同じ貝から生まれた人魚は、貝殻姉妹!? 独特の人魚文化に興味をそそられる「バミューダトライアングル」第2話ゆるふわ感想文

「バミューダトライアングル〜カラフルパストラーレ」第2話では、物語上重要な役割を果たしそうな、古びた映画館にスポットが当たりました。

映画館と言っても我々がイメージするものとは違っていて、天球状のドームの中に360度、立体的に映像を投影します。イメージとしては、プラネタリウムに近いですね。今回映し出されたのはくるくると回りながら優雅に踊る人魚の姿でしたが、背景となる「海」も劇場全体に投影されていました。

アナログ式で、ほとんど映らないブラウン管(?)テレビしか知らないソナタが、映画に夢中になるのも無理はありません。機械の調子が悪い時にバシバシと叩いて解決しようとするソナタの様子は、昭和生まれの人間には微笑ましく、懐かしく感じられます。

装置にセットされているボーリング玉大の「キネオーブ」を入れ替えれば別の映画を見られるようですが、これは魔法科学の産物っぽいですね。ついつい忘れがちですが、この作品は「ヴァンガード」に登場する惑星クレイが舞台ですから、科学も魔法もあるのです。

子どもたちが誰も知らなかった映画館にある、見慣れない技術と古い物語の世界。秘密基地のような雰囲気もあいまって、刺激の少ない村に育った少女たちにとって魅力的なのは間違いありません。パーレル村の首長・アルディさんはずっと放置されていた古い建物に入ることを(危ないので)禁止しますが、駄目だと言われたらますます気になってしまうのが若さというものです。それにしても、ソナタだけが特別強く映画館に惹かれるのは、なんだか気になりますね。

もうひとつ、第2話では「貝殻姉妹(シェルシス)」という概念にもスポットが当たります。この世界の人魚は、全て貝殻から生まれるんですね! 同じ貝殻から生まれるのが貝殻姉妹で、生まれた時期が違っても貝殻が同じなら姉妹のようです。パーレル村に登場する人魚は、若く美しい女性と子どもたちばかりなのは、そういう理由なんですね。

ソナタたちが寮のようなところで暮らしていることと人魚の生態を考えると、村の子どもは共同体で育てる感じでしょうか。「夫婦」「親子」というつながりがないことを考えると、「貝殻姉妹」というシステムは、人魚の社会にとってかなり大事な絆なんじゃないかと想像します。……ちょっと硬い見方すぎるかもしれませんが。

でも、都会のアトランティアよりもパーレル村の方が貝殻姉妹のつながりを重視しているように見えることもあり、いろいろ考えたくなる設定です。

5人娘の中で、普段は甘いお菓子やケーキで頭がいっぱいの子どもっぽいキャロが、貝殻妹である幼いカプリに対してはお姉さんとしてしっかりした姿を見せているのは、微笑ましくてかわいいなぁと思いました。

狭い村の中で映画館とキネオーブについて調べるソナタたちの計画は、たちまちアルディさんに見つかってしまいます。男性的な口調で厳しく叱責するアルディさんの様子は、それが村にとって必要な役割であることが伝わってきます。フェルマさんが子どもたちの異変にすぐ気がついてアルディに知らせ、その上で子どもたちにやさしく助け舟を出すという役割分担を見ると、彼女たちはこうやって村を守ってきたのだと思います。

ソナタたちが管理役として映画館に関わっていくことを許したアルディさんも、遠い昔の子どもの頃、この映画館でワクワクハラハラした経験があるのではないかな、とふと思いました。

(文/中里キリ)

おすすめ記事