【インタビュー】「私」を構成する11曲です──沼倉愛美が2ndアルバム「アイ」をリリース
声優・アーティストの沼倉愛美が、2ndアルバム「アイ」をリリース。前作「My LIVE」から約1年8か月ぶりとなる今作は、TVアニメ「かくりよの宿飯」ED「彩 -color-」、TVアニメ「CONCEPTION」ED「Desires」というシングル曲を含む全11曲。アルバム用の新曲は、彼女自身がテーマを決め、作家陣に伝えたという。さまざまなジャンルの音楽が混在しつつ、沼倉愛美の今の姿を表現した1枚となった。
半分くらいは、セルフプロデュースと言っていいと思います
──2017年6月にリリースされた1stアルバム「My LIVE」以来、約1年8か月ぶりの2ndアルバムになります。どんな作品になったと感じていますか?
沼倉 今回のアルバムは、私が各曲のテーマを決めて、クリエーターの方に詞や曲を作っていただいたんです。ですから、今までの作品と比べると、より濃密に楽曲制作に参加した1枚になりました。でき上がった歌詞やメロディをチェックして、意見を言わせていただいたので、半分くらいはセルフプロデュースと言っていいと思います。
──プロデューサーの方と、最初からそういう風に作ろうと考えていたということですか?
沼倉 いえ、制作を進めていくうちに、そうなっていった感じですね。私の作業量が多くて、てんてこ舞いになったときもあって、「聞いてないよ」ってちょっと思いました(笑)。
──ははは(笑)。でも、ご自分が作りたいように作れたということですよね。
沼倉 プロデューサーさんは今までも、どんなサウンド感にしたいか、私の意見をいつも聞いてくれていたんですけど、曲全体のテーマを私から言葉にして、クリエーターさんにお伝えしたというのは初めてでした。時には、その言葉から連想されるほかのアーティストさんの曲を聴きながら、私とプロデューサーさんの間でイメージをすり合わせたこともあって、そのやり方にしてからはクリエーターさんにとっても掴みやすくなったんじゃないかなと思います。
──1stアルバムのときとは、違うアプローチの仕方ですよね。
沼倉 そうですね。新曲のテーマもそうですけど、アルバムタイトル曲を自分自身で作詞して、そのタイトルがツアータイトルにもなるということで、自分で決めないといけない部分が多かったと思います。2ndアルバムの制作が決まったときから、どんなアルバムにしようか、いろいろ考えていたんですけど、結局、自分自身を表現するものになったと思います。「私」を構成する11曲が入ったアルバムという感じです。
──アルバムタイトル曲の「アイ」は、どのように作っていったんですか?
沼倉 全曲のテーマを出し終えたところで、総括する曲を作ろうと思いました。まずはタイトルから考えていって、「アイ」なら、いろいろな意味合いをこめることができるし、全体をまとめる曲として成り立つかなと思って決めました。
──まずはクリエーター(作曲:高橋亮人)に楽曲を作ってもらって、そこから沼倉さんによる作詞という流れですよね。
沼倉 「アイ」はクリエーターさんへの発注ではなく、コンペ形式で3曲の候補曲の中から、私が決めさせていただいたんです。3曲の中で一番前向き感があった高橋亮人さんの曲を選びました。
──アレンジはWEST GROUNDさんと高橋さんの共作です。
沼倉 デモ段階から、かなり変わって、想像以上に力強さのある曲になりました。アレンジに関してはお2人に完全にお任せして、私は作詞に専念しました。
──作詞のテーマはなんだったのでしょう?
沼倉 歌を歌う「私」を書こうと思いました。普段からわりとしっかりしているように見られるんですけど、実は家にひとりでいるときは怠け者で、本当に何もしたくないんです(笑)。私はAB型で、外の自分をA型、家の中の自分をB型と呼んでいるんですけど、音楽活動に関してもその2人が心の中でせめぎ合うんですね。B型の自分が「もう十分、音楽を作ってみんなの前で歌ってきたから、そろそろ休んでもいいんじゃない?」と言うと、A型の自分が「もう少しがんばったら、もっと違う楽しみが待っているかもしれないよ」って。
──努力家でしっかり者のA型と、怠け者のB型と。
沼倉 どちらも私で、両方がないとダメなんです。「アイ」はその2人がAメロBメロで戦ってて、最終的に、歌うということに魅了されたA型の自分が勝つんです。これからも楽しさを追い求めて歌っていく、という曲です。
──たしかに葛藤を描いた歌詞になっていますが、それは沼倉さんが普段から体験していることなんですね。
沼倉 朝、ふとんを出るときから、A型とB型が戦っているんです(笑)。やっぱり周りの人からは、ちゃんとしているって思われたいし、仕事にもしっかり取り組みたいので、だいたいA型の自分が勝って前向きでいられるんですけど、いつもぎりぎりの戦いですね。「アイ」もA型が勝つということで、自分の中では超ポジティブ曲になりました。
──「アイ」にはソロデビューして2年やってきた自負みたいなものも、表現されているように感じました。ここまでやってきたからこそ、書けた歌詞なのかなと。
沼倉 そうかもしれないですね。ここまでの活動がなければ、出てこなかった歌詞だとは思います。きっと1年前だったら、歌う自分をテーマに歌詞を書いてみようとは思わなかったでしょうし、2年前は想像すらしなかったと思います。
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