ガールズバンド新時代到来! メットライフドームを熱く揺らしたPoppin’Party×SILENT SIREN対バンライブ「NO GIRL NO CRY」DAY1レポート

Poppin’PartyとSILENT SIRENの対バンライブ「NO GIRL NO CRY」DAY1が2019年5月18日、埼玉県所沢市のメットライフドームにて開催された。

今回のライブは2019年2月の『TOKYO MX presents 「BanG Dream! 7th☆LIVE」DAY3:Poppin’Party 「Jumpin' Music♪」』にて開催が発表され、「バンドリ!」から生まれたガールズバンド・Poppin’Partyが、結成10年ガールズバンドSILENT SIRENと対バンライブを行なうということで大きな話題となった。

⇒彼女たちの覚悟と光が、日本武道館の魔物さえも笑顔に変えた!「BanG Dream! 7th☆LIVE DAY3:Poppin’Party“Jumpin' Music♪”」ライブレポート

初日公演にはゲストアクトとしてRoseliaが登場。ライブオープニングで「LOUDER」「R」「BRAVE JEWEL」「熱色スターマイン」の4曲を披露した。会場は半野外のメットライフドーム、初夏の風が吹き抜ける環境なこともあって空気がクリア。会場最後方から双眼鏡で見ていても抜けがよく、とても見やすい。広大な会場で、絶対的なセンターであるボーカル・相羽あいなさんの両脇を中島由貴さんと工藤晴香さんという赤と青の両翼が支えるフロントラインは抜群に絵になることを再確認した。そしてステージ後方では、櫻川めぐさんのパワフルなドラムが響くとともに、志崎樺音さんによる華麗なキーボードプレイが光る。そのパフォーマンスに応えるように、球場という特異な場が紫一色に染まった。ラストは「熱色スターマイン」で球場に花火をぶち上げて、Roseliaはライブのスターターとして最高の仕事をしてみせた。



5人の笑顔が最高にまぶしい! 先攻・ポピパのハッピーなステージ

ライブ開催告知の瞬間の映像や、対バンライブへの意気込みのコメントを織りこんだあおりVTRが上映され、会場のテンションの内圧が高まる中、ステージに登場したのはPoppin’Party(ポピパ)! 「キズナミュージック♪」では巨大スクリーンの使い方が印象的で、各メンバーのソロパートのタイミングに合わせてスクリーン内で歌うキャラクターの姿が大写しになったり、ステージで歌う5人の表情が5分割で映し出されたりと演出もドーム仕様だ。後半にはスクリーンにアニメ「BanG Dream! 2ndSeason」第13話EDで使用されたイラストも表示され、ポピパ以外のキャラクターも含めた「キズナ」の広がりを感じさせた。

「B.O.F」では、なんとパフォーマンス中にメンバーとバンドセットを乗せたステージの一部が、会場中央に向かって移動を開始。バンドセットがある以上、トロッコで客席を巡るような大会場ライブ特有の演出が使いにくいのがガールズバンドの宿命だ。それを、ステージそのものをドラムセットごと移動させることで解決するのは、ドームライブだからこそできる遊びだろう。愛美さん(Gt.&Vo.)も「アクリルの可動ステージってすごくないですか!? アイドルが使うやつだよ!」と興奮気味だ。「Happy Happy Party!」ではそこから2台の巨大トロッコ(よく使われる人力ではなく、自走するタイプだ)に分乗して、球場外周を回りながらのパフォーマンスを見せた。伊藤彩沙さん(Key.)はショルダーキーボードスタイル、大橋彩香さん(Dr.)は簡易ドラムセットでの立奏スタイルだ。普段ドラムがセッティングされた場所が定位置の大橋さんは「こんなに(客席の)近くに行けるなんて!」と感激した様子だった。

ステージに戻った5人はアニメでのポピパの成長を語り合うと、5月15日に発売されたばかりの新曲「Dreamers Go!」へ。間奏のギターとベースの音色で聴かせるパートの練度の高さや、「Dreamers Go!」のコーラスでびっと指を突き上げる伊藤さんと愛美さんの動きがシンクロする小気味よさが印象に残った。

長く演奏し続けてきた「ティアドロップス」は盤石のクオリティで、ポピパが一番かっこよく感じる楽曲のひとつだ。ここでふたたび、可動ステージが会場後方に向かう。アリーナから見上げる観衆は演奏中のバンドメンバーを下から、後ろから見るという不思議な経験をしているはずだ。楽曲後半、可動ステージが再びメインステージに戻る際は、西本りみさん(Ba.)が横や後ろ(どちらにも観客がいる)を向きながら髪を振り乱し、自由度の高いベースプレイを見せていた。

「ティアドロップス」の後半からの流れで、アリーナの中ほどに移動した可動ステージ上で「八月のif」へ。この曲は大橋さんと愛美さんのツインボーカル曲で、情感豊かにしっとりと、だが力強い歌声を響かせた。この曲ではメンバーの表情をしっかりとメインスクリーンで押さえていて、演奏しながら瞳を閉じて気持ちよさそうに微笑む大塚紗英さん(Gt.)や、愛美さんと大橋さんが向かい合って歌いあう姿などを映し出していた。個人的には武道館では斜め後ろから見ることが多かった曲なので、並び立つ2人の存在をようやく真正面から感じることができた。

「Poppin’Party Fan Meeting Tour 2019!」の出演者発表を挟んで、「キラキラだとか夢だとか~Sing Girls~」ではふたたび分乗トロッコでスタンド席の観客の近くを巡る旅に出る。立奏のドラムを叩き、スティックを振り、伊藤さんとふたりで手元にハートを作る大橋さんがにっこにこで、本当に心から楽しそうなのがすごく嬉しい。もういっぽうのトロッコでは愛美さんが入りこんだ表情でソロを歌う背後で、大塚さんが振り返ってその姿をやさしく見つめる姿がふんわりと映っているのがすごくいい雰囲気だった。

続く「NO GIRL NO CRY」はこの対バンライブに向けた新曲で、Poppin’PartyとSILENT SIRENの個性を踏まえたアレンジの違いが楽しめる楽曲だ。お立ち台に飛び乗って暴れる西本さん、かわいい振り付けで会場を煽る伊藤さん、確かな演奏でステージを支える大塚さん。愛美さんの笑顔の奥に、満面の笑みを浮かべた大橋さんの姿が見え、やっぱり彼女たちの笑顔はポピパの個性であり魅力だと思う。

会場の日が落ちてもう少しで夜の帳が下りる頃、“陽が落ちて 歌声は星となり”から始まる「Time Lapse」を持ってきたのは、Poppin'Party先攻の初日ならではのタイミングだろう。「Oh…」と叫ぶ会場の空気も完全に仕上がってきたところで、Poppin'Partyのラストナンバー「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」へ。きらびやかなライティングと会場いっぱいのサイリウムが、星となってステージを照らし出す。

カメラに寄っていきながらいたずらっぽく笑う大塚さんの笑顔がすごく魅力的だ。ポピパの5人が終始楽しそうで、それだけでドームでの対バンライブをやった甲斐があったんじゃないか、と思うほどだった。西本さんの「歌って~!」の声に答えて、幸せな「Lalalala…」の合唱がドームにこだました。

確かなスキルとエンタメ精神が炸裂!のSILENT SIREN

そして初日のライブ後半はSILENT SIREN(サイサイ)のターンだ。休憩明け、「フジヤマディスコ」イントロで早くも山内あいな(あいにゃん)さんのベースの技術力に圧倒される。音源だとやや無機質なリズムが、ライブでは耳に残って心地よい、癖になる楽曲という印象だったが、生音の大会場ライブではここまでライブ感が増すのかと驚かされるほどだ。ジュリアナ風のセンスを振るう黒坂優香子(ゆかるん)さん(Key.)の華やかで品のあるアピールも印象に残った。「八月の夜」は吉田菫(すぅ)さん(Gt.&Vo.)のキュートなボーカルに、山内さんの抑えたトーンのボーカルが重なってくる塩梅がいい。各パートの確かな技術力、10年にわたる活動の重みをひしひしを感じられる。

吉田さんは「とうとうやってきたね! NO GIRL NO CRY! 体感したことのない声の量、初のドームです! 私たちを対バン相手に選んでありがとう!」と挨拶すると「ぐるぐるワンダーランド」へ。その名の通りタオルをぐるぐる回すタオル曲だ。可動ステージを駆使して会場をつき進みながら、ドームをぐるぐるの渦に巻きこんでいく。山内さんがステージのヘリのヘリまで行ってベースヘッドを起こす動きで客席を煽ったり、近くのファンにかがみこんで手を振ったりのサービス精神が印象的だった。

梅村妃奈子(ひなんちゅ)さんの腹に来るドラムと祭り太鼓の音とともに、吉田さんが「みんなで一緒にお祭り騒ぎをしましょう!」と「What show is it ?」へ。「サイサイのサイは祭のサイじゃあ!」とかわいく宣言すると、会場も「わっしょい!」の大合唱で応えていく。そして「おっおっおー」をあおるコール&レスポンスで会場をさらに温めると「ビーサン」へ。「オッオッオオッオオー」のリズムに乗せてキュートでポップな歌声を響かせた。

吉田さんはポピパとサイサイの関係性を「戦友」と表現。ポピパメンバーと一緒にごはんを食べに行ったり、お互いのライブを見たりの交流の様子を語り、「仲はいいんだけどお互いを高めあっていきたい。仲間にしてくれたことが嬉しい!」と、嬉しそうに感謝を伝えていた。ドラムの梅村さんは、初めて見たポピパのライブで「八月のif」と「八月の夜」に共通点を感じたことや、大橋さんから何気ない日常のメールが送られてくるようになったことを報告していた。サイサイのメンバーは、アプリの「ガルパ」でガールズバンドに青春をかける少女たち様子が自分たちのようだと共感して、背中を押されると感じたとのことだった。

ロングMCを終えると、ポピパとサイサイの関係性をイメージした楽曲「NO GIRL NO CRY/SILENT SIREN Ver.」へ。同じ楽曲がアレンジとメンバーの違いでこれだけ色を変えるという、バンドの楽しさと醍醐味を感じさせてくれるパフォーマンスが展開。かと思えばチャルメラ鳴り響く「天下一品のテーマ」でコミカルに天下一品愛を歌い上げもする振り幅の広さはまさに変幻自在。「こってり 味がさね」なんてフレーズをメロディアスに、エモーショナルに響かせるギャップはズルいほど面白かった。

ここで山内さんや黒坂さんから、現在行なっているライブツアーの追加公演を6月10日に実施することを告知。今日もチケットを持ってきているという言葉からも、ドームで新しいファンのハートをつかんで帰るぞというモチベーションの高さを感じた。ラストスパートの1曲目は「女子校戦争」。曲の呼びこみがキーボードの黒坂さんで、ライブ中も彼女が客席をあおる姿にカメラがフォーカスする機会が多いのが面白い。吉田さんと山内さんが向かい合ってのセッションプレイを梅村さんのドラムの背中側のカメラでとらえたりと、目まぐるしいカメラワークに目を奪われた。

山内さんが「まだいけんだろー! かかってこいよー!」と叫ぶと「ALC.Monster」へ。この曲は山内さんがメインボーカルを取った、よりクールでハードな世界観の楽曲だ。ラストスパートで吉田さんのボーカルパートが増えるとより華やかな二重奏に。サイサイのパフォーマンスの幅広さを感じさせる1曲だ。

ラストナンバーは「恋のエスパー」。どこかユーモラスですらあるコミカルなナンバーなのだが、吉田さんの華やかなボーカルのテンションとバンド全体の演奏の分厚さが、ライブを締めくくるにふさわしいメジャー感と盛り上がりにつながっているように感じた。驚いたのは、演奏中に音をぴたっと止めて、「今、超能力を使って、メットライフドームの時間を止めちゃいました」と、人を食ったような演出を見せたこと。時間を止めている間に「ポピパちゃんに変身します!」と宣言して突然「ときめきエクスペリエンス!」の一節を演奏してみせたりと、緩急自在のパフォーマンスでドームを盛り上げたサイサイだった。

アンコールには、Poppin’PartyとSILENT SIRENが揃って登場。吉田さんの「サイサイとポピパのコラボ、見たくない? 踊る準備、できてる?」の言葉から全員で「チェリボム」を披露。この曲はSILENT SIRENの楽曲であり、「ガルパ」でPoppin’Partyがカバーした楽曲でもある。銀テープとハートが舞う中、両バンドのカウンターパート同士が並び、笑顔と音をかわしながら演奏を繰り広げるという、本当に楽しく、幸せな時間がドーム対バン初日ラストを飾った。

(取材・文/中里キリ)

【セットリスト】

-ゲストアクト:Roselia-

M01:LOUDER

M02:R

M03:BRAVE JEWEL

M04:熱色スターマイン

-Poppin'Party-

M05:キズナミュージック♪

M06:B.O.F

M07:Happy Happy Party!

M08:Dreamers Go!

M09:ティアドロップス

M10:八月のif

M11:キラキラだとか夢だとか ~Sing Girls~

M12:NO GIRL NO CRY/Poppin’Party Ver.

M13:Time Lapse

M14:STAR BEAT!~ホシノコドウ~

-SILENT SIREN-

M15:フジヤマディスコ

M16:八月の夜

M17:ぐるぐるワンダーランド

M18:What show is it ?

M19:ビーサン

M20:NO GIRL NO CRY/SILENT SIREN Ver.

M21:天下一品のテーマ

M22:女子校戦争

M23:ALC.Monster

M24:恋のエスパー

-ENCORE-(Poppin’Party×SILENT SIREN)

EC1:チェリボム

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