【インタビュー】懐かしく新しいOxT「ゴールデンアフタースクール」。「ダイヤのA」には恩返ししたいんです!
オーイシマサヨシとTom-H@ckによるユニット「OxT」(オクト)のニューシングルは、新番組「ダイヤのA act II」のエンディングテーマ「ゴールデンアフタースクール」。学生時代の放課後というかけがえのない時間をテーマにした、やさしさにあふれた曲となった。インタビューでは、Tom-H@ckから飛び出したタイトルに関する裏話に、オーイシが驚く場面も。いつもながらの楽しい2人のトークをお届けします!
「ダイヤのA」の曲としては、初めて大人の目線で作りました
──前作「ダイヤのA -SECOND SEASON-」の放送終了から3年経っての新シリーズスタートということで、OxTとしても、久しぶりに「ダイヤのA」に帰ってきたという感があったのではないですか?
オーイシ 「ダイヤのA」はイベントが継続して開催されたりと、仕事が途切れることなくあったので、帰ってきたという感覚はないですね。むしろ、ようやく始まったかと。
Tom-H@ck ずっと前から、「act II」が始まるという話は聞いてたからね。去年の11月25日に「ダイヤのA オールスターゲームIII」というイベントが神宮球場でありまして、その頃に、OxTにエンディングテーマの正式なオファーがありました。
──「ゴールデンアフタースクール」作詞・作曲はオーイシさんですが、どんな曲を作ろうと思いましたか?
オーイシ 「ダイヤのA act II」は前作の続きではあるんですけど、3年生が卒業して新1年生が入ってきたということで、青道高校野球部の環境も大きく変わってくるので、その中でエンディングテーマとして表現できることはなんだろうなと、まずは考えました。新しい時代が始まるときに、忘れてはいけない歴史を作ってきた人たち、つまり、卒業していった3年生たちの存在を匂わせるような曲にしようと。そこに、青春時代の放課後という誰もが共感できるモチーフを重ね合わせて、メロディと歌詞を書いていきました。
Tom-H@ck ひとつ、どうでもいい話をしていいですか? 「ゴールデンアフタースクール」って、「けいおん!」の最初のオープニングテーマ「Cagayake! GIRLS」の仮タイトルと一緒なんです。
オーイシ えー、初めて聞いた(笑)。どうでもいい話じゃなかった!
Tom-H@ck だから、今回のタイトルを見た瞬間、「うわっ」と思って(笑)。
オーイシ 「ゴールデンアフタースクール」って、確かに「けいおん!」もそうだよね。学生時代の放課後って、それだけ普遍的なモチーフなんだと思う。今回の曲は、80年代終わりから90年代初め頃の、もっとも輝いていた頃のJ-POP感を意識して書いたんです。
──その頃は、J-POPのアーティストがアニソンに進出してきた時期でもありますね。
Tom-H@ck 名曲が多いですよね。タイトルを聞いたら、サビがすぐに浮かんでくるくらい。
オーイシ 今も残り続けている曲が多いよね。制作中にスタッフとよく話したのは、当時のアニソンって、アニメの内容と全然違う歌詞でも成立してたよねということでした。それでいて主題歌として機能していたのは、ユーザーさんの解釈力にゆだねていた部分もあったのではないかと思うんです。今回の曲は、その頃のJ-POPらしさを意識して、アニソンらしくなり過ぎない曲を目指しました。
──往年のJ-POP感というのは、歌詞にもメロディにも感じました。でも、「ゴールデンアフタースクール」はしっかり作品に寄り添っている曲ですよね。
オーイシ あの頃のJ-POPアーティストが歌っていたアニソンの雰囲気を、そのまま出すのではなく現代版としてブラッシュアップしたいと思いました。楽曲の大きなヒントになったのは、以前聞いた「ダイヤのA」の打ち上げ会場での原作の寺嶋(裕二)先生のスピーチでした。「ダイヤのA」の第1部は全47巻かけて高校の1年間を描いていて、連載はほぼ10年にわたったんですけど、先生は「みなさん、思い返してみれば、高校の頃は1年が10年に匹敵するような時間軸にいませんでしたか?」と。それを聞いたとき、ハッとなったんですよ。あの頃はまさに輝いていた、色でたとえるならゴールドだったなと。その感覚を楽曲にしていこうと思いました。
──つまり、大人の目線で、高校時代を振り返っている曲なんですね。
オーイシ そうですね。今まで僕らが書いてきた「ダイヤのA」の楽曲はどれも現在進行形の曲で、僕らも登場人物たちの年齢感になりきって作るという手法を取ってきたんですけど、今回は学生時代を振り返って「あの頃はよかった」と思えるようなメロディ感や歌詞の語感を目指しました。それには、「ダイヤのA act II」の放送時間も関係していて。
──どういうことでしょう?
オーイシ テレビ東京系列では、夕方6時前からの放送なんです。野球少年から「ダイヤのA」のファン、そして親世代まで、いろいろな年齢層の方が見てくれるんじゃないかということで、「ダイヤのA」の曲としては初めて、大人になった自分が青春時代を懐かしむ曲にトライしてみました。
Tom-H@ck オーイシさんから曲を受け取って、これは得意分野だなって思った。
オーイシ あー、そうかもね。
──そうなんですね。僕は逆に、いつものオーイシさんのボーカルとは雰囲気が違うように感じたんです。特にAメロは低くて、普段の話し声に近い歌い方をされてますよね。
オーイシ してますね。メロディに導かれて自然となっていったんですけど、あえてボーカルの意図を言葉にしてみると、大人の落ち着いた雰囲気を出したかったんだと思います。ボーカルの雰囲気からしても、学生時代を振り返っている感が出ればいいなと思って歌いました。
Tom-H@ck オーイシさんって、サウスケ(Sound Schedule)時代と今とでは歌声が全然違うんですよ。アニソンに入ってから、ボーカリストとしての技量が上がり表現方法が変貌してきたことの、ひとつの現れだと思うんですけど。でも、こういう歌い方を聴くのは初めてじゃなくて、このオーイシさんもいいなと。むしろ、高い曲はもう歌わなくてもいいんじゃないかと思うくらいです。
オーイシ はははは(笑)。
Tom-H@ck 低い声が、本当にめちゃめちゃいいから! 大人っぽくなるし、説得力もあるし。こういうレンジの曲をどんどん歌っていったほうがいいんじゃないかって、「ゴールデンアフタースクール」を聴いて思いました。
オーイシ アニソンとしても、そっちのほうが新しいかもしれない。音符が激しく上下したり、その人が出るギリギリの高さを歌っていくとアニソン感が出るというのは、誰もが感じていることなんですけど、もう新しいフェイズに入りつつあるのかもしれないなと最近思っているんです。
Tom-H@ck 高いレンジの曲を聴くと、ちょっと前の時代なのかなって。
オーイシ そうそう、今はもっと別の表現の仕方があるような気がする。
──つまり、今はアニソンの転換期に入っているということですか?
Tom-H@ck でしょうね。ある程度飽和したら転換せざると得ないというのは、どの業界も同じなので。
オーイシ 僕は普段はいろいろと考えているけど、楽曲を作り始めたら一途に曲に向かい合う人間なので、「ゴールデンアフタースクール」でアニソンの流れを変えるとか、そんな計算は一切なかったんですけど、結果的に新しいものになったのかもしれない。
Tom-H@ck 体が求めていたのかもね、今はもうこれだと。
オーイシ 肌感覚で(笑)。それはあるかもしれない。
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