話題のゲームアプリ「猫のニャッホ 〜ニャ・ミゼラブル〜」アニメ化記念! 今だから語れる、開発裏話をココネさんに聞いてみた!!

今話題のかわくいて面白く、心温まるゲームアプリ「猫のニャッホ 〜ニャ・ミゼラブル〜」をご存じだろうか?

「猫のニャッホ 〜ニャ・ミゼラブル〜」は、ココネ株式会社よりリリースされているiOS、Android向けのストーリー型マッチスリーパズルで、歴史上の画家をモチーフにした猫たちが登場する。

一見ファンシーな彼らだが、元が強烈なキャラクターを持つ芸術家ばかりだけあって、どの猫もなかなか個性的。そのいっぽうで、大好きなご主人様を失った駆け出し画家のニャッホが、自分の絵を売ってご主人様との思い出がつまったボロボロのお屋敷を元に戻していこう……というストーリーは、涙なしには読み進めることができない!?

そんな誰もが放ってはおけないニャッホたちが、ついにTVアニメになることが先日発表された。ニャッホ役に杉田智和さん、テオ役に嘉陽光さんが起用されることが明らかになり、大きな話題を呼んでいる本作について、改めてクリエイティブディレクター・竹内正憲さんとデザイナー・諸岡綾さんに制作の裏話や、アニメ化に関するエピソードをうかがった。
⇒「猫のニャッホ」がTVアニメ化! ニャッホ役は杉田智和が続投

賛否両論だった!? ニャッホ誕生秘話

--まずゲームアプリ「猫のニャッホ 〜ニャ・ミゼラブル〜」の制作経緯について、お教えください。

クリエイティブディレクター・竹内正憲(以下、竹内) もともと弊社は女性向けアプリ「ポケコロ」や「ディズニー マイリトルドール」といった女性向けアバターアプリを主に開発してきました。

私はプロデューサー兼クリエイティブディレクターといった立場で、デザイナーの諸岡と一緒のチームだったのですが、「『ポケコロ』内で何かをやろう」という話になった時に、アバターによくある絵柄ではなく、「手描き風のタッチで勝負したい」というアイデアがあったんです。

デザイナー・諸岡綾(以下、諸岡) 最初は「ポケコロ」で水彩画のような雰囲気を出せないかな、って思ったんですよ。

竹内 その際に諸岡からあがってきたイラストを見て、「これだったら、何か形にできるんじゃないか」という風に考えました。最初は「ポケコロ」内の企画として走らせていたのですが、紆余曲折があって「パズルをプレイしたら物語が進行する、というゲームはどうか?」というアイデアに行き着きました。それをもんでいって画家を主人公としたパズルゲームに落ち着きましたね。

そこから「絵を完成させる」となり、どんな画家のキャラクターが、なんのために、どんな絵を描いていくのか?といった部分を詰めていきました。

諸岡 ニャッホは画家のゴッホがモデルになっているんですけど、最初はゴッホという設定がなくて、私が猫好きだから猫を使ったキャラクターということで描いていました。単なる画家のオジサンで、「にゃんこ画伯」っていう……。

それで、彼は昔売れっ子だったけど今はスランプに陥っていて、「絵の具の精霊たち」っていう幻覚が見えてきて、精霊たちがパズルのピースになって、パズルを解いていくと絵が完成するっていう企画を提案したんです。

--幻覚が見える(笑)。

竹内 普通、猫のキャラクターで勝負したいって時に提案されるのって、かわいらしい猫だったり、カッコいいキャラクターじゃないですか。でも、提案してきたのがそれとは真逆のくたびれたオッサンの猫で(笑)。しかも、幻覚が見えたりするような芸術家的な部分もあって、かなりパンチがあると思ったんです。そこからどんどんと掘り下げていった感じですね。

--くたびれたオッサンだったり、幻覚が見えるというのが、逆にパンチがあって面白いとなった、と(笑)。

竹内 やっぱり「キャラクターを作ろう」と思った時に、単純にキャラクターのみで勝負する場合はかわいさやグッズになった時の見た目といった部分から入ると思います。

でも、我々の場合はアプリの世界観につなげていかないといけないので、そのキャラクターが気になったり放っておけない要素を入れる必要があるかな、と。そうやってキャラクターを掘り下げていった時に、人間誰しも面倒くさがりな部分を持っていて、そこに共感しやすいキャラクターにできればいいな、と考えたんです。

最近は、愛されキャラのオジサン俳優さんも人気なので、そういう要素も入れていけないかな、と。

諸岡 だから、ニャッホは最初から借金があってグータラで女好き、みたいな設定でした。

竹内 発想としては昭和っぽさを大事にしているんです。たとえば、藤子・F・不二雄先生のマンガの主人公みたいな。

「ドラえもん」ののび太とか、ダメなんだけどなんか放っておけなくて、そこが共感を呼んだり応援をしてもらう気持ちを刺激できているのかな、って。

--「猫のニャッホ」でこだわったポイントは、どういったところでしょうか?

諸岡 やっぱりキャラクターのビジュアルですね。特に、メインキャラのニャッホは、目の下にクマがあったりして、社内で「このキャラクター、かわいい?」とか「こんなオジサンっぽいビジュアルで大丈夫?」とは、かなり言われました(苦笑)。

竹内 そういったキャラの見た目に加えて、ストーリーだったり、キャラクターの個性を独り歩きさせるために、周りのキャラクターとのかけ合いによって遊んでいる方が徐々に愛着を持てるようにする仕組みはすごく意識しました。

実際、TVドラマを手がけている脚本家さん(船橋勧氏)を入れて、キャラの性格を魅せていくストーリーを考えていきましたね。

諸岡 パズルゲームですけど、本格的なストーリーを詰めていったので。

--「猫のニャッホ」のキャラクターは実在の画家をモチーフにしていますが、そのあたりにもこだわりのポイントはありますか?

諸岡 キャラクターを見た時に、そのモデルの画家がわかるようにすごく考えていますね。デザインをする時はモデルの画家の写真を見ながら制作していますし、猫の種類もモデルに近いような種類を選んでいます。

実際のピカソはシルエットが丸いので、足を太めにしたり、目も二重まぶたでボテッとした感じとかを入れたり……。

モデルの画家を知っている人なら嬉しくてニヤッとする感じになると良いな、と思って出来るだけ寄せるようにしています。

--ゴッホはカミソリで自分の左耳を切ったエピソードが有名ですが、「猫のニャッホ」でもそんな展開が来るんじゃないかとハラハラしながらプレイしています(笑)。

竹内 お客様からも「耳を切るのか」とか「最後は自殺エンドなのか」みたいな質問はすごい寄せられます(笑)。

モデルとなった画家の史実はなるべく入れるようにしていて、脚本家さんにも当時の絵画の世界や文化を調べてもらっています。ニャッホでも、耳のカミソリを匂わせるような展開があったりしますし。

ほかにも歴史上の画家の中には、狂気じみていて常人では考えられないようなクズなエピソードもあったりするので、そういった部分は誇張して盛り込んでいたりしますね。

諸岡 逆に、史実のままキャラクターにするとトンガリ過ぎているので、丸みを持たせて取り込んでいる部分もあります。ただ、そういう意味では、すでにモデルの画家のキャラが立っているので、キャラクターは立たせやすかったですね。

--美術が好きな方からは、「次はこの画家をモデルにしたキャラクターを出して!」といった意見もあるのでは?

竹内 ツイッターでそういった声は多く寄せられていますね。

諸岡 ほかにも、美術に詳しい方も遊んでいただけているようで、「パズルは苦手だけど、お話や世界観が好きでプレイしている」という方もいらっしゃるみたいですね。

--美術好きとしてはたまらないですもんね。そのほかアプリをリリースして以降、どういった反応がありましたか?

竹内 リリース前の社内では「プレイヤーである飼い主が亡くなって、借金を負った画家の猫ががんばる」という設定を共有した段階で、かなり反発が多かったですね(苦笑)。

諸岡 猫好きにとって一番辛いシチュエーションだから、「ゲームを続けていく気になれない」とか……。賛成と反対が半々くらいでした。

竹内 いろいろ悩んだんですが、やはりリリースしてみないとわからない部分もあったので、まずは自分たちが「これだ!」と思うものを詰め込んで出してみることにしました。最悪、リリースしてダメだったらなんとかすればいいかなって(笑)。

ただ、実際にリリースしたら、次の日も遊んでくれているという指標の「翌日継続率」や一週間後の「継続率」が、弊社のアプリの中でも抜きん出て高かったんです。そこで初めて「ニャッホが受け入れられたんだ」という安心を感じましたね。

諸岡 ニャッホも「お客さんに受け入れてもらえるかな?」って思ってたんですけど、結構「かわいい」って言ってくれる方も多くて安心しました。最近は、いろんなファッションをしたニャッホもいて、それに対する反応もいいですね。

竹内 ニャッホはもみじ饅頭風の衣装を着たりとか、フザケられるかわいさなんです。

もともとターゲットを30〜40代の女性に設定して、それを受けて諸岡が全体のトーンをおとなしい色味にしていたのもよかったのかな、と思いますね。実際に、アプリのお客様はその層が一番多いです。

ニャッホの声のイメージは「銀さん」?

--2月22日は「にゃんにゃんにゃんの日」ということで、このたび、「猫のニャッホ」はアニメ化が発表されました。アニメ化の経緯についてもお教えください。

竹内 ゲーム制作の際に、キャラクターの声を声優さんにお願いしたのですが、その際に声優事務所の方とも「アニメ化したら面白いですよね」といったお話はさせていただいていたんです。そうしたら、その後さまざまなご縁があって、みなさんに「猫のニャッホ」にも可能性を感じていただけたのか、今回のアニメ化に結びついた形ですね。

--ゲーム「猫のニャッホ」には杉田智和さんといった豪華なキャストが揃っていますが、声優陣はどのように決まっていったのですか?

竹内 もともと声優さんを入れるつもりはなかったんですよ。でも、実際にデモを作って遊んでみると物足りなさがあって……。それで試しに、自分の飼い猫の声を入れてみたんですけど、それは全然合ってませんでしたね(笑)。

そこで声優さんにお願いをしようということになり、ちょうどその頃、杉田さんは「銀魂」の主人公・坂田銀時の声を担当されていました。坂田銀時って、グータラでダメダメだけどやる時はやるし、周りにも人が集まってきたりと、結構ニャッホと似ているところがあったんですよね。

それと、杉田さんは収録でかなりアドリブをされる方だというのを知っていたので、杉田さん流にニャッホをうまく調理してもらったら、僕らが考えているよりももっと面白いことになるんじゃないのかなって思ったんです。

--杉田さんに演じてもらうことで、ニャッホがよりキャラクターとして魅力的になる、と思ったわけですね。

竹内 ただ、ニャッホって猫なので、台本の書きようがないんですよね(苦笑)。

--確かに、すごくセリフをしゃべるわけではなく、「ニャー」とかが基本ですよね。どうやって収録を行ったのですか?

竹内 諸岡に「キャラの表情を用意してくれ」と言って……。

諸岡 すごく特殊な収録方法だと思うんですけど、表情パターンを見てもらって、「これでお願いします!」というふうに演技をしてもらいました。

竹内 ニャッホの生い立ちやキャラ背景を説明して、杉田さんに考えてもらってから、表情に合わせて何パターンか声を出してもらったんです。

諸岡 後で聞いたら、「けっこうとまどった」っておっしゃってましたね(笑)。

竹内 杉田さんはどういうノリで演じたらいいのかわからないし、僕らも何が正解かわからないので、お互い手探り状態過ぎてとまどう感じで(笑)。

ただ、段々とノリノリになっていただいて、たまにアドリブで日本語を入れてみてくださったりしていましたね。最初は「ニャーン」とか「ニャー」だったのが、途中から「ニャンかきた!」とか、「ニャンということ!」みたいな。

ほかのキャラクターも、このやり方をベースに収録しているので、毎回声優さんをとまどわせています(笑)。ただ、収録をした声優さんから「面白かったです!」と言っていただけることもありますね。

諸岡 できあがった音声を聞くと、毎回「素晴らしい!」って思うんですよ。

竹内 音響ディレクターの方にも「猫のニャッホ」で遊んでいただいているので、キャラクターの雰囲気やほかのキャラとの違いを出すなど、試行錯誤をして収録しています。大体1〜2時間程度でひとキャラを録り終えていますね。

諸岡 ダリは元のモデルがスペイン人なので、猫だけど「スペイン人っぽく巻き舌でお願いします」みたいな謎のオーダーを出したりもしています(笑)。

--アニメ化にあたっては、声優さんもゲームから続投されるのですか?

竹内 はい。そして、よく聞かれるんですが、「ニャー」なのか人間の言葉なのかは放送を楽しみにしていてください。

--アニメのストーリーは、ゲームに準拠したものとなるのでしょうか?

竹内 ゲームみたいに大きなメインストーリーがある感じではなく、1話完結で見られるショートコント調のもので考えています。アニメでは小さな子どもも気軽に見れたり、親子で楽しめるところに主眼を置いてますね。

「猫のニャッホ」の”変な性格のキャラが多い”という特徴はしっかりとアニメにも反映して、キャラ同士のかけ合いから生じるドタバタ感を受け継いだものにしたい、と考えています。

--放送枠は「きんだーてれび」(テレビ東京系)の水曜日のショートアニメ枠ということで、お子さんなどの目にも積極的に触れるようになりますね。

諸岡 ゲームは親子でやってくださっている方もいるので、アニメでニャッホを気に入ってもらってゲームを遊ぶようになっていただけると良いですね。絵画をテーマにした作品なので、美術の勉強にもなるかな、って。

竹内 「『猫のニャッホ』をプレイして、絵画に興味を持った」という声もよくいただいたりしています。また、アニメではお話の後に、ニャッホの絵画を毎回お見せする形を予定しています。ニャッホの絵画は実際の絵画をモチーフにしているので、そういった部分でも美術に興味を持っていただけると嬉しいですね。

--アニメでのオリジナルキャラクターなどは予定されていますか?

竹内 今のところ予定はありませんが、ゲームでもどんどん新キャラを作っているので、アニメの反響次第では今後もいろいろな展開が考えられると思っています。

--ゲームでは、イベントキャラクターとして中村悠一さんが声を担当するホームズが登場していましたよね。

竹内 ホームズは画家と関係ないんですけど、知名度もあるしいいな、って(笑)。ホームズなのにポンコツで、シュールなキャラクターでしたが。

諸岡 「猫のニャッホ」にはポンコツしか出てこない(笑)。

竹内 ホームズはイギリス出身なので、猫の種類をブリティッシュ・ショートヘアにしましたね。今後も、ホームズが登場するイベントはいろいろやっていきたいです。

--ホームズはアニメにも登場するのでしょうか?

竹内 ……。アニメにも、出る……かも……?

--ちょっと沈黙がありましたが、期待しています(笑)。それでは、今回晴れてアニメ化を果たした「猫のニャッホ」ですが、今後の野望などはありますか?

諸岡 ニャッホの個展などをやってみたいですね!

竹内 「猫のニャッホ」は美術をテーマにしていて、もともと僕らも芸術が好きで、生きていく過程で芸術に触れたことで成長できた部分があるので、「猫のニャッホ」を入り口に、今まであまり美術に興味なかった人や子どもが美術に触れて、楽しい気持ちになってくれると、すごく嬉しいです。

諸岡 アートってちょっと敷居が高いように感じると思うのですが、もっとカジュアルに楽しんでもらえたらな、と。

--最後に、「猫のニャッホ」アニメ化を前に、楽しみにしている読者へのメッセージをお願いいたします。

諸岡 ニャッホは借金もあってけっこう駄目な猫なんですけど、楽しんで生きています。なので、みなさんもゲーム「猫のニャッホ」を通じて、「駄目でも大丈夫なんだな」とか思いながら、楽しく毎日を過ごしていただけたら嬉しいですね。

竹内 「猫のニャッホ」は、僕らが生み出して世の中に発信したわけですが、やっぱりユーザーさんに遊んでもらいながら、一緒になってニャッホを育てていただいている感覚が大きいです。なので、今後もそのスタンスを重視していって、「猫のニャッホ」を見ていただいたり遊んでいただいたりして、一緒にニャッホを大きくしていただきたいです!

--本日はありがとうございました!


(取材・文・写真/須賀原みち)



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・応募には会員登録(無料)が必要です。
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