新人キャストを見守る先輩キャスト&スタッフが優しく見守る関係性――「バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~」ゆるふわ感想文第6話「あなたの名前を教えて」

アニメ「バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~」第6話は、村の大人たちにフォーカスされたお話でした。

パーレル村に、嵐がやってきます。正確には何十年に一度の「潮」。大規模な海流のうねりは、海の住人達にとって台風のような現象のようです。「また変なことが起きるのかれぇ」とつぶやくアザラシ郵便の言葉が、大きな潮には何か不思議な現象を起こす力があることを予感させます。

その頃ソナタたちは、前回復活させた映画館の片付けや整備をがんばっていました。いつも不思議な嗅覚を働かせる? ポコが迷い込んだ貴賓室で見つけたのは、誰も見たことがない不思議なキネオーブでした。好奇心から5人と1匹の上映会を始めたフィナたちですが、上映機は不調気味。どうやら村全体が、「潮」の影響を受けているようです。

キネオーブを片付け忘れたフィナが夜、劇場に戻ると、不調だった上映機は不思議な映像を映し出します。そこに映し出されたのは紫の髪もつややかな、フィナたちと近い年頃の少女でした。ところがフィナが思わず声を上げると、なんと映像の中の少女がその声に反応したのです。

すぐに映像はかき消えてしまいましたが、フィナと会話したキネオーブの少女の噂は、たちまち村を駆け巡りました。より大きな潮が近づく中、5人が噂について確かめようと劇場に向かうと、キネオーブの少女は再び姿をあらわします。時空を超えてしばしの交流をするフィナたちとキネオーブの少女ですが、潮の力が起こした奇跡はほんのひとときのものでした。フェルマやアルディ、村の大人たちが劇場を訪れた時には、交信は途絶えようとしていました。

「私は、ずっとここにいるの? 大人になっても私は、ここでひとりぼっち?」

そう問いかける少女に言葉をかけるために泳ぎよったのは、フェルマとアルディでした。言葉を探すフェルマをさえぎるように前に出たアルディは、あなたはいつか、若者たちが未来を語り合うお店を開く、と伝えました。

その言葉と、少女の髪の色、そしてフェルマのお店に大切に飾られている少女と同じひと組のイヤリングから、キネオーブの少女の正体をそれとなく伝わる演出がおしゃれですね。

今回の物語では、ソナタたち4人が幼なじみとして育ってきたように、フェルマとアルディ、そして村の大人たちも一緒に育ってきて、それぞれに物語があることが語られました。

すごく興味深かったのは、その物語と演じる役者さんたちがどこかリンクしていたことです。

フェルマ役の井上喜久子さんとアルディ役の日髙のり子さんは、今から約30年前に放送されたアニメ「らんま1/2」で初共演をして以来、数々の作品で一緒に演じてきたいわば戦友です。そんな始まりの作品である「らんま」で、「らんま1/2 熱闘編」の監督を務めたのが本作「バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~」の西村純二監督でした。本作シリーズ構成の横手美智子さんもまた、アニメ「らんま1/2」に脚本として参加しています。

この作品で新人声優たちががんばりながら成長していく様子を、同じ時代を過ごしてきたベテランの大人たちが優しく見守っている様子は、そのまま、フェルマやアルディとソナタたちの関係に重なるように感じました。

日髙のり子さんや井上喜久子さんがどんなにメインキャストの5人をかわいがっているかは、先日行なったインタビューを読んでもらえれば伝わると思います。
アフレコスタジオで、新人声優に17歳教を説明!?「バミューダトライアングル ~カラフル・パストラーレ~」アルディ役・日髙のり子×フェルマ役・井上喜久子インタビュー

第6話を見て、この仕掛けが西村監督のやりたかったことなんじゃないかな、と、当時テレビの前で皆さんの作品を楽しんでいた自分は思ったのでした。

アニメ「バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~」は、2019年3月23日(土)~4月7日(日)23:59まで、YouTubeヴァンガードchにて全話無料配信中です。ちょっと癒やしが欲しい時、やさしい世界でたゆたってみませんか?

(文/中里キリ)

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