ASUSの新たなポータブルゲーミングPC「ROG Ally X」をレビュー!「エルデンリング」など大型タイトルも快適に遊べる性能が魅力
2024年7月24日より、ポータブルゲーミングPCの「ROG Ally X」が発売される。
本機は、過去にさまざまなポータブルゲーミングPCを手がけてきたメーカー・ASUSの新作だ。用意されているモデルは1種で、詳細は以下の通り。
■ROG Ally X:発売モデル(ブラック)
・メモリー:24GB/ストレージ:1TB(SSD)……139,800円(税込)
本稿では、本機をひと足早く触れる機会を得たので、その強みや特徴、大型タイトルを遊んだうえでのパフォーマンスなどについて解説しよう。
大容量バッテリーとメモリーを備えた高性能の本体
「ROG Ally X」は、ASUSが過去に手がけた「ROG Ally」がベース。OSはWindows11、プロセッサーには先代と同様に「AMD Ryzen Z1 Extreme」が搭載されているものの、メモリーは24GB、ストレージはSSDの1TB、バッテリーの容量は80Whにまで増えている。
「ROG Ally」のメモリーは16GB、ストレージはSSDの512GB、バッテリーは40Whであることを踏まえると、本機は「ROG Ally」より処理能力が大幅に向上、バッテリーとストレージの容量は約2倍にまで進化している。より快適に長く遊べ、多くのタイトルをインストールできるようになったわけだ。バッテリーについては、公称では「ヘビーゲームで約3時間、動画サイト『Netflix』&『Youtube』視聴で最大約11.7時間」とある。ヘビーゲームとは高いスペックを要求するような大型タイトルのことだろう。性能の高さを生かして高負荷のゲームを遊べるのが魅力のポータブルゲーミングPCとしては、駆動時間が長くなるのは重要なポイントと言える。
ディスプレイは7型ワイドで、解像度は1980×1080dpi。タッチ機能も備えている。さらにリフレッシュレートは120Hzまで出力が可能で、FPSや対戦格闘のようなフレームレートが重要なゲームとの相性は良好。eSports系のタイトルを遊ぶ人にはうれしい仕様だ。
続いてボタン配置について。右側にはA、B、X、Yの4つのボタンに加えて、右スティックと、本体にインストールされているゲームを集約できる「Armory Crate」機能を呼び出すボタン、メニューボタン、RBボタンとRTボタンがある。左側面には、十字キーと左スティック、「コマンドセンター」の呼び出しボタンに、表示ボタン、LBボタンにLTボタンがそれぞれ内蔵。背面にはマクロ1、マクロ2ボタンが左右にそれぞれ配置されている。
本体上面には、指紋認証に対応した電源ボタンのほか、microSDのカードリーダー、USB3.2とUSB4に対応したポートがひとつずつ用意されている。さらに音量調節ボタンと、マイクロホンやヘッドホンに対応したジャックがひとつ、という具合だ。
本機の重量は約678gで、「ROG Ally」の608gと比べて約70g重くなった。とはいえ、両手で持つ分にはそこまで重みは感じず、さらに本体の左右は緩やかな曲線があるのでグリップ力も強め。両手で握ると安定感もしっかりあった。
コマンドセンターでパフォーマンスを調整&Armory Crateでゲームを呼び出し
本体の左にあるコマンドセンターボタンを押すと、画面内にコマンドセンターを呼び出せる。キーボードを軸にしたモードと、本体左右の各種ボタンを使う2種の操作方法を切り替えたり、CPUやGPUの使用率など本体のパフォーマンスの表示、消費電力を変えて性能をカスタマイズしたりと、さまざまな操作が可能だ。
とくに重要なのが、消費電力を変えられる「オペレーティングモード」。13Wの「サイレント」、17Wの「パフォーマンス」、25Wの「Turbo」があり、消費電力を示すWが多いほど、本体の性能も向上する。基本的には中程度のパフォーマンスで十分だが、オープンワールドや高グラフィックで描かれる高負荷のゲームを遊ぶ際は、本体の状況に応じてTurboも視野に入れたい。コマンドセンターの機能で本体のパフォーマンスをモニターできるようにしておき、フレームレートの数値を見ながら判断するといいだろう。
コマンドセンターと並んで便利な機能が「Armory Crate」。ASUSの製品に搭載されているソフトウェアで、本体の設定やアップデート、コマンドセンターのボタンを押した際に表示されるボタンの調整など、さまざまな項目をカスタマイズできるのが特徴だ。
さらに、本体にインストールされているゲームは、本ソフトウェアのライブラリ内にまとめて表示される。Steamはもちろん、Epic GamesやXbox Game Passといった複数のプラットフォームに対応しており、それぞれのライブラリ画面にいちいち移動する必要がない。
今回のレビューにあたって、Steamで「エルデンリング」と「ファイナルファンタジーVII インターグレード」、Epic Gamesでは「ゼンレスゾーンゼロ」をインストールしたが、すべてArmory Crate内のライブラリに表示されていた。各項目を選ぶとそのまま起動も可能。プラットフォームを気にせず、自由にゲームをインストールできるのはありがたかった。
ここからは、「エルデンリング」と「ファイナルファンタジーVII インターグレード」、「ゼンレスゾーンゼロ」を「ROG Ally X」でプレイしたうえでのプレイインプレッションをお届けしよう。なお、パフォーマンスモードは最大のTurboに設定した。
3つの大型タイトルをプレイしパフォーマンスをチェック
最初にプレイしたのは「エルデンリング」。2022年に発売されたアクションRPGで、プレイヤーは狭間の地と呼ばれる世界を舞台に、エルデの王となるための旅に出る。本作は2024年6月24日に、DLCの「SHADOW OF THE ERDTREE」が登場したのも記憶に新しい。
解像度は1280×720(こちらの画質にのみ対応していた)にし、ほかのグラフィックなどの各種項目は「最高」でプレイ。狭間の地で戦闘や探索を行った。フレームレートは40~50で推移した。60には至らなかったが描写自体はスムーズで、戦闘や探索も問題なくこなせる。フレームレートの値が気になる場合は、水面の反射や影の表現など、負荷が強めの設定から徐々に下げていき、適宜調整していくのがよさそうだ。
つぎにプレイしたのは「ファイナルファンタジーVII インターグレード」。PS4で発売された「ファイナルファンタジーVII リメイク」のパワーアップ版で、元ソルジャークラス1stのクラウド・ストライフを中心に描かれる本編のほかに、ウータイの忍びであるユフィ・キサラギを主人公にした別視点のストーリーが新たに追加されている。
解像度を1980×1080、テクスチャとシャドウの設定を「高」にしてプレイ。ニューゲームで本編の冒頭から試してみたが、フレームレートは40~60で推移した。フルHD画質でフレームレートが60まで出せるのは驚きだったが、エフェクトが激しい戦闘などでは40~50ほどに下がる。とはいえ処理落ちはなく、普通に楽しむ分には問題ないだろう。
最後に検証に用いたのは「ゼンレスゾーンゼロ」。本作は、「原神」や「崩壊:スターレイル」といったヒット作を手がけてきたHoYoverseによる最新作で、3人1組で敵と戦うアクションゲーム。超常的な現象を生み出す「ホロウ」という領域の専門家「プロキシ」として、主人公は新エリー都という都市を舞台に、さまざまな勢力と関っていく。
解像度は1980×1080で、画質は「高」、フレームレートを「無制限」で検証開始。もっとも負荷が強いであろう戦闘を中心にこなしたところ、フレームレートは50~60で推移した。本作は操作キャラクターを切り替えながら戦うのが特徴で、さらにゲームスピードも速い。戦うだけでも負荷はそれなりのはずだが、少なくとも今回の検証ではプレイに支障はないと言える。
先代の「ROG Ally」をベースに、メモリーやストレージ、バッテリーといった各種性能を向上させ、より負荷の高いゲームも快適に遊べるようになっている本機。ポータブルゲーミングPCに興味がある人には、「ROG Ally X」もぜひオススメしたい。
■「ROG Ally X」の主要スペック
OS:Windows 11 Home 64bit
プロセッサー:AMD Ryzen Z1 Extreme
メモリー:24GB
ストレージ:1TB SSD
ディスプレイ:7.0型ワイドTFTカラー液晶
本体寸法:幅280.6mm×奥行111.3mm/高さ24.7~36.9mm(スティック先端からの厚さは45.05mm)
本体重量:約678g
価格:139,800円(税込)
活動歴約10年のフリーライター。専門学校を出た後、大手のゲーム雑誌の記事作成や編集プロダクションの攻略本作成などを経験。週刊誌での長期連載やプレスリリースのリライトも経て、最近はアキバ総研などのウェブ系でも執筆を始める。 基本的に雑食で、RPGからアクション、シミュレーションやFPSまでなんでもやる。
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