「ひそまそ」「Gレコ」「ペルソナ5」など日本を代表するアニメを世界に紹介! 「アヌシー国際アニメーション映画祭2019」日本アニメーション特集発表記者会見
2019年6月10日~15日にかけてフランス・アヌシー市で開催される、世界最高峰の権威を誇るアニメーション映画祭「アヌシー国際アニメーション映画祭2019」。本映画祭では、毎年1か国に焦点を当て、その国のアニメーション文化を紹介する「名誉国」が選出されるが、今年は20年ぶりに日本が選出された。そこで4月18日、アンスティチュ・フランセ東京にて、「アヌシー国際アニメーション映画祭2019」日本アニメーション特集についての発表記者会見が催された。
これまでに宮崎駿さん、高畑勲さん、湯浅政明さん、片渕須直さん、細田守さんら日本を代表するクリエイターも多数表彰された「アヌシー国際アニメーション映画祭」。その名誉国に、日本が20年ぶりに選出されたことを受けて、今回「日本アニメーション特集」が組まれることが発表された。
壇上にはピエール・コリオさん(フランス大使館文化参事官およびアンスティチュ・フランセ日本代表)、坪田知広さん(文化庁参事官)、土村武史さん(東京都産業労働局商工部長)、岡本美津子さん(東京藝術大学副学長/総合ディレクター)、板津匡覧さん(監督/アニメーター)、押山清高さん(アニメーター)、小林寛さん(アニメーション演出家)、佐藤広大さん(アニメーション監督)、Sarina Niheiさん(アニメーター)、薄羽涼彌さん(CGアーティスト)、山村浩二さん(アニメーション作家/フェスティバル公式短編部門審査員)、川田十夢さん(AR三兄弟 長男)、寺田美杉さん(凸版印刷株式会社)、KAORUさん(クリエイター)らが登場した。
まずピエール・コリオさん、坪田知広さん、土村武史さんが登壇。
ピエールさんは「フランスと日本の間ではアニメやマンガが共通の興味事項として共有されている。両国のアニメーターが影響を与えあってきたと聞いている」と両国の関係性について述べたほか、土村さんは「東京では、日本におけるアニメーションの9割を作っている。そのクリエイターらの多くは大きな可能性を秘めており、新たなパートナーを求めている。東京から、多くのすぐれたクリエイターを紹介したい」と日本のアニメーターたちの活躍の場を海外にも拡大したいことを語った。
次いで、総合ディレクターの岡本美津子さんが登壇。「日本アニメーション企画」のテーマ「NEW MOTOIN」について解説した。まず日本のアニメーションのこれからの動きを海外に伝えるべく、「NEW MOTOINGreator’s File 2019」に登録された26人のクリエイターの作品を展示、上映、パンフレットなどでPRしていくという。ここに登録されているのは、オリジナルの短編アニメを制作するアーティストやミュージックビデオクリエイターによる作品のほか、小林寛さんが監督を手がけた「ひそねとまそたん」、吉田健一さんがキャラクターデザインを手がけた「ガンダム Gのレコンギスタ」、押山清高さんが脚本・絵コンテ・演出・作が監督を手がけた「スペース☆ダンディ」第18話などのテレビアニメ作品や、矢萩利幸さんがキャラクターデザイン・作画監督を務めた「PERSONA5-ペルソナ5-」といったゲームのムービーも含まれている。
ステージには板津匡覧さん、押山清高さん、小林寛さん、佐藤広大さん、Sarina Niheiさん、薄羽涼彌さんが登壇し、作品とあわせて紹介された。
また、フェスティバル公式上映では、「NEW MOTOINGreator’s File 2019」登録の作品のほか、日本のアニメーター育成プログラム「あにめたまご」から、佐藤広大さんが監督を手がけた「えんぎもん」をはじめとする3作品の上映も予定されているそうだ。
このほか、「アヌシー国際アニメーション映画祭」には、世界各地からアニメを学ぶ学生も訪れるということで、そんな学生に向けて日本のアニメーション制作を教えるワークショップ「Animation Boot Camp」も行われる。また、「アヌシー国際アニメーション映画祭」に併設される国際見本市「MIFA」内のジャパンブースにはリクルートカウンターが用意されるとのこと。どうしても日本で働きたいという海外のクリエイターを、日本の各企業に紹介する予定だそうだ。
「作品の上映だけでなく、日本のアニメの技術や人を世界に伝えることは意義深いこと」と岡本さんは語った。
そのほか、アニメの新しい楽しみ方として、ヴィヴァルディのクラシック音楽「四季」の生演奏と4人の監督(総監修:山本浩二さん)によるアニメーション映像のコラボレーションコンサートが開催される。この映像は、AIが映像を生演奏にあわせるという世界初の技術を使用しているとのこと。
また、先日急逝した漫画家、モンキー・パンチさん原作のアニメ「ルパン三世 カリオストロの城」をアヌシー城で野外上映するという。これはもともと予定されていた企画で、追悼企画というわけではないのだが、何らかの形で上映前にメッセージを出すそうだ。
次に2003年に「頭山」でアヌシー国際アニメーション映画祭アヌシー・クリスタル賞(最高賞グランプリ)を受賞し、今年の短編部門審査員を務める山村浩二さんが登壇。かつて「頭山」でグランプリを受賞した時は、ほとんど日本国内メディアから取材を受けることはなかったが、今回の記者発表会には多くの国内メディアが取材に訪れていることから、「それだけアニメーションの裾野が広がったということだと思うので、嬉しく思う」とコメント。
また、AR三兄弟の長男・川田十夢さんは新海誠監督とコラボレーションし、新たな映像表現技術を使った展示を行うことを発表。
また凸版印刷とKAORUさんがコラボレーションし、ユーザーがアニメの登場人物としてアニメの中に入りこみ、さらにアニメを見ている人とも対話できる、という展示をするという。
凸版印刷株式会社の寺田美杉さんは、「新しいVR技術を提案することで、クリエイターに次世代の表現の提案ができれば」とコメントした。
最後に、アヌシー国際アニメーション映画祭、国際見本市MIFAを運営するCITIAのCEOミカエル・マランさんのビデオメッセージで記者会見は閉幕となった。
20年ぶりに日本が名誉国に選ばれた「アヌシー国際アニメーション映画祭2019」は、我が国が誇るアニメの、クリエイターと技術を世界にアピールする映画祭になりそうだ。
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