この5人での、最後で、最高のステージ! 錦織めぐみ卒業ライブ「Luce Twinkle Wink☆卒業ライブ 5ール☆!~ゴール~」レポート
Luce Twinkle Wink☆のメンバー、錦織めぐみさんの卒業ライブ「Luce Twinkle Wink☆卒業ライブ 5ール☆!~ゴール~」が2019年1月14日、渋谷TSUTAYA O-EASTにて開催された。
Luce Twinkle Wink☆は5人組アイドルで、アイドルとアニソンの架け橋を目指す存在としてアキバ総研でも追いかけてきた。卒業と新規加入を常とするアイドル業界だが、ルーチェは2014年に研修生から昇格して「Luce Twinkle Wink☆」となってからは同じ5人でパフォーマンスを研ぎ澄ましてきた。きっとずっとこの5人で進んでいくように思っていた人が多かったと思う。それだけに、錦織さんの卒業の知らせは衝撃的だった。
体調的な理由とともに、錦織さんが声優を目指したい、という希望があるという話を聞いて、少しだけ腑に落ちた気がした。彼女のキャッチフレーズに「小悪魔ちゃんの2次元ボイス!」とある通り、魅力的な声質を持っていることももちろんなのだが。たとえば錦織さんに写真集についてインタビューをしている時、カメラの向こう側にいる“先輩”との関係性の世界にふ……と潜っていくような、少し異質な世界観と、「演じる」ということへのこだわりや憧れを感じることがあったからだ。
⇒Luce Twinkle Wink☆1st写真集「#ときめき」発売記念! 怒涛の2018年初頭を振り返りつつ、メンバーが語る撮影秘話!
彼女の夢を応援したいという気持ちと、この5人のLuce Twinkle Wink☆という唯一無二の存在を惜しむ、あまりにももったいない、寂しいという気持ち。両方を抱えて道玄坂を登った。おそらく、ルーチェを近くでずっと見守ってきたウィンカー(ファン)たちは、何十倍も強くそう思っていたのではないかと思う。
満員のO-EAST。関係者席には今までルーチェと同じ時代に競い合ってきた同事務所のアイドルたちや、関係者、取材媒体が数多く並んだ。ウィンカーの力強いコールと一体になってライブの開幕を告げるおなじみのSEと共に、いつもと同じように、特別なライブはスタートした。オープニングはルーチェの存在を世界に知らしめた「1st Love Story」。錦織さんが先頭に立って階段を下りていくと、大「めめたん」コールと共に、会場全体が黄色一色に染まる。一色の光に染まる光景自体は珍しくないが、ウィンカーのひとりひとりが錦織さんのいる場所をぴたりと指して、包みこむように光を捧げる様子は何か特別だ。
ライブを見ていて驚いたのは、5人……特に、錦織さんの卒業を見送る4人の動きが本当に素晴らしかったことだ。最後だからこそ、この5人で最高のLuce Twinkle Wink☆を見せるんだという強い意志と、意地を感じた気がした。
最初のブロックをいつも通りのノンストップで駆け抜けると、おなじみの挨拶をかわす。名乗りの前に錦織さんが「最後だね。」と呟いたのだけが普段との違い。リーダー宇佐美さんが「いつも通りのルーチェでやりたい!」と宣言すると、錦織さんが「今日はキラキラの時間をお届けしたいと思います」と続けた。
ここからの3曲、「Precious☆Summer」「Let me cry」「夢のその先」は、メンバー自身が創意工夫しながら制作に参加する“つくルーチェ”企画として、錦織さんが制作にたずさわった楽曲だ。「Precious☆Summer」は、持ち歌がまだ少なかった頃、それなら作っちゃえ、ではじまった最初のつくるーちぇ楽曲。
めめたんコールがさらに強く、大きくなる中、「Let me cry」での超攻撃的なダンスを目に焼き付ける。この曲は錦織さんのたっての希望により、黒須克彦氏の作曲で作られた楽曲だ。「夢のその先」の歌詞を彼女が綴っている時、すでに新しい夢が芽吹いていたであろうことを考えると、また違う意味を持って響いてくる。
「Twinkle"5"stars!!☆」「ラブ×タイムソルジャー~未来と君を行き交う戦士~」「少女たちの微熱」はルーチェの熱さ、かっこよさを見せる3曲。「Twinkle"5"stars!!☆」での錦織さんの「後悔したくない」のソロには魂がこもっているような気がした。
ここで、ステージには2013年、研修生だった頃からのルーチェと「錦織めぐみ」の映像が流れて、歴史を振り返っていった。最初期の映像を見ると、今の超絶パフォーマンスに比べると、全然普通のアイドルに見える。彼女たちが最初から特別な存在だったわけではなく、これまで過ごして、努力してきた6年間こそが特別なのだと伝わってくる。10人ぐらいの研修生が一緒に歌っている映像でも錦織さんは一際小柄で、どこで踊っているかがすぐにわかる。
映像明けには、この日のためだけに作られた白とピンクを基調にしたアイドル衣装をまとった錦織さんが一人で登場。「みんなを思って歌います」と宣言して、坂本真綾さんの「CLEAR」をカバーした。この曲は錦織さんにとって特別な作品「カードキャプターさくら(クリアカード編)」のオープニングテーマであり、「踏み出せない自分の背中を押してくれた曲」だ。
MCをあまり長く取らず、あくまでパフォーマンスで見せる姿はルーチェのベーススタイルだが、今日ばかりは風のように速く、熱く流れていくセットリストがうらめしい。深沢さん、桧垣さん作詞の「ポラリス」の前奏で瞳を閉じて何かを祈るように考えている深沢さんの姿や、「You are a star!」の錦織さんの見せ所の落ちサビソロパートをメンバー全員がもりたてる姿などが断片的に印象に焼きつく。
ルーチェの楽曲は、新しい夢に向かう歌詞や、努力してたどり着いた現在地の尊さを歌うような歌詞が多い。それが、道の途中で特別な意味を感じさせることが、少し切ない。ただ救いは、5人の表情が明るく、晴れやかだったことだ。特に板山さんは何かが吹っ切れたようにいい顔をしていたような気がする。とにかく、この5人の最高のルーチェで、最高の仲間を送り出すことに全てを捧げているように見えた。圧倒的なパフォーマンスはいつものことだが、見えるところでは息も乱さないコンディションとテンションには何か突き抜けたものを感じたほどだ。
本編ラストの「meteor bell」を聴きながら、メンバー全員の名前を織りこんだこの曲はこれからどうなるのかな、と少し考えた。ここまで一緒に走ってきた5人が手をつなぎ、顔をあげる姿は、それぞれの明日を見つめているように見えた。
ウィンカーの想いのこもった声に応えてのアンコールは、「Luce Luce Twinkle Wink☆」から。ルーチェ曲としてはかなり音の低い曲の入りに、錦織さんがハイトーンを合わせていくライブバージョンを会場で聴くのはたぶんこれが最後。叫ぶように言葉を紡ぐ錦織劇場の「もっとあいして!!」の響きがいつまでも耳に残った。
記念撮影を終えた錦織さんは、「一曲終わるたびにもう(この曲を)踊らないんだなと思います。ルーチェでいてよかったってこと思うことがたくさんあった。愛してくれてありがとう。大好きです」と思いを伝えた。
宇佐美さんが「ルーチェ5人の始まりの楽曲、聴いてください」と想いを込めて語った「刹那ハレーション」でステージを下りた5人だが、まだ歌わずには終われない楽曲がある。ダブルアンコールで最新のシングル曲「symphony」を歌い終えて、本当に本当のラストナンバー。「わたしがせーのって言ったら、曲名言ってほしいんだ」のお願いに、会場は「恋色♡思考回路」のタイトルを叫ぶ。錦織さんは「よくできました!」とにっこりほほえんだ。
歌い終えてステージに1人残った錦織さんは、天を貫くように、誇らしげにルーチェサインを掲げると、「またね」の言葉を残して、Luce Twinkle Wink☆のステージを下りた。
(取材・文/中里キリ、写真/徳田洋平)
【セットリスト】
M01:1st Love Story
M02:初恋☆ペンタグラム~I My Me Mine&You~
M03:大スキ、スキ、大スキ、スキ、、、、、
M04:羨望スターダム
M05:ナミダイロ
M06:Precious☆Summer
M07:Let me cry
M08:夢のその先
M09:Twinkle"5"stars!!☆
M10:ラブ×タイムソルジャー~未来と君を行き交う戦士~
M11:少女たちの微熱
M12:CLEAR(坂本真綾カバー(錦織ソロ))
M13:ヒカリ
M14:ポラリス
M15:七色未来
M16:You are a star!
M17:go to Romance>>>>>
M18:Treasure
M19:恋のprologue*
M20:meteor bell
EN1:Luce Luce Twinkle Wink☆
EN2:刹那ハレーション
WEN1:Symphony
WEN2:恋色♡思考回路
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