アニソンが繋いだアーティストと作品の絆──大盛況に終わった「Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-」DAY1振り返りレポート!前編
毎年恒例の夏のイベント「Animelo Summer Live」(アニサマ)が、今年もやってきた! 2022年8月26日(金)、27日(土)、28日(日)の3日間にわたって開催された世界最大のアニソンライブイベント「Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-」(アニサマ2022)。
アキバ総研では、3日間の模様を振り返るレポートを掲載する。
「Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-」DAY1 前編
17年目のアニサマの幕がいよいよ上がった。
「We Will Rock You」(QUEEN)から「Vertigo」(U2)というお決まりの流れで会場の熱気を高めると、常夏気分を味わえる80年代アート風イラストを用いたスパークルなオープニングムービーが流れ、参加アーティストが紹介されていく。
まだまだ、コロナ前の日常は戻ってきてはいないのだが、“少なくともアニサマはあのエンタメを存分に楽しめる日常を取り戻したい! 今だからこそ最高のフェスを作り上げたい”という気概に満ちていたように思う。
そして観客もそれに賛同するという素敵な空間になっていた。
アニサマの1曲目は毎回驚きのコラボが実現するのだが、「アニサマ2022」1日目のオープニングナンバーは「ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突」主題歌「Now or Never!」。鈴木このみ×オーイシマサヨシ×仲村宗悟のコラボレーションで、ウルトラマンの映像をバックにスパークルしていく。オーイシさんと仲村さんの熱い、いやむしろ熱苦しいほどのボーカルに、真ん中で伸びやかに歌う鈴木このみさんの歌声が気持ちいい。
もともとは彼女の歌だが、ウルトラマンに関わりの深い2人が加わったことで、そのパワーとインパクトはとてつもないものになっていた。
続いて、TVアニメ「IDOLY PRIDE」のステージ。
まずは明るく晴れやかな「サニーピース」の5人がステージに立ち「SUNNY PEACE HARMONY」を歌う。TVアニメのライブシーンをバックに、笑顔はじけるポップなパフォーマンスを披露する。会場をオレンジ色に染めて、クラップをうながすと、引き続き夜空のような青い衣装が印象的な「月のテンペスト」が登場。
こちらもアニメ映像をバックにクールに歌っていく。このステージでも、会場のクラップが彼女たちの背中を後押ししていた。
さらに姉の想いを受け継ぎながら長瀬琴乃(CV.橘 美來)が「song for you」を、心を込めて歌う。アニメ最終話同様、会場が緑一色に染まった景色は感動的だった。
1コーラスずつのメドレーでつないできたステージのラストは、TVアニメでも最後の挿入歌となった「サヨナラから始まる物語」を、楽曲を作ったオーイシマサヨシさんとともに披露。オーイシさんはアコギでの参加。生バンドの迫力ある演奏と星見プロダクションの10人によるパフォーマンスは見事だった。
TVアニメの世界をリアルで表現するという醍醐味を、短い時間で見せてくれた彼女たちに大きな拍手を贈りたい。
間髪入れずにスペシャルステージに「燐舞曲(ロンド)」が登場!
TVアニメ「D_CIDE TRAUMEREI THE ANIMATION」EDテーマ「BLACK LOTUS」の、ラウドなサウンドを叩きつける。ボーカル青柳 椿(CV.加藤里保菜)の熱唱が炸裂! 月見山渚(CV.大塚紗英)のテクニカルなギター&ギターソロも超絶クールだった。
そして、TK from 凛として時雨の「unravel」をカバー。燐舞曲は「D4DJ(ディーフォーディージェー)」から生まれたユニットで、MCでも自分たちの世界観を大事にしていたが、リアルでここまでのパフォーマンスを見せつけるに至るまでの努力、そして積み重ねた経験を考えると感服する。
そのくらい本格的なパフォーマンスであり、会場を湧かすことを熟知している感じすらした。
続いて登場したのは、声優アーティストとして、2021年にデビューした大西亜玖璃さん。彼女の持つ爽やかでピュアなイメージとは少し違うクールな楽曲「Elder flower」を、2人のダンサーとともに歌っていく。
笑顔なしのクールなパフォーマンスのあとは、TVアニメ「このヒーラー、めんどくさい」OPテーマ「ジェリーフィッシュな君へ」へ。この曲の導入では、彼女が演じるヒロイン・カーラのMCがあり、その途中で「MCを乗っ取らないで!」とツッコみながら、早着替えをした大西さんが登場するという演出があったのだが、そんなキャラと本人とのやり取りがあるのもアニサマらしい。
カーラの活躍する映像をバックに、キャッチーな歌声が響かせた。
ちなみに、この曲は彼女が憧れる小倉唯さんや石原夏織さんの楽曲などでもおなじみのクリエイター・俊龍さんが作詞・作曲したもの。やはり俊龍サウンドは、大きなステージで映える。大西さんは、アニサマのステージに立つのが今年の夢だと語っていたが、早くもその夢をかなえ、しっかりと会場もピンクに染め上げ、ステージを後にした。
中島由貴さんは、TVアニメ「可愛いだけじゃない式守さん」のEDテーマ「Route BLUE」をアニメのED映像をバックに披露。引き締まったお腹が覗くかわいい衣装で、見事なダンスと歌声を見せつける。
たった1曲なのがもったいない!と思うほどの洗練されたステージングで、もっと長い時間見ていたくなるパフォーマンスだった。
「燐舞曲」に続く「D4DJ」からの刺客は、常夏が似合うアゲアゲな「Merm4id(マーメイド)」だ。
トロッコに乗って後方から登場。メインステージに降り立つと、 今度はサプライズゲストのm.c.A・Tが登場!
Merm4id feat. m.c.A・Tとして、「Floor Killer×Bomb A Head! Anisama Remix」を披露し「最&高」のステージを見せつけた。みんなでボンバヘッドをしたあとは、メインステージに燐舞曲も降臨。「Merm4id×燐舞曲」として「FAKE OFF」をぶちかます。バンドサウンドとクラブサウンド、まったく違う個性が融合するリミックス/DJの楽しさを、これでもかというほど教えてくれた。
続いて、仲村宗悟さんが登場。
一瞬でアーティストとしての彼の世界観を会場に作り出すと、みずから作詞・作曲をした「流転」を、分厚いサウンドとともに披露していく。
オープニングアクトでも登場していた仲村さんだが、MCではとてもフランクに観客に話しかけているのが印象的だった。今度はステージに青空を映し出し、サビで拳を振り上げられる「JUMP」(「スケートリーディング☆スターズ」ED)を、とても楽しそうに歌っていく。最近では声優として活躍しながら、シンガーソングライターとしての才能も発揮しているアーティストが増えてきたが、彼もそのひとり。自分の世界をしっかり持っているのがとても好印象だ。
ソングライターとしての才能も豊かな声優アーティストといえば、東山奈央さんもそうだ。
3rdアルバム「Welcome to MY WONDERLAND」のリリースを控える彼女だが、みずから作詞・作曲をした「群青インフィニティ」でステージをスタートした。
「まだまだ行ける!」と会場をぐんぐんとあおりながら見せつけたのは、どこまでも突き抜けていくよく通る歌声とキレのあるダンス、そして表現力だ。いくつもの才能を持つ彼女のステージに圧倒させられた。
また30歳になり、「資格を得た」ということで、今回のアニサマの影ナレを担当している井上喜久子さんにならって、会場で「東山奈央17歳です(おいおい)」と、嬉しそうにやっていたのも彼女らしかった。
少し前に新型コロナウイルスにかかって療養していた彼女だが、アニサマ直前に見事復帰! デビュー時からずっと変わらぬパワフルさを見せつけてくれた。
最後はポップな「Growing」(「勇者、辞めます」EDテーマ)を、トロッコで会場を大きく1周しながら歌い、自身のステージを終えた。
続いてメインステージに登場したのは斉藤朱夏さん。赤いキュートなワンピースをまとって「パパパ」(「俺を好きなのはお前だけかよ」OP)を歌っていく。アニサマバンド&ホーンセクション"FIRE HORNS"のパワフルな演奏、そして、傘などの小道具を使ったダンサーとのカラフルでにぎやかなステージが繰り広げられる。
彼女はユニット「Aqours」のライブでも、体全体を使った表現力やリズムの感じ方がとても魅力的だったが、ソロでもその魅力を存分に見せつけるパフォーマンスだったと思う。
続いて、最近ではアニメ界での活躍が目まぐるしいスーパーアイドル・鈴木愛理さんが登場! 鈴木さんが所属していたアイドルグループ「℃-ute(キュート)」による、TVアニメ「きらりん☆レボリューション」第2期EDテーマ「大きな愛でもてなして」を歌うという、なかなかにエモい展開。MCではその頃は小学生だったという話も飛び出した。
そしてソロになってからのアニソンデビュー曲である「ハートはお手上げ」(「かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-」ED)も歌っていく。この曲もまたゴリゴリのアイドルソングで、鈴木さんは「これでもか!」というほどかわいく歌い上げた。MVとはまた違うピンクのドレスも、キラッキラで眩しかった。
そこから一瞬で黒い衣装に早替えした鈴木さんをセンターに、ギタリスト・愛美さん、ベーシスト・中島由貴さんによる夢のようなガールズバンドが結成され、「MY BOY」を3人でカッコよく歌い上げる。この曲も、鈴木さんがかつて所属していたアイドルグループ「Buono!(ボーノ)」の楽曲であり、「しゅごキャラ!!どきっ」エンディングテーマでもある。
愛美さんと中島さんの2人が白い楽器に白い衣装だったので、黒一色の鈴木さんとの白と黒とのコントラストも抜群だった。
前半最後は、「BanG Dream!」からRAISE A SUILENが登場。メインステージ中央で、夏芽さん(マスキング役)のドラムソロが炸裂! そこにベースを弾きながらボーカルのRaychellさん(レイヤ役)が声を上げる。メンバー5人の姿がはっきりとステージに確認できると、拳を振り上げて「WOW WOW」と歌い上げる。
ステージには花火が上がり、「アニサマ、かかってこい!」という熱い言葉と共に「DRIVE US CRAZY」(「俺を好きなのはお前だけかよ」OP)を投下。この曲は、Raychellさんのパワフルなボーカルと、紡木吏佐さん(チュチュ役)の軽快なラップ、小原莉子さん(ロック役)なテクニカルなギター、倉知玲鳳さん(パレオ役)のキャッチーなキーボードと笑顔……RASの魅力が詰め込まれた1曲だ。続けてデジタルロック「Repaint」(スマートフォンゲームアプリ「新日本プロレスSTRONG SPIRITS」CMソング)も、ひたすら会場のテンションを上げ続けていく。
ただただ圧倒的なステージを見せつけた彼女たちだが、最後は「UNSTOPPABLE」(「カードファイト!! ヴァンガード 続・高校生編」EDテーマ)を披露。この曲ではサプライズゲストとして、「BanG Dream!(バンドリ!)」のバンド・Morfonicaから、進藤あまねさん(倉田ましろ役)&Ayasaさん(八潮瑠唯役)が参加。ボーカルとストリングスが加わったゴージャスなサウンドに、会場が大きく揺れた。
コンテンツから生まれたバンドであるRAISE A SUILENだが、ライブというものに真っすぐに向き合い、真摯に音楽活動を積み重ねてきたことで得た底力を感じたし、エンターテインメントの質がとにかく高いことに驚かされた!
どんなバンドにも負けないパフォーマンスだと思ったし、改めて「BanG Dream!」というコンテンツのすごさを思い知ることとなった。
(取材・文/塚越淳一)
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