【「彼女、お借りします（2期）」特集！vol.3】「第2期では魔王感が出ていたかも」七海麻美役・悠木碧インタビュー＆グラビア！前編

TVアニメ「彼女、お借りします」第2期が、現在、絶賛放送・配信中だ。今回は、謎アタックを仕掛けてくる小悪魔的な元カノ・七海麻美（ななみまみ）を演じる悠木碧さんにインタビューを行った。

「彼女、お借りします」は、宮島礼吏さんによる「週刊少年マガジン」（講談社）で連載中の大人気ラブコメ作品。主人公・木ノ下和也の理想の彼女・水原千鶴は実はレンタル彼女＝レンカノで……？　という秘密をもった2人と周囲の人々の物語が描かれている。2020年7月にアニメ第1期が放送されて人気を博すと、今夏より待望の第2期の放送が決定した。

今回登場するのは一見魅力的な女の子。その裏では、とっても怖い面を隠している和也の元彼女・七海麻美役の悠木碧さん。非常にアクの強い麻美を、悠木さんは第1期ではどう演じたのか。そして第2期における変化をうかがった。
⇒【「彼女、お借りします（2期）」特集！vol.1】「1期では嫌いだった和也のことが好きになりました」水原千鶴役・雨宮天インタビュー＆撮りおろしグラビア！【前編】
⇒【「彼女、お借りします（2期）」特集！vol.2】「2期は、舞台の上や中学生時代などいろいろな千鶴を演じることに挑戦！」水原千鶴役・雨宮天インタビュー＆撮りおろしグラビア！【後編】

「千鶴」は、麻美が手に入れたくて手に入らなかった強くてカッコいいもの

ーーTVアニメ「彼女、お借りします」第2期が始まりますが、第1期で七海麻美を演じた印象を教えてください。

悠木　アニメが始まる前からSNSで話題にもなっていたので、原作の力をすごく感じていたんです。なのでアニメになって、より好きになってもらえたらいいなと思いながら取り組んでいました。麻美の立ち位置って特殊で、アニメではなかなか出会うことがない女の子のリアルなところ、策士なところが盛り込まれているキャラクターでもあったので、私としては、毎話演じがいのある役だったなという印象があります。

ーーちょっと怖さもありましたけど、原作の宮島礼吏先生が描く女の子って、とてもかわいいんですよね。なので、悠木さんから見て、その中でも麻美のかわいいと思うポイントを教えてください。

悠木　つい翻弄されたくなる！が重要なキャラクターだと思うんです。裏の部分が特殊なので、そこがフィーチャーされがちですけど、それだけではあの子のポジションって成り立たなくて。“なんかわからないけど惹かれてしまう魅力”があると思うんです。私が麻美にこうされたらドキッとするかもなっていう、私の好みも（演じるときに）盛り込んでいるところはあったかもしれません（笑）。

それと突然距離を詰めてくる！みたいなところは、彼女のメインウェポンでもあると思うんです。さっきまでお茶している距離感だったのに、次の瞬間には耳元でささやかれている、みたいな。翻弄され、麻美にコントロールされている、みたいな感じが出せたらいいのかなと思っていました。

ーーそもそも裏の部分を知っているのは視聴者だけですからね。

悠木　そうなんです。視聴者は神の目線で見ているから、麻美のどちらの顔も見ているけど、和也くんに関しては、ダークな面が第2期から少し見えてくる？というか、何なら現状もそんなにバレているわけではない感じなので、そこが巧みな部分で、麻美の器用なところかなと思います（笑）。

ーー第2期の麻美を演じて、第1期からの変化などは感じましたか？

悠木　策士な麻美ちゃんも千鶴と和也の関係性の急速な深まりを妨害しきれない部分があるんですよね。いろんなヒロインが和也くんにドキドキしているのに、千鶴ちゃんとの関係が深くなっていくという運命観があるんです。

麻美って、グレーを取るのが上手な子なんですけど、だんだんブラックなことをしていくようになるというか。手を汚さなければ止められないところに来てしまったところがあるんですよね。そんな風に麻美自体が焦って手段を変えるところは、何ならホラーだな……と私は思って見ていました（笑）。

それと瑠夏ちゃんとのシーンがすごく好きなんです。たぶん瑠夏って麻美史上もっとも苦手なタイプだと思うんです。真っすぐで純粋で、とにかく好きのパワーで押してくる。引いてもくれないしビビらない。魔法ばかり使っていたけど、パワー型には弱い！みたいな感じで、策で挑んできた麻美のウィークポイントが見えたりもするんです。なので、第2期で、また新しい麻美の一面が見えた感じがしました。

ーーその瑠夏とのかけ合いはいかがでしたか？

悠木　瑠夏ちゃんって、隠す部分がなくて、隠してもバレちゃうくらい正直で、好きのパワー一点突破で押してくる。そうなるとこちらはどのくらい引くかなんです。彼女の強さによって、麻美の引き具合が変わってくるんですけど、私としては瑠夏ちゃんを悪い子には見せたくない気持ちがあったので、麻美がちゃんとヒール役になったほうが瑠夏ちゃんの純粋さが際立つ思ったんですね（笑）。でも、麻美だって悪いことをしているわけではないので、そのバランスをスタッフさんたちがどう取りたいのかの温度感を現場で感じながら演じられたらなと思っていました。

でも、シーンが第1期よりも濃かったから、第2期では魔王感が出ていたかもしれないですね（笑）。彼女も彼女なりに一生懸命なので。なので、それでも麻美ちゃんが好きと言っている方がいたら、その愛情は本物なので、ご自身の感覚を大事にしていただきたい！　私は今回、ちょっと笑ってしまいました。怖いじゃん！って（笑）。

ーーただ、いちばん策を講じている相手は千鶴だと思います。彼女の印象を聞かせてください。

悠木　千鶴のことを嫌いという人は、第1期の頃から男女ともにいないはずなんです。美しいけど努力家で、賢いけどちょっとかわいいところもある。でも、第1期のときは、分厚いバリアを誰に対しても張っていたと思うんですね。おばあちゃんだけにはなかったバリアが、第2期では外れるのかな？というところをお楽しみいただけるはずなんですけど、その過程が都合よくなくて、すごくいいんですよ。

彼女のバリアの厚さが硬派でいいと私は思うんだけど、和也くんからしてみたら、すぐに好きになってくれたらラクなんです。でも、そうではない。彼女が和也くんをちょっとずついいなと思う理由が人間愛的に描かれているのをちゃんと感じられるところがいいし、それが千鶴のよさでもある。

愛情深い人だからバリアが厚いというところが、彼女のすごく好きなところで、誰に対してもちゃんとしているし、ちょっと堅物だけどいい子なんですよね。

ーーそういうところが麻美的には気に入らないところなのかもしれません。

悠木　手に入れたくて手に入らなかった、強くてカッコいいものなんですよね。だから麻美のコンプレックスなんです。私はその対比もすごく好きで、そうはなれなかったけど、いい女でいたいという麻美の意地と、いい女でい続ける千鶴の描かれ方のギャップがよくて、どっちもちゃんといい女を目指して生きているところがカッコいいといえばカッコいいんだよなぁっていう。正しいのは千鶴なんだけど、麻美にも麻美の事情があるから。

ーーそこまで感じ取れたら、麻美の見方も変わるかも？

悠木　だからといって、彼女のやった意地悪を擁護する気は全然なくて、意地悪は意地悪なのでよくないです（笑）。

後編に続く！

(取材・文・撮影／塚越淳一)