Andoroid搭載ポータブルゲーミングデバイス「AYANEO Pocket S」レビュー!軽くて持ちやすい形状ながら大型タイトルも遊べる高性能機

2024年7月中旬発売予定の「AYANEO Pocket S」(以下、ポケットS)は、これまで数多くのポータブルゲーミングPCを手がけてきた、AYANEOによる最新機種だ。販売予定のバリエーションは以下のとおり。

AYANEO Pocket S 販売モデル
色は「アイスソウルホワイト」、「オブシディアンブラック」から選択可能
1080P 12GB/128GB:89,800円(税込)
1080P 16GB/512GB;109,800円(税込)
1440P 12GB/128GB:94,800円(税込)※ハイビーム公式限定
1440P 16GB/512GB:114,800円(税込)※ハイビーム公式限定

メモリー、ストレージ、画面ディスプレイの解像度の性能に応じて全4つのモデルが用意されている。これに加えて、別売りで専用保護ケース(5,800円[税込])も購入可能だ。本稿では、これらのモデルのうち「1440P 16GB/512GB」を試遊する機会を得たので、そのレビューをお届けしよう。

WQHDの解像度に6000mAhの大容量バッテリーを備えた約350gの携帯機



「ポケットS」でもっとも印象的なのは、携帯ゲーム機としての用途に特化した本体のスリムぶりだ。幅が213.9mmで高さは85mm、厚さは14mm。携帯可能な家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」を、ひと回り小さくしたようなサイズとなっている。重さは約350gで、両手で持つと重さはあまり感じない。今回の試遊で一時間程度持ち続けても、大した疲れはなかった。背面の突起部分はLT、RTのトリガーボタン周辺くらい。そもそも本体が薄くて軽いこと、サイズも小さいので両手でがっちりつかめることから、グリップ部分の密着感も強い。

つぎにボタン配置。本体右側にはA、B、X、Yという4つの押しボタンとジョイスティック、RBボタンとRTボタンのほか、本体設定のカスタマイズ機能を呼び出せるボタンとホームボタンがある。左側にはジョイスティック、十字キー、LB、LTボタンに加えて、メニューボタンとビューボタンが配されている。操作感はSwitchに近く、過去に携帯ゲーム機に触れたことのある人ならすぐになじむだろう。





本体上部には電源ボタンと音量ボタンのほか、起動中のアプリを切り替える際に使う「LC」、ホーム画面へ即座に戻れる「RC」ボタンがある。左側面にはmircoSDのカードスロット、右側面には本体のパフォーマンスのモードを切り替えるためのスライド形式のボタンが内蔵されており、本体下部にはUSB Type-Cの端子がひとつある。

microSDを使ってストレージを拡充できる点はありがたい。たび重なるアップデートでサイズが数十GBにのぼることも珍しくない昨今のソーシャルゲームにもばっちり対応できる。本機の内蔵ストレージは最大512GBなので、そちらのモデルを選ぶ分には容量にかなり余裕があり、お世話になる機会はあまりなさそうだが、128GBのモデルを購入する予定の人にはかなり重要な仕様と言える。

画面のサイズは6インチで、解像度はWQHDの2560×1440。リフレッシュレートは最大で60Hzだ。各種動作を処理するCPUや、グラフィックの描写性能を司るGPUといった主要機器を集約させたチップであるSoCには、ハイエンドのスマートフォン向けに供給されている「Qualcomm Snapdragon G3x Gen 2」を採用。おかげで後述の検証では、話題の大型タイトルも難なく動かすことができた。





注意したいのは充電関連。付属パーツはUSB Type-Cのコードのみで、アダプターはない。同様の規格のコードを直接挿して充電できる環境がない場合は、対応するアダプターを個別に用意しておこう。余談だが、PS5のディスク挿入口側にあるType-C端子を使って「ポケットS」本体を接続すれば、アダプターなしでも充電は可能だ。ただし、この方法はあくまでも筆者が個人的に試したものなので、もし実践する場合は自己責任でお願いしたい。

AYASpaceと仮想ボタン機能でゲームに合わせたセッティングが可能



AYANEOの機器ではおなじみの機能として「AYASpace」がある。本体右側下部にある専用ボタンを押すと、画面右に「Performance」や「Controller」といった全5種の項目が現れ、細かな設定ができる。このうちのPerformanceでは、フレームレートの出力数に始まり、CPUとGPUの使用率や温度、冷却ファンの1分あたりの回転数などをリアルタイムで確認可能だ。

Performance内にある「Performance Mode」では「Saving」、「Balance」、「Game」、「Max」の4モードが用意されており、記載した順番に本体の出力可能な性能の上限が段階的に上がる。Performanceで本体のパフォーマンスを確認しつつ、タイトルごとの負荷も考慮してこれらのモードを使い分けるのがオススメだが、今回触れたうえでの感想としては、大型タイトルであってもGameで十分動かすことができた。よほど負荷の強いタイトルを遊ばない限り、MAXを選ぶ必要はなさそうに思える。



AYASpeceでもうひとつ便利なのが、仮想ボタン機能。Controllerの項目にある「Key Mapping」をオンにすると表示される「Go to configuration」をタップすると、画面上部に専用のバーが出てくる。ここで「Add Mapping Point」を選ぶと、用意された各種ボタンを、画面上に自由に仮想で配置することが可能。配置された仮想ボタンの場所に対し、ボタン入力がタップ操作として反映されるので、「ポケットS」の内蔵コントローラーに対応していないタイトルでも、間接的にボタン操作が可能になるというわけだ。ちなみに、仮想ボタンの設定はタイトルごとに自動で保存されるため、切り替えるたびにいちいち配置し直す必要がない点もうれしい。

3つの大型タイトルを遊んでパフォーマンスを確認



今回レビューでプレイしたのは「原神」、「崩壊:スターレイル」、「鳴潮」の3タイトル。このうち、「崩壊:スターレイル」が「ポケットS」のボタン操作に対応している。未対応のタイトルもそれなりに多いと思われるため、Add Mapping Pointを利用した仮想ボタン機能は、ぜひとも覚えておきたい。


ここからは、「ポケットS」で「原神」、「崩壊:スターレイル」、「鳴潮」の3タイトルをGameモードでプレイしたうえでのパフォーマンスや所感をお届けしよう。



「原神」は、中国のゲームメーカー・miHoYoが手がけるオープンワールドのアクションゲーム。離れ離れになった兄妹の行方を追って、プレイヤーはテイワットという広大な世界を冒険する。

画質設定を最高にし、さらにフレームレートを60にしてプレイ。敵とのバトルや各地の探索などをひととおりこなしてみたが、フレームレートは58~60で推移しており、処理落ちは皆無。複数の敵とのバトル中に派手な技を使ったりすると、フレームレートが50前後まで落ちることはあったが、動作は安定しているので気にならなかった。



つぎに試したのは「崩壊:スターレイル」。「星穹列車」の一員となった主人公が、宇宙に広がるさまざまな星を旅するRPGだ。画質設定を最高にしつつ、フレームレートを60に上げて試したところ、50~60で推移していたほか、バトルや探索でも動作は終始安定していた。バトルスピードを上げても問題ない。

さらに、本作は今回取り上げたタイトルのなかでで唯一「ポケットS」のコントローラー操作に対応していた。ただし本機能を使うには、まず一度起動した後、オプション画面の「操作モードの切り替え」から「コントローラーモード」を選んで再起動する必要がある。手間ではあるが、内臓のコントローラーで直感的に操作できる点は大きいので、なるべく利用しておきたい。



最後に試したのは「鳴潮」。広大な世界を舞台にしたオープンワールド系のアクションゲームで、「悲鳴」と呼ばれる災害によって一度は崩壊するも、後に復興した世界を舞台に、主人公は失った記憶を求めて各地を旅していく。

グラフィックプリセットと解像度を高にし、フレームレートを60にしてプレイ。結果、フレームレートは50~60で推移、処理落ちとも無縁で動作は快適だ。「原神」と同じくオープンワールドであることから、負荷もそれなりに高いはずではあるものの、こちらも問題なく遊ぶことができた。

軽量かつスリムな本体に、処理能力の高いSoCのおかげで大型のソーシャルゲームの負荷にも耐えうる性能の高さもあり、「ポケットS」は利便性とハイスペックを両立している。場所を選ばず負荷の高いソーシャルゲームを遊びたい人には、自信を持ってオススメできる商品だ。

■「AYANEO Pocket S」の主要スペック

OS Android 13
SoC Qualcomm Snapdragon G3x Gen 2 Gaming Platform
メモリー 12GB/16GB
ストレージ 128GB/512GB
ディスプレイ ・2560×1440/490 PPI/120% sRGB色域ボリューム
本体寸法 213.9mm×85mm×14mm
本体重量 約350g
価格 ・1080P 12GB/128GB:89,800円(税込)
・1080P 16GB/512GB;109,800円(税込)
・1440P 12GB/128GB:94,800円(税込)※ハイビーム公式限定
・1440P 16GB/512GB:114,800円(税込)※ハイビーム公式限定
夏無内好

夏無内好

活動歴約10年のフリーライター。専門学校を出た後、大手のゲーム雑誌の記事作成や編集プロダクションの攻略本作成などを経験。週刊誌での長期連載やプレスリリースのリライトも経て、最近はアキバ総研などのウェブ系でも執筆を始める。 基本的に雑食で、RPGからアクション、シミュレーションやFPSまでなんでもやる。

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