【サンライズフェスティバル2019特集】福田己津央監督、「いつか続編を作りたい」──「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」トークイベントレポート

数多くのアニメーション作品を製作してきたサンライズの作品を、映画館で連日上映する毎年恒例のイベント「サンライズフェスティバル2019風月」が、2019年9月13日から2019年9月27日にかけて開催された。

ここでは9月25日(水)、東京・テアトル新宿にて開催された、「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」上映後トークショーの模様路レポート。本作の福田己津央監督が登壇した。

「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」は1991年にTVアニメシリーズとしてスタート。次世代のモータースポーツ「サイバーフォーミュラ」を舞台とした激闘とドラマを描き、以後「新世紀GPXサイバーフォーミュラ11」「新世紀GPXサイバーフォーミュラZERO」「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」「新世紀GPXサイバーフォーミュラSIN」とOVAシリーズを重ねた。今回上映された「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」は、当時から見た近未来である2019年~2020年を舞台としており、作品世界と同じ時代にイベントが行なわれた。

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当時、制作スケジュールの多忙もあって上映会で初めて1話の完成品を見たという福田監督は「あれ、おかしいな。もうちょっと面白いはずなのにな、どうしてだろうと感じていました。あれからいろいろ経験した自分の目で改めて見ると、バランスが悪いですね」と振り返った。制作スタッフについては、「いろんなものを新しくした作品です。シリーズ構成として両澤(千晶さん)が正式にクレジットされました。今見るとシナリオにちょっと皮肉が効きすぎてるなと思いました(苦笑)。キャラクターデザインは吉松孝博さんから久行宏和さんに変わりました。吉松さんのデザインをリライトするのではなく、一度いのまたむつみさんの原案に戻って、新たにデザインしてもらいました。キャラクターの私服も全部いのまたさんにお願いしたんですが、ビニールや透けた素材を多用していて驚きました」と語っていた。

今回の上映会では「SAGA」第1話~4話が上映された。福田監督は「4話ぐらいになるといろいろなものがまとまってきますね。序盤は大人になりすぎたハヤトが、昔の彼に戻ってくる感じが4話のあたりです。ハヤトの態度がキツいと言われますが、キツいのはハヤトではなく脚本の両澤です」と語ってファンを笑わせた。

各キャラクターについては、「ハヤトは子供っぽいところや勝手なところがありますが、あれぐらい我が強くないとチャンピオンにはなれないんだと僕らは考えていました。ランドルはいい男。新条さんはいじめられるほどに光る男。アンリは、僕は大好きでした」。

上映にも含まれたあすかのシャワーシーンについて、「テレビシリーズの時に演出さんに、これだけかわいい子たちが出ている作品なのにシャワーシーンはないんですかと言われて、なるほどテレビシリーズではそういうサービスも必要なのかと思ったので、以後入れています。僕がスケベなのではないのです」と語った福田監督は、「あすかのシャワーシーンは作画監督の久行さんが描いてます。久行さんは骨格を大事に描くタイプなので、脂肪(胸)を描くのは苦手なんだよねと話していました」と裏話を明かしていた。

締めの挨拶で福田監督は「自分の原点であり素晴らしいスタッフと出会えた作品です。サイバーのファンは本当にいい人が多くて、やってよかったなと思っている作品です。すぐにというわけにはいかないのですが、いつか続編もやりたいなと思っています。本当にありがとうございました」と語り、続編への熱意と感謝をにじませてトークを締めくくった。

イベント後、福田己津央監督にインタビュー!

──今日のイベントの感想をお願いします。

福田監督 サイバーは作品世界の時間軸と同じような感じで(時代を合わせて)、毎年イベントをやってもらっています。毎回たくさんお客さんが来てくれて、僕としては非常に嬉しいです。いつまでも応援してくれている人がたくさんいるので。

──作品の舞台になった近未来が現実になってどう感じていますか?

福田監督 サーキットはあまり変わらないですね。時代の変化を感じるのはガジェット類です。PCとか携帯とか。

──監督にとって「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」とはどんな作品ですか?

福田監督 僕の監督としてのデビュー作のテレビシリーズでした。商業的に大きな成功を収めたとは言えませんでしたが、ビデオシリーズをずっと作らせてもらえたのはファンの熱い後押しがあったからでした。ファンと一緒に作り上げてきた作品ですし、自分の好きにやらせてもらった作品でもあるので、とても愛着があります。自分の原点であり、成長させてもらった場でした。

──ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

福田監督 いつも応援してもらってありがとうございます。機会があれば僕も出かけて行って、皆さんに自分の想いを伝えていければなと思います。これからもサイバーをよろしくお願いします。

(取材・文/中里キリ)

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