助けあい、支えあう人魚達の姿がほほえましい――「バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~」ゆるふわ感想文第4話「大胆に思い切って」

アニメ「バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~」第4話はセレナ回でした。

冒頭からキネオーブと映写機の説明書に没頭するセレナ。書物を調べたり機械をいじったりが得意なセレナですが、理論で解決できないことに対処するのは少し苦手で、理屈先行なところがあるようですね。

そんなセレナがポコに導かれるように入ったのはフェルマさんのカフェ「エスポワール」でした。そこにいたのは村の子供たちのアデル、ナチュラ、カプリの3人ですが、何かトラブルがあった様子。3人が一緒に歌う時に着るためのおそろいのワンピースを新調したのに、ボーイッシュで活動的なカプリが自分用のスカートにかぎ裂きを作ってしまったのです。(自分にはあまり似合わないと思っている?)ワンピースを着て歌うことに乗り気ではなかったカプリ自身は涼しい顔なのに、アデルが一緒に着て歌いたかったと泣いているのが、2人の関係性をあらわしていますね。

第2話ではキャロが、貝殻妹のカプリにお姉さんらしいところを見せていましたが、今度はセレナが意外な一面を見せました。できない自分に腹を立てることはあっても基本的にいつも冷静なセレナが、アデルの涙の気配には露骨にうろたえた顔になります。

女の子らしいワンピースが似合わない、歌もうまくないと自分に自信がないカプリに対して、セレナは理路整然と励まし、子供の「どうして?」にもていねいに答え、それでも足りなければ自分が率先して実行してみせようとします。後のシーンでわかりますが、セレナは自分に自信がないフィナにずっとそうやってきたんですね。料理や裁縫が得意で女の子らしい今のフィナはセレナの言葉と助けでできあがってきたんだと思います。

不器用なセレナとカプリが自分たちでスカートを直そうとする試みは残念な結果になりますが、セレナが素直に失敗を謝ってフィナに手伝いを頼むことで、うまく修繕することができました。下手でも自分のために頑張ってくれたセレナの姿をまず見せて、すごく上手にできるフィナにも片付けという苦手なことがあることを見せる。そんな2人が助け合いながら頑張ることでかわいい衣装ができあがった、という流れがカプリの心に届いたんじゃないかなと思います。できあがった活動的な衣装には、カプリが好きな小さなリボンをあしらいます。本当はカプリもかわいいものが好きで小さな憧れがあることを描いているようですごくいいと思いました。

筆者がこの作品で好きなところは、関係性をていねいに描いていることです。セレナのがんばりとフィナとの関係を見てカプリの心が変わっていくお話でしたが、同時にセレナ自身もただ大胆なだけではうまくいかず、フィナの裁断のように、経験と努力に裏打ちされた大胆さが必要なのだと学ぶお話だったのだと思います。やさしい世界の中で、少女たちが誰かとのつながりを通してちょっと成長していく感じに、西村純二監督のやさしいまなざしを感じました。

ちょっと脱線したところで個人的に面白かったのは、ポコとカプリが衣装を引っ張り合うシーン。生地が破れてしまうのではないかとハラハラしましたが、ポコとカプリを演じているのはどちらも松井恵理子さんです。喧嘩するマスコット小動物とボーイッシュな人魚の演じ分け、声優ってすごいなと思いました。

(文/中里キリ)

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