【インタビュー】中島 愛がニューシングル「水槽/髪飾りの天使」をリリース。秋アニメ2作の主題歌を収録した、豪華な1枚に!

中島 愛のニューシングルは、TVアニメ「星合の空 -ほしあいのそら-」のオープニングテーマ「水槽」と、TVアニメ「本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません」のエンディングテーマ「髪飾りの天使」のダブルタイアップシングル。どちらも、個性的なクリエーターによる良質なポップスとなった。しかも、収録順を入れ替えた【星合盤】と【本好き盤】の2枚が同時発売。カバーミニアルバム、ベストアルバム、シングルとCDのリリースが続き、2019年を駆け抜けてきた「まめぐ」に、最新作について話を聞いた。

「水槽」は、「星合の空」の物語を知れば知るほど、歌詞が心に刺さります


──今回のシングルには、アニメ2作品の主題歌が収録されています。まずは「水槽」から、制作についてお聞かせください。

中島 去年の12月くらいにタイアップが決まりました。その段階では絵はできてなかったんですけど、シナリオを読ませていただきました。中学校のソフトテニス部を題材にしていますが明るい青春ものとは言えず、むしろ真逆の作品で、第1話の終わり方に衝撃を受けた方も多かったんじゃないかと思います。私もその印象が強かったので、オープニングらしい曲というよりもシナリオの陰の濃さに沿った曲にできればいいなと思いました。

──作曲は矢吹香那さん、作詞はポルノグラフィティの新藤晴一さんですね。

中島 いくつかの候補曲の中から選ばせていただいたのが、矢吹さんのメロディでした。明るさで言えば、候補曲の中で一番少なかったんですけど、私がどうしてもこの曲を歌いたくなって。作品にも自分にもしっくり来るな、どなたの曲だろう? とふたを開けたら、矢吹さんだったんです。「忘れないよ。」とか、今までも私の曲を何曲か書いてくださっているんですけど、矢吹さんの曲は一筋縄ではいかないのが特徴だと感じていて、「水槽」もすごく心に残ったんですね。「どちらかというとエンディングテーマに合う曲調だけど、この曲がいいと思うんです」と赤根監督に提案したら、OKをいただけて。編曲のトオミヨウさんには、矢吹さんのメロディの陰影を残したサウンドにしてくださいとお願いしました。浮遊感があって、空の感じも水中の感じもある楽曲になりました。そして、そこから歌詞を晴一さんにお願いしました。歌詞も本当に素晴らしくて、独特の重みが、私にとって新境地だなと思いました。

──第1話はエンディングテーマとして使われていましたが、すごく作品にマッチしていました。

中島 曲調的にはエンディングのイメージですよね。1番も2番も、かなり作品世界に寄り添った歌詞なので、話数を追うごとに印象が変わっていくんじゃないかと思います。オリジナル作品なので、いい意味で先が読めなくて。

──歌詞の印象はいかがですか?

中島 重たいばかりではなく、最後に光が差している歌詞です。どんなに暗く深いところにいても、ひとすじの光が主人公たちに差すといいなって思いながら歌いました。でも、「水槽」というタイトルもそうですけど、「クジラ」という水に関わる単語が入っていて、最初はびっくりしましたね。「星合」というのは七夕のことなんですけど、そこから水のイメージを想起したというのは、晴一さんの感性なんだろうなと思いました。みなさんも、「星合の空」という作品を知れば知るほど歌詞がしっくり来ると思います。

──「水槽」というタイトルは、インパクトがありました。

中島 意外ですよね。でも、四角い水槽の中から、自分の意思では出られないというのは、主人公たちが置かれた状況でもあって。しかも、「真水の水槽に放たれた熱帯魚のよう」ですからね。解釈によっては残酷な一節で、ここは私の心にも刺さりました。四角い水槽は教室とも重なるし、「星合の空」を象徴していると思います。思春期にいる若い方から、かつて思春期を過ごした大人まで、広い層に共感していただけるのではないでしょうか。

──エンディングテーマが「籠の中の僕らは」で、やっぱり「星合の空」からは、狭い空間に閉じ込められているというイメージを受けるんでしょうね。

中島 モチーフとしては近いですよね。彼らにとっては、学校も家も水槽であり籠であって。でも、辛さだけを刻む曲にはしたくないと思ったので、歌い方にも苦しいところと希望が見えるところを混ぜてみました。この曲がキャラクターたちや物語の救いになればいいなと思います。ストーリーも重いばかりじゃなくて、みんなで生き生きとソフトテニスをするシーンも盛りだくさんなので。実は私も学生の頃、部活でソフトテニスをやっていたんです。

──え、そうなんですか?

中島 半年だけなんですけどね(笑)。部活ものとしての側面もしっかりある作品なので、「水槽」と合わせて楽しんでいただきたいと思います。物語が進むごとに、登場人物たちの一生懸命さが愛おしいなと思えるようになって、彼らに感情移入すればするほど、結末が気になってくる作品なので。きっといいことあるよ、って私も言いたくなりながら見ています。

──大人として、応援したくなるというか。

中島 そうですね。ただ、「水槽」のボーカルに関しては大人の視線で歌うというアプローチは、違うだろうなと思いって、彼らを包み込むようなボーカルにならないように気を配りました。むしろ、自分も彼らと同じ立場に立っていた時期に戻るような感覚というか。10代は私にとってもまだそんなに遠くなくて(笑)、リアルな実感が残っているので、それを振り返りながら歌いました。

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