「なんでもあり」だからこそ実現できる夢と混沌のライブ空間!新企画「ブシロード DJ LIVE」で暴れてきた!!

ブシロード×声優・アーティスト×DJのコンセプトを掲げた新イベント「ブシロード DJ LIVE」が2018年12月30日(日)、渋谷・SOUND MUSEUM VISIONにて開催された。

ステージにDJブースが設定されたライブハウスには、500人以上の観客が詰めかけて大盛況。来場者にはバングルライト(光る腕輪)が配布され、音楽に合わせて身体を揺らし、拳を突き上げる空気感はDJイベントならではだ。

まずはニッポン放送のアニメ大好きアナウンサー・吉田尚記さんがオープニングアクトとして登場、アニソンDJをステージで実演してみせた。

彼が最初に回した楽曲は、「熱風海陸ブシロード~熱き咆哮~(HyperEuro Version)」! 思えば、かつてミルキィホームズがこの曲をユーロバージョンで歌ったのは、ユニットが作品の枠を越えてブシロード楽曲を歌う流れの走りだったかもしれない。続いてfripSideの「only my railgun」やRoseliaの「BLACK SHOUT」といった誰もが知るアニソンの数々が、会場のテンションをDJ LIVE特有の世界に変えていった。スタァライト九九組の「Star Divine」で客席のPPPH(ぱんぱぱんひゅー)をあおったり、水樹奈々さんの「DISCOTHEQUE」ではステージ前方で踊りまくったりと、DJイベントの文脈の中であれば「何をやってもいい」感を体現する吉田アナだ。

今回のイベントでは4組9人の出演が発表されていたのだが、いきなりその枠をぶっ飛ばしてきたのがサプライズで登場した「DJずっ」ことi☆Risの澁谷梓希さんだった。自身も大好きだと語る「這いよれ!ニャル子さん」主題歌「太陽曰く燃えよカオス」とともに登場した澁谷さんは、「DJずっ from i☆Ris。今日は楽しんでくださいね!」とひと言。黒い装いのDJスタイルでキメた澁谷さんのプレイに、会場からはサイリウムの光が徐々に消え、DJライブ独特の一体感が場を包み始める。Roseliaの「Legendary」やラミーラビリンスの「Wing of Image」、市ヶ谷有咲の「す、好きなんかじゃない!」が並ぶ構成は、これぞ“ブシロード”DJライブという感じだ。
「ミルキィ100ワールド」を流しつつ、ステージ上でノリまくって踊りまわった澁谷さんは、満を持してi☆Ris曲「ドリームパレード」を投入! 会場が待ってましたと盛り上がる中、澁谷さんはサビでスクラッチを入れて溜めたり、ステージ前であおりまくったりと大暴れ! 曲中に軽くi☆Risっぽいダンスを見せたりするのはやっぱりズルい! なんせ本人だもの。「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の「星のダイアローグ」では優雅に指揮するフリをしてみせたりと、ステージを心から楽しんでいる澁谷さんの姿が印象的だった。

ここで澁谷さんが「続いてはこの人に歌ってもらいたいと思います!」と呼びこんだのは、またもサプライズ出演のアーティスト・ZAQさん本人! 「フリップフラッパーズ」主題歌「Serendipity」などの本人歌唱で盛り上がりまくったテンションは「中二病でも恋がしたい!」OP「Sparkling Daydream」で最高潮に! イントロが流れるとともにあふれだした期待感が爆発する感じは、アニソンが持つ力を感じる瞬間だ。サビ前のワンフレーズを澁谷さんが歌うと、会場は一体になって大盛り上がり。DJ経験豊富な彼女ならではのやり方で会場を温めてみせた。

空気が完全にできあがったところで、「Yes! BanG_Dream!」で、声優の尾崎由香さんと西本りみさんが登場。「Yes! BanG_Dream!」や「ティアドロップス」といった「バンドリ!」楽曲に関してはほぼ西本りみスーパーライブ状態。牛込りみ役としてのキュートなキャラボイスでの歌唱のイメージが強い彼女が、ボーカリスト西本りみの素の声でステージのメインを張っているのはもうこれだけで見に来てよかった!と思えたくらいだ。「Time Lapse」では会場のohohの大合唱の音圧がものすごくて、ライブハウスでここまで映える曲だったのか、と改めて確認できた。

尾崎さんはソロデビュー曲「LET'S GO JUMP☆」を披露。かわいく元気いっぱいなステージに、西本さんも花吹雪を振りまいて華を添えた。西本さんがチョココロネを取り出して歌うのは、もちろん「バンドリ!」の「私の心はチョココロネ」。尾崎さんとZAQさん、そして会場も一緒になって「チョココロネ!」を叫ぶ不思議な空間が広がっていた。

再びの尾崎さんのターンは、「アニマエール!」主題歌「ジャンプアップ↑エール!!」! 西本さんやZAQさんたちもポンポンを持ってのチアダンス風の応援で会場を盛り上げる。会場の野太い歓声とZAQさんのガチラップが入り乱れて別の曲のように盛り上がるのも面白い。このパートのDJはメイド姿のDJつんこさんが担当していたのだが、尾崎さんや西本さんがDJプレイにチャレンジする場面もあった。ステージ中、西本さんが(この曲のタイミングで)ガチでチョココロネを食べ始め、時々「チョココロネ〜」とつぶやくのが生でマッシュアップしているような感じがあって、なんとも面白い。そこから尾崎さん演じる「鳩谷こはね」のキャラソン「放課後Cheerful☆Girl」の“お菓子でおなかいっぱい”のフレーズにつなげたのは技ありの構成であった。

個人的に雷に打たれたようになってしまったのが、「デジタルカードファイト トリプルモンスターズ」の作品内ユニット・ピンクスプラウトの楽曲「ワクワクが止まらないw」がさらっとセットリストに入っていたことだ。オリジナルメンバー3人の内2人が揃ったステージに、そっとこの楽曲をしのばせてくれた愛情が本当に嬉しい。

ステージの締めでは西本さんと尾崎さんがにくきゅうグローブを着用。熱狂に応えるようにZAQさんが「Welcome to ようこそジャパリパーク!」のフレーズを叫んで、アニメ「けものフレンズ」主題歌「ようこそジャパリパークへ」に突入すると会場はもうお祭り騒ぎだ。なんでもありの自由なステージの中で、尾崎さんがサーバルとして「ここはDJライブ!」と叫び、オーイシお兄さんのパートをZAQさんがシャウトする構成は、DJ LIVEならではの反則級の豪華さだった。

続いてのパートは、声優の紡木吏佐さん、大塚紗英さん、倉知玲鳳さんのステージだ。まずは「バンドリ!」第三のバンド「RAISE A SUILEN」でDJを務める紡木さんが、みずからDJを担当する場としての注目度の高さ。そしてRAISE A SUILENキーボードの倉知さん、Poppin'Partyのリードギター大塚さんといえば、それぞれのバンドで楽器を演奏しながら激しく情熱的なアクションを見せる2人なのだ。

普段キーボードを弾きながら信じられないほど激しい動きを見せる倉知さんが「That Is How I Roll!」ではマイクを握ってさらに大暴れ。ステージ上にはキーボードとギターも用意されていて、倉知さんと大塚さんが演奏する場面も見どころだった。大塚さんはステージ上で実際にギターを奏でている時の生き生きとした表情とテンションの弾け方から、骨の髄までギターと一体なんだなと感じた。紡木さんが「Butter-Fly」を流している時は大塚さんがステージの前につつつ……と出て金色の紙吹雪をまいたりと、マイペースにステージを楽しんでいる様子だった。

嬉しかったし、はっとしたのは大塚さんが「バンドリ!」花園たえのキャラクターソング「花園電気ギター!!!」を久しぶりに披露してくれたことだ。

DJとしてステージを盛り上げた紡木さんが歌うときは、今度は大塚さんと倉知さんが盛り上げ役に。「天元突破グレンラガン」のOP「空色デイズ」では、倉知さんがキーボード、大塚さんがギターを奏でておおいに盛り上がった。倉知さんが咲き乱れる花のような暴れっぷりを見せたのが「B.O.F」で、ステージ上でサイリウムを激しく振る躍動感は素晴らしかった。3人のラストナンバーは「バンドリ!」より「ときめきエクスペリエンス」。メインパートは倉知さんと紡木さんが担当して、大塚さんはギターとコーラスを担当。この日限りの組み合わせの楽曲を会場も一緒に合唱して、ハッピーに次の出演者へとつなげた。

続いての主役は、声優の橘田いずみさんと、歌手・Raychellさんの大人コンビだ。このステージでは、2人のルックスのゴージャスさが一層際立っていた。彼女たちが登場とともにぶちかましたのは「はいぱーみるきぃあわー」! 続いて、RAISE A SUILENの「UNSTOPPABLE」をRaychellさん本人が歌唱と、普通では考えられない並びで盛り上がるのがDJライブならでは。ステージ上で橘田さんのお家芸のムチ振りをRaychellさんもともに行う姿は、本イベントならではのパフォーマンスだった。

DJライブならではの可能性を感じたのが、Glitter*Greenの「Don't be afraid!」、そして橘田さんがミルキィのコーデリア・グラウカ役として歌った「乙女♡危機一髪」だった。「Don't be afraid!」はミルキィホームズのキャスト4名が、「バンドリ!」で演じたバンドであるグリグリの最初で最後のシングルであり、声優ユニットとしてのミルキィホームズは今年1月28日、日本武道館でラストライブを行ったばかり。だからこそ作品ともユニットとも関係がない場で橘田さんがこの曲を歌う姿を見られたのは、とてもうれしく思えた。ミルキィホームズやグリグリ、フェザーズの楽曲を本人がいるステージで、これからまた聴ける“かもしれない”という可能性が生まれたのは、本当に嬉しいことだった。橘田さんとRaychellさんのステージのラストナンバーは「正解はひとつ! じゃない!!」。またしてもクライマックスしかないステージだった。

そして大トリに登場したのは、声優の愛美さんと前島亜美さんだ。田村ゆかりさんの「Fantastic future」を歌う前島さんのアイドル力の高さはさすがのひと言! 愛美さんメインの1曲目「光るなら」はアニメ「四月は君の嘘」オープニングテーマのカバー曲。今回のライブのセットリストはたくさんの作品にまたがり、長い歴史の文脈上にあるものだが、そんな事前知識がなくてもスマホアプリ「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」をやりこんでいる人なら大半の楽曲が耳になじんだものだろう。無限の広がりがありながらも、新しい人も音楽を共有する術があるのは「ガルパ」を含めたコンテンツ展開を積み重ねてきたブシロードならではの強みかもしれない。

前島さんが「みんなと踊りたいと思います!」と宣言しての「しゅわりん☆どり~みん」では愛美さんも一緒に踊ったり、マラカスを振ったりと、大いにステージを盛り上げた。愛美さんが前島さんに抱きついていったり、「好きだよ!」「大好き!」の言葉をかわしたりと、2人の仲のよさが伝わってくる時間でもあった。愛美さんの「千本桜」や前島さんの「ふわふわ時間」を個性豊かに歌い上げる姿が、とても印象的だった。「ふわふわ時間」で愛美さんが「超絶かわいい! あみた!」「L・O・V・E!」とステージ上からコールを入れていたのには笑ってしまった。

ラストナンバーは「ピコっと!パピっと!!ガルパ☆ ピコ!!!」。会場中がこの日一番の盛り上がりのコールとクラップでひとつになって、初のDJライブを締めくくったのだった。

最後に個人的に感じたDJライブの魅力をまとめると、なんといってもブシロード楽曲、アニソンというつながりがあれば、どんな曲をどんなメンバーで歌っても構わない自由さ、選択肢の広さだと思う。バンド楽曲では演奏してもいいし、しなくてもいい。ユニットメンバーがそろっても、そろわなくてもいい。解散したユニットの楽曲をかけてもいいし、本来のボーカルと別のメンバーが歌ってもいいし、本人がDJをやってもやらなくてもいい。おそろしく自由度が高く、だからこそこの場所でしか見られないものがある。自由と混沌で満たされた空間の楽しさは、一度は体験する価値があるものだと思う。

なお、次回の「ブシロード DJ LIVE vol.2」は、2019年4月5日に新木場STUDIO COASTで開催予定となっている。DJライブとのリンクが予想される謎の新プロジェクト「D4DJ」を含めて、今後の展開にも注目していきたい。

(取材・文/中里キリ)

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