【TAAF2019】高畑勲追悼特集3:時代を超えて親しまれる子どものためのアニメ「パンダコパンダ」上映レポート

2019年3月8日~11日にかけての4日間、東京・池袋にて開催中の「東京アニメアワードフェスティバル2019(TAAF2019)」。今回のTAAF2019では、昨年惜しくも他界された、日本を代表するアニメーション監督、高畑勲さんをしのぶ「高畑勲追悼企画」が行われている。ここではそのうち、3月10日(日)に行われた「高畑勲追悼企画3 -高畑勲が子供たちにのこしたもの- 『パンダコパンダ』『パンダコパンダ 雨ふりサーカス』」の上映会についてレポートする。


「パンダコパンダ」は、1972年に製作された劇場用中編アニメ作品。製作は東京ムービー(現・トムスエンタテインメント)。原案・脚本・画面設定を宮崎駿、演出を高畑勲の名コンビが務めた初期の傑作として知られており、作画監督には大塚康生さん、小田部羊一さんと、宮崎・高畑コンビとも深く関わっていくスタッフが顔をそろえている点でも注目の作品と言える。ちなみに主人公のミミ子の声は、後年、高畑作品で「ハイジ」を演じることになる杉山佳寿子さんが担当。なお、続編である「パンダコパンダ 雨ふりサーカス」は、ほぼ同じスタッフによって翌年1973年に製作された。


今回の「TAAF2019」における本作品の上映に関しては、多くの子どもたちに、高畑さんが残したこの傑作を楽しんでもらえるように無料公演とされ、さらには、12歳以下の子ども同伴の方々を優先に見てもらえるような配慮もなされた。そのためもあって、池袋・新文芸坐で行われた朝10時からの上映にあわせて、多くの親子連れが会場を訪れていた。


アニメ界ではすでに傑作との誉れ高い本作であるが、何しろ製作されたのは今から半世紀近く前のこと。アニメ以外にもさまざまな娯楽がある世に生まれた現代の子どもに、はたしてこのシンプルな作品がどれだけ楽しんでもらえるのか、と、上映前は思っていた。しかし、「パンダコパンダ」の上映が開始され、パパンダとパンのパンダ親子が登場するあたりになると、会場のそこかしこから子どもたちの笑う声が聞こえてきた。その後、古典的なドタバタシーンなどでも子どもたちの爆笑が連発。気がつけば、来場していた親子ともども笑い合い、語り合いといったシーンがあちこちで見かけられた。


そうしてあっという間に70分ほどの上映時間が過ぎ、会場からは拍手がわき起こった。高畑さんと言えば、後年の「火垂るの墓」や「かぐや姫の物語」など、やや叙情的で芸術的な作品の印象が強いかもしれないが、初期の頃には盟友の宮崎駿さんと、こうした子ども向けのアニメ作品を数多く手がけ、そのすぐれた演出能力でヒットを飛ばしていた方でもある。そんな高畑さんが約半世紀前に作った「パンダコパンダ」という作品は、今の時代でも十分に普遍的で、子どもたちの心をしっかりとらえていたことに、改めて関心させられた。そんな上映会だった。


・「TAAF2019」公式サイト内「パンダコパンダ」詳細ページ
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・「TAAF2019」公式サイト内「パンダコパンダ 雨ふりサーカス」詳細ページ
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・東京アニメアワードフェスティバル2019(TAAF2019)公式サイト
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(C)TMS

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