「闘士ゴーディアン」(バンダイ)を組み立てて、動物マスコットと関節機構で300円キットの常識を改革する! 【80年代B級アニメプラモ博物誌第25回】

「闘士ゴーディアン」(1979年)って、1981年まで1年半も放送してたんだな。ということは、ガンプラが1980年夏に発売された後も、並行して今回の「ゴーディアン」が売られていたことになる。バンダイの展開していた「ベストメカコレクション」シリーズとしても、1/144ガンダムのひとつ前のNo.3だ。ガンプラよりも、ちょっとだけ早い時期に発売された300円キットなのだ。

▲ 箱横の絵より。マトリョーシカ人形のように、人間の外側に二重三重にロボットの外装が重なっていき、最終的には巨大ロボになる。パワードスーツ的なすぐれたアイデアだが、世界観はヒーローロボット的なので、当時はそれほど興味をひかれなかった

このベストメカコレクションは一番外側のロボット(ガービン)のみで内側の小さなロボットは付属しないが、大中小のロボットが内側に合体していく700円の大型キットも発売されていた。
……東京都武蔵野市、大野田小学校近くに営業していた模型店ワダチヤで、当時の私より2~3歳年下(小学4年生ぐらい)の子たちが700円のゴーディアンを手にとって「これ合体するのかな?」と話し合っていた。ワダチヤの親父さんはその会話を耳ざとく聞きつけて、横から「合体するよ!」と断言していた。ワダチヤの親父さんはよく子どもたちの会話に介入してきて、露骨に「こんなのも入荷しましたよ」と営業することもあったよな。80年代の個人営業の模型店って、そんな雰囲気でした。
ほろ苦い思い出にふけったところで、ゴーディアンの300円キットのランナーを見てみよう。

▲ バンダイの300円プラモ=あちこち自在に可動するという思い込みからすると、首が胴体と一体成型なことに驚く。股間がガンプラでおなじみのV字関節ではなく、左右に付きだした単なる「板」である点も不安を誘う

▲ 腕も同様で、手首が前腕と一体成型なのは「そういうもんかな」と納得しかけてしまうが、このヒジ関節。構造むき出しというか、古代の道具のような荒々しさがある

そうか、ガンプラ以外の1980年のプラモデルって、こんな感じだったんだな。さらに特筆すべきは、主人公ダイゴの連れ歩く黒ヒョウロボ、クリントが付属すること。ゴーディアンが全長15メートルだからスケール的には大きすぎるのだが、3センチぐらいの“いい塩梅”のマスコットである。

▲ 前足と後ろ足のところに大きな穴が空いてるので、可動するみたいだな……。こういうちょっとしたマスコットって、70年代のキャラクターモデル文化の流れかもしれない。ちょっとしたお得感がある

「巨大ロボのプラモに動物ロボが付いてるのか?」とビビってしまうのだが、タツノコアニメといえば「新造人間キャシャーン」の犬型ロボット・フレンダーとか、プラモデルに付属してたよね? だから70年代文化の残り香だと思えば納得もいく……ふと気がつくと、ガンプラより以前に発売された80年代ロボを取り上げるのは今回が初めてかも! では、新鮮な気持ちで素組もう、ゴーディアン!

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