劇場版「ダンまち」のゲストヒロイン、アルテミスは天然ポンコツ? それとも……? アルテミス役・坂本真綾インタビュー
「ダンまち」の略称でおなじみの「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」の劇場版が、いよいよ2019年2月15日に公開される。
まず、ちょっと「ダンまち」の世界観をおさらいしよう。広大なダンジョンを中心に栄える地下都市・オラリオに、女の子との出会いを求め冒険者になろうとやってきた少年・ベル。彼が、美少女女神・ヘスティアのファミリア(冒険者のパーティー)に加わったところから物語はスタートした。この2人を中心に、ファミリアのメンバーやオラリオのほかのファミリアとの冒険の日々での出来事を描いていく異世界ファンタジーだ。ベルとヘスティアとのラブコメ的なやりとりも、この作品の見どころのひとつでもある。
そんな「ダンまち」の劇場版は、原作者・大森藤ノさんが書き下ろしたストーリーで(ストーリー原案ではなく、みずから脚本を担当)、いわゆるアニメオリジナルのお話というよりも「アニメによる原作の新エピソード」といった趣だ。ちなみに話としては原作小説やTVシリーズと直接的なからみはないので、ビギナーの人でも十分に楽しめる。
祭りの日に、ベルは水晶に突き刺さった神秘的な槍を引き抜いた。この槍を引き抜けるだけの力量のある者を女神アルテミスが探しており、彼女の願いに応じてベルやヘスティアたちはアルテミスの手にも余るという凶暴なモンスター討伐に出発する。ヘスティアとは旧知の仲というアルテミスだが、ヘスティアが知る男勝りな彼女とは違い、妙に天然ポンコツ気味で……。このアルテミスを演じるのが坂本真綾さんだ。そこで坂本さんにアルテミスについてや、ヘスティア役の水瀬いのりさんとのアフレコ現場でのことなど、いろいろとうかがった。
久しぶりに演じた、正統派の清純派の女の子
──アルテミスを見たときの第一印象は?
坂本 若くてかわいいとってもピュアな女の子ですよね。キャラクターデザインを初めて見て、私としては最近では久しぶりに演じるタイプのキャラクターだなって(笑)。それで見た目はかわいいけれど本当は裏がある悪いヤツだったりするのかな? とか思いながら台本を最後まで読んでみたら、最後までいい子でした(笑)。私が最近演じる役は、もっと強さが前面に出ていたり、男なのか女なのかわからないようなキャラが多かったので、こういう王道というか正統派で清純派の女の子っていうのは久しぶりで新鮮でした。どうしてこの役を私にやらせてみようと思ってくださったんだろう?と思いつつ、その期待を裏切らないようにというプレッシャーを感じました。
──アルテミス役はオファーだったわけですね?
坂本 はい。アルテミスはあまりにも無垢で、特に恋愛に関しては初心なところがあるんです。そういうかわいさが目立つんですけど、本来の彼女はとても凛とした部分を持っていて、大きな使命も背負っていることが、話が進むにつれてわかってくるんですね。だから、無垢でかわいいだけじゃないという人物像のギャップといいますか、その辺が見えるさじ加減といいますか。いろいろな面が混在するアルテミスを表現できたらいいなという気持ちで演じてました。
──この劇場版は、原作者の大森藤ノさん書き下ろしのお話なんですよね。
坂本 そうなんです。だからアルテミスは本当に誰も知らない新キャラクターなので、作品のファンの方も「この子は、どういう女の子なんだろう?」って、ちょっとミステリアスに感じるんじゃないかなって。少し神聖な雰囲気というんでしょうか。俗っぽくなくて……いかにも神様らしいというか。そして何を考えて、なんのために現れたのかが最初はわからないので、本当に謎の部分が多いんです。でも意外にポンコツで親しみやすさも感じる子なんですよ。特にヘスティアとのからみが面白いです。2人は昔からの友だちなんですけど、ヘスティアから見ても久しぶりに会ったアルテミスが、自分が知っている以前のアルテミスとはだいぶ違っているのでとまどっていて。アルテミスがボケ、ヘスティアがツッコミみたいな感じでした。
──アルテミスのベルへの好意的な態度に、ヘスティアがついついヤキモチを焼いてしまうような描写もあるようですが。
坂本 ずっと「ダンまち」をご覧になってきているファンの方から見ると、突然ベルとヘスティアの間に割って入ってきた「おじゃま虫」みたいに感じるんじゃないかなぁって(笑)。きっとヘスティア側について、一緒にヤキモチ焼きながら見るんじゃないかなぁ?って感じました。でも原作の先生もおっしゃっていたそうなんですが、アルテミスはあざといだけのキャラクターにならないよう意識しました。彼女は彼女なりの確固たる思いがあって、ベルを見ているので……、っていうと変に聞こえますけど(笑)。ベルに対して真っ直ぐに向き合っているだけで、邪悪な気持ちがあるわけでないことは伝わると思っています。物語の後半ではきっと皆さんにアルテミスのことも好きになってもらえると思います。
──「あざとく見えないかわいさ」について工夫されたことは?
坂本 特に同性である女性から見たときに鼻につかない感じには、どうしたらできるだろう?みたいな。やっぱりアルテミスの中では、本当に計算はないので。そういう女の子に見えないようにというのと、絵柄的にもとてもかわいいので、せっかくのかわいさが故意に作った感じにならないように。「自然にかわいい」感じが出るように……、でもそれは、とっても難しいなって思いながら。それにさっきも言いましたが、最近私はこういう役をあまりやっていないことから、緊張もしてたんですよ。でも過去のアルテミスは得意でした(笑)。
──ヘスティアが知っている昔のアルテミスのシーンも出てくるんですね。
坂本 回想シーンで出てきます。本来の彼女は結構なドSだったのかも(笑)。でも私としてはそういう役のほうが慣れてるというか(笑)……、どちらかと言えば悩まずに演じることができたシーンでした。
ベルとアルテミスのダンスシーンに注目!
──アルテミスを演じて、坂本さんから見ての魅力や共感できたところは?
坂本 やっぱりギャップが見えたときに奥行きが出て、いいキャラクターだなと思いました。たとえばバトルシーンでは、みんなをリードして先頭に立って戦いに向かうようなところがあって。そういうシーンでは、すごく凛としていて頼りになる女性という感じがします。それからヘスティアとの関係ですね。2人で語らうシーンがあるんですけど、互いに神様ではあるんですけど、でも内面的には普通の女の子なんだなっていうのが見えて。女の子なら、誰でもお泊まり会みたいなことは経験があると思うんですけど、そんな女子が寝る前に語り合ってるような場面では、(普通の人間の女の子の)友だちのような近い存在にも思えるし。いろんな面があって、知れば知るほど魅力がわかってくるキャラクターです。それと彼女は、自分のファミリアへの想いもすごく強くて。自分が守らなきゃ!っていう責任感とか。そういう、上に立ってまとめる人ならではの、ある種の孤独感というんでしょうか。共感とは少し違うかもしれないんですけど、アルテミスはそういう自分ひとりにしかわからない思いを抱えて、誰のせいにもしないでその思いと向きあって生きているんだなっていうのが、私が彼女を好きになるポイントでした。
──お話をうかがうと、アルテミスはただの天然ポンコツさんではなさそうですね。
坂本 詳しくは言えないんですけど、結構切ない面も持ってるんですよ。最後までみていただけると、それがわかります。
──そのほか、演じていて印象深いシーンというのは?
坂本 ベルとアルテミスが2人で踊るシーンですね。でもそこはセリフはないので、私自身はなにもしてないんですけど(笑)。そのダンスシーンはひとつの見せ場になっていて結構長めなんです。アフレコした段階ではそこはまだ画は完成していなかったんですけど、未完成の状態でもすごくきれいなシーンでした。台本を読んだときよりも、映像として動きや表情があると、本当にロマンチックなシーンだなぁ! って感じられて。だから素敵な仕上がりになるんじゃないかと思うので、私も楽しみにしてるんです。その直前にある場面も、ベルと2人で話しているしっとりとした雰囲気で、女性として色っぽくかわいく見える場面なんです。でもその会話の中での交流以上に、その後に来るセリフのないダンスシーンのほうがより雄弁というか、想いが伝わってくる気がして。セリフを使わずに気持ちの触れあいを見せていく、ステキな演出だなって思いました。
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