2024年10月放送開始! 完全新作的アニメ「らんま1/2」大発表会レポート!山口勝平「今の僕らが作る乱馬でいい」と覚悟を語る

完全新作的アニメ「らんま1/2」の大発表会が2024年7月14日に開催。注目を集めていたキャストのことなど多数の新情報が発表となった。

「らんま1/2」は「週刊少年サンデー」(小学館)にて1987年36号~1996年12号に連載され、現在もなお絶大な人気を誇る高橋留美子さんの名作漫画。1989年から放送されたテレビアニメも原作同様、人気を博した。

それゆえに、今回の完全新作的アニメの制作決定が発表された際は、ファンから歓喜の声が沸き起こったのと同時に、キャストはどうなるのか? どんなアニメになるのか? と期待半分、不安半分の声があがっていたのも事実。今回の発表会が始まる前からSNSでハッシュタグ「#らんまアニメ」が日本のトレンド1位になっていたことからも、注目度の高さがうかがえた。

大注目の発表会の冒頭、いきなりPVが公開され、注目のキャストや制作会社、放送日時などが発表された。気になるキャストは、早乙女乱馬役に山口勝平さん、らんま(女らんま)役に林原めぐみさん、天道あかね役に日髙のり子さんといった具合に、メインキャストの多くが前回から続投することが明かされた。

制作はMAPPA、監督は宇田鋼之介さん、シリーズ構成はうえのきみこさん、キャラクターデザインは谷口宏美さんが担当。2024年10月5日より日本テレビにて毎週土曜日24:55から放送されるのを皮切りに、日本テレビ系にて順次全国放送されるほか、放送直後よりNetflixにて独占配信される。

左より山口勝平さん、林原めぐみさん、日髙のり子さん


そして、発表になったばかりのキャスト陣から山口さん、林原さん、日髙さん、さらに宇田監督が登壇。キャラクターをイメージした衣装のキャスト陣も宇田監督も、やっと発表できたことに興奮冷めやらぬ様子で、「業界の中でも奇跡なんじゃないかと思います」との言葉も飛び出した。

宇田鋼之介監督

山口さんによると、ボイステストを受けたのはおととしの12月暮れで、このメンバーでやることが決まったのが去年の1月末。この話をいただいたときに林原さんは、山口さんがやるならやるけど、そうじゃなければ……と最初少しゴネたと笑いながら明かす。それですぐ山口さんに、やるのかどうか確認の電話をしたのだとか。

日髙さんにとって「らんま1/2」は、青春だったと思うぐらい楽しかったそうだ。だからこそ、この機会は絶対に逃したくないとの思いが強く、かなり緊張していたと振り返る。そのせいでちょっと弱気なメッセージを受け取った山口さんが、日髙さんのボイステストの日に現場に来てくれたという素敵なエピソードも話してくれた。山口さんの「今回は個人戦じゃなくて、チーム戦だから」との言葉にも、みんなでやるんだ!という思いが滲んでいた。

それだけ思いの込もった本作を取り仕切る宇田監督は、学生時代に熱中した作品だったから話をいただいたときは驚きや感慨など、いろいろな感情が入り交ざったそうだ。そのうえで、どうしたらいいか悩む日々が始まったと振り返っていた。

続いて、登壇者たちは第1話のアフレコについても語る。当日は全員が緊張していたそうで、特に山口さんにとって「らんま1/2」は初めて名前のある役を演じた、自身の声優のルーツにあたる作品。林原さんもメインキャラを演じるのは当時まだ2作目。そんな2人は今回の演技について「自分で自分の影を追いすぎないようにしなきゃ」と思ったことや、「今の僕らが作る乱馬(らんま)でいい」と覚悟を決めたという。2人よりは経験があったとはいえ、まだ新人に毛が生えた程度だったという日髙さんは、今回改めて原作を読み込んで魅力を余すことなく全部詰め込みたかったと思いつつ、アフレコに臨んだと話してくれた。

ほかにも、旧シリーズのアニメ放送開始から35年、放送終了からは32年経ち、それぞれの場所で花を咲かせたメンバーが、またここに戻ってくるのが素敵だったと嬉しそうに語る。「また来週!」と言って帰る幸せも毎週噛み締めているのだとか。

さらに、話題は当時の具体的なディレクションのことにも及び、らんまは乱馬の分身であるため「勝平くん(の演技)を盗むように」と監督に何度も言われたと話す林原さん。今は逆に林原さんを山口さんが盗むことがあるなど、35年経ったからこその相乗効果が生まれているという。

30年以上前に演じた自分に寄せたのかと聞かれると、「最初は意識しました」と語る山口さん。それは山口さんだけでなくみんなテストでは意識したそうだが、本番になると画面の中で動いているキャラクターに“心を寄せていった”と、長年活躍してきた役者ならではの言葉も飛び出す。クラス会で集まったときに10年、20年がパッと飛んじゃう感覚に近いらしく、みんなの顔をみて、みんなの声を聞いていたら、どんどん力が抜けて反射的にお芝居ができたと語った。

音響監督も務める宇田監督からは「全員が主役級じゃなくて主役」との力強い言葉も。自分以上に役を知り尽くしているメンバーだったから意外と楽だったそうだが、ダメ出しは遠慮なくやったと話す。とにかく現場は家族のような感じで、チームワークをすごく感じたとも口にしていた。

発表会の後半には、オープニング主題歌を担当するアーティストも発表され、その人が登壇……かと思いきや、ステージには乱馬の父・早乙女玄馬が水をかぶった姿であるパンダが。「どうも!父です」との看板を持ったパンダをいじりまくるメンバー。そんな楽しいやり取りがあったのち、改めてオープニング主題歌を担当するanoさんが登壇。

長年愛されている作品のオープニングを歌うことが光栄だったと話すanoさんは、原作の印象を聞かれ「キャラクターの濃さや設定の斬新さが面白かった」と話しつつ、今回のアニメもめちゃくちゃかわいいと太鼓判を押す。

anoさん

山口さんから作品に出てくる呪泉郷に落ちるとしたらどの動物になりたいか?との質問が投げかけられると、anoさんは「ネズミになりたい」と回答。猫が好きなので、猫に追いかけられたいのだとか。それを聞いたキャスト陣は、作中にネズミになってしまうキャラクターがいないので「枠がある」と笑っていた。

さらに、原作者である高橋留美子先生から届いた貴重な色紙も登場し、最後に出演者からひと言ずつ挨拶があり発表会は終了した。

anoさん

「本当に光栄な話でオープニングをやらせてもらいます。原作を読んだことのない人も、アニメをきっかけにしてもっともっと面白いことを知ってもらいたいと思います。僕も大好きなので、皆さんのところにアニメが届くのを楽しみにしています」

宇田監督

「楽しい作品にしたくて、スタッフもみんな苦しみながらも楽しんで作っています。見る方々も苦しみながら楽しんでいただけたらと思います」

日髙さん

「和気あいあいとしたスタジオですが、宇田監督は決して諦めない。日髙から出てくるまで決して諦めないところがあって。きっと皆さんに届くときには完成されたあかねちゃんを聞いていただけると思います。今回、anoちゃんに令和の風を吹き込んでいただきました。私たちも元気をもらってアフレコをがんばりたいと思っていますので、楽しみにしていてください」

林原さん

「昭和、平成、令和を駆け抜けて、世の中ではAIという言葉もちらほらと耳に聞こえてくるようになりました。でも、(この作品は)なんとも言えぬ人間の底力といいますか、人間力にあふれていて。その中にあるドキドキだったりキュンキュンだったり笑いだったり……誰とでも共有できるような、すごく面白いものが巡ってきたことにもきっと意味があると思いますので、ぜひ気軽な気持ちで楽しんでもらえたらと思います」

山口さん

「新しい『らんま1/2』は2024年10月5日から放送、配信がスタートします。ぜひぜひ皆さん期待して待っていてください。みんな!待っててくれてどうもありがとう!さぁ、延長戦だぜ!」

(取材・文・撮影/千葉研一)


【作品情報】
■らんま1/2

<STAFF>
監督:宇田鋼之介
シリーズ構成:うえのきみこ
キャラクターデザイン:谷口宏美
総作画監督:谷口宏美、吉岡 毅、齊藤佳子、大津 直
メインアニメーター:内藤 直、青木里枝
POP アートワーク:北村みなみ
美術監督:大川千裕
色彩設計:垣田由紀子
撮影監督:加納 篤
編集:柳 圭介
音響監督:宇田鋼之介
音響効果:長谷川卓也
選曲:茅原万起子
音響制作:dugout
音楽:和田 薫
企画プロデュース:小学館集英社プロダクション
制作:MAPPA
製作:「らんま 1/2」製作委員会

<キャスト>
早乙女乱馬:山口勝平
らんま:林原めぐみ
天道あかね:日髙のり子
天道なびき:高山みなみ
天道かすみ:井上喜久子
天道早雲:大塚明夫
早乙女玄馬:チョー
響 良牙:山寺宏一
シャンプー:佐久間レイ
ナレーション:緒方賢一

©高橋留美子・小学館/「らんま1/2」製作委員会

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