フィギュア2体と宇宙船1機のセットで、税別2,600円! ハセガワの発売する「ダーティペア」のプラモデル、開発の裏側【ホビー業界インサイド第82回】

「超時空要塞マクロス」、「クラッシャージョウ」など80年代の人気アニメを積極的にプラモデルにしてきたハセガワが、テレビアニメ「ダーティペア」を商品化する。1985年に放送されたテレビアニメシリーズから、土器手司氏のデザインしたケイとユリを1/20スケールでフィギュア化し、2人の乗る宇宙船ラブリーエンゼルもセットした充実の内容だ。
ハセガワは多数のレジン製フィギュアを発売していることでも知られるが、今回の「ダーティペア」はすべてインジェクション成型。工作や塗装の容易なプラモデルなので、誰でも手に取りやすい。しかも、フィギュア2体とメカ1機のセットで、2,600円(税別)という低価格を実現している。プラモデル「『ダーティペア』ケイ&ユリ w/ ラブリーエンゼル(1/300)」の開発の裏側を、ハセガワ企画開発部の国分智さんと澤田博史さんにうかがった。

なぜ、インジェクション成型なのか? なぜ1/20スケールなのか?


──最初に「ダーティペア」のプラモデル化が発表されたとき、てっきりハセガワさんの得意なレジン製フィギュアだろうと勘違いしていました。

澤田 弊社のラインアップとして、カーモデルに合わせて飾るための女性フィギュアがあります。1/12スケールはレジン製ですが、1/24スケールはインジェクション成型のプラモデルもシリーズ化しています。そのシリーズの延長線上にあると考えると、分かりやすいかも知れません。

国分 もともとは1/24のカーモデルに同スケールのレジン製フィギュアを付属させて販売していたところ、大変好評で「フィギュアだけでも欲しい」という声が多くなりました。それなら、レジン製キットとして別売りしてはどうかという話も出ましたが、インジェクション成型で2体セットとして販売しても採算がとれるのではないか、という目算がありました。


澤田 実際には、当初の予想以上にたくさん売れました。はじめからフィギュア単体で販売していたらマニア向けの製品になったのかもしれませんが、カーモデルの横に置くフィギュアなら、もう少し一般層にアピールできます。価格も2体セットで900円(税別)とお求めやすく、現在ではかなりシリーズを重ねて種類が増えています。

国分 弊社の場合は、スケールキットでもキャラクターキットでも、まずメカニックや乗り物があって、そこにフィギュアが付属します。

──「クラッシャージョウ」の「ファイター2」に、ヒロインのアルフィンのフィギュアが付属していましたよね(2019年6月限定発売)。あのアルフィンは1/20スケールで、レジン製でしたが?

国分 1/20アルフィンの付属したファイター2は非常によく売れました。今回、「ダーティペア」を製品化するにあたって、フィギュアを1/24スケールにするか1/20スケールにするか検討しました。「ダーティペア」は「クラッシャージョウ」と同じ高千穂遙先生の原作ですから、共通の世界観で並べられるようにケイとユリも1/20スケールにしました。ダーティペアは定番商品になりますので、生産数や生産回数が増えることが予想されます。



澤田 そうなりますと、シリコン型をつくってレジンを流すよりも、金型をつくってインジェクション成型したほうが、効率がいいんです。今回はアニメが好きで「クラッシャージョウ」や「ダーティペア」が好き、ただしフィギュアは初心者という方が多いと思ったので、手に取りやすいインジェクション成型が最適と考えました。

国分 弊社がキャラクター物のフィギュアをインジェクション成型で開発するのは、「クラッシャージョウ」の1/35ガレオン付属のフィギュアが初めてでした。手馴れている1/24スケールのリアル系フィギュアのフォーマットを踏襲しながら、「クラッシャージョウ」シリーズの流れも汲んで手ごろなサイズのラブリーエンゼルもセットにできないか……と模索しました。(フィギュアの付いていない)「ファイター1」が2,400円ですから、なんとか2千円台に収めたいと営業担当と話をして仕様を決めていきました。価格が決まると、おのずとサイズとパーツ数が決まってきます。パーツ数を抑えてケイとユリの2体を1枚のランナーに、もう1枚のランナーにラブリーエンゼルを割り振って、価格を安く設定することができました。

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