劇場オリジナルアニメ「レイドバッカーズ」日高里菜インタビュー「いつもと違う役をやってみなよ」に応えた新境地
2019年4月5日(金)より2週間限定で劇場公開中の「平成最後」のオリジナル劇場アニメ作品「LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-」。現代・京都に“逆”異世界転生を果たしたキャラクターたちが時々大暴れ&まったり日常&ほっこり温かみのあるストーリーだ。単発のオリジナルアニメながら、まるでずっとシリーズを追いかけてきたかのようなキャラクターたちの魅力が盛りだくさんな作品で、やり取りのひとつひとつに親しみを覚えてしまう。そんなメインキャラクターの中で元狂戦士・現ニートのどこか少年のような、中世的な女の子・三乃ハラミ役を演じるのは日高里菜さん。これまで彼女があまり演じたことがないタイプの役柄を射止め、演じることの喜びをたっぷりと語っていただいた。
「オリジナルだし、とりあえず楽しいことやりたいんですよ!」
──ハラミ役はオーディションだったそうですね。そのときの様子から教えていただけますか?
日高 最初はテープオーディションからでした。1年半以上前だと思います。その際にいただいた資料が、カラフルでキャラクターの絵もたくさん入っていて、楽しそうな企画だなという印象がありました。その中で、私はハラミとらんと(本天沼)久美を受けさせていただきました。これまでは、らんのような小さくてかわいらしい女の子の役柄を演じることが多かったので、この作品でもそういう役柄を求められているのかなと個人的に思っていたのですが、その後のスタジオオーディションに進むにあたり、「ハラミとらんで候補にあがっている」と言っていただけました。ハラミのような中性的な役柄はこれまで演じたことがなかったどころか、オーディションでもほとんど臨む機会がなかったので、演じていてとても楽しかったですし、その段階で選んでいただけたことがとてもうれしかったです。
──オーディションの際にはどのような点を意識されて演じられましたか?
日高 テープオーディションの段階では原稿の中にバトルシーンもあったので、そこはカッコよく演じつつ、ほかにもグータラなシーンもあったのでその差は大きめに変化を出してやってみようと心がけていました。その後のスタジオオーディションの際には「戦っているときもあまりキメすぎず楽しんで演じる、少年のイタズラっぽい感じで」と言われましたので、そこを意識して演じました。あとは、転生前の野性味のあるところを意識したり、技術的にはしゃべり方を高すぎないようにとか、男の子っぽくなりすぎないようにといったところを意識しました。後からうかがったところ、そのバランス感がよかったと橋本(裕之)監督や脚本の上江洲(誠)さんに言っていただけたことがありがたかったです。
──そしてハラミ役を射止めたときの率直な感想は?
日高 新しい扉を開くきっかけになるというか、挑戦となる役に出会えたという感触でとてもうれしかったです! 橋本監督には過去の作品で何度もお世話になっていたので、私の中では勝手に「いつもと違う役をやってみなよ」とおっしゃっていただけているのかなと思って。だからこそ、その期待に応えたいなと思いましたし、よいお芝居を見せたいなとより前向きな気持ちになりました。
──本作は60分単発のアニメオリジナル企画ですが、どのように向かわれましたか?
日高 TVシリーズとは違って、そのときに集まって1回きりで終わってしまうので、皆さんがどのようなお芝居を練ってくるのかなという緊張感がありました。個人的には劇場作品のキャストで一番上にクレジットされることも初めてだったので…普段と変わらぬお芝居をすればよいのですが、それでも「頑張らなきゃ!」と気合が入りました。でも、現場に入るとスタッフさんたちから「オリジナルだし、とりあえず楽しいことやりたいんですよ! 何でも好きにやってください!!」というお話やそのお気持ちが伝わってきて、さっきまでの緊張は不要だったなと思いを改めました(笑)。思った芝居をそのまま出して、ダメだったら言ってくれるだろうと肩の荷が下りて、私も楽しんで演じようと思いました。私以外にも内山夕実さんや花守ゆみりさんほか、橋本監督や上江洲さんの作品にお世話になっていたキャストが何人もいらしたので、アットホーム感が最初の段階から感じられました。劇場作品1回きりの収録ではありましたが、ずっとTVシリーズで一緒に演じてきた間柄だと錯覚するくらいの現場の雰囲気でした。
──実際の収録はどのように進めていきましたか?
日高 オープニング前のアバンにバトルシーンがあって、テストではそこから収録したのですが、やっぱりキャラクター性がわかるのは日常トークのかけ合いになるので、本番ではアバンを後回しにして録ることでキャラクターをつかんでいくという手順を踏みました。それによって方向性を決めやすくなり、そこからもスタッフさんのお気遣いを感じました。本番でのキャラクターの軌道修正はほとんどなく、手こずることもあまりなかった記憶があります。あとは絵ができ上がっていたこともあり、アドリブをみんな結構好き勝手に入れていました(笑)。
──ほかの皆さんのお芝居は日高さんからご覧になっていかがでしたか?
日高 ぴったりでしたね! 今回出演される皆さんと過去に共演したこともあったので、香盤表を見た際には脳内再生できるくらいでした。(内山)夕実さんのアーネリアだけは、「どう来るかな……?」と想像を巡らせましたが(笑)。皆さん思ったよりもナチュラルめというか、ご自身の声に近い声だったり、日常パートは力を抜いて素に近い部分を出してきているのかなという印象でした。それも作品の方向性に合わせて気張らずに見てほしいという思いからだったのかなと思います。その意味でも、同じ方向性を感じて芝居のプランを練っているんだなと思うとうれしくもありました。
──日高さんは、だらけた日常のお芝居はどのように演じられましたか?
日高 これだけ長い時間、ここまでマイク前で力を抜いてしゃべることは今までなかったと思います。それが家で台本チェックしているときからスゴく楽しくて、どこまで許されるんだろうと(笑)。もちろん、しゃべっている内容はキチンと伝えなくてはなりませんが、そのバランスがとても楽しかったです。「頑張ってしゃべること」を目標としないのは今まで経験がなかったので、そこはお芝居としても新しい扉を開いたのかなと思います。
──いっぽうで緊迫感のあるバトルシーンもありましたが、こちらのお芝居はいかがでしたか?
日高 バトルはいろいろなキャラクターで演じさせてもらってはいますが、ハラミの場合は必死になりすぎず、いたずらっ子みたいにニヤリとしながら戦う姿が、らしいなと思いました。最初は「劇場版だからカッコよくシリアスに」と思って家で作ってきたのですが、先ほどのように現場で方向性を変えました。でもこのほうがたしかにハラミらしいなと思えました。バトルシーンでここまで叫ぶことも今まであまりなかったのですが、無事に録り終えることができました。周りのキャスト陣からも「カッコいいね!」と言ってもらえたことが個人的にもうれしかったです。
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