【Steamゲームレビュー】チェコ産の“ホームレスになれるゲーム”「Hobo: Tough Life」

この連載では、PCゲームのプラットフォームとして今盛り上がっている「Steam」で遊べるオススメゲームを、「Steam」のコアゲーマーである、“すちーむまにあ”こと、辻村美奈が詳細にレビュー。その面白さを紹介していきます。


今回紹介するのはチェコ共和国のインディーデベロッパー「Perun Creative」が開発中のゲーム「Hobo: Tough Life」。このゲームはホームレスになることができるホームレスシミュレーションRPGです。プレイヤーはゴミを漁ったり、物乞いをしたりすることで今日を生き抜くための食料や物資を調達します。さらに、拠点を作り、これからくる冬を乗り越えなければなりません。


ホームレスの日課と言えばゴミ漁りですが、このゲームではゴミ箱の中にランダムで汚物が入っています。万が一それを引いてしまうと吐き気をもよおしたり、汚れを蓄積することによって病気になってしまったりします。最初のうちは回避するのが難しいのですが、何度もゴミを漁り、レベルを上げると、汚物の気配を察知し、未然に防げるように。経験値を集め、各スキルのレベルを上げていくことでホームレスとして成長していくというゲームです。

NPCの先輩ホームレスがいろいろ教えてくれる


先ほど述べた通り、このゲームでは、物乞い・ゴミ漁り・ピッキングで物資を調達します。また、これらの行動にはレベルが設定されていて、何度も繰り返すことで経験値が溜まり、レベルアップするというシステムになっています。


さらに、この町にはプレイヤーのほかにもNPCのホームレスがたくさん住んでいます。NPCのホームレスと話すと、クエストを受注できたり、お金を支払うとレシピを教えてくれたりとプレイヤーの手助けをしてくれます。ちなみに、最大4人までのマルチプレイにも対応しているので友達と遊ぶことも可能です。

リアルに作られすぎ!シビアなステータス管理


このゲームでは、ステータス管理がとてもシビアです。そのうえ、とてもリアルに忠実に作られていて、空腹や温度はもちろん、主人公のモラルの意識や眠気、吐き気や病気、便意や臭いなど細かく設定されています。たとえば、ご飯を食べると便意メーターが上昇し、数値が貯まるとトイレに行かなければなりません。もちろん、もしそれを放置したまま100%に達してしまうと、ズボンにうんちをしてしまいます。さらに、ズボンにうんちをしてしまうと臭いステータスが100%になり、ショップの店員やNPCが話してくれなくなるなど悪循環に陥ってしまいます。さらに残酷なことに、この町にあるトイレは有料なんです。

また、ゲームの舞台となる町には、ショップや他ホームレスの拠点などさまざまなエリアがあります。ひと言でショップと言っても、ホームセンターや雑貨屋さん、スーパーやタバコ屋などいろんな種類があり、場所によって品ぞろえが違います。そして、服をきれいにしてくれるコインランドリーや有料のトイレ、モラルを回復してくれる教会など、ステータスを管理するうえで重要な施設もあります。最初はどこになにがあるかわからなくても一度行った場所はMAPに記されるので安心です。また、MAPは通常は手書きの質素なものですが、売店で売っているMAPを買うとしっかりしたものに変わります。

実際にホームレスになってみた


それでは実際に遊んでみようと思います。まずキャラを作成すると、街のはずれにある空き地で目を覚まします。周辺には特に何もないので、さっそくゴミ漁りをしに町のほうに向かいましょう。基本的に序盤の食料は、ゴミ箱の中に捨てられている食べかけのスクラップフードです。汚れていない食べ物はお金がないのでまだ買えません。


ゴミ箱を漁っているとたまに「?マーク」のゴミがあります。これは当たりで、ミニゲーム(タイミングを合わせて緑か青の枠に止める)をクリアすると、よいアイテムがGETできます。あと、デカいゴミ箱にはよいものが入っていることが多いです。


ゴミ漁りで拾える瓶は1本2円で買い取ってもらうことができます。


当たりのスクラッチ(宝くじ)は、たばこ屋で換金することができます。


ゴミを漁りすぎて体臭が強めになってきました。臭いがきつくなるとNPCと話せなくなるのでガソリンスタンドでソープを買います。ソープを使うと10%体臭をカットできます。たとえホームレスでも清潔感は大事ですよね。


夜になると一部の売店やスーパーなどが閉まります。閉まった後の売店にピッキングで盗みに入ることもできます。でもこのピッキングが意外と難しい! あっけなくピンが壊れてしまい失敗。


夜はとても寒くなります。路地裏などにランダムに設置されたドラム缶にジャンクなどの燃料を入れると暖を取ることができます。もし燃やすものがない時は、バスターミナルの地下にあるホームレスのたまり場に行くと無料で暖まることができます。ここにはいろんなホームレスが住んでいます。


NPCホームレスの家。バリエーションに富んでいて、見ているだけでも面白いです。


昼になったのでバス停にあるベンチで眠ります。ホームレスの世界では夜に眠るのは自殺行為。


ゴミを漁りすぎて病気になってしまいました。お金がないので薬も買えずそのまま死亡。死ぬと、持ち物や、着ているものなど全部なくなってしまいますが、お金はなくなりません。なので、序盤はどんどん死んでお金を溜めつつレベルを上げるというのがよさそう。

殺伐としたコンクリートジャングルを描いた雰囲気ゲー


何と言っても、NPCが必ず通り過ぎる際に“好奇の視線”をこっちに向けてくるのがとてもリアルでした。一人称視点のゲームなので、本当にホームレスとして町中を歩いている気分になります。身なりが汚れていくとNPCの態度が変わるなど、ステータス管理に「臭い」という項目があるのもリアリティがあって面白かったです。


また、本作は開発中のゲームということで、今年11月のアプデでは待望の戦闘モード(物乞いの会話中にターン制で攻撃できるというもの)が追加されました。ほかにも新しいエリアやNPCが追加されるなど、活発にアップデートがされているのも嬉しいポイント。


言語は、チェコ語・中国語・英語のみに対応。残念ながら日本語には対応していませんが、サバイバル自体は十分に楽しむことができます。さらに、英語ができる人は会話やストーリーなども楽しめるといった感じ。普通のサバイバルゲームに飽きたという方は、本作をプレイしてみてはいかがでしょうか。

タイトル情報


「Hobo: Tough Life」(Perun Creative)
2017年7月26日発売
価格:1,880円(2019年11月28日時点)
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筆者:すちーむまにあ(辻村美奈)

オフィスマイカに所属するライター兼ゲーマー。好きなゲームのジャンルは、サンドボックスのサバイバルゲームや、ホラーゲームなど。プレイスタイルは、コミュ障炸裂でVC勢に怯えるテキストチャットガチ勢。


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