄りで」と言われて(笑)。佐々木さんテイストを残した「シャー!」を録りました。
※現在開発中のスマートフォン向けゲーム「ラーメン赤猫 ニャンて素敵なラーメン店」
村瀬 難しかったですよね。「ゴロゴロ(猫が喉を鳴らす声)」とかも難しかったです。
杉山 「ゴロゴロ」もリアルなのと記号的なのがありますけど、うちの猫の真似をしてリアルにやったら、「すいません。それだとリアルすぎて他の方のハードルが上がっちゃうので、それはやめましょう」って(笑)。それで、記号的な「ゴロゴロ」になりました。
――難しいですね。社さんにブラッシングされるときとかは、完全な猫モードですし。
杉山 (リアルな猫に)近いですよね。ただ、年配の文蔵さんと佐々木さんに関しては、そういう猫要素を抑えて“大人として”振る舞っているので、猫テイストが出る比率は少ないですけど。
村瀬 そこはサブが一手に請け負っています(笑)。猫は伸びるな〜と思いながら、「あ〜気持ちいい〜〜」って感じにしています。
――それぞれの役割といいますか、猫っぷりも楽しめるわけですね。
杉山 そうですね。猫も子猫の時代からだんだん成長して大人の猫になり、年配になっていく……という過程がありますので、それもこの作品の中で表されているのかなって思います。
村瀬 アンギャマン先生は猫が好きなんだろうなってわかるぐらい、キャラ分けが本当に上手ですよね。
猫の魅力や好きなラーメンを語る
――おふたりとも猫が好きで飼っている、もしくは飼っていたとのことですが、猫の魅力はどんなところだと思いますか?
杉山 「自由なところ」ですね。喜怒哀楽も素直だし、恥ずかしいって気持ちにも素直だし、上下関係では決めずに自分の気持ちを優先して動くところは、すごくかわいいなと思います。もちろんフォルムや見た目的なかわいさはありますけど、内面的なことでいえば、そういう媚びない自由なところが魅力です。
村瀬 私が思うのは、「人間にはない強さ」ですね。うちで飼っていた猫は、最後の半年間は四肢の麻痺で介護生活だったんです。四肢の麻痺って、人間だったらすごく落ち込みますよね。でも、猫は本当に生きることしか考えていなくて、「エサくれ!水くれ!嫌なものは嫌!」って感じなんです。一般的に、猫には“死の概念”はないと言われているんですけど、そういったことも超越して全部知っているんだろうなと思える強さ、不思議な力が魅力ですね。
――不思議な魅力ありますよね。そして、この作品といえば、やっぱりラーメンも気になるところです。おふたりはラーメン好きですか?
2人 好きです!
――味でいえば、特に何ラーメンが?
村瀬 私は絶対醤油!
杉山 僕は醤油も好きですし、味噌も好きなんですけど……何が一番かと聞かれると、塩なんですよね。ただ、醤油、味噌、豚骨とかいろいろなラーメンが置いてあっても、塩がないお店ってあるじゃないですか。だから、塩ラーメンの専門店とか、こだわっているお店が大好きです。
村瀬 よく「お米がおいしければ全部おいしい」って言うじゃないですか。ラーメン屋の場合、どれがおいしければ全部美味しいんだろう? と考えちゃいますね(笑)。
杉山 醤油しかないとか、豚骨しかやっていないお店もあるから、一概には言えないですよね。好みもありますし。
村瀬 普通は醤油が定番なのかと思っていました。
杉山 博多なら豚骨、北海道なら味噌バターとか、地域性がありますからね。
――そうなんですよね。では、オススメのラーメン屋とか、気になっているラーメン屋があればぜひ教えてください。
杉山 オススメというか、行きたいと思っているのにいつも行列で入れないのが、江戸川橋にある味噌ラーメンの専門店ですね。
――“三ん寅さん”ですか?
杉山 そうです、そうです。仕事の関係で通りかかると、いつも1時間待ちとかで、無理だなと思ってまだ食べたことがないんですよ。
村瀬 私は全然お店を知らないので、皆さんに教えてもらいたいです!
(取材・文・撮影/千葉研一)
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