「ファイナルダンクーガ」が実現可能! 泰勇気も感激のスーパーミニプラ「ブラックウイング」&「ダンクーガ ブラックカラーVer.」最速レビュー&開発者インタビュー!
毎回、ロボット大好きクラスターの胸をときめかせる新商品をリリースするバンダイキャンディ事業部の食玩「スーパーミニプラ」シリーズより、「ダンクーガ」シリーズの人気ロボ「ブラックウイング」が遂に初キット化!
さらに、スーパーミニプラ「ダンクーガ」と合体させることで、ゲームでのみ登場するオリジナル形態「ファイナルダンクーガ」を完成させることができる、初のオフィシャル商品ということで、発送を今か今かと待ちわびているダンクーガファンも多いことだろう。
そこで今回、声優業界随一の「ダンクーガ」ファンである声優・泰勇気が、バンダイのキャンディ事業部に突撃! 開発担当の長澤洋平さんに、スーパーミニプラ「ダンクーガ」開発秘話から「ブラックウイング」の魅力。さらに未知のニューアイテム「ダンクーガ ブラックカラーVer.」について思う存分質問させてもらった。
(※なお、本記事の画像はすべて開発途中の試作品のため、実際の商品とは異なる場合があることをご了承ください)
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熱すぎる!こだわりのスーパーミニプラ「ダンクーガ」開発秘話
──まずはスーパーミニプラ「ダンクーガ」の開発裏話からうかがえますか?
長澤 もともと私は、ホビー事業部で「スター・ウォーズ」のプラモデルを担当していたのですが、4月からスーパーミニプラの開発担当に異動しまして、現在はキャンディ事業部に所属しています。「ダンクーガ」は9月発売商品だったのですが、ちょうど金型製作がスタートする段階で前任者から引き継ぐという形で担当することになりました。
泰 その時点ではもう設計は終わっていたんですね。
長澤 ほぼ外観形状は決まっていました。最初に見た時は、「めちゃくちゃかっこいい、これ!」って感激しました(笑)。ダンクーガはそこまで立体化の機会があるキャラクターではないうえに、他メーカー様から出ている商品や弊社の超合金魂など、それぞれ見た目にちょっとばらつきがあるんです。
当時の超合金はもとの設定画をベースにしていて、戦隊ロボットに近い箱ロボット的なプロポーションなんですが、実際にアニメで動くとまた場面ごとに描かれ方が異なっていて、どこのイメージを取っていくのか、というのが一番のポイントでした。そこで、今回のスーパーミニプラはそのどちらのイメージも感じ取れるような、最大公約数的な商品になっているのではないかと思っています。
今回はディテールをこれでもかと入れているのですが、このディテールの入れ方の具合はホビー事業部でいうとほぼ「MG(マスターグレード)」のパターンに近いように思います。今回のダンクーガの16.5cmくらいのサイズは、ガンプラのMGくらいのサイズ感になってくるので、ディテールを入れておかないと間延びしたような印象になるんです。原作のアニメをリスペクトしつつ物映えするような仕上がりになっていると思います。そのおかげで、密度濃いディテールを入れられていると思います。
泰 今回の商品はブロック分けも、ダンクーガ状態での可動のために思い切った部分がありますよね。昔の商品って脚部を前に動かす時に、腰が丸ごと動くじゃないですか。僕の中でそう刷り込まれていたので、このアーマーの分割の発想はよかったと思います。
長澤 ビッグモスにはタンク形態とビースト形態、ヒューマノイド形態のそれぞれの形態があるというところと、おそらくダンクーガ形態で飾る方が一番多いと思うところで、それぞれポージングをさせた時に不満がないようにしています。前担当から股関節の可動についてこだわったと聞いており、そこがきちんと設計に反映されている商品になっていると思います。
今回は大型サイズゆえに差し替えパーツも多くなってしまっているのですが、差し替えることにより各形態のプロポーションが見栄えのある仕上がりになっていると思います。ダンクーガ形態のビッグモスの鼻の分割は、本来の設定とは異なりますが、手に取った時に動かしやすくなる仕様になっているので、このパーツの割り方はよかったと思います。
泰 ビッグモスの可動やディテールにもついつい目がいってしまいますが、やはり注目は両脚組ですよね。クーガー&ライガーの胸部のスライドが、もうミニプラでやるスケールじゃないだろうと思いました。
長澤 目の付けどころがさすがですね(笑)。このサイズで、ちゃんとイメージ通りのスライドを実現させるのはすさまじいですよね。ここは組み立てが難しくなってしまっているので、今後のスーパーミニプラにフィードバックしていきます。
泰 ここは作りながら笑っちゃいました。あと、クーガーの鼻の変形ですね。アニメでもここの変形をアップにしていて、印象に残っているじゃないですか。でも当時の超合金では全然再現できてなくて、超合金魂でようやくできるようになったんですよね。当時品でやれなかったことを、しかも組み立てキットでそこに盛り込ませるかっていう。
そしてイーグルファイターですが、ヒューマノイド形態の背中にダンクーガの顔が隠れているんですよ。これは、たぶん変形する玩具を持っていないと、ここに顔があることは知らないと思います。ここは、よくやったなと感心しました。
長澤 実は当初イーグルファイターは、このサイズでも変形できる試作は作っていたんです。ですが、さすがにプラモデルとして耐えられる強度のものにはならなかったので、泣く泣く変形はオミットをしました。できれば入れたかった要素なんですが、ここは潔く形態別にまとめることにしました。
泰 いや、変形をプラキットで再現できるサイズにしちゃうと、今度はダンクーガ形態時のバランスが崩れちゃうと思うので、そこは本当に英断だったと思います。
長澤 イーグルファイターだけ大きくなってしまっても、やはりお客様の想像しているものとは違ってしまうので、ミニプラのフォーマットにならって1商品の中で各ロボのサイズ感をそろえて劇中のイメージをなるべく再現できるようにしました。
ミニプラでは200円なら200円の、300円なら300円の中で1体のロボットを作ることが目標でもありましたが、その場合だとどうしても劇中の各ロボットのサイズ差を再現できない、変形を入れられない、という問題がありました。ミニプラでは2008年くらいからAパート、Bパートという分け方の仕様も入れ込むようになり、実際の合体変形ができるというやり方を取り入れ始めました。今回のダンクーガではミニプラの仕様の応用で、イーグルファイターとランドクーガーで1セット、ランドライガーと飛行ブースターで1セット、ビッグモスで1セットという風にセット分けすることで、ダンクーガの各ロボットのサイズ差、変形を再現することができました。
泰 (ダンクーガも)ちゃんと各形態で並べられるようになっていますからね。変形合体シーンの再現を撮影するのが楽しくて楽しくて……。実はアニメの合体シーンでは1か所、クーガーとライガーの位置が反対になっているシーンがあるんですけど、合体すると設定どおりになっているんですよ。もしかしたら記事の写真を見て「反対だ!」と思っている方もいるかもしれないけど、それはあえてなんですよ。
長澤 そういうざっくりしたところも当時のアニメの魅力ですからね(笑)。
泰 あとここですよ。ビッグモスのハッチ! アニメ本編ではほとんど使われなかったんですが、確か亮が誰かを助ける時にここから出入りしていたんですよね。それがすごい頭に残っていたんですが、そのモールドがあることに感動しました。
長澤 僕もここは前任の開発担当の人に「これ、ドアっぽいんですが何であるんですか?」ってたずねたんですよ。途中引継ぎだったこともあって、完璧にアニメのシーンをチェックしきれていなかったので。そしたら「そういうシーンがあったから」って。さすがだなと思いました。
泰 すごいなあ。それがわかっている方とはおいしいお酒が飲めそうだ(笑)。
長澤 周りにそういう人がたくさんいてくれたからこそ成立したアイテムだと思います。正直ホビー事業部時代の観点から見ても、いろいろなことにチャレンジにしていると思います。本当にマニアの方もうなる商品になっていますね。
泰 そうですね。自分は「このパーツをこう割るんだ」って何度も思いました。
長澤 僕も1つひとつ驚きました。ホビー事業部ではなかなか見かけないパーツ分割や、割り切り方があるので、「ミニプラなりの方程式ができてきているのだな」と作りながら思いました。
泰 それにしても、いろんなポーズをさせてずっと見ていられますね。手首パーツもすごく表情豊かなんですよ。
長澤 ダンクーガって意外と肉体派じゃないですか。それぞれの手首パーツで、ちゃんと劇中のイメージを乗せられるようにしました。抜き手もちゃんとあります。
泰 ただの平手だと思いきや、少しずつ指に角度がついてるんですよね。
長澤 そうですね。前に突き出した時に、ちょっと力が出るような形に仕上げてるのがすごいと思います。やっぱりアニメーションのちょっとした雰囲気というか、色気みたいなものを出せるようにしています。
泰 手の形もですが、手首の角度もだいぶお芝居ができるので、これは嬉しかったですね。そういう感動のあるキットなので、まだ箱に入れたままの方は、ぜひ一度組んだほうがいいですよね。
今回はやりたいことがいろいろあったと想像に難くないんですが、商品の仕様上、断腸の思いであきらめた部分もあったとは思うんです。それでも、このような形で商品をまとめていただいて、本当に泣きそうでした。夢に見ていたプラキットがここにあるっていう。この気持ち、どこまで伝わるかな。
長澤 ダンクーガは各形態に変形するし合体もするので、商品に落とし込むのがすごく難しかったと思います。これは企画段階の話として聞いたのですが、当初、ダンクーガはスーパーミニプラでは商品化できない、さすがに無理だろうという社内の見方だったそうです。しかし当時の担当者が、スーパーミニプラというフォーマットがある程度評価されてきたということで挑戦してみたいということで相当がんばったそうです。正直ほかのスーパーミニプラよりもレベルが1段階も2段階も上がってしまっているのですが、商品までやっと落とし込めたという形ですごくよかったと言っていました。
泰 変形のギミックも、もしかしたら当時のおもちゃをダウンサイジングするだけならできたのかもしれないのですが、TVシリーズからOVA、劇場版などを経てダンクーガのイメージが磨かれてきたからこそ再現が難しくなったのかな。なかでも一番大きいのは「スーパーロボット大戦」で、けっこう活躍してかっこいいと再評価されてからですよね。そこから「スーパーロボット大戦」を通していろんなロボのリバイバルブームがあって、だからこそ令和になっても昭和のキャラの新商品が出てきていますが、ダンクーガはそれをけん引してきた存在なんじゃないかな。
その過程でいろんな人の頭の中で、どんどん「ダンクーガってこうだよな」って磨かれていって、ケレン味のある商品が多かったんですが、自分としてはちょうどいいバランスのものも欲しいと思っていたんです。観ている話数によって、印象がだいぶかわってくる面もありますからね。
長澤 アニメーションの動きも重要だと思っていますし、より設定画に近いプロポーションが好きという方もいらっしゃるので、スーパーミニプラでは、比較的プレーンな、みんなに「これだね」とわかってもらえるような落としどころを探っていきたいと思っています。
黒騎士参上! 感動のブラックウイングのギミック&ディテール
泰 そして、ダンクーガといえば、アラン・イゴールのブラックウイングも気になるところですが、実はバンダイさんではブラックウイングの変形機構を持った商品化は初になるんですよね。
長澤 そうですね。やっぱり最初にダンクーガを商品化するとなった時に、乗りかかった舟ならば「ここまでやらなきゃだめだよね」という空気はありました。そのため、ちょうど僕がダンクーガの担当になった2~3週後くらいのタイミングで、ブラックウイングの開発に着手していました。
泰 ブラックウイングって意外と大きいんですよね。
長澤 そうですね。劇中でもイーグルファイターと並んで登場するシーンがあったんですが、けっこう大きくて、ヒューマノイド形態だとビッグモスと肩を並べるくらいなのかなということで、プロポーションやサイズを調整させていただきました。
泰 うわー! すごいモールド!
長澤 ブラックウイングはやはり翼が印象的なロボットですので、より実機的なテイストも入れつつ、全体のデザインを仕上げています。ダンクーガを大人が手にとっても楽しんでもらえるディテール感に仕上げているので、ブラックウイングもしっかり入れようと思いました。
泰 単体の航空機モデルとしてみてもすごいですね。……ちょっと待ってください。この爪のパーツ。なんでこんなところで分けちゃったんですか!
長澤 気づいてくださってありがとうございます。ファイター形態のかぎづめ状のパーツって、鳥メカとしては意外と重要だなということでこだわっております。ヒューマノイド形態ではちゃんと収めることができます。
泰 ここはそこまでこだわらなくても、誰も気にしないですよね(笑)。
長澤 あははは(笑)。がんばっちゃいました。ちゃんとここも可動するようになっているので、物をつかむようなイメージのポーズが決まるようになりました。逆関節と言う要素も必要ですから、膝には三重関節を入れています。ほぼ180°まで逆方向に曲げることもできます。もちろん普通の方向にも曲げることが可能です。普段はここまで仕込まないんですけど、ブラックウイングという機体ならではということできちんと可動範囲を取っています。当然のように正座はできますし、逆正座(?)もできます。
泰 もうMGクラスですよね。ターゲットが僕らのような大人だからここまで作りこめる。
長澤 そうですね。今回はプレミアムバンダイで発売させていただけることになったので、よりコアなお客さん、実際にダンクーガを購入されてブラックウイングも欲しいという、本当にダンクーガが大好きな人のためにちゃんとものとして成立させなきゃいけない。きちんと骨の髄まで楽しんでもらうためにこういう仕様にしました。
──股間と足は3軸可動で接続ですね。
長澤 そうですね、ここはボールジョイント接続になるんですが、ロール軸も入れているので、かなり大きく開くことができます。ですので、ひとつの人型モデルとしても優秀ですね。腰回りはシンプルな構造になるので、そのシンプルなところをきちんと作りこむ形にしています。
泰 ありがとうございます!
(一同笑)
泰 そして機首の、この模様(エングレービング)ですよね。
長澤 やっぱり設計の初期段階、デザインラフの段階からここはきちんと入れ込むことは考えていました。製品にする際は、金のタンポ印刷を入れようかと思っています。はじめはパーツ分割で処理することも想定したんですが細かすぎました。平の部分に印刷するか、ちょっとディテールを入れて、そこに印刷をするかは最終的な仕上がりの出方で考えようかなと。
泰 ここはどうなるかなと想像していたんですよ。ディテールの上に、金のシールを貼ったりするのかなとも思っていたんですが。
長澤 ここはファイター形態で一番重要な、表情が出るポイントになってきます。ですのできちんと彩色で入れてあげたほうがきちんと表現できるということと、シールだとシール本体の厚みが出てしまうので、見栄えが少し悪くなると思ったんです。スーパーミニプラは彩色することもできるということで、今回はそのスタイルで進行したいと思います。
泰 機首の脇に、わざわざカバーを作っていますね。
長澤 ここのスペーサーみたいなところは、最終形状は変わるかもしれませんが、変形時に広がったスペースを埋めてくれます。意外と翼とかで正面からは見えにくくはなるんですが、こだわりとして入れたいところでした。
泰 確かにこの大きさで、横から見た時に隙間が見えちゃうのは悲しいかもしれないですね。
長澤 おそらくアニメでは、そこまで考えてはいなかったのではないかと思うんですが、きっとそこは何かしらでキレイに埋まっているんだろうな……と想像して追加しました。実際に、ここは何かで埋めないと空力的にも厳しいだろうし……ということを考えています。
泰 航空モデルとして見ると、フラップっぽいところがあったり、垂直尾翼もまっすぐではなかったり。
長澤 劇中ではフラップ的なパーツのところに白いラインが入っているので、そこはきちんと拾ってあげようかと。シールでの再現になるんですが、ダンクーガでいうところの飛行ブースターのイメージのシール処理で仕上げていこうかなと思っています。
垂直尾翼もまっすぐな仕上げにすると色気が出ないというか。ブラックウイングはファイター形態時に航空機的なテイストを入れた方がモノとしては映えるかなと思うので、ここは航空機の垂直尾翼のシュッとした立ち上がりをイメージしています。
泰 鳥型のメカって、ほかの獣型に変形するメカと違ってグイグイ動くものではないから、その分こういうところで見せているわけですね。
長澤 ちなみにスタンドもついてきます。形状は最終的には変わる予定なので、試作的なものになりますが。今回は飾りざまも重視していて、ここにある小さいスタンドにはイーグルファイターを乗っけられます。
泰 あった、あった! ほんのわずかだけど上空を飛ぶ2機のシーンがありました。イーグルファイターにはスタンドもありませんでしたからね。これはナイスです!
長澤 スタンドはクリア素材での成形を考えてますので、より飛行シーンのイメージに近づくと思います。じゃあそろそろ変形させましょうか。
泰 やった!
長澤 今回、胸の部分にスライドを入れていますので、機首を外側に開くと肩にあたるパーツが出てきます。そして変形用の小さい手パーツが入っているので、それを出します。
泰 これはもうミニプラじゃないなー(苦笑)。この腕の太さ、ボリューミーな上半身がブラックウイングの特徴ですよね。
長澤 このバランスも破綻ない感じで調整しています。そしてウィングを跳ね上げて畳みこみます。
今回は設定準拠で跳ね上げる感じにまとめています。少し下めにセットしたいところで、一度下げてまた跳ね上げる形で、ちょうどいい位置に調整できるようにしています。ここは差し替えでやるとちょっと味気ないので、そのままでスムーズにいけるようにしています。
泰 もう一瞬、食玩だってことを忘れていました。食玩だったら差し替えもありですよね。いや、これも食玩だけど。
長澤 どうしてもクリアランス的に入らなかったこともあり、顔だけは別パーツでそろえています。これをここのピン穴に差し込むと……。
泰 わ、こんにちは!
長澤 手首の形状に関しては、まだ試作段階なのでサイズ感の縮尺を調整しきれていないのですが、手のパーツは変形用の小さめの握り手と、ポージング用の大きめの握り手の2種類があります。
泰 ちょっとダンクーガさんと並べてみませんか?
(数分間、無言で大人たちがダンクーガをいじり続ける)
──改めて見ると30年以上前のデザインとは思えないですね。
長澤 秀逸ですよね。
泰 ……きたーー!(と拍手)お似合いですよ、おふたりさん! あぁ……、かっこいい!
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