幸福と切なさが共存――新たな世界観を描く「五等分の花嫁」EDテーマ「Sign」収録ニューシングル発売記念、内田彩インタビュー!
現在放送中のTVアニメ「五等分の花嫁」のエンディングテーマとして流れている「Sign」を収録したダブルA面3rdシングル「Sign/Candy Flavor」が3月6日にリリースされる。
これまでと少し違うテイストの「Sign」と軽快なEDMである「Candy Flavor」。どちらも彼女の表現力が生きている両タイトル曲は、50曲入りのアルバム「AYA UCHIDA Complete Box ~50 Songs~」という大作を経てリリースされるにふさわしい、新たなスタンダード曲になること間違いなし!
今回は、そんなシングルを完成させた内田さんに、楽曲についていろいろとうかがってきた。
個人的に好きなの四葉ちゃん、でも結ばれてほしいのは一花ちゃん
ーー50曲入りのアルバム「AYA UCHIDA Complete Box ~50 Songs~」を出した後ということで、ひとつそこで区切りというのはあったんですか?
内田 いや……まったくないんです(笑)。
ーー今回のタイアップ曲である「Sign」に関しては、何かリクエストなどをしたり?
内田 それもまったくしていないんです。ただ、「Sign」は(前シングルの)「So Happy」のカップリングの候補曲として、もともとあった曲なんです。こういう感じの曲はまだやっていないですよねってお話をしていて、いつかやれたらまた新たな扉だねって。
ーーどのへんに新しさを感じたんですか?
内田 純粋に曲調ですかね。そのときは歌詞も全然違っていて曲から受ける印象も全然違っていたんですけど、自分の声質で歌ったら、これまでにない感じになっていいかもしれないなという思いはあったので、いつかやりたいです!と温めておいたんです。
ーーそれがタイアップの曲として戻ってきて。
内田 そうなんです。作品にも合いそうということで。でも、そこから作品に合わせた歌詞になったら、印象がガラッと変わったので、最初に思っていたものともまた違う曲にはなったんですけど……。もともともっとテンポのいい、ダンサブルな感じだったんですけど、日本語の歌詞になると、音を伸ばしたりするところとかもあるので、雰囲気がまた変わるんです。
ーー「五等分の花嫁」のタイアップですが、作品は事前に読まれましたか?
内田 タイアップをすると聞いたときは、まだ作品を知らない状態で、こういう作品ですと教えていただいたんですけど、あまり意識しすぎるとストーリーに引っ張られちゃうかもしれないと思ったんです。ここは毎回悩みどころなんですけど、キャラソンと違って内田彩として歌うので、原作を読んでしまうと誰かに感情移入してしまったり、目線がその人になってしまって自分の歌じゃなくなりそうだったので、そこは引っ張られないようにしたいと、レコーディングまではあえて読まなかったんです。もちろんビジュアルとか、あらすじとかは意識しているんですけど、特に今回は5人の姉妹がいて主人公の男の子がいて、誰が結ばれる?みたいな話になる感じだったので、自分が誰かに目線を決めてしまわないほうがいいなと思って。たぶんそれでアプローチの仕方も変わってしまうので、女の子側の情報はなるべく入れないようにしました。
ーー誰っぽくなってしまったらちょっと問題ですもんね。
内田 はい。なので、誰かの中のひとりで選ばれたい立場の曲だなと。エンディングなので、誰かのお話の回では、その子の歌っぽく聴こえたらいいなっていう気持ちはありました。
ーー歌詞だけ見るとウェディングソングっぽく思えるんですけど、歌を聴くと切なさもあると思いました。
内田 最初重い曲が来たなと思ったんです。気持ちが重い歌詞な気がしたので、どうやって歌おうかなって。でも実際は、悲しい曲ではないんですけど、メロディが切なめということもあって「結ばれていない、まだ幸せではない」みたいな感じも持って歌ってたんですね。でもレコーディングも佳境になったくらいで、「あれ? 私とらえ方を間違えていたかもしれない……。これってもしかして幸せな曲ですか?」と聞いたら、作詞の金子麻友美さんが「そうです、幸せな詞です」と(笑)。でもそこで何人かスタッフさんもいらっしゃって、「だけどこれは……」と、それぞれが曲に対するとらえ方が違っていたんですね。ディレクターさんも「幸せいっぱいではないよね?」みたいな感じだったので、(視聴者が歌を)聴いたあと、どんな印象が残ったらいいんだろうと考えたりしました。それによって全然歌い方も変わるじゃないですか。
ーーだいぶ変わりますよね。でも聴いた感じ、ものすごくハッピーな感じではない絶妙なラインだったと思います。
内田 最後に何度か歌い直させていただいて、今の感じに落ち着いたんですけど、切なさ100%でもなく、幸せなんだけど、その中にも切なさがちょっと残るみたいな感じで歌いました。
ーーマリッジブルーとかいう言葉もあるし。
内田 いいのか、この人で! 本当はそっちの子が好きなんじゃないのか?みたいな(笑)。でも、最終的には幸せなところを目指す歌にしました。途中で気づいてよかったです(笑)。
ーー曲はすでにアニメでも流れていますが、感想などは届いていますか?
内田 50曲のベストを出した後の新曲だから、プレッシャーは確かにあったんですけど、「いい曲ですね」とか「新しいですね」と言ってもらえて嬉しかったです。でも、アニメのエンディングで流れるというのはドキドキしますね。前回の「So Happy」が初めてのアニメタイアップでしたけど、あのときは原作をもともと読んでいて、自分の出身である群馬県を題材にしたアニメで、自分もヒロインとして出演させてもらっていたので、結構近いところにある作品だったんです。でも今回は少し遠いところにある作品のエンディングを担当させていただくということで、すごく不思議な気持ちでした。だからこそ少し不安もあったんですけど、よかったと言ってくださる方が多くて安心しました。オープニングはキャラクターたちの曲だから、エンディングが何で内田彩の曲なの?と思われるかなと思ったんですけど「エンディングの映像にも合ってて素敵な曲ですね」と言ってもらえたので安心しました。
ーー映像と雰囲気は合ってましたね。
内田 エンディングだから、歌が強く印象に残りすぎるのも違うよなと勝手に思っていたんですけど、絵もその雰囲気に合わせてくれていたので、よかったです。ガッツリ絵が動いてというよりかは、落ち着いた感じだったというか。物語はドタバタコメディ感が強かったりするんだけど、本当はどう思っているんだろう?みたいな、深いところというか。そういうところが曲と映像に乗って伝わればいいなと思ったので、素敵なエンディングで私も嬉しいです。
ーーちなみに歌い終わってからは、原作を読まれたんですか?
内田 はい!
ーー誰と結ばれてほしいなと思います? 三玖が一番人気っぽいんですけど。
内田 あぁ、みっく(伊藤美来)がやってる三玖ちゃんですね。確かにかわいいからなぁ。(恋の)芽生えというか、いじらしいし応援したくなりますよね。でも私が個人的に好きなの四葉ちゃんなんですよ。明るいしかわいいから好きなんですけど、結ばれてほしいとなると一花ちゃんかなぁ。私が長女だから「がんばれ!」って思っちゃいますね。
ーー四葉のような明るいキャラクターが好きなんですか?
内田 なんて言ったらいいんだろう。強いし面白いし、えらいなぁと思うんですけど、その中にある弱さとかが見えるのがすごくいいんですよね。だから個人的には一花と四葉が好きなんですけど、視聴者に目に見えて、あ~って思わせるのは三玖とかなのかなぁ。
ーーMVはどのような感じになってますか?
内田 最初、ウエディングっぽいMVの案があったのですが、それは違うなと自分の中で思って。結果そう見えればいいな、くらいというか。そこに憧れている段階の曲だから、ストレートにウエディングっぽい感じではなく、なんだったら全然そういう恋愛要素とかはいらないので、部屋でひとりで歌っている感じでもいいです、みたいな。結果、部屋の中でひとりで歌っているような感じになりました。曲調が切なげなので、自分の内の気持ちをつらつら歌っている感じですね。相手の存在を見せるよりは、感じるくらいがちょうどいいですねと、それもお願いさせていただきました。
ーーカップリングの「Candy Flavor」は、ハッピー感のある、わりとこれまでの流れにも通じるEDMですね。
内田 曲調は私の好きな定番な感じで、安心安定の曲でした。でも歌詞が結構かわいらしかったんですよ。なのでそのまんま歌うとかわいこぶりっこ感が出そうだったので、あまり過度にならないよう、雰囲気としては大人っぽく持っていけるようにしてみました。
ーーライブで映えそうな曲だと思いました。
内田 ライブのことは意識していなかったんですけど、「Sign」を温存していたときに、「この曲にフルでダンスを付けてやるのもいいですね」っていう話をしていたんです。踊る想定で残していた曲だったんですけど、タイアップになって雰囲気がガラッと変わったので、じゃあ、カップリングに振り付けをつけてみたらどうだろうという話になり、ちょっとだけMVでも振り付けを入れてます。それをライブでもやれるのかな?という感じではあるんですけど。
ーー今回ダブルA面だから、両曲にMVが付くんですよね。ジャケットとかビジュアルのイメージもそれぞれで違っていますが、これは?
内田 「Sign」はTシャツにジーンズみたいな感じで、個人的にはすごく恥ずかしいんですけど(照)、「Candy Flavor」のほうは、真っ赤な衣装で私っぽい感じかもしれないです。「Sign」ではペーパークラフトでダイヤモンドみたいなオブジェを作ってもらって、ピンクとシルバーとブルーというパステルカラーっぽいものになっているんです。そこもウェディングです!というより、見る人が見れば指輪なのかな?と思ってもらえるくらいというか。
ーーそして、ライブ「AYA UCHIDA LIVE 2019 ~Take it easy~」も控えていますね。
内田 3月8日(金)Zepp 東京と3月30日(土)Zeppなんば大阪 で、タイトルが"~Take it easy~"になっているんです。実はこれ、去年のクリスマスにタイトルを発表しなければいけなくて、私が、タイトルどうしよう、まだわからない!みたいになってたんです。シングルを引っさげてのライブだけど、シングルのタイトルにするにしてもダブルA面だから選べなくて悩んでいたら、プロデューサーの工藤さんが悩みすぎてしまう私を見て、"~Take it easy~"と出してくれて、「それがいいです!」と(笑)。悩みすぎてる現状ではなく、来年は肩の力を抜いていこう!と、そのとき思ったので、肩の力を抜いて、気軽に行こうよというテーマのライブになると思います。
ーーどんなライブになりそうですか?
内田 このCDで知って初めて来てくれる方もいると思うので、そういう方にも楽しんでもらえるように、というのと、あとは、今年初めてのライブであり平成最後のワンマンライブになるかもしれないんですけど、そんなことは、まぁ、知~らない、っていうか(笑)。リラックスした感じのライブにしたいなと思います。楽しみにしていてください。
(取材/塚越淳一)
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